工務店の強みの伝え方|木曽桧で県No.1になったT社の営業事例

工務店の強みの伝え方|木曽桧で県No.1になったT社の営業事例

営業社員や社長が木の話を一方的に続けると、お客さんはもう戻ってこないことがあります。私が20年以上続けているお客さんへの取材でも、住宅会社の売りが分からなかったという声が毎回のように出てきます。

工務店の強みは、一言で言える売りに絞り、聞く気のあるお客さんに正面から伝えると信頼につながります。一代で地元ナンバーワンの工務店を築いたT社は、「貴重な木曽桧をふんだんに使っています」を最大の営業ポイントにしており、T社と契約したお客さん2組はT社をべた褒めしていました。

本記事では、T社の営業戦略と、強みを語りすぎてお客さんを逃した事例をもとに、工務店の強みの打ち出し方を解説します。

本格木造を工務店の強みにしたT社と会長の印象

テレビニュースで見たとおりだったT会長

年末、世の中は自民党のキックバック問題でもちきりになっています。キックバックの金額がかなり多い代議士の一人は、ある有力工務店の会長も務めている方です。

ここではその方をT会長と呼びますが、私はT会長と面識があり、15分程度お話ししたことがあります。

私がT会長にお会いしたのは十年以上前の一度きりで、印象はテレビニュースで見たとおりの方でした。

T会長は思ったことをバンバン話し、「まあ頼むわ!」と明るく笑っていたのが印象的です。

そのT会長がニュースで突然時の人になっていたので、私も驚いた次第です(笑)。

ただ、私はキックバック問題を検証するつもりはありません。

私が取り上げたいのは、T会長が創業して一代で地元ナンバーワンに育てた工務店が、どのような営業戦略と哲学でお客さんをつかんでいるかです。

木の質感あふれる住宅展示場とショールーム

T社は本格木造住宅を前面に打ち出した工務店です。T社は本拠地の県内はもちろん、県外にも幅広く住宅展示場を出しており、一定の知名度を誇っています。

私はT社の展示場を何回も見ていますし、ショールームも見学しました。本格木造住宅を掲げるだけあって、T社の展示場は、木の質感あふれる住宅に住みたい方にとって大変魅力のある展示場です。

日本ハウスHD(旧東日本ハウス)と似た打ち出し方

T社とイメージが重なるハウスメーカーは、日本ハウスHD(旧東日本ハウス)です。日本ハウスHDも本格木造住宅をうたって営業攻勢をかけており、日本ハウスHDの展示場へ行くと誰もが「この会社は木を徹底的にアピールしてくるな」と感じます。

私は20年ほど前、旧東日本ハウス時代の社長から直接お電話をいただき、2年にわたって訪問して社員研修や商品開発などをお手伝いしました。私のイメージとしては、東日本ハウスとT社は非常に似ています。

工務店の強みがお客さんの信頼につながったT社の実例

自社の商品に自信を持つ営業社員

当時、私はT社の方とも交流があり、いろいろな話をしました。

T社には自社の商品にプライドを持つ営業社員が多く、私にはそれがとても印象に残っています。

掛け値なしに、当時の私は心の中で「みんな自信を持っているな……」と感じ、そのことを今でもはっきり覚えています。

私はT社の社内の方からお客さんの満足度調査の話も聞きましたが、結構高めの数字が出ていたと記憶しています。

T社と契約したお客さん2組の評価

数年後、私はT社とは関係のないルートで、T社と契約したお客さん2組にお会いしました。

偶然の可能性は否定できませんが、2組ともT社をべた褒めしていました。

2組のお客さんに共通していたのは、「家は本格木造に限る」という考え方です。

住宅のデザイン性も重要ですが、若い人が好むおしゃれ感と、本格木造を好む方のおしゃれ感の間にはかなりのズレがあります。なので、人によってはT社の住宅が全く趣味に合わないはずです。

それでも、2組のお客さんの話に加えて、T社の営業社員から聞いた話や自信あふれる態度を見ると、T社は確固たるポジションを築いた住宅会社だと私は考えています。

木曽桧を前面に出すT社の正面突破の住宅営業

木曽桧をアピールする本格木造住宅の営業のイメージ

「弊社の住宅は貴重な木曽桧をふんだんに使っています」

T社の住宅営業の最大の営業ポイントを簡単にまとめると、この一言になります。T社の営業社員もデザインや使い勝手、生活スタイルなどは別途主張しているはずですが、最も重視して話すのは木曽桧です。

