住宅展示場の接客前に聞くこと|来場動機とYouTube来場の事例

住宅展示場や現場見学会の接客の中身は、説明を始める前に来場動機と家づくりのこだわりを聞いたかどうかで大きく変わります。YouTubeを見て来場するお客さんが大半を占めるAホームやBハウスでは、営業社員が動画のどこに惹かれたかを聞き出してから接客を組み立てています。
本記事では、住宅展示場や現場見学会で接客を始める前に聞く来場動機とこだわりの確認方法を解説します。
住宅展示場の接客は始める前の確認で中身が変わる
私は24年間、住宅営業のコンサルティングを続けてきました。活動の基礎になっているのは私自身の営業体験で、積水ハウスという大看板を背負ったハウスメーカーと、東京都内の超零細な有限会社の工務店で営業をしてきました。
2社の企業規模はまったく違いますが、住宅営業がお客さんを探して接客し、商談に持ち込んで契約する流れはどちらも同じです。そのため、私がコンサル先で伝えている住宅展示場や現場見学会の接客ノウハウは、住宅会社の規模にかかわらず通用します。
住宅展示場や現場見学会でお客さんを迎えるとき、営業社員が気持ちの良い対応をすべきなのはいうまでもありません。
ただ、私はそうした常識的な話は横に置きます。
営業社員には接客を始める前に聞くべきことがあり、その過程を踏むかどうかで後の接客内容が大きく変わるからです。
営業社員が接客前に確認するのは、建てる気と時期、来場前に見た情報、家づくりのこだわりの3項目です。
2つ目の来場前に見た情報の確認については、初回接客でホームページを見たか聞く理由で解説しています。
接客の流れや行きがかりで、確認の前に案内を始めてしまうケースも多々あります。その場合も、営業社員は接客のなるべく初期の段階で3項目を確認してください。
住宅展示場・現場見学会で最初に聞く来場動機
私はコンサル先で、営業社員に次のように指導しています。
「お客さんと初対面でお会いした時には、必ず来場動機やその他のチェック項目も確認しよう」
私が言う来場動機は、お客さんが家を真剣に建てる気があって来たのか、ホームページなどをチェックして興味を持って来たのか、の2点です。
家を建てる気と時期はストレートに聞く
お客さんの中には、いろいろな理由があってすぐにでも契約して家を新築したい人もいれば、2〜3年かけてじっくり考えたい人もいます。
営業社員は、どちらなのかをストレートに聞けば十分で、お客さんの答えによって接客の仕方を変えます。
建築時期などを来場アンケートで先に書いてもらう場合の項目の作り方は、住宅展示場の接客で使う来場アンケートで解説しています。
ホームページ・YouTube・SNSを見て来たかを聞く
ホームページなどを見て来たかどうかも、営業社員が確認すべき大事な項目です。会社のことを何も知らずにたまたま現場見学会に顔を出したお客さんと、ホームページなどでじっくり検討して「この会社なかなかいいな」と思って来たお客さんとでは、雲泥の差があります。
私が「ホームページなど」と言うのは、営業社員にYouTubeやSNSも含めて幅広く探ってほしいからです。
YouTubeを見て来場したお客さんへの聞き方(AホームとBハウスの事例)
住宅系ユーチューバーの動画で来場が多いAホーム
Aホームは規模の大きい住宅会社で、ホームページが充実しているのはもちろん、YouTubeでもタレントを使い経費をかけた宣伝をしています。Aホームの営業社員もお客さんの来場時にはホームページやYouTubeを見たかどうかを確認していますが、Aホームで圧倒的に多いのはYouTubeを見ての来場です。
Aホームにはもう一つ大きな特徴があります。
会社が作成したYouTube動画もそれなりに見られていますが、それより影響力が大きいのは、いわゆる住宅系ユーチューバーの動画です。
複数の住宅系ユーチューバーがAホームを取り上げており、外部の人間なので好き勝手言いますし、内容も確かに面白いということもあるでしょう。
そのため、お客さんが住宅系ユーチューバーの動画を見て来たと答えた場合、営業社員はそれが誰の動画だったかを何とかして聞き出し、同時に動画のどこに惹かれたかをさりげなく聞いてください。お客さんが気に入った部分が分かれば、営業社員はそこをさらに主張すればよく、気に入らなかった部分が分かれば、それを補う接客ができます。
住宅系YouTubeの確認に加えて、スーモなど紹介会社経由で来場したお客さんへの事前準備は、スーモ経由の紹介客への接客で解説しています。
ただし、住宅系ユーチューバーが取り上げるのは、ある程度規模があり、それなりの勢力のある住宅会社に限られます。
