住宅営業の失敗談|所得証明書の処分と夜の訪問で客に怒られた話

住宅営業をしていると、良かれと思って取った行動のせいで、お客さんに「どういうことだ!」と声を荒らげられることがあります。
私がお客さんにキレられた原因は、預かった所得証明書を無断でシュレッダー処分したことと、ご主人が留守の家に上がり込んで夜9時近くまで奥さんと話し込んでいたことでした。
本記事では、ハウスメーカーの住宅営業だった私がお客さんに怒られた2つの体験談と、そこから分かる怒られないための行動を解説します。
私がお客さんに怒られた3つのパターン
どんな仕事にもクレームはつきものですが、住宅営業はとくにクレームから逃げられない仕事です。
私も住宅営業として、お客さんからお叱りを受けた経験がたくさんあります。
私が受けたお叱りを振り返ると、次の3つに分かれます。
- 理不尽なお叱り
- 私がまったく弁解できない失敗へのお叱り
- 良かれと思って取った行動が、お客さんの逆鱗に触れたもの
本記事で紹介する2つの体験談は、どちらも3つ目に近いケースです。私は2つの体験談のどちらでも、怒られた理由が分かったのはお客さんの話を聞き終えてから、あるいは会社に戻って冷静になってからでした。
住宅営業が所得証明書をシュレッダー処分して怒られた体験談
契約の意思を聞いて所得証明書を預かった
私は住宅ローン関連の確認のために、お客さんから所得証明書を預かりました。
この段階でお客さんからは、ほぼ契約するという意思表示があったので、私は事務処理を早く進めようと考えて、自分からお願いしました。
お客さんも「いいですよ、明日取ってくるね」と明るい声で返事をしてくれ、私は翌日に実際にお会いして所得証明書を受け取りました。
ところがその翌日、お客さんから電話があり、「色々考えたんだけども、もう少し考えたいから一度破棄したい」と言われました。私は落胆しましたが、契約していたわけではないので申し出を受け入れ、話だけは直接聞きたいと考えて、2日後にアポを取ってお客さん宅に出向きました。
「シュレッダーで処分させて頂きました」と胸を張った
私は内心落ち込んでいましたが、表情は明るく保ち、お客さんにも「事情はよくわかりましたので、しばらくしたらまた話を復活させましょう」と伝えていました。
お客さんも申し訳なさそうにしてくれましたし、契約を落としたのは残念でもよくある話なので、話はこれで終わるはずでした。
ところが、お客さんからの何気ない質問への私の答えが、場の空気を一変させました。
ご主人「預けてあった所得証明書を返して欲しいんですが」
私「所得証明書はシュレッダーで処分させて頂きました」
ご主人「えっ?どういうこと?」
私「はい、跡形もなくシュレッダー処分させて頂きましたのでどうぞご安心ください!」
ご主人「何言ってるのあなたは。疑うわけじゃないけども本当に処分したかどうかわからないじゃないか!私に返すのが筋だろう。もし処分するのであれば、事前にどうして私に聞かないわけ?」
私は良かれと思って処分したので、ご主人の質問にも胸を張って答えていました。
自営業のご主人が怒った理由
この後、私はご主人にかなり怒られました。
ご主人は自営業で、経営する会社は社員が4人という小さな零細企業でした。
自営業はサラリーマンとは違い、所得証明書が何らかの形で悪用されれば、それが原因で会社が倒産するかもしれません。
ご主人は、悪知恵の働く人間が裏で動けばこんな会社は簡単に潰れてしまう、という趣旨の話を延々とされました。
私は最初、ご主人の話がなかなか見えませんでしたが、徐々に内容を理解し、ご主人に丁寧に謝罪して会社に戻りました。私なりに大いに反省しましたし、勉強にもなりました。
ご主人が留守の家に上がって怒鳴られた夜の訪問(積水ハウス時代)
次のキレられ話は、住宅営業とは何の関係もないことが原因でした。今回も私は直前まで何の疑問も持たずに行動しており、激怒したのはまたしてもご主人です。
中長期客への追客訪問で奥さんに家へ招かれた
住宅展示場に、30代半ばのご夫婦がふらっと来場しました。
私はいつものように接客し、ご夫婦は20分程度で帰られました。
今すぐ建てるお客さんではなかったので、リスト化して定期的にフォローする、よくあるケースでした。
