住宅営業の新人育成はイベント企画で|新卒3人に任せた事例

4月に入社した新人の住宅営業は、担当する折衝案件がほとんどありません。
雑務を片付けると、手が空いてしまいます。
上司が「仕事を自分で創り出せ」と言っても、新人は何をすればよいのか分からず、契約が上がらないまま1年が過ぎていきます。
私がコンサル先で勧めているのは、5月か6月に、イベントの企画運営を新人に任せる方法です。
2019年に東北のFホームで新卒3人に現場見学会を企画させたところ、土日2日間で新規のお客さんが6組来場しました。
3人は翌月にも、自分たちで次の企画を立てて実行しました。
本記事では、Fホームの事例をもとに、住宅営業の新人育成でイベントの自主企画を任せる方法と、新人に身につく意識を解説します。
住宅営業の新人育成で「仕事を創り出せ」が通じない理由
住宅会社に入った新人営業は、具体的な折衝案件が少ないため、手持ち無沙汰になりがちです。
会社によって差はありますが、折衝そのものが少ないので、新人が暇になるのは当然です。
雑務があるといっても量は知れている、と私は考えています。
この状態を上司が放っておくと、新人は契約が上がらないまま、あっという間に1年を過ごしてしまいます。
手の空いた新人に対して、住宅会社の上司がよく口にするのが「仕事を自分で創り出せ」という叱責です。
上司の言っていることは分かります。
しかし、新人が実際に動こうとしても、何をどう創り出せばよいのかが分かりません。
入社2、3か月の新入社員が、自分から現場見学会を企画しようと考えることは、まずありません。
そこで私は、新人が仕事を創り出すきっかけとして、イベントの企画運営を任せることを勧めています。
入社直後の4月ではまだ早すぎますが、ゴールデンウィークが終わって5月か6月になれば任せられます。
上司は事前にチェックします。
そのうえで、経費が低く、住宅会社が迷惑を被る危険さえなければ、上司はどんどん任せてやらせればよいと私は考えています。
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新人営業に現場見学会を企画させた住宅会社の事例(2019年・Fホーム)
2019年の話です。
東北地方のある県庁所在地に本社を構えるFホームは、この年に新卒の営業社員を3人採用しました。
私は2018年9月からFホームに関わっていました。
3人は、私が関わるようになってから初めて入社した新卒社員でした。
指示は「なんでもいいから3人で一緒に考えて」だけ
2019年6月の頭だったと記憶していますが、私は3人の新卒社員に、イベントを企画して実行するよう指示を出しました。
私が出した条件は、「なんでもいいから3人で一緒に考えて」という一言だけです。
ただ、経費がべらぼうにかかっては困ります。
そのため、私はなるべく低経費でやるようにとだけ付け加えました。
Fホームの社長も、最初は不安がっていました。
私が「大して戦力になってるわけじゃありませんし、普段も特に何かしてるというわけでもないですから」と説得して、企画はスタートしました。
検討期間は2週間とし、その後に3人から企画内容を発表してもらうことにしました。
平凡な現場見学会の中で目を引いた〇〇市の年齢層マップ
2週間後、私は3人からプレゼンテーションを受けました。
出てきた企画は、ごく一般的な現場見学会でした(笑)。
私たちが想像もしないような面白い企画を作ってくるのかと、私は少し期待していましたが、さすがにそれは買いかぶりすぎでした。
それでも私は、新人の最初の企画としてはこれでいいと考えました。
企画案に目新しさはありませんでしたが、来場者へのプレゼントだけは私の目を引きました。
森「来場者プレゼントが面白そうなんだけども」
新卒君「展示場などに来られる方はその多くが土地も探しておられる方だということだと思います。従いまして土地を探している人であれば興味を持つようなお土産を持ち帰ってもらおうと考えた次第です」
森「で、これは一体どんなものなの?」
この後、私は新卒君から色々とレクチャーを受けました。
プレゼントの資料は、なかなか秀逸でした。
見学会の会場は人口30万人程度の〇〇市です。
3人は、〇〇市で土地を探している人が多く来場すると予想していました。
資料は〇〇市の地図を細かくエリアごとに分けて色分けしたもので、各ブロックに住む人の年齢層が一目で分かるようになっていました。
