住宅営業で売れる自己開示のコツ|自己紹介の紙と雑談の実例

住宅展示場の玄関をくぐったお客さんは、積水ハウスのような有名な住宅会社なら安心だと考えています。ところが、お客さんは出迎えた営業社員の名前も人柄も知らないまま、商談を始めることになります。
住宅営業で売れるには、商品より先に営業社員自身を知ってもらう自己開示が欠かせません。
口下手な大手ハウスメーカーのAさんは、接客開始後5分以内に、オリンピック選考会の新聞記事を貼った自己紹介の紙をお客さんに渡しています。
この紙をきっかけに、Aさんはお客さんとの雑談に持ち込みます。
本記事では、住宅営業3人の実例をもとに、自己開示のやり方とコツを解説します。
住宅営業に自己開示が必要な理由
「商品を売る前に自分を売れ」は、昔から語り継がれている営業の鉄則です。
住宅営業でも誰もが耳にしている話ですが、わかっているようでいて、実際にはできていない営業社員が多いのが自己開示です。
自己開示は簡単にできるので、新築だけでなく、不動産やリフォームの営業社員もそのまま真似できます。
積水ハウスの社名は知られていても営業社員は初対面
例として積水ハウスを取り上げます。
積水ハウスの住宅展示場は全国どこにでもあり、家を建てようと考えたお客さんがノーアポイントでふらっと訪問することもあります。
お客さんが玄関をくぐると来場がセンサーに感知され、その情報を受けた営業社員が出てきます。
お客さんは積水ハウスの社名を知っているので、建物の構造や会社の内部までは分からなくても、「有名な会社だから安心できるだろう」と考えます。そのため、積水ハウスの社歴や資本金、借入金を執拗に聞いてくるお客さんはまずいません。
ところが、お客さんにとって、目の前に現れた営業社員は全く知らない初対面の人間です。
積水ハウスの社員であることで営業社員の信頼性は一定程度担保されますが、その営業社員はだらしない性格かもしれず、お客さんとそりが合わない可能性もあります。
積水ハウスという法人は自己開示をしなくてもある程度信頼されますが、営業社員ははっきり自己開示をしないと、お客さんの信頼を得られません。
積水ハウスほど社名が知られていない工務店が、会社の売りを一文に絞ってお客さんに伝える方法は、工務店の強みの伝え方で解説しています。
住宅展示場の担当は営業マンガチャ
「〇〇ガチャ」という言葉は、かなり定着しました。最もよく知られているのは親ガチャで、親の財力や社会的地位、社交性などが子どもの未来を決めてしまうという意味です。
住宅展示場にも同じことが当てはまります。
お客さんが積水ハウスと契約すると、たまたま現れた営業社員がそのまま担当としてお世話をすることになるので、お客さんにとってはまさしく営業マンガチャです。
積水ハウスは信頼できても、とぼけた営業社員に当たったら、お客さんはたまったものではありません。
営業社員が自己開示をして、その内容をお客さんが好意的に受け止めてくれれば、お客さんが契約してくれる確率が高まります。
自己開示でお客さんが話しやすくなった後に、建築理由や予算など初回接客で聞いておく項目は、住宅営業のヒアリングのコツで解説しています。
大手ハウスメーカーAさんの自己開示(住宅展示場で渡す自己紹介の紙)
オリンピック選考会の新聞記事を貼ったA4の自己紹介
大手ハウスメーカーに勤務するAさんは、自己開示を住宅営業の切り札として使っています。Aさんの定番は、住宅展示場に来たお客さんに対して、接客開始後5分以内に自己紹介を書いたA4サイズの紙を渡すことです。
私もこの自己紹介のコピーを持っていますが、紙には〇〇小学校、〇〇高校、〇〇大学と、Aさんの経歴が実名で書いてあります。
ひと目で分かる目立つ内容は、Aさんが大学時代に水泳でオリンピックの選考会に出たという文章です。
選考会での泳ぎが新聞に取り上げられた記事のコピーも、紙に大きく貼ってあります。
紙を渡されたお客さんは、何だろうと思ってまずその記事に目を向けるでしょう。紙には、大きくこう書かれています。