私はこうした中長期のお客さんには、定期的に電話をかけたり、近くを通れば直接訪問したりしていました。
ある夏の夜7時ぐらいに、私は新しく出たカタログを持ってこのお宅に出向き、チャイムを押しました。
玄関先に出てきた奥さんに「積水ハウスの森ですが、先日は展示場にお越しいただきありがとうございました」と挨拶してカタログを渡し、何気なく話し込んでいたところ、奥さんが「よかったら中に入りますか。話を少し聞かせてください」と手招きしてくれたのです。
私は小躍りしました。
中長期だと思っていたお客さんが、話をじっくり聞きたいと言ってくれたわけですから当然です。
奥さんは私が家に上がった直後から「主人がもうすぐ帰ってくると思いますので、そうしたらまた色々お話ししましょうか」と友好的な態度でした。
私は奥さんと住宅の話や雑談をしながら、ご主人が帰ってきたらどんな話から切り出そうかと頭の中で組み立てていました。
夜9時近くに帰宅したご主人の第一声
私が奥さんと2時間弱話をして、時間が9時近くになったころ、ようやくご主人が帰ってきました。
私は居ずまいを正し、「積水ハウスの森です。お邪魔しております」と明るい笑顔で声をかけました。
ところがご主人は、部屋に入ってくるなり大噴火状態でした。
「き、き、君は何をやっているんだ!」
私はご主人に鬼の形相でどやされ、這々の体(ほうほうのてい)で逃げ帰りましたが、ご主人の顔が脳裏にこびりついて離れませんでした。
冷静に考えると激怒の理由は歴然としていた
私は気を抜いていた部分が多分にあり、奥さんが社交的な方だったので、すっかりくつろいでいました。
しかも奥さんに「暑いからネクタイとってくださいよ」と勧められ、私は「そうですね」とネクタイを完全に取り去っていたのです。
当時はクールビズとは無縁の時代でした。
ご主人から見れば、展示場で少し顔を合わせただけの、基本的には知らないお兄ちゃんが、自分の奥さんと夜遅くに自宅で談笑してくつろいでいるわけです。私がアポを取っていたなら話は違いますが、ご主人が仕事から普通に帰ってきてこの光景を見たら……ですよね(笑)。
私が帰社して店長にこの話をすると大爆笑で、他の先輩や後輩も同じように大笑いでした。40代のおじさん営業なら、よほどの色男でない限りこんなことは起きないでしょうが、当時の私は20代中盤の若者で、30代半ばの奥さんから見れば可愛い男の子だったのでしょう。
ハウスメーカーの営業がお客さんに怒られないために変える行動
2つの体験談とも、私は住宅営業の都合だけで判断し、お客さんの立場から自分の行動がどう見えるかを考えていませんでした。
預かった書類は返却し、処分するなら先に聞く
預かった所得証明書は、話が流れたらお客さんに返すのが筋で、住宅営業が処分するならお客さんに先に確認を取るべきでした。ご主人に言われた「私に返すのが筋だろう」という言葉どおりです。
私は現役当時、後輩を指導するたびにこの所得証明書の話をしましたし、今でも研修やコンサルティングの席でよく話しています。
アポなし訪問は玄関先で終え、家族がそろう日に出直す
中長期のお客さんへのアポなしの追客訪問では、ご主人の留守中に家へ上がり込まないようにします。
奥さんに招かれても、その日はカタログを渡して玄関先で切り上げ、「ご主人がいらっしゃる日に改めてお話しさせてください」と次のアポを取るほうが、ご主人の印象を損ねずに済みます。
家に上がる場合も、ネクタイを外すなど服装を崩さないようにします。
次につなげるアポの取り方は住宅営業のアポ取りのコツで解説しています。
過去リストのお客さんへアポなしで訪問する場合に、メールで予告してから訪ねる方法は、住宅営業のアポなし訪問の進め方で解説しています。
まとめ
私がお客さんに怒られた2つの体験談は、どちらも良かれと思ったり、何の疑問も持たずに取ったりした行動が原因でした。所得証明書を無断で処分したことも、ご主人が留守の家で夜遅くまでくつろいでいたことも、お客さんの立場から見れば怒られて当然の行動です。
預かった書類は返却し、処分するなら先にお客さんに聞くこと、アポなし訪問は玄関先で終えて家族がそろう日に出直すことは、住宅営業が次の追客からすぐに変えられます。
ぜひ本記事の2つの体験談を参考に、営業としての行動がお客さんからどう見えるかを一度見直してください。



