住宅展示場の手強いお客さんの質問4つ|新卒営業が撃沈した実例

住宅展示場の手強いお客さんの質問4つ|新卒営業が撃沈した実例

住宅展示場に来るお客さんの中に、他社で聞いたC値やUA値、住宅会社のホームページの内容まで下調べしてから、営業マンを試すように質問を重ねる人が増えました。

8月下旬、名古屋の住宅展示場に来た30歳前後のご夫婦は、保証と社歴、財務状況、モジュール、家づくりの思想を次々に尋ねました。

対応した新卒営業は、4つの質問のどれにもまともに答えられませんでした。

こうした手強いお客さんに対応するには、住宅営業が自社の情報を頭に入れておくことに加えて、住宅会社が家づくりの思想を語れるように準備しておく必要があります。

本記事では、実際に出た4つの質問と、下調べしてくる手強いお客さんに備えて住宅会社が準備しておくことを解説します。

住宅展示場に下調べして来る手強いお客さんが増えた

私は全国の住宅会社を回っていますが、以前と比べてお客さんの質問がずいぶん鋭くなったと感じています。

お客さんはC値、Q値、UA値など他の住宅会社の数字を出したうえで、「こちらの会社はどのような数字ですか?」と突っ込んできます。

住宅営業が口ごもれば話になりません。

しかし、間髪入れずに答えたとしても、お客さんが他で見学した住宅会社の数値の方が上であれば、営業はこれまた対応に困ります。

住宅営業を仕事にしている以上、営業はこうしたお客さんにも完璧に対応できなければ受注を取れません。

2階の事務所のモニターで見ていた接客

名古屋のある住宅会社の住宅展示場には2階に事務所があり、その中に展示場の隅々まで確認できるモニターがあります。展示場にカメラを付けるのはごく当たり前になったので、お客さんも特に不審には思いません。

10年前は、映像は確認できても声まで拾えるシステムを使っている住宅会社は少なかったと私は記憶しています。

最近は機器が発達して価格も安くなったので、多くの住宅展示場で、営業とお客さんのやり取りをクリアな映像と音声で別室から確認できるようになりました。

8月下旬の接客も、私はこの事務所のモニターで見ていました。

「色々聞かせてくださいね!」と切り出したご夫婦

30歳前後のご夫婦は、玄関に入るなりいきなりこう切り出しました。

「色々聞かせてくださいね!」

対応に出たのは男性の新入社員のA君で、A君がこの一言でかなりビビった様子はモニター越しにもありありと分かりました。

入場するなりこう切り出すお客さんは、めったにいるものではありません。

私が営業でも、こう宣戦布告されれば身構えますし、「間違いないように答えないとやばいな……」と思います。

来場直後の接客の流れは、住宅営業の初回接客のコツで解説しています。

手強いお客さんが新卒の住宅営業に出した保証と財務の質問

住宅展示場で営業担当者に質問する若い夫婦

「30年保証とのことだが社歴が10年しかないのでは?」

この質問には、私もたしかにうなってしまいます(笑)。

A君の住宅会社は、建物を含めて30年間さまざまな観点からアフターサービスをすると高らかにうたっています。

しかし、社歴が10年しかないということは、この住宅会社が建てた家で築10年を超えたものは1棟もないということです。

A君がまごまごしていると、お客さんはさらに突っ込んできました。

「ひょっとしたら築20年ぐらいで急激に建物が劣化する可能性もありますよね?そのリスクを会社はどの程度と見込んでいるのですか?」

お客さんは険悪な雰囲気ではなく半分笑いながら聞いていたのですが、A君はとにかく答えに詰まってしまいました。

「会社の財務状況を教えてください」

この手の質問をぶつけてくるお客さんはまずいませんが、このときのご夫婦はストレートに聞いてきました。A君は残念ながら全く答えられず、完全に撃沈でした。

ただ、新卒の住宅営業が会社の財務内容まで分かるはずがありません。なので、営業はこの質問に正直に「そこまでは分かりません」と答えて構わないと私は思います。

A君は、会社の資本金やグループ会社など、ホームページを見れば分かる内容すら頭に入っていませんでした。一方でお客さんはそれを調べたうえで、こんな質問をぶつけてきたのです。

新卒の住宅営業がお客さんの質問に答えられるようにする教え方は、新卒住宅営業の接客研修で解説しています。

「グループ会社に〇〇というのがありますけども、どんな会社なんですか?」

この質問は、お客さんがホームページを下調べしなければ出てきません。お客さんはA君が答えられないのを確認すると、これ以上聞いても無駄だと思ったのか、それ以上は突っ込んできませんでした。

