障碍者同居の来場客に住宅営業は何を聞く?展示場の接客事例

障碍者同居の来場客に住宅営業は何を聞く?展示場の接客事例

住宅展示場で接客を始めて5分ほどたったころ、明るく笑っていた奥さんが「主人が重度の障碍を持っていまして」と切り出しました。接客していた若手営業は「大変ですね……」と返したきり、その先の話に進めませんでした。

障碍者同居のお客さんには、住宅営業が踏み込んで話を聞くのが正しい対応です。

奥さんは新築を考えて住宅展示場に来たうえで、自分から夫の障碍を話しています。

そのため、奥さんは営業がその先に何を話すかを待っていたはずだと私は考えます。

本記事では、つい先日私が見た接客の事例をもとに、障碍者同居のお客さんに聞くべきことと、答えに詰まらないための資料の揃え方を解説します。

障碍者同居のお客さんが住宅展示場に来た日の接客事例

接客5分で「主人が重度の障碍を持っていまして」と切り出された

つい先日、住宅展示場に40代の奥さんが小学生の息子さんを連れて来場しました。

奥さんは明るくケラケラと笑う方で、接客が始まって5分ほどたったときに「主人が重度の障碍を持っていましてね」と話し始めました。

奥さんの話しぶりに暗い感じは一切なく、ご主人の話は普通の会話の延長で出てきただけでした。

「大変ですね」で会話を終えた若手営業

応対した若手営業は、明らかにどう対応してよいのか分からない様子でした。

若手営業は障碍と聞いた瞬間に「あまり聞いてはいけないのかな?」と判断したのかもしれず、そばで見ていた私にも、若手営業が悩んでいるのがすぐに分かりました。

私が見ていたやり取りを要約すると、次のとおりです。

奥様「主人が実は重度の障碍がありましてね」

営業「あっ、そうなんですか」

奥様「椅子に座っているのもつらい感じでね」

営業「大変ですね・・・」

奥様「事故にあいましてね」

営業「そうですか」

若手営業と奥さんの会話は、ここで終わりました。

若手営業の返答は全体に当たらず障らずで、おっかなびっくりとでも言うべき接客です。

営業が気を遣うこと自体は構いませんが、このケースでは違い、奥さんの話をしっかり聞くべきでした。

知識がないならないなりに、若手営業はもっと突っ込んだ話ができたはずで、私は見ていて非常に歯がゆく感じました。

奥さんが自分から話したい場面での聞き方は、奥さん一人の来場客への営業トークで解説しています。

住宅営業が障碍者同居の話に踏み込んで聞くべき理由

障碍者や移動が困難な高齢者がいる世帯は15%~20%

障碍者と同居する家庭が住宅展示場に来るケースはあまり多くありませんが、一定数はあります。

障碍者だけでなく、高齢で家庭内でも歩行器を使わないと生活できない家族と同居するパターンもあります。

私がつい先日聞いた話では、「障碍者+移動困難な高齢者」を含めると全世帯の15%~20%程度が該当するそうです。

この割合を考えると、住宅営業はこうした来場客に対応できる最低限の基礎知識を身に付けておくべきだと私は考えます。

夫の障碍を話し出したのは奥さん自身

私が営業であれば、障碍を持つご主人の話をしっかり聞き込んでいきます。

そもそも、ご主人の障碍の話を切り出したのは奥さんです。

住宅展示場に来場した時点で、奥さんのご家庭に新築の計画があるのは明白です。

新築の意志を持ったうえで家族の話をしているわけですから、奥さんは「夫の障碍について切り出したのだから、何らかの話をしてほしい」と思っていると考えるのが自然です。

営業が突っ込んだ話をしても、奥さんが「なんでそんな立ち入った話をこの営業マンはしてくるのだろう」と思う確率は極めて低いでしょう。もし奥さんが引き気味の反応をしたら、営業はそれ以上聞くのをやめればいいだけの話です。

