ヤマダホームズの住宅とヒュンダイ車のセット販売は売れるのか?

一昨日、ヤマダホームズが韓国ヒュンダイの車を住宅と一緒に販売すると発表しました。車を住宅とセットで売るところまではぎりぎり想定内かもしれませんが、韓国車となると話は別で、SNSには批判的な書き込みが次々と並びました。
ヤマダホームズがヒュンダイを選んだのは、ヒュンダイには日本にディーラー網がなく、ヤマダ電機が売っても競合する組織が無いからだと私は見ています。実際に売れるかどうかは、住宅を買った人へのポイント還元率で決まるはずです。
本記事では、4月半ばにヤマダホームズの住宅展示場で本社の方から聞いた話も交えて、セット販売の狙いと勝算、EVと住宅の相性を解説します。
ヤマダホームズの住宅と車のセット販売に集まったネットの声
私がSNSをいろいろ確認したところ、ヤマダホームズの発表には、悪口のオンパレードと言っていいほどネガティブな意見が出ていました。
「ヤマダホームズがとうとうとち狂ったか」「韓国車を買う人はいないだろう」「家を買うのはわかるが、そのついでに韓国車は普通買わない」「もうヤマダ電機で家電を買うのはやめた」
まあ、こんな感じです(笑)。
日本にはトヨタを筆頭に優秀な自動車会社があるのに、そこへ韓国車というのは理解に苦しむという反応で、私も分からないでもありません。
話はそれますが、私は批判を書き込んでいる人たちを見て、保守的な考え方の方が多いと感じました。
韓国という点でこのような反応になったのでしょうが、私はもう少し冷静に分析する必要があると考えています。
ハウスメーカーのヤマダホームズがヒュンダイ車を選んだ理由
今回ヤマダホームズと組んだ自動車メーカーはヒュンダイです。ヒュンダイは一度日本から撤退しており、再上陸したものの、日本の消費者に簡単に受け入れられるとは私も考えていません。
ヒュンダイには日本で競合するディーラー網がない
私は、ヒュンダイ車が日本でまったく売れていない状態にあることが、ヤマダがヒュンダイを選んだ理由の一つだと考えています。
トヨタや日産は、日本の全国隅々までディーラーなどのサービス網を張り巡らせています。
仮にヤマダ電機がトヨタの車を売ろうとすると、すでにあるディーラーと競合してしまうため、現実には不可能です。
一方のヒュンダイには、そのようなサービス網も、日本のディーラーのような販売部隊もほぼ無いと言っていい状態です。
つまり、ヤマダ電機がヒュンダイの車を直接売っても、日本には競合する組織が無いということになり、これがヒュンダイとヤマダ電機が組んだ大きな理由の一つでしょう。
ネットにはほかの理由もいろいろ書かれていましたが、憶測が多く流れているので、気になる方はご自身で検索して調べてみてください。
住宅のライフサイクルをすべて手掛けたい山田会長の考え
このコラムでも以前紹介しましたが、私は4月半ばに、YouTubeの動画撮影でヤマダホームズの住宅展示場を訪ねました。そのとき本社の方と話した中で、実は車の販売も話題に出ていましたが、私も韓国車になるとは思っていませんでした。

本社の社員の方から直接聞いた話では、ヤマダ電機の会長である山田氏には、住宅を中心に、そのライフサイクルに関わるすべてのことをヤマダグループで手掛けたいという考えがあるそうです。
ヤマダグループは家電はもちろん、新築住宅、リフォーム、住宅ローン、家具など、人が生活するのに必要なものをおおよそすべて手掛けてきましたが、その中に車はありませんでした。
なお、工務店がOB施主と長く付き合う方法は、工務店がOB施主からリフォームを受注する方法で解説しています。
店舗網や保険、住宅ローンまで含めたグループの規模を商談でどう伝えているかは、ヤマダホームズの営業トークで解説しています。
しかも、EVであれば、ヤマダ電機が得意とする太陽光パネルとも相性が抜群なので、山田会長が車の販売を扱いたいと考えるのは簡単に想像がつきます。
そうした考えから、ヤマダはヒュンダイと水面下で話を続けていたのでしょう。
ヒュンダイにとっても、日本でディーラー網を整備する手間が省け、すでに多数の拠点があるヤマダホームズの住宅展示場がそのままディーラーになるわけですから、願ったりかなったりのはずです。
ヤマダホームズのセット販売でヒュンダイ車は売れるのか
ヒュンダイ車が売れるかどうかは、極めて難しい問題です。