自社のYouTube動画が400〜1,000回再生されるBハウス
Bハウスは実在する地元の有力住宅会社で、Aホームほどの規模はありませんが、その地域では名の知れた優良住宅会社です。Bハウスはホームページも含めてYouTubeにもかなり力を入れて発信しており、社長によると、YouTube動画を見て来場するお客さんが大半だそうです。
Bハウスの規模では、一般の住宅系ユーチューバーが動画にすることはありません。
ユーチューバーは再生数稼ぎを目的の一つにしており、小規模な住宅会社ではそれが期待できないからです。
しかしBハウスは、外部に委託せず中身の濃い動画を自社で上げることで、毎回400回から1,000回程度の再生実績を残しています。
そのため、Bハウスの展示場に来たお客さんに話を聞くと、その多くがYouTubeを見たと答えるのです。
AホームとBハウスはどちらも、お客さんがYouTubeを見て好感を持ち、来場した経緯がはっきりしています。両社の営業社員はこの事実を確認すると、YouTubeのどこに気持ちを惹かれたかなど、来場に至った動機を自然に探り出すことに専念します。
接客前に家づくりのこだわりと優先順位を聞く
家づくりのこだわりも大事な確認項目ですが、営業社員がよく確認しないまま接客に入ってしまうケースが多いようです。
自社の強みとお客さんの関心はずれることがある
たとえば、あなたの会社が耐震性をすごく重視し、その技術力にも定評があるとします。
耐震性はもちろんアピールすべき内容ですが、お客さんにとっては耐震性の優先順位が低いかもしれません。
命に関わる問題なので関心がないことはありませんが、それよりもデザイン性やおしゃれ感を重視するお客さんもいます。
「耐震性はもちろん大事ですけども、どの会社でもその辺りは大丈夫ですよね」
お客さんからは、こういう答えがよく返ってきます。
地震が心配なのは当然でも、地元でしっかりやっている住宅会社や大手ハウスメーカーなら耐震性は変わらないだろうと考えるお客さんもいるのです。
実際に、耐震等級3を取っていれば、どこの住宅会社のどんな方法でも、基本的には国のお墨付きがある安心住宅になります。
そのうえで耐震性にこだわって追求してくるお客さんは、数値を全面的にアピールする一条工務店の信者になりやすいとも言えます。
あいまいな返事から優先順位をヒアリングする
初回面談では、営業社員がお客さんにこだわりの優先順位をつけてもらうことが重要です。耐震性とデザインを例に、工務店の営業とお客さんの会話を挙げます。
工務店「家づくりで重視されることは何ですか」
お客様「能登地震の直後だからやっぱり耐震性は心配だけど、デザイン性も家には必要だよね」
工務店「順位をつけるとすればどちらが優先しますか」
お客様「うん難しいね・・・」
お客さんがあいまいな返事をしても、営業社員は会話の中でどちらを重視しているかをヒアリングしていきます。この例のように選択肢が2つなら両方を並行してアピールしても構いませんが、選択肢が4つ、5つと出てきた場合は、営業社員がはっきりと優先順位をつけるべきです。
お客さんが感心した点には根拠を話す
ヒアリングの結果、お客さんがデザイン性を気にしていると分かったら、営業社員は自社のデザイン力の高さをはっきり主張し、その理由も話さなくてはなりません。住宅展示場でよくあるやり取りを挙げます。
お客様「この展示場はなかなかおしゃれですね」
工務店「ありがとうございます。弊社はデザイン性に自信がありますから、お客様のご希望のものができますよ」
ありがちな会話ですが、この返し方ではだめです。
お客様「この展示場はなかなかおしゃれですね」
工務店「ありがとうございます。弊社はデザイン性に非常に自信を持っていますが、それにはちゃんと理由がありまして、クロスの色一つにとってもどのような組み合わせがおしゃれに感じるか、また人の心に安らぎを感じるかなども全部勘案したうえでご提案しています」
たとえば、こんな返し方になります。営業社員は、お客さんが感心したことに対して、その根拠を話してください。
まとめ
住宅展示場や現場見学会の接客は、始める前の確認で中身が変わります。営業社員は、お客さんの建てる気と時期、来場前に見たホームページやYouTube、家づくりのこだわりと優先順位を聞いてから、何を主張するかを決めます。
AホームやBハウスのようにYouTubeから来場するお客さんが多い住宅会社では、営業社員が動画のどこに惹かれたかを聞き出すことで、お客さんが気に入った点を伸ばし、気に入らなかった点を補う接客ができます。
ぜひ本記事の確認項目と会話例を参考に、次に来場するお客さんへの接客を始める前に、来場動機とこだわりを聞いてください。



