住宅営業の競合勝ちは相手の自滅?大手が負けた3つの理由と体験談

全国区の大手ハウスメーカーとの競合では、こちらの提案が評価されたからではなく、相手の営業が自滅したことで受注が転がり込むことがあります。
名古屋の小規模な設計事務所で営業兼設計を担当するAさんが大手ハウスメーカーに競合勝ちした理由も、相手営業の自滅でした。奥様と生理的に合わなかったこと、服装が「かなりダサかった」こと、20畳のリビングの要望を16畳に削ったことの3点です。
本記事では、相手が自滅した3つのポイントと、断りの電話で出てきた値引き話の真偽、自社の住宅営業が同じ自滅をしていないかの確認方法を解説します。
住宅営業の競合勝ちは相手の自滅で決まることが多い
相手の住宅会社が勝手に自滅して受注が転がり込むのは、最高の勝ち方だと私は思っています。
もちろん、こちらの住宅会社もプラン提案やデザインの提案をして、注文住宅の新規受注を取りにいきます。
それでも受注・失注の分析をすると、相手の住宅営業が自らの失点で脱落していく案件がかなり多いことが分かります。
相手の住宅営業が自滅する原因には、お客さんの言うことを聞いていない、デリカシーが欠如している、約束を守らない、他社の悪口を言う、などがあります。
どれも「なんでこんなことが分からないのだろうか」と首をかしげたくなる事例ですが、あちこちで耳にする話です。
そのため、どの住宅会社でも自社の営業社員が同じことをしている可能性は十分にあると私は考えています。
他社の悪口を言わずに競合で勝つ進め方は、地場工務店に勝った住宅営業の競合対策で解説しています。
大手ハウスメーカーに競合勝ちした名古屋の設計事務所の体験談
名古屋在住のAさんの体験談です。Aさんは小規模の設計事務所で営業兼設計を担当する中年男性で、3年ほど前に全国区の大手ハウスメーカーと競合して勝った経験を話してくれました。
Aさん「私は競合に勝つとお客さんに対してどうして自分を選んでくれたかを必ず聞くことにしています」
私「では、そのときも理由を聞いたわけですね。お客さんはどう答えていましたか?」
Aさん「結論を先に話すと敵会社の完全自滅です(笑)。にわかには信じられないようなことをお客さんが言っていたのですが、大手ハウスメーカーの30代らしいですから、入りたての新人というわけでもないんですけどもね」
Aさんに詳しく話を聞くと、相手の営業が自滅した原因は3つありました。
奥様が「生理的に合わなかった」と話した接客
いちばん大きな原因は、奥様と相手の営業の波長がなんとなく合わなかったことでした。奥様はAさんに、はっきりとこう話したそうです。
「営業さんとは生理的に合わなかったです」
住宅営業がお客さんにこれを言われたら、おしまいです。
生理的に合わないという領域に入ると、具体的に何が悪いというより、言葉遣いや話し方、物腰という次元の話になります。
実際、Aさんが奥様に具体的な話を聞いても、「何と言ったらいいか分からないけれど、なんとなく嫌だった」という答えしか返ってこなかったそうです。
ただ、住宅営業がごく普通に対応していれば、お客さんにここまで言われることは通常ありません。
相手は少し癖のある営業だったと私は推測しています。
奥さんに好感を持ってもらう接客は、ハウスメーカーの営業トーク事例で解説しています。
「かなりダサかった」と言われたスーツとネクタイ
服装のセンスについても、奥様は相手の営業が「かなりダサかった」と強調していたそうです。Aさんは相手の営業と顔を合わせておらず、写真もないので、ここからは奥様の話を総合した内容になります。
奥様は、大手ハウスメーカーのデザイン性の高さに期待して商談に臨みました。
ところが相手の営業は少しよれた安っぽいスーツに曲がったネクタイ姿で、おしゃれにあまり気を使っていない雰囲気が、奥様にはどうしても癪に障ったそうです。
奥様は、ハウスメーカーなら営業マンもおしゃれなスーツで決めて商談に臨むのが当然だと指摘していました。
20畳のリビングを16畳に削ったプラン
相手の営業がお客さんの要望をあまり聞いていなかったことも、自滅の原因でした。
お客さんは夢を持ってあれこれと要望を伝えたのに、相手の営業が出してきた図面はその内容からかなりかけ離れていたそうです。
端的に言えば、営業のレベルが低いと言わざるを得ません。
要望とかけ離れた図面というのは珍しい話に聞こえますが、私がコンサルティングの仕事でお客さんへの取材を重ねると、意外にも敗退原因の上位に食い込んできます。
