住宅営業のヒアリングは写真で変わる|失注客が語る競合負け理由

住宅営業のヒアリングは写真で変わる|失注客が語る競合負け理由

工務店のホームページには、契約したお客さんのお宅が並んでいます。一方で、契約しなかったお客さんが他社を選んだ理由は、ほとんどの住宅会社で分からないままです。

私が東海地方のC工務店の失注客をZoomで取材したところ、競合のBホームとの差は収納のヒアリングにありました。Bホームの営業マンは生活感のある写真パネルを見せ、お客さんに傘を何本持っているのかまで尋ねていたのです。

本記事では、失注客が語った競合負けの理由3つと、写真を使った営業ヒアリングの進め方を解説します。

工務店の失注客を取材して分かった住宅営業のヒアリングの差

契約客しか載らない工務店のホームページ

工務店のホームページを見ると、契約したお客さんのお宅を紹介するコーナーをよく見かけます。

【名古屋市 昭和区 K様邸】

このような見出しの下にお客さんのお宅の写真が並び、おしゃれな外観や内装を見ることができます。

写真にはご家族が登場するケースも多く、見ていて飽きません。

お客さんは契約したうえにホームページに登場するわけですから、基本的にはすべてに満足しているのでしょう。

反対に、その工務店と契約しなかったお客さんはホームページに載りませんし、なぜ他の住宅会社と契約したのかも分からないままのケースが圧倒的に多いはずです。数は少ないものの、私はこうした失注客の取材もこれまで行なってきました。

担当の営業マンが取り付けた失注客のZoom取材

取材先は、東海地方に本社を構えるC工務店です。C工務店はいわゆる零細工務店ではなく一定の規模がある会社で、取材の半年ほど前に同規模のBホームに競合負けした案件がありました。

私はこの時点でC工務店の契約客の取材を5件終えており、社長も私も「何とかして失注客の取材のアポを取れないものですかね」と担当の営業マンに要望を出していました。すると、担当の営業マンがお客さんの了承を取り付けてくれました。

私にとって久々の失注客の取材だったので、当日は通信環境を確かめてからZoom取材に臨みました。取材は全部で2時間に及び、お客さんはC工務店をやめた理由を事細かに、理路整然と話してくれました。

住宅営業のヒアリング以外に失注客が挙げた2つの理由

社長の挨拶文が紋切り型だった

取材の冒頭で、お客さんから意表を突く答えが返ってきました。お客さんがC工務店をやめた理由の一つは「社長の顔がよく見えなかった」ことです。

裏を返せば、お客さんには競合のBホームの社長の顔がよく見えていたことになります。ところがホームページを見ると、C工務店もBホームも、トップページに顔写真入りの社長が登場して挨拶をしています。

よく見ると、C工務店の社長の挨拶は紋切り型の、まったく無味乾燥な文でした。一方、Bホームの社長の挨拶は定型文から始まるものの、創業への思いや自分の趣味にも触れていて、ちょっとした楽しい読み物になっていました。

社長が顔写真入りでホームページに登場している住宅会社は無数にありますが、そのどれもが似たり寄ったりのつまらない文になっているはずです。

取材したお客さんは、両社の挨拶の違いをしっかりと見比べていました。

社長や社員の人柄を伝える発信の方法は、工務店のSNS集客の事例で解説しています。

営業マンの動きが「何となく」遅かった

お客さんは、C工務店の営業マンの動きがBホームの営業マンと比べて何となく遅かったとも話しました。これは失注の理由としてよくある話です。

私は、具体的に何がどのくらい遅かったのかをお客さんに聞きましたが、返ってきた答えは「全体的に何となく……」というもので、結局はっきりしませんでした。取材後に私が担当の営業マンに真相を聞いても、営業マンは落ち度はなかったはずだと言うばかりで、本人も納得していない様子がありありと見て取れました。

何がどう遅かったのかは最後まで分かりませんでしたが、お客さんがそう感じたのであれば致し方ありません。

収納のヒアリングで段違いの差をつけたBホームの営業

C工務店をやめた理由のうち、私が興味深く聞いたのは「収納提案に関しては段違いの差があった」という奥さんの話です。

私は大きな関心を持ち、この点を徹底的に聞き込みました。

Bホームについてよくよく調べると、ホームページにも収納提案に自信がある旨が書かれていました。

「収納をたくさん取りましょう」で終わる会話

BホームとC工務店の差を生んだのは、ヒアリングの徹底ぶりでした。住宅営業の打ち合わせが、こんなありきたりな会話で終わっていないでしょうか。

「収納不足が今困ってるんですよね」

「そうですか、では収納をたくさん取りましょう」

お客さんの悩みが収納不足であることは、聞くまでもありません。営業マンはそのうえで、お客さんが具体的にどんな物の収納で困っているのかを順番に聞いていく必要があります。