「〇〇 オリンピック選考会に出場しましたが、あと一歩でオリンピックに出られなかったのです!今でも非常に悔しいです!」
口下手なAさんが水泳の話から雑談に持ち込む
このくだりを見て「ふーん」と流すお客さんもいるかもしれませんが、Aさんによると、実際にはほとんどの人が「えっ?オリンピック?すごいね!」と驚くそうです。
お客さんがこう食いついてくれたら、Aさんの勝ちです。
Aさんはとても口下手ですが、お客さんから話を振ってもらえれば、水泳の話をしながら雑談に持ち込めます。
この流れが、Aさんの成功パターンになっています。
スポーツで相当なところまでいった話は、聞いたお客さんに悪い印象を与えません。
Aさんによると、お客さんも同じスポーツをしていると、話が一気に盛り上がるそうです。
「私も水泳をやっていたんだよ!」と言うお客さんは多くありませんが、野球やサッカーなら、同じ経験を持つお客さんはぐっと増えます。
お互いに野球をやっていたと分かれば、ポジションはどこだったか、どこの大会でどこの学校と当たったか、と話が広がります。
学生時代のスポーツ一つを取っても、自己開示は住宅営業の大きな武器になります。
口下手な住宅営業が接客後にお客さんとの関係をつなぐ方法は、口下手な住宅営業のお礼状とショートメールの使い方で解説しています。
パワービルダーのBさんが初回面談で話す転勤族の幼少期
パワービルダーに勤務するBさんは入社20年のベテランで、私とはかれこれ20年の付き合いになります。Bさんは若手の頃にべらぼうに売りまくり、今は部長を務めながら、Bさん自身もいまだに売っています。
Bさんは、住宅展示場などでの初回面談では、半分ほどの時間を雑談に充てるそうです。Bさんの得意技は、Bさん自身の幼少期の話です。
「私は子供のころ親が転勤族で地域を転々として寂しい思いをしました。そんな私を救ってくれたのは野球です」
Bさんが現場でどのような空気感で話しているのか、私は知りません。
それでもBさんは、この話をするとお客さんの心を掴(つか)めると断言します。
特に小さな子供がいるお客さんは、Bさんの話に何か共鳴するものがあるのでしょう。
Bさんの話のキーワードは、子供に寂しい思いをさせてはいけないということと、野球をやってきたということの2つです。
住宅展示場以外の場面での初回接客の進め方は、住宅営業の初回接客のコツで解説しています。
新聞配達をしながら大学に通った私の自己開示
私も住宅営業の現役時代は、自己開示を徹底的にやりました。私はすべて口頭で話していたので、Aさんのようなプロフィールの紙は作っていませんでしたが、狙いはAさんと同じです。
完全に個人的な話ですが、私は練馬区内の朝日新聞専売所に住み込み、奨学金をもらいながら大学に通っていました。
私自身はそれほど大変だった記憶もなく、こんなものかと思っていましたが、お客さんには結構インパクトのある話だったようです。
私の新聞配達生活はバブル真っただ中でしたので、イケイケの時代を体験していたお客さんには、余計に面白く聞こえたようです。
私に貧乏自慢をする気はありませんが、奨学金をもらって新聞配達をしながら大学に通った話は、お客さんにとって絵になるのでしょう。この話を聞いたお客さんの目には、「この人は悪い人ではないだろう」「きっと真面目な頑張り屋さんなんだ」と映ったのでしょうね(笑)。
身の上話を初回面談の定番トークに組み込む方法は、初回面談で話す住宅営業トークの定番で解説しています。
まとめ
お客さんは住宅会社の名前で安心していても、住宅展示場で出てきた営業社員のことは何も知りません。住宅営業で売れるには、営業社員が住宅会社の信用に頼らず、自己開示をしてお客さん自身の信頼を得る必要があります。
Aさんはオリンピック選考会の記事を貼った紙で、Bさんは転勤族だった幼少期の話で、私は新聞配達をしながら大学に通った話で、お客さんとの雑談のきっかけを作っていました。
ぜひ本記事の3人の自己開示の実例を参考に、ご自身の経歴から話題を1つ選び、次の初回接客で試してください。



