持ち家か賃貸か、住宅営業は賃貸派の主張にどう反論する?

持ち家か賃貸か、住宅営業は賃貸派の主張にどう反論する?

持ち家か賃貸かという議論は、忘れたころに吹き出してきます。

先日も「家を買う人間はバカだ」という立場のコラムが載りました。

分譲地の商談では、テレビの報道を見て「お隣さんにどんな人が来るか分からない」と不安を口にしたお客さんもいました。

賃貸派の主張の多くは、賃貸側のリスクを見落としています。金利上昇には賃料の値上がりで、維持費には2年に1回の更新料で、総支払額の比較には建物の質と30坪の広さで、住宅営業は答えられます。

本記事では、持ち家か賃貸かの議論で賃貸派が持ち出す主張と、住宅営業としての反論の仕方を解説します。

持ち家か賃貸かの議論を住宅営業が無視できない理由

持ち家か賃貸かは、結果としては個人の選択です。私自身は、お客さんがどちらを選んでもまったく問題ないと考えていますが、住宅会社にとってこの議論は耳を傾ける価値があります。

先日私が読んだ記事は内容こそいろいろでしたが、どちらかと言うと「家を買う人間はバカだ」という立場で書かれていて、住宅業者としては困った内容でした。

こうした記事に若い人が触れれば、「なるほど、たしかに言えるな」と受け取る可能性があります。

そのため、住宅営業はこの手の記事を無視せず、どの主張にも答えられるよう理論武装しておく必要があります。

商談の場で賃貸派のお客さんを説得する場面は、現実にはほぼありません。それでも賃貸か持ち家かで悩んでいる人がいるのは事実なので、住宅営業はそうした人と接する機会があれば、持ち家の方が圧倒的に良いと説明できるようにしておくべきです。

「持ち家はリスクが高い」という賃貸派の主張への住宅営業の反論

金利上昇のリスクには賃料上昇のリスクで答える

持ち家か賃貸かの論争で一番多く出てくるのが、「金利が上昇したらどうするんだ」という主張です。現在は金利上昇局面に入っていると考えられ、賃貸派がこの論調を主張しやすい環境にあります。

賃貸派の言っていること自体は間違っていません。

金利が上がればその分支払いが増えるので、給与が予定どおり上がっていかなければ、持ち家の住人にとってリスクになります。

しかし、この主張は賃料の話を見落としています。

持ち家にとって金利上昇がリスクであるのと同じく、賃貸派にも賃料の値上がりという避けようのない敵が目の前に立ちはだかります。

維持費の主張には更新料と外壁の質で答える

「家の維持にはお金がかかる」も、昔からある定番の主張です。固定資産税などがかかるので、一軒家の維持にお金がかかるのは事実です。

しかし、賃貸住宅でも2年に1回の更新料が一般的にかかり、40年間住み続ければばかにならない金額になります。

さらに、30年前の住宅ならいざ知らず、今の住宅は保守点検にあまり手がかからないよう外壁の質も良くなっています。

住まい手が外壁の塗り替えを10年に一度というサイクルでやらなくても、問題は起きません。

道路族の報道を見た分譲地のお客さんとの会話

「隣に迷惑住民がいたらどうするんだ」という主張は、確かに問題です。

地上波のテレビで隣人の迷惑行為が話題になると、家を買おうとしている人の行動は若干慎重になります。

特に分譲地では周りに誰もいないところに入居するので、お客さんにはどんな人が隣に来るか分かりません。

私が先日読んだ記事でも、この点が強く書かれていました。その記事は実際に起きた「道路族」トラブルの話を持ち出して、家を買うのはあまりに危険だと煽る書き方でした。

道路族の特徴や、分譲地で実際に起きた近隣トラブルの事例は、土地探しの客が気にする近隣トラブルで解説しています。

私の手元にも、「道路族」を特集した関西ローカルのニュース番組の録画があります。関西在住のある住宅営業から実際に聞いた話では、この放送が流れてからしばらくの間、自社分譲地の販売でお客さんとこんな会話が交わされたそうです。

