街角モデルハウス運営のコツ|季節別キャッチコピーと集客数の実例

街角モデルハウス運営のコツ|季節別キャッチコピーと集客数の実例

街角モデルハウスは土地の選定から始まり、大きな初期費用もかかるので、工務店は思いつきで運営を始めるわけにはいきません。

私が企画を立案したS工務店の街角モデルハウスでは、梅雨・猛暑・厳冬期・花粉の時期ごとにキャッチコピーを変えました。

その結果、S工務店はオープンした6月に44組、1月に18組の名簿を集めています。

S工務店の集客を支えたのは、運営期間を季節で区切り、自社の標準仕様をその季節の悩みに合わせて見せたことです。

本記事では、S工務店の9か月の運営スケジュールと季節ごとのキャッチコピー、自社の仕様を集客に使う見せ方を解説します。

街角モデルハウスの運営期間を季節で区切った工務店の事例

工務店が街角モデルハウスを建てるなら、半年なら半年、1年なら1年をどう運用するかを、ある程度スケジュールしてから取りかかる必要があります。私の感覚では、スケジュールを組むというより、季節を考えると言ったほうが近い作業です。

期間限定で建てるモデルハウスの始め方と効果は、街角モデルハウスの集客事例で解説しています。

私は今から5年前に企画をほぼ立案し、地場のS工務店(仮名)に街角モデルハウスを建ててもらいました。

S工務店は6月上旬にモデルハウスをオープンし、翌年3月中旬まで運営しています。

運営期間はだいたい9か月で、9か月という長さに特に意味はありません。

ただ、始まりを6月、終わりを3月にしたことには意味がありました。

S工務店は9か月の運営期間を5つの時期に分け、そのうち4つの時期でキャッチコピーを打ち出しました。

時期季節の悩みキャッチコピー
6月上旬〜梅雨明け湿気梅雨時でもジメジメしない家をぜひご見学ください
梅雨明け〜9月猛暑真夏なのにエアコン1台で家全体が涼しい展示場
10月〜11月—なし(通常営業)
12月〜2月上旬寒さ40坪の家が暖房ひとつでぽかぽかに(趣旨)
2月中旬〜3月中旬花粉花粉症の方必見!花粉を除去する家(趣旨)

梅雨の6月に工務店が街角モデルハウスで打ち出した湿度の快適さ

梅雨どきに住宅を見学するお客さんの住まい

北海道は違いますが、6月上旬には本州の多くの地域が梅雨に入ります。

梅雨は湿度が高くじめじめするので、一年で最も不快な時期と受け止められています。

この時期に住宅を見学するお客さんは、実生活の中で「また嫌な梅雨が来たね」と間違いなく思っているはずです。

家をこれから買う人や建て替える人が、梅雨の湿気をしのげる高性能な住宅に住んでいる確率は極めて低いといえます。

たとえば少し古めの県営住宅に住んでいるお客さんなら、梅雨には室内がじめじめし、物件によっては押入れの中がカビ臭くなります。

お客さんがやむを得ずエアコンをドライ設定で回し始めるのも、この時期です。

湿度を40〜60%に保つ仕様をキャッチコピーにした

S工務店は、室内の湿度を40%から60%に保つシステムを標準で採用していました。

そのため、S工務店の街角モデルハウスに来たお客さんは、口をそろえて「なんでこんなに快適なの?」と聞きました。

S工務店は湿度を保つこの快適さを、梅雨の集客の有力なキャッチコピーにしています。

「梅雨時でもジメジメしない家をぜひご見学ください」

オープン月に集めた44組の名簿

S工務店は6月初旬の土日にオープンイベントを開き、来場は36組でした。

地場の小規模工務店としては十二分な数字です。

オープンイベントはこの2日間だけで、その後は土日だけ営業マンか事務の女性がモデルハウスに張り付いて営業しました。

オープンイベントを除いた6月の新規来場は8組で、S工務店は6月だけで合わせて44組のお客さんの名簿を得ています。

ただし、オープンと時期が重なったので、「梅雨時でもジメジメしない家」というコンセプトが何組を集めたのかは正確には測れません。

それでも、総合住宅展示場に出店しているハウスメーカーがこの数字を見れば、「けっこう人が来たね~」と言う数字です。

総合住宅展示場は毎月の出店料が100万円を超える場所も珍しくないので、S工務店は極めて安い費用で展示場を維持していたことになります。

オープンイベントを運営するときに気を付けることは、展示場の再来場を生むイベント企画で解説しています。

猛暑と秋の街角モデルハウス運営

「真夏なのにエアコン1台で家全体が涼しい展示場」

梅雨が明けると、次は最高気温が40℃にもなるような酷暑がやってきます。S工務店は梅雨明けから9月いっぱいまでの2か月ほど、梅雨どきとは違う次のキャッチフレーズで集客しました。

