住宅営業のカウンタートーク|積水ハウスに勝った女性営業の準備3つ

住宅営業のカウンタートーク|積水ハウスに勝った女性営業の準備3つ

積水ハウスの営業から「これからはメーターモジュールの時代です」と聞いたお客さんは、「尺モジュールは古いのか」と考え始めます。住宅営業が何も言い返さなければ、お客さんはその誤解を抱えたまま他社に決めてしまいかねません。

地元密着の住宅会社に勤めるC子さんは、積水ハウスのホームページと、負けた案件で入手した図面や資金計画書を読み込みました。そのうえで、尺モジュールとメーターモジュールの8帖に家具を並べた比較資料をつくって反論し、積水ハウスとの一騎打ちで契約を取りました。

本記事では、C子さんの事例をもとに、住宅営業がカウンタートークを準備する方法と、実際に使ったトークを解説します。

住宅営業のカウンタートークとは何か

カウンタートークは、競合の住宅会社に何か言われたときに、それに対して反論することを指す住宅営業の用語です。

ボクシングでいうカウンターパンチにあたり、ボクシングの世界でも営業の世界でも、カウンターは重要な攻撃手法です。

住宅営業が競合に言われっぱなしでいると、いつまでたっても日の目を見ません。

言い返すところは、はっきり言い返すべきです。

私は以前、次のような指導をする上司の下についたことがあります。

「相手は関係ない!意識するな!」

私は当時からこの指導に反対でした。

住宅営業が主張すべき点を主張しないまま商談を進めると、お客さんは競合の説明を誤解したまま受け取ります。

その結果、お客さんが私たちの会社から手を引いてしまいかねないからです。

積水ハウスと競合した住宅営業C子さんのカウンタートーク準備

積水ハウスと一騎打ちになり、最終的に契約を取った女性営業の話をします。

仮にC子さんとしますが、C子さんは現在30代半ばで、住宅営業のキャリアは5年ほどです。

C子さんはもともと不動産営業をしていて、勤め先に新築部門ができたことに伴って異動しました。

競合の住宅会社を研究して対応すること自体は、特殊なことではありません。

C子さんもその基本どおりに積水ハウスを研究しましたが、研究の深さが違いました。

C子さんの準備は、ホームページの研究、競合資料の読み込み、反論用の資料づくりの3つです。

トップページで強調している内容から相手のトークを読む

C子さんは、競合するたびに相手の会社のホームページを読み込みます。

構造はもちろん、トップページの目立つ部分に何を持ってきているのかも確認しますし、普通の人なら見ないようなページ構成の深い部分まで、ほぼすべて目を通したそうです。

そうしているうちに、C子さんは競合する会社の構造やアフターサービスに、あっという間に詳しくなりました。

トップページで強く謳っている内容は、相手の担当営業もお客さんにアピールしている可能性が高いと推測できます。

たとえば積水ハウスが耐震性を強調しているとします。

その場合、積水ハウスの営業は、自社の耐震性がいかに優れているかを、あらゆる言葉を使ってお客さんに伝えていると考えられます。

そこでC子さんは、自社の説明を見直します。

耐震性の説明が「耐震等級3です」というありきたりの言葉で終わっていないか、耐震等級3を取らずに「耐震等級3相当」という言葉で説明していないか、と考えていきます。

自社のカウンタートークでは相手にかなわないと思ったら、C子さんは自分なりの応酬話法を考え、パソコンに打ち込んでいきます。

積水ハウスが耐震性を強調しているのであれば、C子さんは、自社の耐震性がいかに高く信頼できるかを説明するプレゼン資料を、何日もかけて作り込みます。私はその資料を実際に見ましたが、なかなかお目にかからないほど詳しく調べ上げたものでした。

負けた2件で積水ハウスの提出資料をコピーさせてもらう

C子さんは入社してから、それまでに2回だけ積水ハウスと競合し、残念ながら2回とも負けています。しかし、C子さんは負けた後にお客さんに頼み込み、積水ハウスが提出した図面や資金計画書などの資料を、すべてコピーさせてもらおうとしました。

