OB訪問で外壁リフォームを取る|訪問販売に先を越される工務店の事例

OB訪問で外壁リフォームを取る|訪問販売に先を越される工務店の事例

インターホン越しにスーツ姿の若い営業マンが「外壁が傷んでいますよ」と声をかけてきます。ドアを開けると、その場で150万円、200万円の見積もりが出てきて、判を押すように迫られます。

外壁リフォームの訪問販売がここまで強引なのは、営業マンにとって施主と顔を合わせること自体が最大のハードルで、一度会えた場で100万円単位の仕事を取る商売だからです。本来はその家を建てた工務店やハウスメーカーが声をかけるべきなのに、現実にはそうなっていません。

本記事では、外壁リフォームの訪問販売が強引になる理由と、小規模工務店Fの会長が13年ぶりにOB施主を訪ねて外壁塗装の見積もりを頼まれた事例を解説します。

外壁リフォームの訪問販売が「頭おかしい」と言われる理由

外壁リフォーム専門の訪問販売会社のなかには、業績好調で笑いが止まらないほどの収益を上げている会社があります。

もちろん悪徳業者もいますし、良心的な会社であっても、基本的には高い利益率を上げていることは容易に想像できます。

そうした訪問販売会社の営業マンは、飛び込み訪問で仕事を取っています。

飛び込み訪問で外壁リフォームを受注する手法と点検商法の実態は、外壁リフォームの営業方法で解説しています。

インターホン越しに「外壁が傷んでいますよ」とせき立てる

施主の立場になって考えてみてください。

あなたが築15年の家に住んでいて、そろそろ外壁が傷んできたと思っていたところに、突然インターホンが鳴ります。

インターホンの向こうにはビシッとスーツを着た若いお兄ちゃんが立っていて、ドアを開けると「外壁が傷んでいますよ」と話し、早くしないと大変なことになるとせき立てます。

150万円、200万円の見積もりでも判を押す人がいる

営業マンはその場で見積もりを出して契約を迫りますが、出てくるのは5万円、10万円の話ではなく、150万円、200万円といった金額です。

そんな見積もりを出されて即押印するなど、考えられるでしょうか?

ところが、その場で決断して判を押す施主がいるので、訪問販売業が成り立っています。

訪問販売が外壁リフォームを取れるのは、家を建てた工務店が声をかけないから

訪問販売の営業マンが訪ねる家は、どこかの工務店かハウスメーカーが建てた家です。

本来であれば、その家を建てた住宅会社の営業が声をかけ、施主もその会社に外壁リフォームを頼むのが普通ですし、筋ともいえます。

ところが、現実にはそうなっていません。

引き渡しから15年、20年たった家であれば、極めて高い確率でリフォーム需要が発生しています。それどころか、引き渡し後10年未満の家でも、意外なほどリフォームの要望が出るから面白いのです。

築15年以上のOB顧客を資金の余裕の順に並べ、手紙と電話でアポイントを取る進め方は、OB顧客へのリフォーム営業で解説しています。

住宅の外壁リフォームについて施主と話す工務店の担当者

新築した工務店が持っている施主と建物の情報

語弊はありますが、私はあえて、新築した工務店にとってリフォーム受注を取るのは簡単なことだと言い切ります。訪問販売の営業マンがいきなり訪ねてその場で100万円単位の仕事を取ることと比べれば、新築した工務店は施主との間に人間関係も信頼関係もできているからです。

また、新築した工務店は施主の懐具合や家族構成をある程度把握していますし、間取りや建物の構造も分かっています。どこに筋交(すじかい)が入り、どこに火打ち金物(ひうちかなもの)が打たれ、どんなクロスを使い、キッチンはどこのメーカーかといった細かい情報まで、すべて記録に残っています。

訪問販売の営業マンには無い、電話一本で会える関係

もちろん、工務店がふらっと顔を出したからといって、いきなり100万円、200万円のリフォーム受注をバンバン取れるわけではありません。

ただ、インターホンを突破して施主と顔を合わせることが最大のハードルになっている訪問販売の営業マンと比べれば、新築を担当した工務店は、電話やメール一本で「ちょっとお時間取ってくれますか?」と頼めば、施主と簡単に顔を合わせられます。

施主が家の中に招き入れてくれて、お茶やお菓子が出てきても不思議ではありません。

これだけの有利な点がありながら、工務店がリフォーム受注を取れないどころか、外壁リフォームやその他のリフォーム工事を他の会社に取られてしまうのは、どう考えても合点がいかないと思いませんか?

