構造現場見学会で集客はできる?職人の接客・餅撒き・WEB配信の実例

構造現場見学会は、奥様から「そんなの見てもつまらないわ」と言われてしまうイベントです。集客に苦労した末に「もうやめた……」と構造現場見学会をやめてしまう工務店は、少なくないようです。
それでも構造現場見学会は、口の達者な若手大工2人に接客を任せたり、アンケートを取らないと公言したり、上棟の餅撒きを組み合わせたりすると集客できました。現場まで来ない人には、DMとSNSで集めて60分のWEB見学会で現場を見せる方法もあります。
本記事では、構造現場見学会の集客が難しい理由、私が見てきた成功事例、WEBでの開催方法、住宅営業が構造を現場で説明すべき理由を解説します。
構造現場見学会の集客が工務店で難しい2つの理由
構造現場見学会は、新築現場見学会の対極にあるイベントと言ってよいでしょう。2つの見学会は、開催する時期と見せるものが違います。
| 項目 | 新築現場見学会 | 構造現場見学会 |
|---|---|---|
| 開催時期 | お施主様の家の完成から引き渡しまでの間 | 上棟時 |
| 見せるもの | 完成した家 | 工事途中の構造(骨組み) |
一般論として、住宅会社は構造現場見学会の集客に苦労します。集客が難しい理由は、次の2つです。
「そんなの見てもつまらないわ」という奥様の声
この点は、奥様のおっしゃるとおりです。
骨組みを見ても面白くありません。
お客さんが現場を見に来るからには、完成品を見たいと思うのが当たり前です。
お客さんは構造が重要だと理解できても、面白くないものは面白くないのです。
在来木造工法の構造は見ても違いが分からない
お客さんの「見てもわからない」という声も、おっしゃるとおりとしか言いようがありません。
素人が一目で「これはすごい構造だね」「これはユニークだ」と分かるのは、セキスイハイムなどのユニット工法や一部の工法くらいです。
在来木造工法の構造はあまりに普通です。
そのため、構造現場見学会を開いても、住宅営業はある意味で説明のしようがありません。
もちろん、住宅営業が現場で「これを火打ち(ひうち)金物と言いましてね」「これが根太(ねだ)と呼ばれるものです」と普通に説明しても、お客さんには意外と面白かったりします。
ただ、お客さんがその面白さを実感するのは、現場に来て初めてです。
住宅営業が声かけの段階でその面白さを想像させるのは、かなり難しいことです。
お客さんの職種に合わせて構造の説明の細かさを変える方法は、現場見学会の接客の成功事例と失敗事例で解説しています。
工務店の構造現場見学会で集客できた3つの成功事例
コロナの影響で新規のお客さんが激減しています。
そうした中で、工務店は可能性が少しでもあるイベントなら開催すべきだと私は考えています。
構造現場見学会でも、工夫次第で集客できた例があります。
口の達者な若手大工2人に接客を任せた
ある構造現場見学会では、口の達者な若手大工2人に接客をお願いしました。そのあいだ住宅営業は私服に着替え、手伝いをしているふりをしながら、大工とお客さんの会話を聞いていました。
この構造現場見学会は好評で、集客もそこそこありました。
現場の雰囲気もいつもと違い、とにかく盛り上がりました。
ただ、成功の理由は大工の話のうまさだけではなかったと私は思っています。
契約になったら少額ですがバックマージンを払うと約束していたことも、ある程度は影響していたと思います。
アンケートを取らないと公言した
構造現場見学会でも新築現場見学会でも、お客さんが来場をためらう理由は同じです。
現場は見たいが住宅営業がうっとうしいことと、アンケートを強要されることの2つです。
そこで、この2つの阻害要因を取り払い、アンケートを取らないと最初に公言しました。
結果は大好評でした。
運が良かっただけかもしれませんが、理屈の上でもこの戦略は的を射ていると私は考えています。
この見学会では、最初にアンケートを取らなかったにもかかわらず、お客さんは途中で記入してくれました。
接客中に大工が次のように声をかけたからです。
「土地の情報があればお知らせしますので」
アンケートの取得は、建築業界に限らず頭を悩ませる問題です。
しかし、SNSなどで集客して経費をあまりかけないのであれば、集客に失敗してもたいした痛手にはなりません。
住宅会社は、これまでの常識にとらわれない手法を実行すべきです。
来場のきっかけや家づくりの時期を選択式で聞く書式は、イベントアンケートテンプレートで解説しています。
上棟の餅撒きで平均30人を集めた
餅撒きは、もう定番と言ってもいいイベントです。
ところが、定番と言われながら、実施している工務店はさほど多くありません。
餅撒きは一般的に上棟のお祝いとして行われ、今もお祝いの意味は込められています。
それでも参加者にとっては、完全なイベントです。
私はこの20年間で相当数の餅撒き企画に携わり、平均で30人くらいは集まりました。
もちろん参加者は餅目当てなので、家を建てる予定がある人はほぼ0です。