一人のお客さんには断られましたが、もう一人のお客さんは次のように言ってくれたそうです。

「ここまでよくしてもらったから、コピーしてもいいわよ」

C子さんはこうして、相手の資料をほぼ完璧にそろえました。そのうえで、私が以前のコラムで書いた内容とほぼ同じことを実行しました。

競合の図面や資金計画書を手に入れて上回る資料を作る進め方は、競合の資金計画書を上回る工務店の事例で解説しています。

尺モジュールで積水ハウスのメーターモジュールに反論したトーク

積水ハウスはメーターモジュールを採用しています。

積水ハウスの営業は、メーターモジュールの良さをアピールし、時代はメーターモジュールだと自信を持って太鼓判を押します。

それを聞いたお客さんが「尺モジュールは古いのか。これからはメーターモジュールの時代だよな」と考えるのも頷けます。

C子さんはこの流れを想定していました。メーターモジュールの欠点と尺モジュールの利点を徹底的に調べ上げ、カウンタートークにまとめてお客さんにぶつけました。

尺とメーターの基準寸法の違いと競合時の切り返しは、住宅営業のモジュールの話し方で解説しています。

「日本中の住宅がメーターモジュールではない」と切り出した会話

私はC子さんから、実際にあった会話を聞きました。

C子さん「積水ハウスさんはメーターモジュールですよね。メーターモジュールのメリットもいろいろありますが、メーターモジュールが本当に時代の趨勢であれば、日本中の住宅がメーターモジュールになってないとおかしいです」

お客さん「言われてみればそうですよね。ただ、メーターモジュールだと、部屋が一回り大きくなって圧迫感もなくなるし、日常の生活全体が何とも言えない余裕が出ます、と積水ハウスの営業さんは力説していましたよ」

8帖の洋室に家具を並べて比べた資料

C子さんは、積水ハウスとの競合で実際に使った資料も見せてくれました。

その中の一つは、尺モジュールの8帖の洋室とメーターモジュールの8帖の洋室を並べたものです。

どちらの部屋にもベッドや勉強机などの家具を配置してありました。

尺モジュールの8帖には、家具がすっきり収まります。

一方、メーターモジュールの8帖では、中途半端に余ったり5cmほど足りなかったりして、家具を上手く配置できません。

そういう説明材料でした。

私は資料を見て「あれ?(笑)」と思う部分もありましたが、C子さんがこの資料で説明すると、お客さんは非常に納得したそうです。

尺モジュールの桐タンスを持つお客さんへの一言

C子さんがお客さんの手持ちの家具に触れた、次の一言がどうも効いたようです。

「お手持ちのタンスなどはおそらくはすべて尺モジュールになっているはずです。それらをメーターモジュールの部屋に配置すると、どうしても無理が生じるんですよね」

このお客さんは年齢層が高く、若いころに買いそろえた尺モジュールの桐タンスなどを多数持っていました。

生活に余裕のある方で、30年前に100万円を超えたような桐タンスを何棹(さお)も持っていたそうです。

家を新築するからといって、それらを捨てるという選択肢は、お客さんにはありませんでした。

C子さんの勝因には、こうした条件も重なったと私は思います。

それでも、C子さんがこのような資料を積水ハウスにぶつけていったことに変わりはありません。

商談でお客さんのどなたに話を向けるかは、契約したお客さんへの取材から分かるハウスメーカー営業のトークで解説しています。

大手ハウスメーカーに使える「担当の転勤」のカウンタートーク

小規模な工務店が大手ハウスメーカーと競合したときに、よく聞かれるカウンタートークがあります。意外に効果があるトークです。

「2~3年して担当の営業さんが転勤してしまっては悲しいですよね」

C子さんの勤める会社は完全な地元密着なので、C子さんが退社しない限り担当は変わりません。一方、大手ハウスメーカーには転勤がありますし、住宅部門から外れてまったく違う部署に異動することすらあります。

実際には、転勤の体制は会社によってかなり違います。

積水ハウスは他社と比べると、他県などにいきなり異動になる可能性が低い会社です。

そのため、お客さんが心配するほどのことはありません。

それでも、住宅営業から「大手は転勤があります」と言われると、お客さんはひとまず誰でも納得してしまいます。

転勤トークを含め、工務店が大手と競合したときの営業の進め方は、工務店が大手ハウスメーカーに勝つ武器で解説しています。

資金計画書と会社の信頼性も競合の資料を上回る

C子さんの事例は家具の話を中心に紹介しましたが、私はC子さんからほかにもさまざまな事例を聞きました。

C子さんは、積水ハウスが出す資金計画書やプレゼンテーション資料を徹底的に吟味しました。

そのうえで、自分が出す資料はそれらを質と量の両方で上回る内容にして提案しました。

C子さんがもっとも苦労したのは、会社の信頼性の説明だったそうです。

C子さんは、会社の信頼性を裏付ける資料を全部で20ページほど作り、お客さんに説明しました。

競合と差をつける提案の進め方は、住宅営業のアポ取りのコツで解説しています。

まとめ

住宅営業のカウンタートークは、競合に言われたことへの反論を、資料とトークで事前に用意しておくものです。

C子さんは、積水ハウスのホームページと、負けた案件でコピーさせてもらった資料を読み込みました。

そのうえで、尺モジュールの家具配置資料や、20ページほどの信頼性資料をつくって一騎打ちに勝ちました。

相手が積水ハウスであっても互角に戦えるのが、住宅会社の面白いところです。

ぜひ本記事のC子さんの事例を参考に、次に競合しそうな会社のホームページと資料を読み込み、反論の資料を用意してください。

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