13年ぶりのOB訪問で外壁塗装の見積もりを頼まれた体験談(小規模工務店F)

私が小規模工務店Fの会長の客宅訪問に同行したときの話です。

会長から、建築後しばらく施主の顔を見ていないと聞いた私は、「しばらくぶりのお客さんをピックアップして訪問しましょう」と提案し、4件のお宅を一緒に回りました。

私は「間をあけずに顔を出した方がいいでしょ~」「たまには行ってみるものですよ」くらいの軽いオチを想定していましたが、結果は全く想定外の展開になりました。

ほぼこのままのことが、私の目の前で起こっています。

工務店がOB施主の住宅を訪問する様子

職人気質の会長と4件のOB宅を回った

F工務店は本州にある家族経営の小規模工務店で、内陸部の県にあるため2月の冬はかなり気温が落ち込みます。昼の1時ごろだったと記憶していますが、私と、ある会社の若手社員2人でF工務店に出向きました。

私はそこで会長と初めて顔を合わせましたが、会長は実に陽気で楽しく、風貌も含めていかにも職人という雰囲気を漂わせていました。

後で社員に聞いたところ、会長は中学を出てそのまま大工の道に進んで60年という大ベテランで、曲がったことが大嫌い、腕は周囲でも折り紙付きの評判だそうです。

私はその腕前を見たわけではありませんし、見抜く能力もありませんが、しばらく話すうちに職人気質はすぐに伝わってきました。

挨拶もそこそこに出発し、ある事情から、会長としばらく音沙汰のないOB施主のお宅を突然訪問してみることになりました。

1件目は不在、名刺の裏に一言書いて投函

1件目のお宅は不在でした。

そのまま帰ろうとする会長に、私は「せっかく来たのですから、名刺の裏にその旨を書いて投函していきましょう」と助言しました。

会長も「おお、そうだね」と名刺の裏に訪問した旨を書き込み、ポストに投函しました。

2件目の数寄屋造りの家で「ちょうどいいとこに来たわね」

2件目は、1件目から車で3キロぐらい離れた場所にある、建築後13年たった数寄屋造りの立派なお宅でした。

応対に出たのは上品な感じの奥さんで、物腰も柔らかな方です。

会長と奥さんの会話はこうでした。

会長「ご無沙汰しています。F工務店のFです」

奥様「びっくりした! 久しぶりじゃない! いきなりどうしたの?」

会長「引き渡し後10年以上経過したOBのお宅を回ろうということになりましてね」

奥様「アフターサービスってやつ?」

会長「そういうわけでもないのですけども、まあ皆さんどうしてるかなーという意味もありますし、お宅によってはリフォームをちょうど考えたというケースもたまにあるものですからね」

奥様「そうそう、ちょうどいいとこに来たわね。実は外壁が結構ボロボロになってきたような気がするのよね。これって全部塗り直したらいくらぐらいかかるの?」

会長「あっ!はい!では、ちょっと見積もり出しますね(驚)」

急展開に、会長はかなりびっくりしていました。

私も、あまりにうまい展開になったので内心驚いたのは事実です。

ただ、ここまでスピーディーではないにしても、似たようなケースを私はこれまで相当数見てきました。

OB施主への訪問以外で外壁塗装の顧客を引き付ける方法は、外壁塗装の集客手法で解説しています。

OB施主への訪問は「思い出してもらう」ための地ならし

F工務店のように、工務店が訪問したらいきなり外壁リフォームの話が出るケースは、そうそう起こりません。それでも、顔を出す行為は、工務店の存在を施主の頭の中に刻みつける極めて有効な手段になります。

年末のカレンダー配りでOB施主と顔を合わせ、築18年の施主から改装工事を受注した事例は、カレンダー配りでのリフォーム受注で解説しています。

施主がいざリフォームをやろうと思ったときに、「そういえばF工務店にも電話してみようかな?」と思い出してもらえればいいのです。

OB施主からリフォームを受注する進め方は工務店のリフォーム受注の進め方で解説しています。

まとめ

外壁リフォームの訪問販売が強引なのは、インターホンを突破して会えたその場で、150万円、200万円の仕事を取りにいく商売だからです。

一方で、新築した工務店は施主との信頼関係も建物の記録も持っているのに、声をかけていないために他の会社に仕事を取られています。13年ぶりに訪ねたF工務店の会長のように、OB施主に顔を出すだけで外壁塗装の相談を受けることもあります。

ぜひ本記事のF工務店の事例を参考に、しばらく顔を出していないOB施主のお宅を訪ねてください。

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