土地探しの客が気にする近隣トラブル|道路族と分譲地の事例

住宅街の道路で子どもが朝から晩まで大騒ぎをしています。
ボールが庭に飛び込んでガラスが割れても、そばにいる親は注意しません。
道路族の親の特徴は、子どもを注意しないことに加えて、夜には家族どころか友人まで呼んで道路でバーベキューをするなど、地域で共有する道路を自分の敷地のように使うことです。
道路族は、土地から探して新築住宅を建てるお客さんにとって、一生に関わる問題です。私自身も、分譲地を紹介したお客さんの奥さんから「近所に変な人がいたら困りますものね」と言われたことがあります。
本記事では、道路族の親の特徴と、新築住宅の営業が知っておくべき近隣トラブルの事例、土地探しのお客さんへの伝え方を解説します。
道路族とは?住宅営業が知っておきたい定義
Wikipediaで道路族を調べると、次のように解説されています。
道路族とは主に自宅前やその周辺など住宅街の道路において、大騒ぎをしながら遊ぶ子供及びそれを注意しない親のことを指す。騒音やゴミの散乱、器物損壊などにより近隣トラブルとなるケースが生じる。
Wikipediaでも、道路族は基本的に近所の厄介者というニュアンスで紹介されています。
道路族という言葉は日常で頻繁に聞くものではありませんが、私は夕方のニュースで特集されたのを見たことがあります。
住宅街で道路族が大きな問題になっているのは事実だと私は思います。
親が注意しない・夜に騒ぐ|道路族の親の特徴と新築住宅の近隣被害
道路族の親は、子どもを自分の敷地の中で遊ばせるのではなく、地域で共有する財産である道路を独占するように使います。
そのため、道路族は一般的に、道路で暴れ回る無法者という悪い印象で受け止められています。
無法者はさすがに言い過ぎですが、迷惑を被っている近隣住民がそう感じるのも、ある意味当然だと私は思います。
| 道路族の親に見られる行動 | 近隣で起きる被害 |
|---|---|
| 道路で大騒ぎする子どもを注意しない | 朝から晩まで続く騒音 |
| 夜に家族だけでなく友人まで呼び、大声を上げながら道路でバーベキューをする | 夜間の騒音 |
| 子どもに道路でサッカーボールやキャッチボールをさせる | ボールが敷地に入る、場合によってはガラスが割れる |
もちろん、道路族かどうかは程度の問題です。周囲に気をつけながら子どもを遊ばせている親でも、近所に神経質な住人がたまたまいたせいで、厄介者扱いされているケースもあると私は思います。
昭和40年生まれの私も道路族だった?社会の許容度の変化
私は昭和40年生まれで、小学生時代を名古屋市内で過ごしました。
夕方になると、年代の違う小学生の遊び友達が道路に集まり、ボールを使っていろいろな遊びをしていました。
キャッチボールでは大勢で遊べないので、私たちは6~7人が同時に遊べることをしながら、日が暮れるまでボールを投げ合っていました。
記憶にはありませんが、私たちは大声も上げていたのでしょう。
もちろん、私たちの遊びを快く思っていなかった人もいました。
私が住んでいたオンボロアパートの隣の一軒家のおじいちゃんが、腕組みをして、ボールを投げ合う私たちを鬼の形相で見ていたのを覚えています(笑)。
ボール遊びをしていると、どうしてもボールが近所の庭に飛び込むことがあるので、おじいちゃんはそれを見張っていたのだと思います。
そういう意味では、子どもの頃の私も道路族だったかもしれません。
しかし、当時と今とでは社会の許容度がまったく違います。今は公園でのボール投げも禁止、サッカーボールを蹴るのも禁止で、マンションの共有地にまでボール遊び禁止の貼り紙がされている時代です。
「近所に変な人がいたら困る」道路族を気にする土地探しの客
工務店、ハウスメーカー、パワービルダー、設計事務所の仕事は、建物についてお客さんの要望を聞き取り、プランにして提案することです。
お客さんが提案したプランを気に入れば、住宅会社は建築請負契約を結んで工事に取りかかります。
しかし、住宅展示場などに来るお客さんの70%~80%は、土地も合わせて探しているのが実態です。
そのため、建物のプロである住宅営業も、土地を紹介したり、近隣環境の話をお客さんとしたりせざるを得ません。
次の言葉は、私がある奥さんから実際に投げかけられたものです。
「近所に変な人がいたら困りますものね」
当時、私の会社は自社分譲地を扱っていませんでした。
そこで私が、当時あった住宅供給公社の56区画の分譲地をお客さんに紹介したところ、奥さんからこう言われたのです。
分譲地では、購入した土地の周りにどんな住人が来るかを、お客さんはまったく予測できません。