Aさんのお客さんの場合、最も大きかったのはリビングの広さでした。
20畳のリビングは、ほかの間取りを犠牲にしても最低限確保したいというのが、ご主人と奥様に共通する強い要望でした。
住宅営業であれば、20畳だけは死守したうえで、ほかの部分の間取りを削って予算に合わせるプランニングをするのが普通です。
ところが相手の営業は、予算オーバーを盾にして、リビングを16畳に抑えたプランを出しました。お客さんが指摘すると、相手の営業は平然とこう答えたそうです。
「予算が足りないのでここは抑えさせていただきました」
お客さんにすれば、あれほど強くリビングの広さを念押ししたのに、予算の関係という一言でプランを変えてくる営業の態度が信じられなかったのでしょう。お客さんがこれで商談を続ける気にならないのは当然です。
住宅営業の身だしなみは清潔感があれば十分
Aさんの話を聞いて、私も新入社員研修のことを思い出しました。
研修担当者は、清潔感のある服装がいかに重要かを口を酸っぱくして話していました。
新入社員が10万円もするスーツを買う必要はありませんが、安いスーツでも清潔感を出すことは、営業マンの意識次第で十分にできます。
研修担当者は当時、「可能であればポケットチーフをしなさい」とまで指示を出していました。
さすがにポケットチーフをして営業をする新卒者は、ほぼいなかったと記憶しています。
それでも今思えば、ポケットチーフをしてビシッとお客さんに対応すれば、特に奥さんには好感触を与えられたのではないかと私は思っています。
ただし、私のこの考えには異論もあり、どちらが良いとは言い切れません。つい最近私が取材したお客さんは、こう答えていました。
「〇〇ホーム(全国区有名メーカー)さんも良かったのですけども、営業の方がホテルマンのような対応をするので疲れちゃったんですよね。それに比べて〇〇さんはラフな感じで話しやすくてとても良かったです」
住宅営業の服装は、清潔感のある服装で身だしなみをパリッとさせていれば大丈夫だと私は考えています。
断りの電話で出た「400万円の値引き」は嘘だった
3つの自滅を経て、Aさんのお客さんは相手のハウスメーカーに断りの電話を入れました。相手の営業は断りをまったく予期していなかったらしく、電話越しにずいぶん粘ったそうです。
ところが、お客さんは電話口で3つの自滅ポイントを一切伝えませんでした。代わりにご主人が口にしたのは、事実ではない値引きの話です。
「〇〇ハウスさんが400万円の値引きをしてくれました」
ご主人は、400万円の値引きをしたと言えば相手の営業も諦めるだろうと考え、食い下がってこないように大きな嘘をついたのです。
お客さんは、相手の営業が真に受けて400万円を上回る500万円の値引きを提案してきたら「そうしたら向こうにいったと思います(笑)」と笑っていたそうです。
現実には、相手の営業は400万円の値引きに対抗できずに引き下がりました。
住宅営業が競合負けするときは、お客さんから何かしらの理由を言われて断られますが、その理由が本当かどうかは極めて怪しいと考えた方が無難です。
特に値引きは、その筆頭格です。
お客さんが「相手が大きく値引きした」と言った場合は、半分以上が嘘だと私は考えています。
大手ハウスメーカーが優る点を洗い出して差を埋める方法は、大手ハウスメーカーとの競合に勝つ方法で解説しています。
自社の営業が競合で自滅していないかを確認する項目
Aさんの受注は、こちらの提案力が勝っていたからでも、営業の人間性が素晴らしかったからでもなく、相手会社の自滅によるものでした。
Aさんの会社はそれで良かったのですが、住宅会社の経営者や営業の上司は、自社の営業社員が同じ行動を取っていないかを今一度確かめることをお勧めします。
初回接客での話し方や立地説明の進め方は、分譲地での住宅営業の初回接客のコツで解説しています。
まとめ
Aさんが大手ハウスメーカーに競合勝ちした理由は、奥様と生理的に合わなかったこと、服装がよれていたこと、20畳のリビングを16畳に削ったことという、相手営業の3つの自滅でした。断りの電話で出た400万円の値引きは、相手を諦めさせるための嘘でした。
同じ自滅は、どの住宅会社の営業社員にも起こりえます。
ぜひ本記事の3つの自滅ポイントを参考に、自社の住宅営業が競合で同じ失点をしていないかを確認してください。