「真夏なのにエアコン1台で家全体が涼しい展示場」

質の悪い住宅なら別ですが、一定の技術を持つ住宅会社がちゃんとした家をつくれば、エアコン1台で家全体を涼しくするのは難しくありません。

S工務店の街角モデルハウスも、建坪が40坪近くありながら、たった1台のエアコンで全館を冷やしていました。

S工務店は強力な断熱性に加えて、社長の工夫で、1台のエアコンから出る冷気を全館に回す一種のエアサイクルのシステムを組んでいたのです。

私も現場に行きましたが、驚くほどよくできた家で、本当に涼しく感じました。しかも涼しさの原理が住宅の素人でも一目で分かる仕組みになっていて、ものすごい説得力がありました。

10月〜11月はキャッチコピーを決められなかった

10月から11月は爽やかな秋の季節です。

残念ながら私はこの時期のキャッチフレーズを何も思い浮かばず(笑)、S工務店は特にイベントもせずに通常の営業を続けました。

季節の打ち出しが無い時期にモデルハウスへ人を呼ぶイベントの例は、寄席イベントによる工務店の集客で解説しています。

厳冬期と花粉の時期のモデルハウス集客

「40坪の家が暖房ひとつでぽかぽかに」で1月に18組

12月から2月上旬は厳冬期です。

12月の頭はまださほどでもありませんが、正月が近づき、1月の中旬、下旬となるにつれてどんどん寒くなります。

この時期のキャッチフレーズは、私も細かい文言までは覚えていませんが、ニュアンスとしては次のような内容でした。

「40坪の家が暖房ひとつでぽかぽかに」

S工務店は年末年始と、最も寒いといわれる1月末あたりに、この文言のチラシをまいて集客しました。

1月末に開いたイベントの土日の新規来場は10組で、オープン時のような集客はできなかったものの、地場の工務店としては完全に及第点です。

イベント以外の土日にも全部で8組の来場があり、S工務店は1月だけで18組の名簿を手に入れました。

寒い時期の来場客に家の暖かさを体感してもらう声かけは、モデルハウス接客の呼び込みトークで解説しています。

売却前の1か月は「花粉を除去する家」で15組

モデルハウスの売却が3月下旬と決まっていたので、2月中旬から3月中旬は残り1か月の勝負でした。S工務店は花粉をテーマにし、私も細かい表現までは覚えていませんが、だいたい次のようなキャッチフレーズで攻めました。

「花粉症の方必見!花粉を除去する家」

S工務店はこの1か月の間に1度だけ土日を使ってイベントを実施し、新規の集客は15組でした。

花粉症を含めたアレルギー症状を持つ人は、おびただしい数にのぼります。

私も重度のスギアレルギーなので、このようなキャッチフレーズを見れば、展示場に足を運ぶ可能性は十分にあります。

地場の工務店ではなくハウスメーカーで建てると決めているお客さんが「とりあえずこのイベントには行ってみようかな」と考えても、不思議ではありません。

自社の標準仕様を街角モデルハウスの集客に使う見せ方

S工務店の仕様は特別なものではなかった

S工務店は、何か特別な仕様を持っている工務店ではありません。

S工務店の仕様には通常のレベルより高い部分もありますが、多くの工務店が標準施工で行っている内容がほとんどだと私は思います。

S工務店で特殊といえるのは梅雨どきに打ち出した湿度のシステムくらいで、こちらは100万円を超える機器を導入しています。

大事なのは見せ方です。

断熱のしっかりした家であれば、最小限の暖房機器でも家の中はかなり暖まります。

「うちの家だってそんな感じだよ」という工務店こそ、普段当たり前に行っていることを大きな声でアピールするべきで、これが住宅営業のコツといってもいいと私は考えています。

来場客を接客する経験で工務店の営業力が上がる流れは、街角モデルハウスで接客力が上がった事例で解説しています。

花粉対策も、多くの工務店で十分に提案できます。工務店は、室内の換気システムがきちんと働くことに加えて、玄関でコートを脱いで掛ける場所をつくるなど、生活スタイルを考えた間取りを示して花粉を防ぐ提案をします。

まとめ

S工務店の街角モデルハウスは、6月上旬から翌年3月中旬までの運営期間を季節で区切り、梅雨には湿度、猛暑には冷房、厳冬期には暖房、花粉の時期には花粉対策を打ち出しました。その結果、S工務店はオープン月の6月に44組、1月に18組、売却前の1か月に15組の名簿を集めています。

S工務店が打ち出した仕様の多くは、特別なものではありません。普段行っていることを、その季節の来場者が感じている不快に合わせて大きな声で見せるやり方は、多くの工務店でも十分に通用すると私は思います。

ぜひ本記事の季節ごとのキャッチコピーの実例を参考に、自社の街角モデルハウスの運営スケジュールを建てる前に組んでください。

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