断熱材は営業トークになるか|ロックウール社工場視察の体験談

断熱材は営業トークになるか|ロックウール社工場視察の体験談

福島県のロックウール社の製造工場を視察した私の結論は、断熱材の違いが営業トークになるのは「ごく稀だがなることもある」です。ロックウール社の断熱材は建物を解体して廃棄するときに産業廃棄物にならない区分けになっており、環境問題にうるさいお客さんにはドンピシャの営業トークになる可能性があります。

本記事では、工場視察で分かったロックウール社の断熱材の特徴と、環境への配慮を住宅営業のトークに使える場面を解説します。

工務店でおなじみの断熱材ロックウールを作る会社の工場視察

ロックウールは、工務店の関係者であれば誰もが知っている断熱材の名前です。12月18日、19日の2日間、私は福島県にあるロックウール社の製造工場を視察しました。

福島県のロックウール社の製造工場を視察した一行の集合写真

写真の左から2人目が私です。

ロックウールは断熱材を作る会社の名前だった

私が訪ねたのは「ロックウールを作っている〇〇工業」ではなく、「ロックウールを作っているロックウール社」です。

ロックウール社はデンマークに本社を置く会社で、ロックウールの世界シェアはNO1です。

一般にはロックウールが断熱材の名前として通っていますが、実はこの通称は会社の名前だったわけです。

私が会社の方に「無断で使われているわけですかね?」と聞くと、会社の方はウォシュレットを例に出して答えてくれました。

「TOTOさんのウォシュレットと同じです(笑)あれも商品名が一般的に流通していますからね」

価格は国内流通品並みで性能にも魅力がある

私は工場で商品の説明を受け、製造工程も見てきました。視察を終えた私の感想を一言にすると、次のような言葉になります。

「価格は今流通しているロックウールとほぼ変わらないか気持ち安いぐらい。性能の面では日本製に比較して魅力ある部分がそれなりにあった」

製品の性能が良くなければ、世界シェアNO1は取れません。

ロックウール社の断熱材は極めて信頼性が高く、戸建て住宅に使うことに何の問題もないと私は考えています。

製造工程にも魅力的な部分がありましたが、ここに書けないこともいろいろあるので、関心のある方はロックウール社に直接問い合わせてください。

断熱材は住宅営業のトークになるのか

技術系の方は断熱性能や施工のしやすさに目を向けますが、営業畑の私は、その断熱材を使うことが住宅の販売に営業的に寄与するかどうかが気になります。

一般的に考えると、断熱材の良し悪しが住宅営業のトークに大きく寄与することはあまりありません。

もちろん、その断熱材を入れることで家の断熱性が著しく上がるなら話は別です。

しかしC値やQ値などの数字に大きな影響がなく、施工単価もあまり変わらないのであれば、私はその断熱材にほとんど魅力を感じません。

ロックウール社の断熱材で営業トークに使えるのは環境への配慮

断熱材の性能差にはあまり興味がない私ですが、ロックウール社の断熱材には一点だけ気持ちが引かれる部分がありました。それが環境への配慮です。

環境に配慮した住まいづくりのイメージ写真

環境派の本社社長と産業廃棄物にならない区分け

今回の視察にデンマーク本社の社長は来ていませんでしたが、日本総代理店の社長であるA氏が私を案内してくれ、いろいろと話を聞かせてくれました。

私「デンマーク本社の社長はどんな方ですか」

A氏「ものすごくユニークな人間ですが、環境問題にうるさい北欧出身なので、福島に来ても車とかオートバイに乗ろうとしないんですよね」

私「車に乗らずどうやって移動するんですか」

A氏「もちろん通常の移動には車は使いますよ(笑)ただ日本に来ると、自前の自転車に乗ってそのあたりを流すのが好きなんです」

本社社長が環境派である影響だと私は思いますが、A氏からは、ロックウール社のロックウールが建物を壊して廃棄するときに産業廃棄物にならない区分けになっていることも教えてもらいました。私から見た面白い売りのポイントはここです。

環境問題にうるさいお客さんに対しては、ロックウール社の断熱材を使うことで、ドンピシャの営業トークを展開できる可能性があります。私が工務店の経営者であれば、ロックウール社の断熱材を取り入れるかどうかをひとまず検討します。

