ビジネスだけでなく、プライベートであっても人を惹きつけるようなトーク術を身につけたいと全ての人が思っているでしょう。
私は人前で講演したりYouTubeチャンネルも運営したりしているので、この気持ちは人一倍強いものがあります。
皆さんは工務店業になるわけですが、お客さんとの商談を円滑に進めるためにも、気のきいた会話パターンを一つでも多く身につければ明らかに有利になります。
まじめ一本でつき通すのも一つの手段ですが、お客さんから見て「あの社長は面白いよね」「うちの営業担当は話が上手なのよ」と言われる方が商売抜きにしても楽しいと思いませんか。
住宅展示場でも事務所でもいいのですが、つまらない接客ではお客さんの心を惹き付けることはできません。
お笑い芸人ではないので笑わせるのを目的とするわけではないですが、つまらない話方よりは少しでもユニークな話し方を出来る方が良いに決まっていると思いませんか。
人気YouTubrとお笑い芸人の動画は最高の教材
YouTubeは格好の教科書
私自身がYouTubeを運営していることもありますが、さまざまな分野のチャンネルを意図的にチェックして見ています。
こうしてチェックをしているとその中には
「この人は話がうまいな」
「普通にしゃべっているだけなのに何が面白いのだろう」
「さすが人気芸人だけあるな」
といった動画が散見されます。
何も考えずにただ流しているだけで面白いという時もありますが、私はこのような動画に出会うと、自分が面白く感じた原因を追求します。
旅行系人気YouTuberのスーツ君
ご存知の方も多いでしょう。
旅行系で人気1、2を争うのが、なぜかスーツを身に纏って全国を旅行するその名もスーツ君です。
彼の動画は60分、90分といった長尺ものが多いのですが、なぜか独特の会話術を持っており大変興味深いものがあってついつい見てしまうのですよね。
私は彼の番組を見ると、その理由を必ず分析するのと同時に、面白いと思った会話事例はメモして保存しています。
一例をあげましょう。
羽田から台北に向かう飛行機の中の動画なのですが、そのシーンは食事の時に起こりました。
沖縄上空で機内食が出てきたシーンでしたが、その機内食を上から撮影しながら彼は食材の解説を始めたのです。
「今日はエコノミーですけどもなかなか美味しそうですね。左側にあるこれは蒸し米を竹の葉で巻いたものだと思われますが、なんだかくたびれたサラリーマンが持っているしわくちゃな茶色のカバンのような風合いですね・・・」
淡々と喋るスーツ君の個性もあって、この会話がやたらと面白いのですが、彼はこのような会話を次から次へと息吐く暇もなく90分にわたって話しつづけているのです。
普通ならば90分はとても見ていられないのですが、こうした動画が20万回再生、30万回再生と回っているということは、ほかの人も面白いと思うから見ているのでしょう。
なぜこの会話が面白いのだろう➡答えは比喩的表現にあり
これがその理由でしょう。
スーツ君は比喩的表現が抜群にうまいのです。
ここで挙げた事例はいわゆる粽(ちまき)なのですが、茶色っぽく見える四角い粽を見て、くたびれたサラリーマンが持っているカバンに例えたのです。
この会話を聞いた瞬間に私もほかの人も、このシーンを頭に思い描いてつい笑ってしまうわけです。
繰り返しますが我々はお笑い芸人ではないので、お客さんを笑わせるのが目的ではありません。
しかし、比喩表現をする癖を身につけると、話が面白くなるのと同時に分かりやすくなることは間違いありません。
「この部屋は思い切ったクロスを使って冒険してもいいんじゃないですかね。例えば金ラメが入ったようなピカピカのものもいいんじゃないですか、面白いですよ。マツケンサンバの衣装みたいで落ち着かないかもしれないですけどね(笑)」
マツケンサンバのように極めて知名度が高い内容を使うのがポイントですが、このケースでも誰もが舞台上で踊りまくる松平健とその周辺のダンサーを思い浮かべるでしょう。