資料には、ある地域は50代以上の人が多め、その隣の地区は30代の人が比較的多い、といった情報が載っていました。
私も、確かに興味深いと思いました。
たとえば50代のお客さんであれば、「周辺が20代30代の人達ばかりの地域もちょっとなんだなぁ……」と考えるかもしれません。
この資料はネットには無いもので、3人のうち1人が大学時代に研究した資料をもとに作成しました。
新入社員が、他社には真似ができない来場者プレゼントを作ったわけです。
土日2日間の集客とプレゼント目当ての一級建築士
見学会の集客は、土日2日間で新規のお客さんが6組、管理客が4組でした。ほかに近所の方が3組来場し、さらに一級建築士の方も見えました。
一級建築士の方は受付テントで、「私は一級建築士事務所を経営してるものでして、家を建てる予定は全くないのですが見学させてもらってもよろしいですか」と申し出ました。
アンケートさえ記入していただければ問題はありません。
そのため、Fホームではそのまま見学していただきました。
ところが、一級建築士の方は帰り際に来場者プレゼントを受け取ると、プレゼントについて話し始めました。
見学会の来場者に記入してもらうアンケートの項目は、イベントアンケートテンプレートで解説しています。
「これですか、実はこのプレゼントに関心がありまして、どんなものなんだろうな・・・と思ったんですよ」
これは私の推測ですが、一級建築士の方は建物を見に来たのではありません。
来場者プレゼントをもらいに来たのだと思います。
新卒君がひねり出したプレゼントは、それだけ人の目を引く面白いものでした。
住宅展示場がある会社ほど新人が待ちの営業になる
私はコンサル先で、いつも社長に進言していることがあります。
住宅展示場を持っている住宅会社では、営業社員が総じて待ちの営業になってしまう、ということです。
展示場はお客さんを待つためにある施設なので、営業社員が待ちの営業になるのは当然といえば当然です。
土日祭日になると、営業社員は朝から展示場に待機して、お客さんの来場を知らせるチャイムが鳴るのをひたすら待ち続けます。
チャイムが鳴ると、営業社員は順番に接客に出ます。
そして「いいお客さんに当たらないかな……」と念じながら接客します。
展示場の来場予約が増えて若手の接客機会が減る問題と、現場見学会を増やして補う育成策は、若手営業の育成と現場見学会の事例で解説しています。
展示場への来場がぱったり無くなれば、営業社員は困ります。
そのため、本来なら営業社員は自分からお客さんを探しに行かなければなりません。
しかし、普段から待ちの営業に慣れている営業社員は、自ら進んで動くことは決してありません。
新人のうちに、見込み客を自分で探す癖をつけさせておく必要があるのは、そのためです。
過去の名簿を新人に訪問させる方法は住宅営業の新卒研修での放棄リスト訪問で解説しています。
イベントの自主企画で新人営業に身につく2つの意識
Fホームの3人の新卒営業社員は、最初のイベントを終えると、翌月にも早速新たな企画を考えて実行に移しました。
2回目も、私は低予算を条件にしました。
どう集客して接客し、契約に持っていくかは、3人に考えさせました。
私が最初のイベントを指示しなければ、3人がこうした動きを取ることは、まず無かったはずです。
初回だけリードして指示を出せば、入社して間もない新人でも2つの意識を身につけます。
1つは「お客さんは自分で探してこなくてはいけない」という意識で、もう1つは「自分たちだけで企画しても構わない」という意識です。
新卒が入社間もない段階でこうした意識を持てば、住宅会社にとっては極めて大きな収穫です。
新人に役割を任せて伸ばす育て方は、住宅営業の新人研修での役割の持たせ方で解説しています。
ですから私は、コンサル先に新入社員が入ってくると、このようにイベントを企画させて実行させています。入社後に伸びていく新卒営業の共通点は住宅営業の新人育成の事例で解説しています。
まとめ
住宅営業の新人は折衝案件が少なく、上司から「仕事を自分で創り出せ」と言われても動けません。5月か6月にイベントの企画運営を任せ、初回だけリードすれば、新人は見込み客を自分で探す意識と、自分たちで企画してよいという意識を身につけます。
Fホームの3人は平凡な現場見学会から始めましたが、他社に真似のできない来場者プレゼントで集客しました。翌月には、3人は自分たちで次のイベントを実行しました。
ぜひ本記事のFホームの事例を参考に、新入社員にイベントの企画を任せてみてください。


