玄関脇収納の説明は帰り際に|住宅展示場で3〜4分接客するコツ

住宅展示場の玄関脇収納に脚立や傘、長靴まで並べて仕込んでも、来場したお客さんはちらっと見ただけで、リビングやキッチンへ進んでしまいます。住宅営業の接客も、玄関脇収納ではほぼ10秒程度で終わります。
住宅営業が玄関脇収納の説明を来場直後ではなく一通り見学を終えた帰り際に回し、脚立や非常持ち出し袋といった収納物の名前を出して話せば、接客は3〜4分に延びます。
本記事では、住宅展示場や物件案内で玄関脇収納を説明する順番と、話題にする収納物、帰り際の会話例を解説します。
住宅展示場の玄関脇収納が10秒で素通りされる理由
玄関脇に別の収納スペースを設ける玄関脇収納は、ここ10年くらいで広まった発想です。
私もこの発想には大賛成ですが、25年前に提案されていたら受け入れられたかは疑問が残ります。
お客さんから「便利だわ~」「素敵~」と言われる半面、「これは無駄なスペースだからいらないわ」と却下されたかもしれません。
それが今の時代は主流になり、どこの住宅展示場を見ても、ほぼ例外なく玄関脇収納が付いています。
靴が5〜6足だけだった展示場の玄関脇収納
写真は、ある住宅展示場の玄関脇収納です。
この住宅展示場の玄関脇収納は、開設時には靴が5〜6足置いてあるだけの寂しいものでしたが、私が改善を促して写真の状態まで充実させました。
ところが、これだけ工夫した空間でも、実際の接客ではほぼ10秒程度で終わってしまいます。
私としては極めて残念ですが、接客が10秒で終わるのには構造的な問題があります。
玄関を入ってすぐという場所が接客を短くする
住宅展示場に来場するお客さんは、家を見に来ています。
玄関脇収納も家の一部ですが、お客さんは玄関から入ったばかりで、すぐ隣の収納を長々と見学しようという気持ちにはなりません。
住宅展示場に入ったお客さんが最初に見たいのは、リビングやキッチンです。
玄関に入った直後の上がり框や靴箱を使った接客については、住宅展示場の玄関での接客トークで解説しています。
せっかく仕込んだのに接客が10秒では、私もがっくりきました。
それでも多くの接客の場面を見るうちに、玄関脇収納で3〜4分ほど接客している住宅営業もいることに私は気づきました。
10秒では「へ~」で終わりますが、3〜4分あれば、住宅営業は「なるほどね……」と思ってもらえるまで自社の設計力をアピールできます。
3〜4分説明できる住宅展示場の玄関脇収納の案内順
一通り見学した後の帰り際に案内する
3〜4分の接客を可能にした原因は、説明するタイミングにありました。
住宅営業が来場した直後に玄関脇収納を案内しても無駄で、お客さんが一通り見学した後に説明すればいいのです。
簡単な話ですが、順番を変えるだけで、住宅営業は玄関脇収納をしっかり説明できるようになります。
他の部屋の接客中に予告しておく
来場時に玄関脇収納を説明するのが難しければ、住宅営業は他の部屋を案内している最中に、帰り際に見てもらうよう振っておきます。
他の部屋の案内のうち、風呂と脱衣洗面所を素通りさせない接客は、住宅展示場の風呂の接客で解説しています。
「弊社は収納をこのように考え抜いて作る設計力があります。ところで、先ほどはちらっとだけご覧になりました玄関脇収納ですが、あそこにも弊社の収納に対する考えが詰まっていますので、帰り際にぜひご覧ください」
脚立・非常持ち出し袋・傘で伝える玄関脇収納の使い方
住宅営業が玄関脇収納で信頼を得るには、「ここには何をしまうべきか」を具体的な物の名前で話します。主寝室のWICなどで収納の話をするのはどこの住宅会社でもやることですが、玄関脇収納に置く物の話をする住宅会社はほかにありません。
玄関脇収納とあわせて主寝室WICや姿見の見せ方を含む収納の接客は、住宅展示場の収納で差別化する接客事例で解説しています。
賃貸では持っていない脚立の置き場所
冒頭の写真にはアップがないので分かりづらいのですが、玄関脇収納には脚立を置いています。
賃貸マンションに住んでいる人で、脚立を持っている人は少ないと私は考えています。
室内で使うちょっとした踏み台はあっても、賃貸マンションでは脚立を使う場面がないからです。
ところが、一軒家を購入すると、外壁の掃除や樋の掃除で脚立が欲しくなります。お客さんは家を建ててから脚立を買い、今度は置き場所に困ります。