「木についてはめちゃくちゃ詳しいよ」「材木に対する思い入れは半端ない」と自負する工務店にとって、T社の営業スタイルは、これまでの木へのこだわりが間違っていなかった証拠になります。

強みを語りすぎてお客さんを逃す自己陶酔の落とし穴

私はT社の正面突破の営業スタイルで問題ないと書きましたが、工務店の方に一言だけ釘を刺しておきます。

木造の家が大好きで、材木の話なら2時間でも3時間でも飽きずに付き合ってくれるお客さんであれば、営業社員も全力で応えるべきです。

そうすれば営業社員もお客さんも高い満足感を得られ、契約に結びついていくと私は思います。

木の話を一方的に続ける営業社員や社長

しかし、私が現場でいろいろな営業シーンを見ていると、木に詳しい工務店が大きく失敗する落とし穴があります。

木の話をとうとうと語りながら、営業社員が自己陶酔に陥ってしまうのです。

あなたの会社にこんな営業社員はいませんか。

あなたの上司や社長が当てはまりませんか。

お客さんが積極的に聞く姿勢を見せるなら、営業社員は大いに語ってかまいません。

ところが中には、お客さんがもう辟易(へきえき)しているのに、一方的にしゃべり倒す人がいます。

営業社員がこれをやってしまうと、お客さんはもう戻ってきません。

社長のマシンガントークで商談が1回で終わった建築設計事務所

中国地方とだけお伝えしますが、つい最近こんなケースがありました。

新築を検討し始めたBさんはスーモに行き、住宅会社を3社紹介してもらいました。

紹介された3社のうち、2社はハウスメーカー、1社は地元の建築設計事務所です。

少し変わったデザインや間取りに色気があったBさんは、3社の中にあえて建築設計事務所を入れました。Bさんはハウスメーカー2社との商談を終え、最後の住宅会社として建築設計事務所に足を運びましたが、そこで待っていたのは社長の一方的なマシンガントークでした。

「この人は私たちの言うことを聞いてくれなさそう」

Bさんがこう感じた時点で、すべては終了です。

この〇〇建築設計の社長の対応は、私から見て最低でした。

〇〇建築設計の社長は今でも、なぜ商談が1回だけで終わったのか、その理由を理解していないでしょう。

初回接客での話の進め方は、住宅営業の初回接客のコツで解説しています。

工務店の強みを住宅展示場の外とホームページで示す

私は20年以上にわたってお客さんの声を直接聞いてきましたが、毎回のように出てくる意見があります。

「Hホームさんの売りがなんだかよくわからなかった」

お客さんにこう言われてしまうのは、住宅会社にとって見過ごせない状態です。契約したお客さんへの取材から分かった接客の実例は、ハウスメーカーの営業トーク事例で解説しています。

総合住宅展示場では懸垂幕と掲示板で売りを主張する

住宅展示場を構える住宅会社であれば、懸垂幕や展示場前の掲示板を使って、自社のセールスポイントを主張してください。総合住宅展示場ではお客さんがどのモデルハウスに入ろうか迷うので、その際の指針になるのが各社のモデルハウスの外に掲げた会社のアピールです。

住宅展示場がない住宅会社は、ホームページやSNSを使ってポイントを主張しましょう。お客さんから何の変哲もないつまらない住宅会社だと思われると、それだけで住宅会社選びの選択肢からはじかれることを覚えておいてください。

まとめ

T社は本格木造と木曽桧という強みに絞り、営業社員が自信を持って正面から伝えることで、本格木造を好むお客さんから高い信頼を得ていました。一方で、〇〇建築設計の社長のように強みを一方的に語ると、お客さんは1回の商談で離れていきます。

キックバックの真相は私には知る由もありませんが、T会長が一代で築いた県ナンバーワンの工務店からは、強みを持つことと、その伝え方の両方を学べます。ぜひ本記事のT社の営業戦略と建築設計事務所の失敗例を参考に、自社の売りを一文で言えるか、商談でお客さんの話を聞けているかを見直してください。

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