子育て世代に選ばれる工務店の提案|防犯と間取りの営業事例

工務店の中では「子育て住宅」も「リビング内階段」も使い古された言葉になっていますが、子育て世代のお客さんにとって、こうした言葉はいまも新鮮です。広島県のコンサル先では、分譲地から小学校までの道のりを動画にして安全性を説明した住宅営業が、土地と建物の両方を受注しました。
本記事では、子育て世代に選ばれるための土地提案と間取り提案の仕方を、私の体験談とコンサル先の事例をもとに解説します。
子育て世代には工務店が使い古した言葉ほど新鮮に聞こえる
「子育て住宅」という言葉や考え方が生まれてから、長い年月がたちました。
あまりにももてはやされたため、工務店の中には、この言葉が頭の中からすでに抜け落ちているケースが多く見られます。
しかし、工務店にとっては使い古された言葉でも、これから新築をする若い世代のお客さんにとっては、ものすごく新鮮なキーワードです。
リビング内階段も同じ位置づけの言葉だと私は考えています。
リビング内階段の発想が出てきたのは30年以上前のことで、当初はきわめて新鮮でした。
当時盛んにアピールしていたミサワホームなどは、リビング内階段を前面に打ち出して営業をかけていたと私は記憶しています。
現在ではリビング内階段が一般化したので、どのハウスメーカーもさほど大きな声で営業しなくなりました。
それでも、新たに家を建てるお客さんにとっては新鮮な言葉です。
住宅会社にとって新鮮でなくても、お客さんにとってはどうなのかを、住宅営業は常に考えて営業活動をすべきです。
子育て世代の土地提案で住宅営業が治安と防犯を説明する
防犯は子育て住宅以前の話ですが、女の子がいる家庭であれば、一戸建てに住むうえでの防犯面には殊のほか関心が高いはずです。私は住宅営業の現役時代、このことに非常に注意しながら活動していました。
5歳の娘がいる家庭との土地探しの体験談
土地を探していたあるお客さんとのやり取りです。
私 「ご希望に沿うような案件を探してきましたが、この土地で極めて注目して欲しい点の一つが、通学路の安全性に加えて治安がいいことが挙げられます」
奥様「治安がいいというのは大事だよね。うちは特に娘がいるので、結婚して家を出て行くまではそのことは気になるわよ」
私が今でもはっきり覚えているのは、このご家庭に当時5歳の女の子がいたことです。
お客さんは、娘さんが1年生に上がると同時に引っ越しをしたいというご希望でした。
私が土地提案の際に治安の話を出したところ、お客さんはものすごく高い関心を示してくれました。
住宅営業には、土地提案の際にこのような形で治安の良し悪しを話題に出してほしいと私は考えています。
女の子がいる家庭であれば、なおさらです。
子育て住宅と聞くと住宅会社はどうしても建物に目が行きますが、土地から購入するお客さんには、その場所と周辺の治安や防犯にも住宅会社は触れるべきです。
土地を持っていないお客さんへの提案の段取りは、住宅営業の土地提案の進め方で解説しています。
広島県の分譲地で通学路を動画にした住宅営業
私のコンサル先であった実例も一つ紹介します。広島県での話ですが、住宅会社が開発した分譲地をお客さんに勧めたある住宅営業が、その分譲地から小学校までの道のりをビデオで撮って資料にしました。
住宅営業はお客さんに説明する際、その動画を再生しながら、通学路がいかに安全かを説明したのです。このプレゼンテーションの気配りがお客さんの心をつかんだようで、住宅営業は土地はもちろん、建物も当然のように決めて受注を取ることができました。
分譲地から学校までの通学路を映像で見せる土地のプレゼンの組み立て方は、住宅営業の土地のプレゼン術で解説しています。
こう話すと大したことのない工夫に聞こえるかもしれませんが、土地紹介のときに治安面や防犯面を説明するのは必須事項だと私は考えます。分譲地での接客と立地の伝え方は、住宅営業の初回接客のコツで解説しています。
治安の説明を「差別」と言った工務店社長への私の考え
昨年、私には少し気になった出来事がありました。
私は土地を紹介するときに治安面や防犯面を伝えるべきだと、コンサル先の住宅営業や経営者にも同じように話しています。
ところが、ある住宅会社の社長が私のこの意見に異を唱えました。
「それは差別じゃないの?あの地域が防犯上どうのこうのとか、そういうこと言うのはどう考えても良くないよ」
普段は温厚な社長が気色ばんで反論してきたので、私はこのときかなり面食らいました。しかしながら、治安の情報は差別ではなく事実です。
「そういうことを言うのはよくないから、私はどうでもいいです」