住宅営業は玄関脇収納の前で、この脚立の話をお客さんにしてください。
脚立の話で、住宅営業は他社との差別化を図れます。
防災意識の高まりと非常持ち出し袋
非常持ち出し袋も、私の指示で住宅展示場の玄関脇収納に置いてもらいました。
日本では災害が多発する傾向が顕著になり、国民の防災意識も昔と比べると激変しています。
住宅営業が玄関脇収納を説明するときは、次の一言で十分です。
「非常持ち出し袋をお持ちですか?できれば室内のどこかと、この玄関脇収納に置いてもらうことをお勧めしますよ」
この意見に反対するお客さんはいません。
多くのお客さんが「こういう場所に置くといいかもね」と同調してくれるので、住宅営業にとっては「この会社はレベルが高い」と思ってもらう絶好のチャンスです。
住宅展示場の空間に物を置いて説明に使う考え方は、住宅展示場のディスプレイ活用で解説しています。
傘・長靴・ゴルフバッグの収納
冒頭の写真の奥には、傘が1本かかっています。
傘は傘立てを使うイメージがありますが、実際には吊るして収納するほうが圧倒的に便利です。
水が下に滴り落ちる問題には露受け(つゆうけ)を作って対応せざるを得ませんが、それでも吊るすほうが使い勝手は良いという声が多く聞かれます。
お客さんから反対の声が出ても、住宅営業はそれはそれで受け答えればよく、「傘の収納方法にはこんな考え方もあるんですよ」と言えれば十分です。
写真では見えづらいのですが、玄関脇収納には長靴やゴルフバッグも置いています。
ゴルフをするお客さんは、ゴルフバッグの置き場に頭を悩ませているのではないでしょうか。
賃貸マンションでは空いたスペースや玄関の脇に我慢して置いていたかもしれませんが、一戸建てを建てても置き場所に困るようではいただけません。
小さな子どもがいる家庭には、たいてい長靴がありますが、長靴は普通の靴と一緒に収納されているのが一般的です。
家を建てるのであれば、水で濡れる長靴の置き場と一般の靴の置き場所は離すべきだと私は考えています。
戸で閉め切る靴箱では、雨に濡れた長靴から出る水分がカビの原因になり、大事な革靴にカビが生えるかもしれません。
住宅営業がこうした話を玄関脇収納ですると、お客さんは「この住宅会社は引き出しをいっぱい持っていそうだな」と思います。
帰り際に玄関脇収納で引き留める住宅営業の会話例
玄関脇収納の位置の問題もあり、住宅展示場の接客時間が短くなるのは、やむを得ない構造的な話かもしれません。
お客さんも玄関脇収納は大事だと思いながら、家のメイン部分を見たいので、後回しにしているかもしれません。
それでも、悪いのは住宅営業です。
住宅営業が玄関脇収納の重要性やその理由を、具体的に説明しようとしないからです。
スーツケースの悩みを玄関脇収納につなげる
帰り際の玄関脇収納では、次のような会話が想定されます。
営業「スルーされてしまうことが多いのですが、弊社展示場の玄関脇収納はいろいろと考えて作ってありますので、お帰りの際にもう一度しっかりご覧になってください」
奥様「そうですか。たしかにあれって素敵ですよね」
営業「先ほど2階の主寝室でスーツケースの収納場所に困っているとのお話がありましたが、外を転がすものでもあるので、衛生上の問題からもこの玄関脇収納に置くのがいいかもしれません」
奥様「コロナの問題もあるので、車輪を拭いて部屋に置くのもちょっと抵抗感を感じます」
営業「そうおっしゃる方も多いですよ。それと長靴とか脚立のお話もさせていただきましたが……」
住宅営業は来場時の説明が難しくても、お帰りの際には声をかけて引き留めてください。そのうえで、具体的な収納物の名前を出しながら、玄関脇収納の重要性を説明します。
まとめ
住宅展示場の玄関脇収納は、玄関を入ってすぐという場所のせいで、来場直後に案内しても10秒ほどで素通りされます。住宅営業が他の部屋の案内中に予告し、一通り見学した後の帰り際に説明すれば、3〜4分の接客で設計力を伝えられます。
帰り際の説明では、脚立、非常持ち出し袋、傘、長靴、ゴルフバッグといった収納物の名前を出し、案内中に聞いたお客さんの収納の悩みとつなげて話します。
ぜひ本記事の会話例を参考に、次の来場客の帰り際には、玄関脇収納の前で足を止めてもらってください。



