住宅営業は耐震性をどう説明する?トップ営業のトークと社内指示3つ

宮崎でマグニチュード7.1の地震が起き、政府は南海トラフ地震に関する注意情報を出しました。スーパーの棚から水や非常用の食料品が消え、住宅を検討しているお客さんも商談中のお客さんも、住宅の耐震性に敏感にならざるを得ない状況です。
この動きを受けて、全国区の準大手ハウスメーカーは、地震の直後に支店へ耐震性のアピールを全面に出すよう指示しました。受注成績が毎年3番以内のトップ営業Aさんは、自社の耐震性を語る前に、耐震性が住宅会社選びの重要事項だとお客さんに納得してもらうところから商談に入ります。
本記事では、お盆明けにハウスメーカーが打ち出す耐震性のアピールと、住宅営業が耐震性を説明するときの順番を解説します。
南海トラフ地震の注意情報で住宅営業の耐震性アピールが強まる理由
住宅会社、特に大手のハウスメーカーは、大きな地震に敏感な動きを見せます。
世の中の関心が地震に集中したときに、住宅会社がそれに合わせたアピールを打つのは、ある意味当然のことです。
ハウスメーカー各社はもともと耐震性を大きく主張しているので、今回のような出来事があるとその傾向が強まります。
政府の注意情報で水や食料品が棚から消えた
今回の地震では、通常と違い、政府が南海トラフ地震に関する注意情報を出しました。私はこの注意情報を社会を混乱させるだけの情報だと思っていますが、本記事の主旨とは関係ないので横に置きます。
実際に、水や非常用の食料品がスーパーの棚から消える事態が起きました。いつもとは違う社会現象が起きているので、住宅会社もこれまで以上に耐震性をアピールしようと考えています。
9月1日の防災の日で関心がもう一度高まる
お盆が明けると、すぐに9月1日の防災の日を迎えます。この日にはマスコミが一斉に防災意識を高める報道を行い、宮崎での地震や南海トラフ地震を再び特集すると私は見ています。
こうした報道が続くので、住宅を検討している人や商談中の人は、住宅の耐震性に敏感にならざるを得ません。売り手であるハウスメーカーがこの点を強く主張してくるのは、自然な流れです。
地震の報道が続く時期に合わせて耐震性を伝える方法は、地震直後に送る追客DMの時期で解説しています。
ハウスメーカーが住宅営業に出した耐震性アピールの指示3つ
準大手といってよい全国区のあるハウスメーカーは、宮崎での地震後すぐに対応を話し合ったそうです。対応といっても、このハウスメーカーが支店に「耐震性のアピールを全面に出すように」と指示を出しただけですが、このハウスメーカーが耐震性を意識しているのは明白です。
現場の営業から聞いた3つの指示
このハウスメーカーの現場の営業から聞いた話によると、会社からの指示を要約すると次の3点になります。
- 家づくりの中で耐震性はトップ3に入る重要事項だと、お客さんにはっきり伝える
- 耐震ダンパーの重要性と、自社が採用している商品の高い耐震性を伝える
- 初回面談で、お客さんが今回の地震にどの程度の認識を持っているかを把握する
指示の内容を見ると、宮崎で起きた地震に対して、ハウスメーカーの上層部が敏感になっていることが分かります。このハウスメーカーでは、お盆明けの商談で、営業社員がお客さんの地震への認識を聞き込みながら相談を進めることになります。
耐震性に敏感なお客さんには「耐震対策は万全です」と答える
お客さんが耐震に敏感だと分かったときの答え方は簡単で、営業社員は「我が社の耐震対策は万全です」と答えます。そう答えた後に、営業社員はさまざまな資料を見せてお客さんにアピールします。
このハウスメーカーは日頃から念入りにロールプレイングをやっていて、耐震性に関する説明もロープレの重点項目だそうです。
トップ営業Aさんの耐震性トーク(営業社員100人以上の住宅会社)
次は、注文住宅の営業社員が100人以上いる、ある大きな住宅会社の話です。男性営業のAさんは、毎年の受注成績が3番以内に入るトップ営業マンです。
私とAさんはかれこれ10年以上の付き合いで、私はAさんの実際の折衝シーンを何回か見ていますし、Aさんが契約したお客さんの取材も何件も行いました。契約客への取材で分かる商談の進め方は、契約客の取材から見えるハウスメーカー営業のトークで解説しています。

「住宅会社選びで何番目ですか」と重要度を聞く