戸建て住宅への導入はまだ実験段階

ところが現状をA氏に聞いたところ、戸建て住宅への導入はまだ実験段階とのことで、工務店が今希望してもすぐに使うのは難しい状況です。ロックウール社は個別の対応はしてくれると思いますが、その場合は単価が跳ね上がるので、私は現実的ではないと考えています。

ただ、ロックウール社はリフォームを含めて戸建てにも販路を求めていくとのことでしたので、工務店は情報だけは常に取っておくことをおすすめします。

住宅販売で環境問題は営業トークとして受けるか

太陽光発電を載せると電気代が削減されることは周知の事実で、お客さんはイニシャルコストも考えたうえで得になるなら動いてくれます。

お金が安くなれば人は動きますが、「環境にやさしい」というキーワードだけでお客さんが住宅を選ぶことはあるのでしょうか。

稀にはそういう人もいる、というのが私の答えです。

テレビの地上波だけを見ていると、SDGsやCOP28の話が出てくるので、世の中がそうした思想に染まっているかのように一瞬思ってしまいますが、現実にはそんなことはないでしょう。テレビが煽り立てる環境問題に家を建てる人がみんな敏感であれば、建物に使う素材や、壊した後の産業廃棄物としての処理について、お客さんから質問が出るはずです。

しかし実際の住宅営業の現場で、環境に優しいからこの商品を使いたいと言うお客さんや、太陽光を取り入れる理由に真っ先に環境を挙げるお客さんは、ほぼ皆無ではないでしょうか。そう考えると、テレビで流れている情報はおかしいということになります。

環境問題に極めてうるさいお客さんの体験談(住宅展示場)

住宅営業の指導を生業としている私は、営業社員がお客さんを接客する場面に何度も立ち会い、カメラを通しても見てきました。凄まじい数の接客を見てきたなかで、環境問題に極めてうるさいお客さんは一件だけでした。

ホームページに環境の取り組みがないと切り出したご主人

そのお客さんは住宅展示場にフリーで来場し、出迎えた営業マンに、にわかには信じられない言葉を投げかけてきました。

営業「いらっしゃいませ。さあどうぞ・・・」

主人「おたくは良い家を作っていますね。ただ、ホームページをしっかり見てきたのですが、気になるのが環境問題に対する取り組みについて一言も触れてないんですよ」

信じがたい話ですが、これはまぎれもない事実で、私はこの会話をその場で聞いています。初回接客の基本的な進め方は住宅営業の初回接客のコツで解説しています。

30分近く続いた環境への追及

1時間ほどの滞在のなかで、営業マンは肝心の家の話もしましたが、私の感覚では30分近く、環境に対するご主人の追及が途切れることなく続きました。

ご主人は、自分が快適に住めることはもちろん、自宅が環境破壊につながる状態を許せないという一貫した態度でした。

ここまで来ると個人の思想信条や生き方に直結するので、営業マンがいくらうまいトークを繰り出しても通用しないでしょう。

結果的にこのお客さんとはこれっきりで、二度と縁はありませんでした。もしこの住宅会社が環境にうるさく、ホームページでもそこを主張していれば、契約できた可能性は十分にあったと私は思います。

私なら契約したくないが環境への配慮はマイナスにならない

ただし私が営業であれば、このお客さんとは契約したくありません。契約してから引渡しまで、おそらくいろいろなトラブルに見舞われると私は考えるからです。

そうした問題を横に置けば、住宅会社が環境に配慮していることがマイナスになることはありません。「弊社は非常に環境に配慮した住宅会社です」とアピールしている住宅会社を、マイナスに捉えて批判するお客さんは、まずいないと考えられるからです。

まとめ

断熱材の違いが住宅営業のトークになるのかという問いに対する私の結論は、「ごく稀だがなることもある」です。ロックウール社の断熱材は戸建て住宅に使って問題のない製品ですが、現状では一般の流通ルートができていないので、工務店への納入はかなり特殊な特別扱いになるかと思います。

ロックウール社の断熱材の営業トークとしての売りは、解体時に産業廃棄物にならない区分けという環境への配慮で、環境問題に極めてうるさいお客さんにはドンピシャの営業トークになり得ます。環境問題に関心のある工務店であれば、一考の余地があります。

ぜひ本記事の工場視察と住宅展示場での体験談を参考に、自社の断熱材と環境への取り組みを営業トークに使えるかどうかを検討してください。

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