こんな会話パターンも住宅営業では考えられます。
「弊社の耐震基準は耐震等級3を楽々クリアするぐらい気をつけて設計しています。平行してご検討されている〇〇ホームさんも耐震等級3をクリアされていると思いますが、余裕を持ってクリアしている弊社の方が安心感が出ますよ」
ここまでは一般的な会話ですが、この次に比喩的な表現を持ってきます。
「トヨタのクラウンと他社の軽自動車があるとしましょう。両方とも高速道路で140キロ程度を出すことができます。しかし乗り心地は圧倒的にクラウンが良いですし、エンジンに与えるダメージは軽自動車の方が大きいものがあるでしょう。耐震性も同じで見た目は同じような基準であっても、その基準を大幅に超えている方が住み心地も快適ですし、一度大きな地震があった後のダメージも少ないのです。熊本地震では震度が2連続して起こりましたが、2回目の震度7で命を失った方が多数いらっしゃいましたよね」
前半のトークだけでも構わないのですが、クラウンと軽自動車の走りを比較する例え話を持ち出すのです。
このように比喩的な表現を使った方が、お客さんにとってはより理解しやすくなるのです。
可能ならばここに笑いの要素が少し入ればいいのですが、それはなかなか難しいでしょう。
お笑い芸人の動画を見るべき理由
話のきれる芸人に絞る
だらだらとバカっぱなしをする芸人の動画では意味がありません。
しかし、番組を仕切るMCクラスの話は、営業的にも参考になる部分が多々あるので必見です。
もう引退してしまいましたが、島田紳助の動画は今でも探して私はよく見ています。
もちろん彼と面識はありませんが、間違いなく彼は比喩表現を意図的に使って笑いをとっていました。
10年以上前の動画で、橋下徹元大阪府知事の子沢山をいじっていたのですが、橋本氏の奥さんが「出産のプロ!」と揶揄しながらこんなトークを繰り広げていました。
「あんたの奥さんは出産のプロだから、臨月に近づくにつれてだんだんシャキっと歩くようになるんやろ?ダーウィンの進化論や」
と話しながら、背中を丸めて歩く猿がだんだんと二足歩行になっていく様子を、自分が歩きながら再現したのです。
よくこんな事を考えつくなと思いましたが、とっさに出たものではなく必死になって考えついたネタだと私は思います。
ただ、これも聞いてるお客さんが、ダーウィンの進化論で猿がだんだんと人間に近づいていく絵を知っているからこそ笑えるわけです。
浮気ネタも比喩表現で笑いに変える
こんなシーンも思い出しました。
パネラーの男性芸能人の浮気問題を引き合いに出し、やはり比喩的表現を使って笑いをとっていたのです。
「あんたみたいな芸能人は金を持っているから浮気できるんや。普通のサラリーマンがそんなことできるわけないやろ。頭ハゲ散らかして、月の小遣い3万円や」
これが前フリです。
続いてこのような比喩表現を使いました。
「頭禿げ散らかして月の小遣い3万円ちゅうのは、戦争行く時に細い棒を持って行くようなもんや(笑)」
これまたジェスチャーを交えて会場を沸かせたのです。
ジェスチャーを交えているのでさらに分かりやすくなっていたのですが、これを見た誰もが頭の中で厳しい戦場の中、細い棒を持って突撃して行く、くたびれたお父さんの絵を頭に思い浮かべたのです。
まとめ
今日のコラム内容は雑談の一環かもしれませんが、私はコンサル先で必ずと言ってほどに、ロールプレイングを実施します。
基本的な知識やお客さんとのやり取りを再現するロールプレイングはもちろん行いますが、重要視している項目の一つに雑談ロールプレーイングを据えています。
家の話ばかりではつまらない営業になってしまいます。
ちょっとした雑談をいかに入れるかが重要なのですが、その雑談も多少で良いので面白い話をすることができれば、商談も進めやくすくなるでしょう。
YouTubeを見てほしいと冒頭に書きましたが、私は真剣にこれを皆さんに推奨したいと思います。