Aさんが地震についてお客さんにどう話しているかを再現すると、次のような会話になります。
Aさん「地震は皆さん心配だと思いますが、住宅会社決定理由の項目として上から何番目ぐらいの重要度を持ってますか」
客「地震はもちろん怖いんですけども、有名なハウスメーカーであればどこも同じなので、さほど気にすることないかなと思っています」
Aさん「そのようにおっしゃる方が多いのですが、実は大きく違います……」
Aさんは、ほぼこの切り口で商談に入ります。
お客さんが耐震性にこだわっていると分かった場合でも、Aさんのトークの流れは全く同じです。
最後は、耐震性はすごく重要で、自社の耐震性は他社とは違うという話に持っていきます。
この先でAさんは、会社が採用しているダンパーや構造の強靭性を話します。
それでもAさんがいちばん力を入れて伝えるのは、「会社の方針として耐震性を極めて重要と捉えている」という点です。
お客さんが耐震性をさほど重視していなくても、相談を重ねるうちに耐震性が大きな判断材料だと説明して納得してもらう進め方で、ヘーベルハウスと同じ発想です。
住宅会社を決めるポイントを初回面談でお客さんに伝える話し方は、住宅営業トークの定番3つで解説しています。
他社の説明の濃さは自分の半分以下になる
Aさんは、この進め方について私にこんな話をしてくれました。
「私が耐震性について話すところを何回か見てもらった記憶がありますが、おそらくはそこまで真剣かつ熱心にお客さんに耐震性の話をするメーカーってないと思うんですよ。ですから、お客さんが私の話を聞いた後に他社に行ったとしても、他のメーカーの耐震性に関する話の濃さは、私の半分以下しかありません。となると、私の信頼性が相対的に上がるわけです」
耐震性の説明で住宅営業が守る順番
Aさんの手法は、たまたま地震の話をしているだけで、どんな項目でも同じように通用すると私は考えています。
住宅営業がまずやるべきことは、耐震性を住宅会社選びの重要事項の1つとして考えるべきだと、お客さんを説得することです。
そのうえで営業社員は、自社の耐震性が優れていることに加え、会社全体でそれを重要視していることも話します。
地震以外の関心事にこの手法を当てはめた例として、黄砂の影響を受けやすい地域での話し方は、住宅営業のPM2.5対策トークで解説しています。
住宅営業の失敗例として多いのは、お客さんの心をつかまないまま耐震性の重要さを力説してしまうケースで、これは単なる自己満足です。お客さんが耐震性を重要だと受け止めていることを確かめてから、営業社員は自社の先進性をアピールします。
初回面談で耐震性の重要度を質問する
この順番を自分の商談に取り入れるなら、初回面談でAさんと同じように「住宅会社選びで上から何番目ぐらいですか」と聞くところから始めます。初回面談全体の進め方は、住宅営業の初回接客のコツで解説しています。
お盆期間中の住宅展示場イベントと小さな会社の工夫
お盆期間中の住宅展示場のイベントデータは、私がこれから集めて、まとまり次第このコラムで紹介する予定です。ただ、住宅展示場のイベントはどこもマンネリで、子供だましが多いのが現状です。
住宅会社各社は知恵を絞っていますし、展示場運営会社も存続をかけて必死にネタを探しています。
しかし今は、リアルの住宅展示場だけでなく、バーチャルの世界でもいろいろなことができる時代になりました。
小さな会社でも、工夫次第で大会社を負かすことができます。
工務店が耐震補強相談会をきっかけにお客さんの話を聞き続け、長く工事を任された例は、信頼される工務店の条件で解説しています。
まとめ
南海トラフ地震の注意情報と9月1日の防災の日の報道で、お盆明けのハウスメーカーは耐震性のアピールを強めます。準大手のハウスメーカーは、耐震性をトップ3の重要事項と伝えること、耐震ダンパーと自社商品の耐震性を伝えること、初回面談で地震への認識を把握することの3点を住宅営業に指示しました。
トップ営業のAさんは、耐震性が住宅会社選びの重要事項だとお客さんに納得してもらってから、会社の方針と自社の耐震性を話します。この順番は耐震性に限らず、どの項目の説明にも使えます。
ぜひ本記事のAさんのトークを参考に、次の初回面談でお客さんに耐震性の重要度を聞くところから始めてください。