収納の量だけでなく使い勝手まで踏み込む聞き方は、収納提案で選ばれる住宅会社の聞き方で解説しています。

生活感のある写真パネルで傘の悩みを引き出した

私は奥さんに、Bホームのヒアリング方法を聞いてみました。

私「Bホームさんは事細かに収納の事を聞いてくれたのですか」

奥様「各部屋ごとと言いますか、とにかく細かく聞いてくれるんですよね」

私「例えばどんな感じでしょうか」

奥様「口だけではなく写真を使って説明されたのですが、その写真のおかげでものすごく答えやすいんですよね」

奥さんの話を私が要約すると、Bホームの営業マンが取り出したのは、2LDKのアパートに住む30代の若夫婦の家の中を写したパネルでした。写真は生活感が色濃く出たもので、物が散らかって収納に困っていることがひと目で分かる状態だったそうです。

パネルの中の一枚は玄関の写真で、靴箱からあふれた靴が脱ぎ捨ててあり、隅の傘立てには傘がぎゅうぎゅう詰めで立っていました。奥さんはその写真を見て、営業マンにこう言ったといいます。

「この傘立ては我が家と全く同じ状態です(笑)そうそう、うちもこんな感じなのよね。なんだかぎゅうぎゅうづめになっちゃってるし、ちょっとでも濡れていると、いつまでたっても乾かないんですよ」

営業マンはこの言葉を受けて、こう返しました。

「傘の置き場に困ってるのですね。ちなみに何本ぐらい傘を持つんですか?」

傘の置き場の話は、ほとんどの営業マンがお客さんとしない会話だと私は思います。しかし、取材したご夫婦の家庭では、実際に傘の置き場に困っていました。

綺麗な写真を使わなかったBホームの工夫

Bホームの秀逸なところは、口頭だけで聞き取るのではなく、写真を見せてお客さんの記憶をよみがえらせた点にあります。

しかも、Bホームの営業マンは綺麗な写真を使っていません。

明らかに色々な点で困っていそうな、生活感のにじみ出た家庭の写真を使ったからこそ、話が盛り上がったのです。

私は住宅営業の現役時代にこの手法を取っていませんでしたが、コンサルティングをする中で「こういうやり方をすればいいかもしれない」と気づき、セミナーなどでこの話をしています。

写真を使った住宅営業のヒアリングの進め方

Bホームの手法は、どの工務店の営業マンでも真似ができます。生活感のある写真を揃えるのがいちばん難しいところですが、私はネットをひたすら検索すれば使える素材は出てくると考えています。

お客さんの今の住まいに近い写真を場所ごとに集める

Bホームのパネルが2LDKのアパートに住む若夫婦の家だったように、営業マンは、お客さんと同じように困っているであろう生活感のある写真を選びます。

写真は、玄関の靴箱や傘立てのように物があふれやすい場所ごとに用意します。場所ごとに写真があると、営業マンは家の中を順番にたどりながら聞けます。

玄関などゾーンを絞って質問を重ねる進め方は、建て替え案件のヒアリング術で解説しています。

お客さんが反応した写真で「数」と「困りごと」を聞く

営業マンは写真を見せ、お客さんが「うちもこんな感じ」と反応した場所で話を止めます。

そこで、Bホームの営業マンが傘の本数を尋ねたように、置き場に困っている物の数を聞きます。

傘が乾かないといった困りごとも、お客さんの言葉のまま聞き取ります。

まとめ

C工務店がBホームに競合負けした理由として、失注客は社長の挨拶文、営業マンの動きの遅さ、収納提案の差の3つを挙げました。中でも差が大きかったのは収納のヒアリングで、Bホームの営業マンは生活感のある写真を見せて、傘の本数まで尋ねていました。

生活感のある写真を集めるには手間がかかりますが、ネットで探せば素材は見つかると私は考えており、どの工務店でも真似できる手法です。

ぜひ本記事のBホームの事例を参考に、次の打ち合わせで生活感のある写真を使ったヒアリングを試してください。

あなたへのおすすめ