営業「こちらが弊社の分譲地ですけども、価格も安めで立地も最高ですよ」

客「場所はいいですけども、お隣さんにどんな人が来るかわからないですもんね」

営業「確かにそれは何とも言えないところですが、そこまで考えていると、家を買うことはできなくなりますからね」

客「それは分かりますけども、つい先日テレビで道路族のことをやっていて、裁判にまでなったという話を聞いてしまうと若干心配ですよ」

こうしたお客さんが激増したわけではありません。

私が話を聞いた住宅営業のもとで実際にいたのは、一組だけでした。

条件の厳しい物件で、お客さんの不安に調査と提案で応える方法は建売住宅の販売方法で解説しています。

総支払額で持ち家と賃貸を比べるのがナンセンスな理由

持ち家か賃貸かの議論で決まって出てくるのが、賃貸に住み続けた場合と持ち家を買った場合の総支払額の比較表です。購入する建物の価格も賃料も人によってまったく違うので、比較すること自体がナンセンスですが、先日私が読んだ記事では賃貸の方がやや安いという結果になっていました。

私は、この比較は明らかにおかしいと思います。持ち家と賃貸の差はお金だけではなく、比較表には一軒家と持ち家のメリットが考慮されていないからです。

断熱性など建物の質が違う

欧米では事情が異なるかもしれませんが、日本では持ち家と賃貸で建物の質が大きく異なり、まず断熱性が圧倒的に違います。

欧米では賃貸であっても、室温が18℃以下に下がるような住宅は法律で罰せられる対象になります。

ドイツには、そうした賃貸住宅を提供したオーナーに対し、家賃を下げるよう判決が下された事例があるほどです。

ところが日本では、「賃貸だから仕方がないよね」の一言で片付けられてしまいます。

ここ最近は、大手ハウスメーカーが質の高いアパートを提供するようになり、事情は変わってきました。それでも持ち家と賃貸の基本的な質の差は埋めようがないので、支払い金額がまったく同じだと仮定しても、持ち家に軍配が上がると私は考えています。

30坪の持ち家と同じ広さの賃貸は少ない

狭小地に小さく建てるなら話は別ですが、持ち家では一般的に30坪程度の建物面積が確保できます。

30坪はおよそ100㎡です。

100㎡の賃貸物件がどれだけあるでしょうか。

しかも東京都内で100㎡の賃貸を借りれば、とてつもない賃料になると考えられます。広さだけを取っても、賃貸の魅力は乏しいと言えます。

「30年ローンは狂気の沙汰」と言う賃貸派の住宅事情

有名人や経済評論家の中には、30年のローンを組むのは狂気の沙汰だと指摘する人がちょこちょこいます。

有名なところではホリエモンがそうです。

経済評論家の上念司さんも同じ発言をしていて、持ち家どころか車を買うことすらバカだと言っています。

これは価値観の問題なので、どちらが良い悪いという話ではありません。それでも私は、一軒家を所有していることによる心の安心感や満足感は、賃貸では得られないと思います。

また、賃貸の方が優れていると言う人の多くは、ホリエモンと上念司さんのように家賃が50万円や100万円という物件に平気で住める人に限られるでしょう。そのくらいの賃料を惜しみなく出せる人にとっては、下手に住宅を買ってリスクを負うより、その金額を払い続ける方が正しいということになります。

「飽きたらすぐ引っ越せる」という賃貸のメリットと年齢

賃貸派からは、近隣に迷惑な人がいなくても、住んでいる場所や街に飽きてしまうことがあるという指摘もよく出ます。これも個人の問題なので、第三者がああだこうだ言う必要はありません。

確かに賃貸なら、住む人は街に飽きれば好きなところに移り住めるので、大きなメリットと言えます。

私自身も東京都内で大泉学園、五反田、日暮里、下北沢、学芸大学、曙橋など、いろいろな地域に住みました。

その経験から、街を変える面白さはよく分かります。

しかし、街を変える面白さを味わえるのは若いときです。一定の年齢になったら一つのところに腰を落ち着けたくなるのが人間だと私は思いますし、戸建てでもマンションでも構わないので、ある程度の年齢になったら住まいを決めた方が良いと考えています。

まとめ

持ち家か賃貸かの議論で賃貸派が持ち出す金利上昇、維持費、隣人トラブル、総支払額の比較、引っ越しのしやすさには、どれも住宅営業として返せる答えがあります。

今はまだ問題ありませんが、空前の不況はいずれ日本にやってくると私は考えています。不況で雇用が不安定になれば、お客さんが住宅ローンを組むのをためらうのは当然なので、住宅営業は今のうちに理論武装しておくべきです。

ぜひ本記事の賃貸派の主張と反論を参考に、持ち家か賃貸かで悩むお客さんへの説明を準備してください。

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