あなたが経営する、もしくは勤務する工務店のホームページのレベルはどの程度でしょう。
10年前ならいざ知らず、現在では多くの工務店が一定レベル以上のホームページを持つような時代になりました。
中にはお世辞にも良くできているとは言えないようなホームページを、いまだに使っている工務店も見かけますが、これは正直なところ論外と言わざるを得ないでしょう。
今日のコラムは、ホームページを比較的しっかり作っている工務店で皆さんに、ぜひ読んでいただきたい内容です。
10年前のお客さんと今のお客さんでは大きく違うことがあります。
私もなんとなく変だなと思っていたのですが、住宅会社の経営者や部長たちと話をするうちに、ホームページなどを含めたSNSが大きな影響を与えていることに気付きました。
その理由を詳しく解説していきましょう。
総合展示場来場客 10年前と今の違い
10年前のお客さん
事前にホームページなどを見たりはするものの、基本的には総合住宅展示場にやってきて、意中のハウスメーカーに加えその場でなんとなく気に入った会社の展示場へ来場するのが一般的でした。
例えば積水ハウスを自分の頭の中で第一候補に据えているとすれば、 事前に積水ハウスのホームページを見て、ある程度の情報を仕入れることはその当時もしていました。
その状態で総合住宅展示場に足を運び、積水ハウスは必ず見学をするでしょう。
しかし、積水ハウスの横に建っているミサワホームの外観を見て「ミサワホームの外観もおしゃれだね~」と感じれば、躊躇することなくミサワホームに突入するのです。
そして、時間があれば「もう一軒ぐらいどっかに行くか」となって 全く想定外のメーカーや、住宅総合展示場に来て初めて知った地元の住宅会社などを見学します。
当初は積水ハウスに照準を定めていたものの、それまで名前を聞いたことがない会社にたまたま入場し、腕のいい営業マンに当たった流れでそこで契約してしまうということはよくあった話です。
今のお客さん
ここ数年で動きはがらりと変わったのですが、お客さんは事前にホームページやSNSなどで意中のハウスメーカーをかなり絞り込んで展示場にやってくるようになりました。
10年前であれば5、6社をはしごしたお客さんが、今では2、3社、下手をしたら1社だけピンポイントで見学して、そのままほかのメーカーには目もくれず真っ直ぐ車で走り去る現象が起きています。
名前も聞けば多くの人が知っている、ある大きな住宅会社がありますが、そこは今から5年前の来場数と比較すると、昨年の展示場来場者がおおむね半数に激減しています。
これは衝撃的な数字としてハウスメーカーの人たちには知られていますが、これが現状なのです。
来場数が激減していることはもちろん問題ですが、お客さんの質も大きく変わっていることに注目してください。
何となく遊びがてら流して見学するお客さんが減っているので、来場するお客さんの濃度が高まっているのは間違いありません。
ですから、展示場に来場したからには、かなり真剣度が高いと思って各社の営業マンは接客に当たらなくてはだめなのです。
営業とお客さんで交わされた実際の会話を再現
営業「本日はご予約の上でのご来場ありがとうございます。まず弊社のご説明からしたいのですが・・・」
主人「いや、ホームページなどをほぼほぼ読み込んできましたので 、会社の説明等は必要ありません。逆に私達から色々質問したいのですがよろしいですか?」
会話はかなり要約していますが、これは今までにはなかったパターンです。
お客さんと初対面で、しかもそのハウスメーカーの見学が初めてであれば、営業担当者は会社の説明に始まり構造や断熱などを事細かに説明するのが一般的でした。
しかし、ホームページのレベルが上がったのに加えて、インスタグラムやツイッターなどで住宅会社が積極的に情報を発信しているので、来場する時点でお客さんも研究し尽くしてお腹がいっぱいの状態になっているのです。
お腹がいっぱいになっている状態で、お客さんとしては自分たちが聴きたいことをすぐにでも営業担当者にぶつけて、中身の濃い話をしたいと思っているのに「弊社の構造は在来木造で・・・」とやられてしまっては、スピード感がなさすぎて聞く気力がなくなるのです。
これが今の実態なのですが、このような行き違いや齟齬をなくすためには、どのような対応を営業がすればよいのでしょうか。
「ホームページはかなりご覧になりましたか」
答えはこれになります。
ホームページをどの程度読み込んできたかの確認をしてください。
この質問に対して、隅から隅まで読み込んできたと答えれば、営業は説明する必要はないどころか、説明をすることが商談の妨げになってしまうのです。
このように私が言ってもなかなか聞き入れてもらえないケースが結構あるのですが、これは間違いなく言える営業現場の事実です。
お客さんの気持ちになってみましょう。
皆さんも実感しているはずですが、最近のお客さんの知識レベルは異様なほどに高まっており、いわゆる「プロ施主」と呼ばれるようなレベルに達しています。
営業ではとても追いつかないような知識をさまざまなところから入手して、それを営業にぶつけて試すような行為もごく普通に行われていることを考えれば、ホームページに載ってるようなことをただ単純に話すだけでは、下手をするとお客さんに馬鹿にされかねない と思った方がいいでしょう。
もちろん、お客さんの顔色と空気を読みながらの話です。
基本的なことを聞きたい雰囲気を察すれば、しっかりと説明をしてあげるべきですし、そうすることが営業の務めでもあります。
ただ、私の結論は次の二つに集約されます。
① ホームページやSNSをどの程度読み込んで来たかを確認する
② 割愛して良い説明は何かを確認する
この二つを意識しながら初回面談に臨んでください。
スーモカウンターなどでも説明を受けている
お客さんが自分でホームページやその他の掲示板等の情報を、これでもかと調べてくる上に、スーモカウンターなどから紹介されてやってくる場合は、その担当者からも詳しくメーカーの実情を聞いてくるわけです。
住宅展示場に来た段階では、営業が説明することがほぼなくなっているという現状をご理解ください。
お客さんは自分が疑問に思っていることや要望を、一刻も早く営業にぶつけたいと思っているのです。
ですから、住宅展示場にアポイントをとってやってくると、これまでは展示場をひとまず見学してから着座し、話をスタートするケースが一般的でしたが、来場するなり着座して営業と話をスタートするケースが非常に増えています。
そして、その後展示場をさらりと見るならまだましですが「ありがとうございました。これで帰ります」と展示場の見学すらせずに帰るお客さんもちらほらと現れる始末です。
せっかく来たのだから展示場ぐらい見ていけばいいのでは、と私は思いますが、それだけお客さんの行動形態が激変しているというのが偽りのない事実です。
まとめ
なかなか信じてもらえない読者も多数いるような気がしますが、コンサルティングの現場で直接見聞きした情報をまとめると、このようなことにならざるをえません。
ただ、これはここ数年で顕在化しただけであって、実は大昔から同じような問題はあったのです。
展示場接客においては、営業マンがあれこれと説明するわけですが、内心うるさく思って仕方なく付き合って話を聞いているお客さんも相当存在しました。
お客さんが営業の話を聞きたいのか聞きたくないのか。
これをしっかりと見極め確認しながら接客をすることが、極めて重要なポイントとなるのです。