仮に住宅業者が近隣の情報を知っていたとしても、今の時代にそれをぺらぺらと話すわけにはいかないでしょう。
「ご近所さんガチャ」と私が呼ぶリスク
私は勝手に「ご近所さんガチャ」と名付けていますが、土地を買うお客さんは、一生の問題にもかかわらず、このリスクにさらされています。
笑い事では済まされません。
数千万円の借金を負ったうえで、隣にわけの分からない迷惑住民が住んでいたら、お客さんは目の前が真っ暗になります。
賃貸派のお客さんが持ち家の弱点として隣人トラブルを挙げたときの切り返し方は、持ち家か賃貸かで賃貸派に反論する方法で解説しています。
道路族という言葉を知らない住宅営業の問題
このように考えると、新築住宅を担当する住宅営業が道路族という言葉すら知らないのは問題だと私は思います。お客さんが道路族という言葉を知らなければ困りませんが、知っている場合、お客さんは「住宅会社の営業なら当然知っているだろう」と思って接してくる可能性が高いです。
住宅営業が道路族という言葉を知っていれば、近隣にどんな住民が住んでいるかを大事な問題と認識していることが、お客さんに伝わります。
年収を話して隣人が激怒した分譲地のトラブル(北陸の事例)
道路族からは少しそれますが、近隣トラブルの事例として、北陸地方のある社長から聞いた実話を紹介します。この話は又聞きで、その社長の友人が経営する、分譲住宅を得意とする住宅会社で起きたことです。
残り1区画を売るために近隣住民の情報を話した若手営業
その住宅会社の分譲地は全部で10区画ほどあり、販売が順調に進んで、残り1区画だけが余った状態になっていました。
住宅会社としてはラストスパートなので、価格を若干下げ、なんとか売り切ろうと営業マンに発破をかけていたそうです。
その状況で見込み客がつき、見込み客から担当の営業マンに次のような質問が入りました。
見込み客「価格が魅力なのは確かなんだけどもご近所さんとかどんな人が住んでいるの?それを聞いて納得したら、購入してもいいですよ」
入社2年目の若手営業マンは、この質問に対して近隣住民の情報を事細かに伝えてしまいました。見込み客は周りに変な人がいないと判断して区画を購入し、分譲地はめでたく完売しましたが、3ヶ月ほどたって大問題が起きました。
「何ペラペラ話してるんだよ!!」隣人からのクレーム電話
ある日、その住宅会社に突然クレームの電話が入りました。電話の主は、最後の区画を買ったお客さんの隣に住むご主人で、ご主人は憤懣(ふんまん)やる方ない、尋常ではない口調で怒鳴り込んできたそうです。
余った最後の区画をなんとか売りたいと思うのは、営業マンとして当然の心情です。ところが若手営業マンは、隣人の情報を教えることを購入の条件にしたお客さんに、家族構成や勤務先だけでなく、どうやらご主人の年収まで話してしまったらしいのです。
勤務先や家族構成を事前に漏らすのも問題ですが、住み始めて会話を交わすようになれば、いずれ分かる内容です。
そのため、激怒したご主人も、勤務先や家族構成については、気分は良くないもののそこまで激高する内容とは捉えていませんでした。
しかし、大まかな金額とはいえ年収を明かされたことが、ご主人の怒りが沸点に達した直接の原因でした。
年収を話すのは論外です。
担当の営業マンも、こっそり教えた年収を、買ったお客さんが隣のご主人に話すとは思っていなかったのでしょう。
ところが、お客さんは何気ない会話の中で、事の経緯をぽろっと話してしまったようです。
これをきっかけに、住宅会社と隣人との関係はもちろん、お客さんと隣人との関係も急激に冷え込んだそうです。
こうしたことは実際に起こるので、住宅営業は近隣情報の扱いに十二分に気をつけてください。売れ残った区画や条件の悪い物件の売り方は、建売住宅の販売方法で解説しています。
隣人や通学路など土地の周辺環境の調べ方と提案資料の作り方は、住宅営業の土地のプレゼン術で解説しています。
まとめ
道路族の親の特徴は、道路で騒ぐ子どもを注意しないこと、夜に友人まで呼んで道路でバーベキューをするなど、地域で共有する道路を自分の敷地のように使うことです。ただ、昭和の子どもだった私も道路族だったかもしれず、当時と今とでは社会の許容度がまったく違います。
住宅展示場などに来るお客さんの70%~80%は土地も探しているので、住宅営業は道路族という言葉を知ったうえで、近隣住民の情報をぺらぺらと話さないよう気をつける必要があります。北陸の事例では、若手営業マンが隣人の年収を話したことで、住宅会社と買ったお客さんの両方が、隣人との関係を急激に冷え込ませました。
ぜひ本記事の道路族の親の特徴と北陸の事例を参考に、土地探しのお客さんへの近隣環境の伝え方を見直してください。



