紹介営業のコツ|競合負けした客からも紹介をもらう住宅営業の体験談

住宅営業なら誰もが紹介で受注する営業スタイルを目指しますが、実際にはなかなかうまくいきません。
紹介営業のコツは、紹介を口に出して頼むことと、お客さんの周りのすべての人を紹介の対象にしてもらう聞き方です。私は積水ハウス時代にこのやり方で紹介を多くいただき、計画のなかった来場者と1週間後に2400万円の契約を結んだこともあります。
本記事では、紹介依頼の聞き方と現場見学会への誘い方、競合負けしたお客さんとの縁のつなぎ方を、私の体験談をもとに解説します。
住宅営業の紹介営業は口に出して頼むことから始まる
戸建てでもマンションでも、住宅関連の営業として成功するには紹介が欠かせません。住宅営業の誰もが「紹介営業で食っていけないものかな……」と一度は考えます。
私が積水ハウスに新卒で配属されたときの店長は、当時4000人いた営業マンの中で常にトップ10に入る敏腕営業マンで、その受注経路はほぼ紹介でした。
店長のすぐ横にデスクを並べていた私は、「なんで紹介がバンバン入ってくるんだろう?」と不思議でなりませんでした。
ある日、私は店長に「紹介のコツは何ですか?」とストレートに質問しました。店長から返ってきたのは、短い一言でした。
「口に出してお願いしてみろ」
私は当たり前のような意外なような気持ちになりましたが、このアドバイスは私にとって有益でした。言われてみれば、私はそれまでさほど積極的に紹介を頼んでいなかったからです。
スーパー営業マンの言うことなので素直に従うのがよいと判断し、私はとにかく頼みまくりました。その結果、紹介の数にちゃんと表れました。
頼むだけで紹介がポンポン出るわけではありませんが、紹介営業が“口に出してなんぼ”なのは事実です。よほど人徳のある営業マンは別として、若手の住宅営業は試してみる価値があります。
お客さんに「この人なら紹介したい」と思ってもらうための行動は、住宅営業で紹介をもらうコツで解説しています。
紹介営業で「家を建てるお友達はいませんか?」と聞かない住宅営業の聞き方
私も「お友達の中で家を建てる方はいらっしゃいませんか?」という直球で紹介を取ったことは多くあります。
ただ、禁句と言うとオーバーかもしれませんが、私はこの聞き方をほとんどせず、わざと避けた聞き方でうまくいった機会も多くありました。
「家を検討している友達」はすぐに思い浮かばない
住宅営業から「お友達に家を検討している方はいませんかね?」と聞かれて、該当する知り合いをすぐに思い浮かべられる人はまずいません。
聞かれた人が23歳なら年齢的に周りに該当者がいないこともありますが、聞かれた人が35歳でも、すぐには名前が浮かばないものです。
周りに建築計画を持つ人が実際にいたとしても、友人同士で家を建てる話を日ごろから話題にすることはあまりありません。つまり、お客さんの周りに建築予定者がいても、その情報がお客さんの耳に入っていないのです。
「一生家なんか建てないという人っていますか?」と聞く
私はお客さんに次のように聞いていました。
私「あなたの周りで一生家なんか建てないという人っていますか?」
この質問には、ほぼ全員のお客さんが「そんなのはいないよ」と答えます。答えたお客さんの周りにいる友人知人のうち、賃貸に住んでいる人や古い一軒家に住んでいる人は、10年先の話かもしれませんが、いずれ家を建てるために動くということです。
そのうえで私は、「あなたの周りの方々は、すべてが紹介の対象者です」とお客さんに認識してもらい、現場見学会への誘いにつなげていました。
OB施主に紹介をお願いするときに渡す書式は、紹介カードテンプレートで解説しています。
現場見学会にお友達を誘ってもらう紹介の仕掛け
「10年後の参考に」と範囲を広げて誘ってもらう
私はお客さんへ次のように声をかけていました。
私「今度現場見学会を行うのですが、10年後の参考になりますので、ぜひお友達も誘ってください」
お客さんに「家を検討中の知り合い」だけを呼んでもらうのは無理があります。ところが、誘う範囲を「10年後の参考に」まで広げると、お客さんが声をかけられる相手が一気に増えます。
計画のなかった来場者が1週間後に2400万円で契約
実際に、この誘い方で私の現場見学会に来場した方がいました。来場者は次のように話していました。
「今は全く計画なんてないんですよね。でも〇〇から遊びがてら行ってこいと言われたので来ました」
