住宅営業の初回面談で失敗する6つの場面|新卒C君の商談事例

住宅営業の初回面談で、新人営業がお客さんから他社との数字の違いを突っ込まれて言葉に詰まることがあります。
その営業が最後に「この続きはどうしましょうか?」と聞き、お客さんから「何かありましたらまたご連絡します」と返されて商談が終わる場面もあります。
初回面談の成否は些細なことで決まり、その差が受注に大きく出ます。私がコンサル先で商談動画を見た新卒3ヶ月目のC君は、40分の初回面談の随所でミスを重ね、途中でお客さんの不信を買っていました。
本記事では、C君の初回面談で起きた6つの失敗場面と、その失敗を防ぐロープレの進め方を解説します。
住宅営業の初回面談で新卒C君が失敗した商談の全体像
前回の記事では、優秀な住宅営業のF君の折衝風景を解説しました。F君は、私が見ても「やっぱりうまいな~」と思う場面が多々ある営業でしたが、今回はその真逆の失敗場面を紹介します。
今回登場するC君は完全な新卒で、私が見たのは営業を始めて実質3ヶ月目の初回面談です。
私はC君とは面識がなく、この商談の動画を通じて初めてC君を見ました。
この商談では、お客さんの突っ込みが激しかった面もありました。
C君本人は、この商談が失敗だったことにおそらく気づいていません。しかし、私が客観的に観察すると、お客さんが内心で不満を持っていることは明らかでした。
住宅営業の初回面談でお客さんの信頼を失った3つの応対
他社と比べた数字を突っ込まれて慌てた
私が動画で見た限り、C君の性格を一言で言うとビビリです。営業社員が分からないことを質問されたときの声のトーンで、その営業の状態はだいたい分かります。
客 「あれ・・・この数字って他社と比べると結構低くありませんか?」
C君「えっ・・・と、そうですね・・・いやこれは・・・」
私は声を聞いているだけで、C君の顔の表情がほぼ分かりました。住宅営業はある意味で役者ですので、まずいことがあっても泰然自若(たいぜんじじゃく)で接するべきですし、逆にわざと驚いた顔を見せて変化をつけることも必要です。
しかし、C君のようにお客さんに突っ込まれて慌てているのが丸分かりでは、いただけません。私はこの一場面を見て、C君はすべての折衝でこうした態度がにじみ出てしまうのだろうと感じましたし、お客さんからすれば、そのような営業はとても信頼できない相手になります。
キッチンのデメリットを聞かれて意見を言えなかった
次は微妙な言い回しの場面ですが、奥様とC君のやり取りを再現します。
客 「世の中にはキッチンを対面にする人が多いと思うんですが、私は壁に向かった明るいキッチンが結構好きなんですよね。これってどっちがいいとか悪いとかってあるんでしょうか?」
C君「特に良い悪いは無いと思いますので、お客さんの好き好きでいいと思いますよ」
客 「確かにそうですよねえ。ただ強いて挙げるとすれば、壁に向かったキッチンのデメリットってなんかあるんですか?」
C君「デメリットですか・・・まぁ、さっき言ったように結局はまあ、好き好きですので・・うん・・・まぁ、そのあたりはなんとも言えないですね」
お客さんはプロの意見を聞きたいと思っています。そのため、住宅営業はデメリットを教えてほしいと聞かれたら、2つや3つのポイントくらいは挙げなくてはダメで、その上で最終的に「お客さんのご判断です」と持っていけばよいのです。
この商談では、奥様はそれ以上追及せずに次の話題へ移りました。
この場面が大きなポイントの一つで、奥様は心の中で「この人あんまりパッとしないわね、はっきりしないし」と感じたと推測するのが妥当です。
奥様への接し方はハウスメーカーの営業トーク事例で解説しています。
他社の名前を出されて黙り込んだ
商談の途中で、奥様が「〇〇ホームさんも行ったのですけども、あそこはすごくおしゃれでよかったんですよ」と切り出した場面もありました。C君は「そうですか・・・うん・・・」と言ったきり、言葉に詰まってしまいました。
お客さんの雑談に返す言葉が詰まる場面は、住宅展示場・見学会の接客失敗事例で解説しています。
私が後から聞くと、C君は〇〇ホームの名前も存在も知らなかったそうです。
そのためC君はどう答えてよいか分からず、下を向いて唸る結果になりましたが、これではさすがに格好がつきません。
私がリモートで面談したとき、C君は次のように弁明しました。
「まずいとは思ったんですけども言葉が出てきませんでした」
資料探しの沈黙と自己紹介シートの棒読み
タブレットとファイルを往復しながら無言で資料を探した
C君の勤める住宅会社は営業全員にタブレットを持たせていて、その中には写真や動画が入っています。
