受注テクニック

契約後の打ち合わせが長時間に及ぶ問題を解消した

契約後の打ち合わせが長時間に及ぶ問題を解消した

皆さんの会社でも、この問題を抱えているのではないでしょうか。

一般的に大手ハウスメーカーでは、仕様打ち合わせを2回で終わらせることを目標としていますが、実際にはなかなかその回数で収まりきりません。

お客さんによっては4回5回と打ち合わせが続き、さらにそれ以上のことも頻発しているのが実情です。

営業力がいくらあってたくさんの受注ができても、それ以降の後方部隊の処理に時間がかかると、会社としても上手くありません。

小規模な会社ですと打ち合わせが長時間に及んでも、それがかえってお客さんの満足度につながり、大変ではありますが良い結果をもたらすこともあります。

しかし、規模が大きくなると話は簡単ではありません。

設計打ち合わせの現場からの報告

研修の一環として折衝状況を録画し分析

話を進める前にこの説明をしないといけません。

お客さんと営業の折衝現場を私が生で見たり、あるいは録画という形で検証している旨は、このコラムでも散々書いてきました。

私は営業コンサルタントですから、折衝現場を検証するなら、営業とお客さんとの会話を検証するのが筋です。

しかし、その延長線上で、設計やインテリアコーディネーターとお客さんが折衝するシーンも分析検証する機会が、最近ちょくちょく出てきたのです。

今回お話するのは、そのような資料を元にした分析結果だとお考えください。

設計打ち合わせの長時間化が問題になっている

ある一定規模以上の住宅会社では、必ずこの問題を抱えているといっていいでしょう。

今と比べると私が営業をやっていた平成の初期時代は、古き良き時代だったと思います。

なんといっても、お客さんの知識量が今とは比べ物になりません。

ネット時代になってからは、お客さんがそれをフル活用して知識を頭に詰め込んで打ち合わせにやってくるからです。

「あれ、これってもっと違った商品ありますよね」
「ネットに違う話が載っていたんですが」
「これはもう少し単価が下がるんじゃないですか」

このように、明らかにネットで勉強したであろうということを前面に押し出してくるお施主さんもいれば、インスタグラムやpinterestの写真を設計やインテリアコーディネーターに見せる人も相当数います。

「これこれ、こんな感じの手すりがいいんです」
「この写真に載っている蛇口のメーカーを調べてくれませんか」

現場では次から次へと難題が降りかかります。

私の時代は仮に現場で困った事があっても、プロの設計士が「これはこういうものですよ、多くの方がこうします」 とやると、お客さんも「じゃぁ、それでいいです」とあっさり決まったものです。

営業職だった私も、折衝の途中に窮地に陥ることが何回もありましたが、涼しい顔でうまく流した経験は数え切れません。

それもこれも時代の違いです。

今はこの種のやり方が全く通用しなくなっているので、営業は営業で大変なのですが、契約した後の打ち合わせが輪をかけて大変で、時間がかかってしまう現象につながっています。

見事に捌いた女性インテリアコーディネー Kさん

40代後半のベテラン女性インテリアコーディネーターがいます。

彼女とお客さんが仕様の打合せをリモートで行った動画を、研修素材として私はもらいました。

お客さんは、もちろんこのことを承知の上です。

その動画を見た上で設計士を集め、この折衝のどこに問題があったのか、あるいはその逆に良かったところはなんなんだろうか、という分析を行ったのです。

リモートの手際が素晴らしい

結論から言うとKさんは実にさばき方が素晴らしく、話をスピーディーにまとめてきました。

それを支えていたのがリモートの手際の良さです。

左と右と二画面を分け、左側に図面を映し右側に資料を映し出す方式で話を進めます。

例えば、コンセントの位置を決めるときに、こんなやり取りがありました。

Kさん「テレビは壁掛けにしますか?それとも普通に台に置きますか?それによってコンセントの位置をどうするかに影響が出るんですよね」
お客さん「うーん、悩みますね・・・壁付けもいいんですけどそこまでまだ考えていません」