来場者本人が建築計画はないと言っていたので、私も「10年先のご参考に」と軽く対応していました。ただ、私が次の質問をした時点で、商談の流れが変わりました。
私「10年先とのことですが、せっかくですので10年後のために何かお聞きになりたいことはありませんか?」
来場者から「いくら借りられるかっていうのは心配ですよね」と返ってきたので、私がその場で計算したところ、予想以上の金額を借りられることが分かりました。そこからいろいろありましたが、来場者とは結局1週間後に2400万円の契約を結びました。
住宅営業の私と会って具体的な話をしたことで、来場者の家を買う気持ちが一気に高まりました。
もう一つ挙げるなら、実際の建物を見たことも大きいと私は考えています。
家なんかまだいいと思っている人でも、実際の建物を見れば誰でも欲しくなるものです。
競合負けしたお客さんから紹介をもらった体験談(積水ハウス時代)
紹介をくれるのは、契約したお客さんだけではありません。私が他の住宅営業と違ったのは、競合負けしたお客さんとの縁を切らさなかったことです。
上棟した家の前で聞いた「積水ハウスにしておけばよかった」
入社2年目のとき、私はハウスメーカーのS社に競合負けしました。
私の商談はいいところまで行ったのですが、ご主人から「ごめんね森さん。今回はS社で行くことに決めたからさ」と言われて終わりました。
普通の営業なら、ここで縁が切れておしまいです。
このご主人は自宅の敷地内に新築するパターンだったので、建築の過程を毎日ご覧になっていました。S社の家が上棟したころ、私がたまたま現場の前を通りかかると、上棟したての家を見上げるようにご主人が立っていました。
私「お久しぶりです! 積水ハウスの森です! 随分と進みましたね。楽しみでしょう」
ご主人「う~ん、森さんに頼んで積水ハウスにしておけばよかったよ」
私「えっ? どういうことですか?」
その後のやり取りをまとめると、S社が使っている木製のパネルがご主人の想像していたレベルのものではなく、ご主人は「なんだこのべニアみたいなやつは!」とひどくお怒りになっていました。
そのうえで、ご主人は「森さんでやっておけばよかったよ。後悔している」とおっしゃいました。
私は家が完成したらぜひ中を見せてほしいとお願いしてその場を離れ、完成後にご自宅を訪問しました。
S社の悪口を聞いて気づいた「これ以上悪くならない立場」
私がリビングに通されると、ご主人は開口一番こう言いました。
「この家は10年もしたらボロボロになるよ。まぁ、ひどいもんだ。どれだけ利益取ってんだろうね」
細かい内容までは覚えていませんが、私はご主人から、見積もりへの不満やS社の営業マンへの苦情まで、とにかくたくさん聞かされました。
悪口のオンパレードを聞きながら、私は「俺の立場はこれ以上悪くならないわけだ!」と気づきました。
一方で、S社の営業マンはほぼ間違いなく、今後もどんどん評価を落としていきます。
「絶対に森さんを紹介するからさ」と言われた紹介依頼
そこで私は、何気なくご主人に紹介を頼んでみました。
私「お友達で家を考えている方がいれば、積水ハウスでお願いします」
ご主人「いいよ! 絶対に森さんを紹介するからさ! 頼むよ!」
競合負けしたお客さんに「せっかくここまでお手伝いをしたので、家が完成したらぜひ中を見せてくださいよ」と言えれば十分で、ここまでできれば、そのお客さんはもう営業の味方です。
もちろん、競合の住宅会社がぼろを出さずに素晴らしい工事をすれば、それまでです。ただ、競合が下手を打つ可能性は結構あるはずなので、住宅営業はその可能性を追えばよいと私は考えています。
競合に勝ったお客さんから他社の図面や資金計画書を集めて活かす方法は、住宅営業の競合対策のコツで解説しています。
まとめ
紹介営業のコツは、紹介を口に出して頼み、「家を建てるお友達」ではなく「一生家なんか建てない人はいますか」と聞いて、お客さんの周りの人すべてを紹介の対象にしてもらうことです。現場見学会に「10年後の参考に」と誘ってもらえば、計画のなかった人が契約につながることもあります。
競合負けしたお客さんとも縁を切らず、完成した家を見せてもらう約束をしておけば、紹介をもらえる道は残ります。
ぜひ本記事の紹介依頼の聞き方を参考に、次の現場見学会の案内からお客さんにお友達を誘ってもらってください。