ところが分母が大きくなると、建築の意思を持った人が意外なほどいます。
ほぼ0でも完全に0になることはまずなく、そこが餅撒きの面白いところです。
餅撒き以外の集客イベントの例は、寄席イベントによる工務店の集客で解説しています。
来場しない人にはWEBの構造現場見学会で見せる
わざわざ現場まで行って家の骨組みを見てもつまらない、と考える人がいても不思議ではありません。そのため私は、家にいながら気楽に現場を見られるWEB見学会こそ、構造現場見学会に向いていると考えています。
私が行っているWEB見学会の60分の流れ
実を言うと、私はすでにWEB見学会を実施しています。
コロナ騒動を受けて始めたのではなく、それ以前から行っていました。
私のWEB見学会は、次の段取りで進めます。
- DMとSNSで集客する
- 開催時間は60分程度
- 前半の30分は住宅営業の担当者や工務が説明する
- 後半の30分は固定カメラにして工事の様子を流す
この方法なら経費はほぼかからず、集客をSNSに絞れば事実上の経費は0円です。
やってみる価値はあります。
ただ、大工さんは嫌がりますがね(笑)。
SNSでの集客の進め方は、ハウスメーカー・工務店のSNS集客で解説しています。
福岡の工務店によるInstagram生配信
4月の頭のことです。
私がInstagramを何気なく見ていたら、福岡の工務店がInstagramの生配信で新築現場見学会を開いていました。
私も会話に参加し、次のようなコメントをどんどん送りながら見ていました。
「素敵っすね!」「いい感じだな~」
私が見た生配信の様子は、次のようなものです。
- 参加人数は42人
- この工務店にとって初めての試み
- 映像はかなりきれい
- 動画配信もスムーズ
- 音声も文句なし
42人の参加者のうち、半分以上はおそらく施主や会社関係者などの身内でしょう。それでもコメントのやり取りを見ていると、外部の新規客らしい人も3〜4組くらいは見ていました。
Instagramの生配信のように現場をオンラインで見せる方法は、YouTubeやInstagramのリモート現場見学会で解説しています。
ITに詳しい人がいない工務店の始め方
「うちにはITに詳しい人間はいないしな……」と言う工務店が本当に多い、というのが私の実感です。
かく言う私も、いわゆるITリテラシーが大変乏しい人間で、横文字が大の苦手です。
野球のストライクとボールを「よし」「だめ」と言い換えようとまでは思いませんが、それくらいの横文字アレルギーです。
そんな私でも、Twitter、note、Instagramにまで挑戦しています。
ITに詳しい人がいない工務店でも大丈夫です。
詳しい人はたいてい周りにいるので、探し出して聞いてみてください。
Twitterでの発信の仕方は、工務店のSNS集客の事例で解説しています。
住宅営業が構造を現場で説明すべき理由(ヘーベルと一条工務店の住宅展示場)
構造現場見学会は、集客の難しいイベントです。
それでも契約を取りたいのなら、住宅営業は構造を現場で説明する機会を設けるべきです。
お客さんが関心のなさそうな様子でも、住宅営業には次のように言い切ってほしいと私は考えています。
「私は必ず構造を現場で見てもらうことにしています」
旭化成のヘーベルが語る「命を守る家」
旭化成と言えばヘーベルです。ヘーベルの住宅展示場に行くと、住宅営業がお客さんに決まって話すことがあります。
「家のもっとも大事な役目は命を守ることです」
ヘーベルの住宅営業は、この言葉を真剣に語ります。
営業上のアピールポイントだという事情はありますが、言葉には説得力があります。
聞いたお客さんは「構造が一番大事なんだな」と思わず納得するというか、洗脳されてしまうのです。
一条工務店の「家は性能」
一条工務店も同じです。
一条工務店は「家は性能」をうたい文句にしていますが、なぜか異様なまでの説得力を持っています。
クライアント先の住宅会社にも、一条工務店の住宅展示場を見学してから来るお客さんが多くいます。
そのお客さんのほぼ全員が「家は性能……家は性能……」と、呪文のようにつぶやいているのです(笑)。
それは冗談ですが、お客さんは一条工務店の説明に納得しているのでしょう。私は「一条工務店の営業力はすごいな」と素直に感心しています。
住宅営業が接客の機会を積んで説明の力を伸ばす方法は、現場見学会を増やす若手営業の育成で解説しています。
まとめ
構造現場見学会は、お客さんにとって「見てもつまらない」「見ても分からない」イベントのため、集客が難しくなります。それでも、若手大工に接客を任せる、アンケートを取らないと公言する、餅撒きで分母を増やすといった工夫で、来場は増やせました。
現場まで足を運ばない人には、DMとSNSで集めるWEB見学会で骨組みを見せられ、経費もほぼかかりません。ヘーベルや一条工務店のように、住宅営業が構造を語る機会を持つことが、契約への近道になります。
ぜひ本記事の成功事例を参考に、次の上棟で構造現場見学会を開いてみてください。