打ち合わせが伸びる原因の一つはこれでしょう。

こちら側が何かを提案しても、お客さんがその場で即決できないのです。

ましてやこれがリモートになってしまうと、相手の表情もよくわかりませんので、最終的にこんな会話が交わされます。

「テレビのコンセントですけども、今は決められないので次回までの宿題させてもらっていいですか」

このように一カ所一カ所は大したことないのですが、すべてが後回しになっていき、折衝の長時間化を招きます。

ところがこのKさんはこの時、右の画面に壁掛け式のテレビの場合のコンセントの位置と台に置いた場合のコンセントの位置を実際に配置した現場の写真を、二つ並べて説明しました。

それに加えて両方の利点と欠点を淡々と説明したのです。

そして、最後の決めゼリフはこれ。

「私のこれまでのお客さんですが、やはり壁の直付けが結構多いですよ。皆さんの評判を聞くと掃除がしやすいっていうんですよね」

これを聞いたお客さんは「そうですか・・・ では、壁掛けにします」と決めたのです。

彼女がお客さんをうまく誘導した結果でしょう。

ところが、だらだらと打ち合わせが延びるケースでは、このような誘導シーンがあまり見られません。

お客さんと一緒になって悩んでしまうのです。

こんなケースがありました。

設計が煮え切らないのに加えて、お客さんのご両親までもが打ち合わせに参加しており、全く話が前に進まなかったのです。

Kさんの巧みな誘導

この事例だけでなく、Kさんは明らかにお客さんをうまく誘導していたのです。

全部で2時間の設計打ち合わせでしたが、誘導するような場面は無限に出てきました。

見積もりの中に入っている標準的なコンセントの数はどの会社でも決まっていますが、追加工事費を払ってそれを増設するかどうかというのは皆さんが悩むことでしょう。

また2口を3口にしたり、高さをどう設定するかも同じように皆さん悩むはずです。

コンセントの数だけでも一軒家の中には無数にあるわけですから、これを一つ一つのんびりやっていては日が暮れてしまいます。

常識的に考えてここしかないだろうという場所のコンセントは問題ありませんが、家具が入らないと場所を決められないなど、なかなか決めにくいコンセントの場所もあるでしょう。

ところがKさんは、これらのこともお客さんに的確なアドバイスをしながら、ある一定の方向へ導いていくのです。

お客さんの満足度が下がることはない

たまに勘違いされる方がいるのですが、このような形でプロがお客さんを誘導することは悪いことではありません。

「お客さんの判断で好きなだけ悩み抜いてもらうのがサービスです」

こういう意見も一理あると思います。

しかし、お客さんは プロの意見を聞きたがっているのであり、その意見がしっかりとした理論に裏付けされていればそれを選びますし、満足度も高くなります。

これはほかのケースになりますが、同じような設計打ち合わせの録画で、打ち合わせが終わった時にお客さんがこんなことを言いました。

「〇〇さん(設計士)がどんどん提案してくれたので、話が早く進んでよかったですよ。私の友人は打ち合わせに何日もかかって、心底へとへとになったと言ってきましたからね」

誘導してあげて早く打ち合わせから解放することは、このようにお客さんと住宅会社双方にとってのメリットであるケースが圧倒的に多いのです。

ですから、住宅会社は打ち合わせを一刻も早く終わらせる工夫と段取りを、どのように構築するかを真剣に考えなくてはいけません。

まとめ

最近は設計の打合せシーンを見る機会が増えているので、 コラムにするネタも相当増えてきました。

今回は女性設計のKさんでしたが、インテリアコーディネーターのバージョンもありますし、電気の回線だけを担当している人とお客さんの会話のシーンも私はつぶさに見ています。

私の手元にはそうした動画が多数蓄積されていますので、このコラムで本来はあげられればいいのですが、残念ながらそういうわけにはいきません。

今後も今回と同じように、映像の中で繰り広げられたお客さんとの攻防戦を文章でお伝えしていきます。

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森住宅コンサルタント株式会社 森 雅樹

森住宅コンサルタント株式会社 森 雅樹

積水ハウスと超零細工務店での営業経験を積み独立。現在は工務店のコンサルティングや、セミナー、執筆などをメイン業務に活動。現場見学会は企画から携わり、営業マンロープレも自らが設定を考え客役となり実施。国土交通省の認可組織である住活協リフォームにおいては全国加盟店向けに営業アドバイスなどを行う。 twitter・・https://twitter.com/iezukuri21 Instagram・・https://www.instagram.com/iezukuri21/ note・・https://note.com/91008082 youtube・・https://www.youtube.com/user/mo9100/videos

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