「椅子に座っているのもつらい」に私ならこう返す

私が営業であれば、奥さんとの会話を例えば次のように進めます。

奥様「主人が実は重度の障碍がありましてね」

私「あっ、そうなんですか」

奥様「椅子に座っているのもつらい感じでね」

私「それはかなり大変ですね。ところで、事故か何かで・・・」

奥様「そうなんですよ。もらい事故なのですが、相当重いけがを負うことになりましてね」

私「そうであれば新築するときにご主人がいかに楽に生活できるか、また家族の方がいかに楽に介護できるかを念頭に置いた家づくりをしなくてはなりませんね」

奥様「そのとおりです。とにかく毎日が大変でね」

私「そのあたりを考慮した家づくりの資料を私が集めたものがありますので、ぜひご覧いただけますか?」

実際の若手営業と私の会話で違うのは、「椅子に座っているのもつらい」という奥さんの言葉への返し方です。

若手営業は相づちで受け止めて終わりましたが、私は奥さんの言葉を、新築でご主人がどう楽に生活でき、家族がどう楽に介護できるかという家づくりの話につなげました。

奥さんが聞きたかったのは、家づくりにつながるこの話だったはずです。

初回の接客でお客さんの話を家づくりの提案に進める流れは、分譲地での住宅営業の初回接客のコツで解説しています。

障碍者同居のお客さんに聞く2つのこと

今の生活で何が不便か

住宅展示場でのやり取りで出た具体的な内容は、奥さんが話した「主人は座っているのも大変」という一言だけでした。

営業が今の生活で不便を強いられていることを尋ねれば、奥さんからは山のように出てくるはずです。

営業はそれらを丹念に聞き、難しいことは承知のうえで、一つ一つに答えていけばいいのです。

もちろん、営業にも分からないことはあります。

「座っているのがやっと」という悩みに対して、営業が当意即妙な答えを即答するのは無理だと思います。

しかし、営業が資料を事前に揃えておけば、そこそこ答えられるようになります。

介護する奥さんと介護されるご主人それぞれの気持ち

今の生活の不便に加えて、営業には奥さんへ次の2つを聞いてほしいと私は考えています。

「介護する奥さんとして大変なことは何ですか?」

「介護されるご主人としては何が大変だと思っているのでしょうかね?」

2つの質問で出てきそうな答えとして、私が考えられるものを立場ごとに挙げます。

立場考えられる大変さ
介護する奥さん体力の負担、介護のための動線、病院に行くために車に乗せること
介護されるご主人奥さんに迷惑をかけているという精神的な負担、車いすで室内を移動するときの邪魔な障害物

営業は介護する側とされる側、双方の立場や気持ちをヒアリングしてください。

車いすの不便に答えるための資料の揃え方

障碍者同居のお客さんに答えるための資料は、検索サイトで集められます。

営業が検索サイトで「車いす 不便 家」と入力すると、膨大な数のサイトが表示されます。

表示されたサイトを丹念にクリックして目を通していけば、営業は情報をいくらでも手に入れられます。

営業は集めた情報を自分でまとめたりコピーしたりし、印刷して紙の資料にするほか、iPadなどに入れて整理しておきましょう。アドバイスのトークに使える材料はいくらでも出てくるので、あとは営業が根気と気力をもって頭に叩き込むかどうかです。

資料が揃っていれば、私の会話例のように「家づくりの資料がありますので、ぜひご覧いただけますか」と申し出ることができます。次回の約束を取り付ける進め方は、住宅営業のアポ取りのコツで解説しています。

まとめ

障碍者同居のお客さんが家族の障碍を自分から話したら、住宅営業は相づちで終わらせず、新築でご主人と家族がどう楽になるかという話に踏み込むべきです。障碍者や移動が困難な高齢者がいる世帯は全世帯の15%~20%程度あると、私は聞いています。

営業が聞くことは、今の生活で何が不便かと、介護する側・される側それぞれの気持ちの2つです。答えるための資料は、営業が検索サイトで集めて整理しておけます。

ぜひ本記事の接客事例と会話例を参考に、障碍者同居のお客さんが来場したときに答えられる資料を、今のうちから揃えてください。

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