こう言う人はいないでしょう。住宅会社はプロフェッショナルである以上、治安や防犯を可能な限り調べ上げて、お客さんに話す義務があると私は考えています。
治安の資料をそろえて土地を持たないお客さんの不安に答える手法は、土地なし客への土地提案の事例で解説しています。
子どもがすくすく育つ子育て住宅の提案

お客さんが求める子育て住宅を一言でいえば「子どもがすくすく育つ家」です。ただ、お客さんが住宅営業から聞きたいのは、このような抽象論ではなく具体論です。
家族団らんを考えた間取りとリビング内階段のトーク
家族団らんを重要視するお客さんであれば、家族団らんを考えた間取りがいちばん大事だと私は思います。住宅営業が真っ先に思いつくのはリビング内階段でしょうが、住宅営業が思っている以上に、リビング内階段はお客さんに主張したほうがよい提案です。
住宅会社にとっては大昔から提案し続けてきた階段の取り方の一例でも、お客さんにとっては、リビング内階段という言葉は実に新鮮に聞こえます。
外から帰ってきた子どもがリビングを通り、親と顔を合わせないと出入りができないという、住宅営業が何百回と言ってきたトークをそのままお客さんにぶつけてください。
住宅営業が思う以上に、お客さんは真剣に聞いてくれます。
リビング階段の利点だけでなく欠点まで伝える話し方は、展示場での階段の接客トークで解説しています。
また、2006年あたりから急激に浸透した考え方として、「子供部屋は必要ない」「子供部屋は最低限の機能だけにして、リビングの中で親と会話ができる環境を作る」「リビングに大きなコミュニケーションボードを作る」などがあります。これらの考え方は当時非常にもてはやされ、一旦下火になりましたが、いまだに一定の強い支持があるのも事実です。
勉強したくなる環境をつくるお絵かきボード
子どもの学力を上げたいと思うのは、すべての親の願いでしょう。新築するだけで子どもの勉強の力が簡単に上がるような虫のいい話はありませんが、子どもが前向きに勉強をやりたくなる環境を用意するのは親の役目です。
子どもの学力を決める大きな要因の一つが、幼少期の情操教育だと言われます。
私はこの分野の知見はありませんが、この意見に反対する人はいないと思います。
私の父親は学習塾を経営していたので、私は子どもの教育について普通の人よりは情報があり、目の前でその様子を見てきました。
父親の学習塾では幼児教育も行っていて、父親が子どもたちに字を書かせたり絵を描かせたりしていたことを、私ははっきり覚えています。父親と話した際、字を書いたり絵を描いたりすることが脳を刺激して、頭のいい子になるんだと父親が言っていたこともよく覚えています。
認知度がかなり上がってきたプランとして、リビングに伝言ボードやお絵かきボードを貼り、子どもが自由に絵を描けるようにするプランがあります。私もこのプランには大賛成で、小さなお子さんがいる家庭には強くお勧めします。
丈夫な体をつくる砂場・ロッククライミングの壁・トレーニングルーム
勉強さえできればいい、明るく素直な性格にさえ育てばいい、というものではありません。
丈夫な子に育ってほしいと親が思うのは万国共通です。
新築によって子どもが病気がちになったり体調を崩したりするようではいけませんし、逆に体力をつけて力強い子どもになってほしいという気持ちを親は持っています。
そのため、住宅営業が家の提案に子どもが強くなる工夫を加えれば、お客さんの心を捉えることができます。具体的には、庭に砂場をつくる、室内にロッククライミングの壁を設ける、トレーニングルームをつくる、などです。
この3つは、私がコンサル先の住宅営業に実際によく話させている内容で、お客さんのウケがとてもいい提案です。住宅営業は、ぜひ商談でお客さんにこの話をしてみてください。
まとめ
子育て世代のお客さんには、工務店が使い古したと感じている「子育て住宅」や「リビング内階段」が新鮮に聞こえます。土地から探すお客さんには治安と防犯、通学路の安全を事実として伝え、建物では家族団らん・勉強・丈夫な体という具体的な提案を加えることが、子育て世代に選ばれる住宅営業の提案です。
子どもがすくすく育つ家はすべての親の願いですが、この点にまったく触れないケースが非常に多いことが私は気にかかっていました。住宅会社が子どもの成長を気にかけた提案をしているとお客さんが気づけば、その点だけで競合他社より優位に立てると私は考えています。
ぜひ本記事の土地提案と間取り提案の事例を参考に、次回のプレゼンテーションでお子さんの成長に触れる提案を加えてください。