ただ、販売手法に何も工夫を加えなければ、ヒュンダイ車が簡単に売れることはないと私は考えています。
たとえば300万円のヒュンダイ車が、ヤマダホームズの家を買うことで150万円で買えるのであれば話は別ですが、現実にはそんなことはありません。
何かしらの割引はあるかもしれませんが、日本車をやめて韓国車に乗り換える人が続出する状況は、私には到底考えられません。
ヤマダポイントで車の購入資金を還元する仕組み
現実的な戦略を考えると、私はポイントと絡めた売り方になると推測しています。
世の中はどんなお店に行ってもポイントで、ヤマダ電機もポイント還元を重要な戦略にしています。
ヤマダ電機の店頭には、来店しただけでポイントが付く受付機があり、お客さんがスマホで操作するとスマホにポイントが入る仕組みです。
今でも、ヤマダホームズの営業マンとアポを取って来場すると、5,000ポイントのヤマダポイントが付くサービスが行われています。来場アポの取り方は、住宅営業のアポ取りと差別化で解説しています。
あくまで私の推測ですが、ヤマダホームズで住宅を買うと、その金額に応じてヒュンダイ車の購入資金に充てられるポイントが還元されるのではないでしょうか。お客さんは、その還元ポイントに手持ちの現金やローンを合わせて車を買う仕組みです。
ヒュンダイの電気自動車をスマートハウスとセットにし、V2Hでつなぐ蓄電池として住宅ローンに組み込む仕組みは、ヤマダホームズの電気自動車販売で解説しています。
還元ポイントが50万円から100万円なら消費者は悩む
問題はポイント還元率です。
3,000万円の住宅を買って、車の購入資金として10万円分のポイントが還元される程度では、ヒュンダイ車を買う人はいないと私は思います。
50万円から100万円程度の還元ポイントが付いて、消費者は初めて悩むでしょう。
かつて日本に進出して撤退という憂き目にあったヒュンダイが、満を持してヤマダホームズと提携したわけですから、それなりの勝算があって勝負をかけてきたと見るべきです。結果がどうなるかはまったくの未知数ですが、私はこれまでになかったこの販売戦略に非常に注目しています。
住宅と車のセット販売で注目されるEVと太陽光パネル
ヒュンダイには日本のメーカーではないという大きな弱みがありますが、その前に、EVそのものがどのような展開を見せるのかも考えておく必要があります。
EVはハイブリッド車に押されて踊り場にある
EVは一時、世界を席巻するのではないかと思われましたが、現実にはハイブリッド車が勢いを盛り返し、今のEVは踊り場の状態にあります。
日本のマスコミは、トヨタをはじめとした日本の自動車メーカーが世界から取り残されたというミスリードをしていますが、私は現実はそうではないと考えています。
しかし、これをもってEVがこのままフェードアウトすることも考えられません。
太陽光パネル付きの一戸建てならセカンドカーのEVが使える
三菱や日産のEV軽自動車が大人気になったのを見ても分かるように、セカンドカーとしてのEVは大変注目されています。特に太陽光パネルが備わった一戸建て住宅では、EVが蓄電池の役目も担うことになり、災害時には極めて大きな役割を果たすでしょう。
また、セカンドカーであれば、1回の運転で100kmも200kmも走ることはありません。そのため、今問題となっている充電スタンドの場所を気にしながら走る必要がなく、自宅の太陽光で作った電気をそのまま車に充電すれば事足ります。
太陽光で発電した電気をV2Hでセカンドカーに送る組み合わせについては、住宅営業が知るべき太陽光とEVで解説しています。
まとめ
ヤマダホームズがヒュンダイ車を住宅とセットで売る試みは、日本に競合するディーラーが無いヒュンダイと、住宅のライフサイクルをすべて手掛けたいヤマダの考えが一致して生まれたものだと私は見ています。ポイント還元でヒュンダイ車も売ろうという試みですが、私が客であればまず買わないでしょう。
それだけに、私は俄然この試みに注目しています。ヤマダホームズがほぼ予定どおりの台数を売れば、ある意味快挙ということになり、ほかのハウスメーカーもこのような形のセット販売に注目するでしょう。
ぜひ本記事のヤマダホームズの事例を参考に、自社の住宅と組み合わせてお客さんに提案できる商品やサービスを考えてみてください。