C君は折衝時にそれなりの資料を準備していて、昔ながらの紙の資料をファイルにまとめた大きな冊子も横に置いていました。
C君はお客さんの質問に、タブレットと冊子を組み合わせて説明しましたが、資料を出すスピードに難がありました。
初回面談の席に用意しておく資料のうち、ご家族や時期とご予算、新しいお家のご希望を聞き取る用紙は、住宅ヒアリングシートテンプレートで解説しています。
たとえばお客さんが地震を心配して質問してきたら、営業社員はタブレットでも紙でもよいので、すぐに該当する資料を探し出して見せなくてはなりません。ところがC君は、シロアリについての質問を受けたとき、どこに何があるのかを把握しているとは思えない慌てぶりでした。
「えっと、シロアリはですね・・・・ ええ、ちょっとお待ちください・・・」
C君はこう言いながら、タブレットとファイルを一生懸命往復して資料を探していました。
探す間に場つなぎの会話をすればまだよいのですが、余裕のないC君はひたすら無言で探し続け、お客さんもその間ずっと言葉を発しませんでした。
住宅営業として何としても避けたい微妙な間で、この沈黙がビビリのC君をさらにビビらせていました。
A4の自己紹介シートを講義のように棒読みした
C君は最初の自己紹介も妙でした。C君の勤める住宅会社では、営業社員が自己紹介文をA4一枚のシートにまとめ、折衝のはじめにお客さんに見せて自己紹介をする決まりになっています。
ところがC君は、お客さんの目の前に広げた自己紹介シートを、大学の講義よろしく棒読みし始めました。
私も見ていてさすがに痛く感じましたし、営業社員はシートの内容を一から十まで読むのではなく、シートを参考にしながら自分の言葉で自己紹介するのが普通です。
初めて会う営業マンの自己紹介を何の面白味もなく聞かされたお客さんは、実に気の毒でした。
自己紹介の紙を使って営業社員自身を知ってもらう方法は、住宅営業で売れる自己開示のコツで解説しています。
次アポを取らずに終わった初回面談の締め方
住宅営業であれば、初回面談の次の約束を取るように話を誘導するのが当たり前の流れです。今回の折衝は、どこからどう見ても次アポが取れるとは思えない内容でしたが、C君には次アポを取りにいく意識そのものが欠けていました。
C君は40分ほど話をしましたが、余裕がなかったのか、途中で次アポに持っていく会話の展開は皆無でした。さらにC君は、商談の締めでも次回のアポイントの話をせず、次のトークで終えてしまいました。
C君「 ・・・ということですね、何かご質問あるでしょうか?」
客 「う~ん・・・特にはないですね」
C君「分かりました。 では、この続きはどうしましょうか?」
客 「とりあえず今日のお話で全体像分かりましたので、何かありましたらまたご連絡します」
C君「分かりました・・・ ではそういうことで」
営業社員が商談の最後にお客さんへ「次はどうしましょう」と聞いたら、話になりません。お客さんとしては「次はどうするって、そんなこと俺が聞きたいよ」と思うのが関の山です。
C君はこの投げかけをおかしいと思っていないようでしたが、私はコンサルの立場ですので、こうしたC君にも何とか立ち直ってもらうよう努力しなくてはいけません(笑)。営業側から次の約束を提案する流れは、住宅営業のアポ取りのコツで解説しています。
初回面談の失敗を防ぐロープレの進め方
お客さんとのやり取りの中で営業社員が言葉に詰まったり、当意即妙な応対ができなかったりすると、商談の場は一瞬にして冷めてしまいます。この弱点を克服するにはロープレが最適だというのが、私の23年間にわたるコンサルティング経験の結論です。
ロープレを取り入れて新人営業を育てる方法は、住宅営業の新卒研修の進め方で解説しています。
住宅会社は、営業社員が集まって何気ない会話の訓練をする場を設けてください。
こうした訓練を馬鹿にすると、住宅会社は大きなしっぺ返しを食らいます。
初回接客の組み立て全体は、住宅営業の初回接客のコツで解説しています。
まとめ
新卒3ヶ月目のC君の初回面談では、数字への突っ込みで慌てる、キッチンのデメリットに意見を言えない、他社の名前に黙り込む、無言で資料を探す、自己紹介シートを棒読みする、次アポを取らずに締めるという6つの失敗が重なりました。どれも些細なことですが、C君の商談では、その積み重ねでお客さんの不信を買いました。
こうした失敗は、営業社員が集まって何気ない会話をロープレで繰り返すことで防げます。
ぜひ本記事のC君の6つの失敗場面を参考に、次の営業会議でロープレの題材を決めてください。