モジュールと家づくりの思想を問う質問で新卒営業が撃沈

「メーターモジュールと尺モジュールではどちらがいいの?」

この質問は住宅展示場でよく出るものですが、A君はなぜかまともに答えられませんでした。A君の住宅会社は尺モジュールを採用していますが、A君はそもそもメーターモジュールという言葉自体を知らなかったのです。

メーターモジュールと尺モジュールの違いをお客さんにどう話すかは、住宅営業のモジュールの話し方で解説しています。

これには私も驚きました。

入社直後の4月なら仕方がありませんが、この接客は8月末のことです。

このぐらいのことが答えられなければ、住宅営業はお客さんの信頼を失います。

「どんな家づくりの思想を持っているのですか」

最後はとどめとばかりに、お客さんがこの質問を投げかけました。A君はやはり戸惑うばかりで、大轟沈でした。

後で私が社長に聞くと、社長は天を仰いでうなっていました。

「確かにそんなこと教えていないし、そもそもその質問に答えるのはなかなか難儀だよね」

この質問に答えられなかったことについては、会社に責任があると私は考えています。基本中の基本の質問ですが、あなたの会社の住宅営業は、この質問に的確な答えを出せるでしょうか。

家づくりの思想を語れない住宅会社はアウト

家づくりのコンセプトを説明する住宅営業とお客さん

見逃しがちな盲点ですが、住宅営業は会社の思想や理念はもちろん、どんな家づくりをするのかも明快に話せなくてはいけません。私はコンサルティング先で毎回この点を確認し、明快にすべきだと助言しています。

ただし、耐震性、耐火性、アフターサービスなどについて、住宅会社が最低限のラインをクリアしているのは当然です。すべての内容が一定のラインの上にあることを条件にして、その中で自社の何が突出しているのかを考えてください。

「毎日住んでいても飽きのこない家」をコンセプトにした住宅会社

「毎日住んでいても飽きのこない家」をコンセプトにしている住宅会社がありましたが、コンセプトの文言はこのようなもので構いません。

この住宅会社はコンセプトどおりのワクワク設計で、思わぬところに収納があったり、子どもが家の中でかくれんぼできる設計思想があったりと、とにかくワクワクドキドキがコンセプトになっています。すっきりした大空間の家を求める方には全く支持されませんが、ハマる人はドハマりする楽しい家づくりをする会社です。

この住宅会社は、コンセプトを口頭だけでなく、カタログや映像でアピールする準備も整えています。住宅展示場の備え付けのテレビには経費をかけて作り込んだコンセプト動画が用意されており、各営業マンのiPadの中にもさまざまな写真や動画が入っています。

営業マンを試す手強いお客さんの「欠点は何ですか?」

住宅展示場では、会話の流れで質問しながら、明らかに営業マンの知識を試しにかかっているお客さんが本当に増えました。

「〇〇ホームさんの欠点は何ですか?」

お客さんがこの質問をするときは、完全に仕掛けに来ています。その場の雰囲気で出たというより、お客さんがあらかじめ聞いてやろうと準備してきた質問です。

エンド向けの記事で私が勧めた質問

ただ、このような質問が出るのは、私のような人間の責任もあります。

私はエンド向けのWeb記事や単行本を書いていますが、その中で「欠点は何ですか、と営業マンに聞いて試してみよう!」と書いているからです(笑)。

私が5年前に書いたエンド向けのWeb記事でこうした内容をあれこれ書いたところ、読者の方から、要約すると次のようなメールが届きました。

「森先生の言われた通り〇〇ハウスの営業マンに聞いてみました。そうしたらはっきりした返事が返ってこないんですよね。こりゃだめだと思いました」

まとめ

住宅展示場には、つかみどころのないお客さんもいれば、営業マンに会話を合わせてくれる優しいお客さんもたくさんいます。しかし、あらかじめ質問を準備し、機関銃のように打ち込んでくるお客さんが増え、住宅営業には理論武装したお客さんに対応できる力量が求められるようになりました。

私の時代は楽でした。

お客さんの知識や情報量が営業マンを上回ることは、まずなかったからです。

今の時代に住宅営業の仕事に就くからには、この点を重々承知したうえで日々の接客にあたる必要があります。

ぜひ本記事の4つの質問を参考に、自社の住宅営業が手強いお客さんの質問に答えられるかどうかを確かめてください。

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