新入社員の営業研修|展示場ロープレで13人が答えられなかった質問

先日、私がある住宅会社の住宅展示場で行ったロープレ研修では、新入社員13人の誰一人として、展示場にあるエレベーターの価格やメンテナンス費用に答えられませんでした。新入社員の営業研修は、実際の住宅展示場で質問や雑談を振ると、知識の穴と会話をつなぐ力の弱さがはっきり分かります。
本記事では、展示場ロープレ研修で実際にあった場面をもとに、新入社員の営業研修で確認すべき知識と、雑談ロープレの進め方を解説します。
住宅展示場で行う新入社員の営業研修(ロープレ)
私はコンサル先の住宅会社で、毎月20件程度の営業面談をリモートでこなしています。リモートでもロープレに近い掛け合いはやりますが、実際の住宅展示場を使うロープレは臨場感がまったく違います。
この日のロープレ研修に参加したのは、今年入社した1年目の営業13人です。
私が住宅展示場の部屋ごとに話を振り、新入社員がお客さんへの応対として答える形で進めました。
1年目にしてはよくできていると感じた場面がある一方で、首をかしげたくなる場面や、「〇〇のことは誰も知らないんだ」とかなり驚いた場面もありました。
自社に1年目の営業がいる住宅会社は、これから紹介する内容と比べてみてください。
新型コロナが落ち着いてリモートだけの時代は終わり、私のところでもリアルの研修が急に増えています。
こうしたロールプレイング研修は、12月だけでもあと3回控えています。
新卒研修全体をどんな順番で組むかは、住宅営業の新卒研修の事例で解説しています。
新入社員の営業研修で分かった住宅知識の不足(和室とエレベーター)
書院造を知る新入社員がいなかった和室のロープレ
写真は、新入社員のロープレ研修で和室を使った場面です。
私が和室で新入社員にいろいろと話を振り、新入社員が答えていました。
和室での質問の途中で、私は全員にこう聞きました。
私「書院造がわかる人、手を上げてくれる?」
この質問に手を上げた営業はいませんでした。
和室にまったく興味がない人や、そもそも和室を作らない人がかなり増えているのが現状です。
それでも住宅営業の仕事をしているからには、営業担当は最低限の和室の知識や名称ぐらいは覚えておくべきです。
ところが、新入社員の誰一人として、書院造という言葉すら聞いたことがありませんでした。
13人全員が答えられなかった家庭用エレベーターの質問
エレベーターがついている住宅展示場を持つ工務店は少ないでしょう。
大手ハウスメーカーでも2階建ての展示場にはついていませんし、3階建てでも付けないことがあります。
お客さんとの商談を思い浮かべても、エレベーターの話が具体的に出るケースはほぼありません。
ただ、この日の住宅展示場にはエレベーターがついていたので、私は和室に続いてエレベーターの前でも同じようにロープレをしました。
私「この展示場はエレベーターがついているんですね」
新卒「そうですね」
私「エレベーターはいいけど本体価格も高そうだし、あとはメンテナンスなんかも大変なんでしょ?」
新卒「はい、確かにそれなりに価格はしますし、メンテナンスも当然すべきだと思います」
私「本体価格っていくらぐらいするの?工事費込みで」
新卒「すみません・・・ちょっとわからないので、後から調べてお知らせします」
私「メンテナンスの頻度はどのくらい?それとメンテナンスにかかる費用は?」
新卒「それもちょっと知らないので・・・後から・・・」
私はこの段階でロールプレイングを止め、参加していた13人の営業全員にこう聞きました。
私「今の質問に答えられる人はいる?」
この質問にも、誰も手を上げませんでした。
現実的には、住宅展示場に来るお客さんのうち、エレベーターを真剣に検討する人の割合は極めて低いと考えられます。
エレベーターを付けるのは3階建て以上が普通なので、関東圏などの大都市ならともかく、地方都市ではさらに縁遠い設備です。
しかし、何組か接客していれば関心を示すお客さんもいますし、最初からエレベーターを付けると決めているお客さんも当然やってきます。
そうしたお客さんにこの日のような応対をすれば、営業担当は信頼を失います。勤務先の住宅展示場にエレベーターがなければまだしも、設置されているのに営業担当が答えられないのは論外と言うしかありません。
和室の名称は上司の指示と確認テストで覚えさせる
新入社員が書院造を知らなかった責任は、上司にあります。
上司は、自社の住宅展示場に和室があるなら、和室の細かな名称を独学で覚えておくよう指示を出せば良いだけです。
1週間ほどしたら「確認のテストをやるぞ」と伝えておけば、新入社員はちゃんと勉強するので、知識の穴は相当カバーされます。
たったこれだけの指示を、この住宅会社の上司はやっていなかったのです。
新卒を迎える前に上司へ行う教育と、体系的な研修の進め方は、新卒住宅営業の上司教育で解説しています。
新入社員が知らなかった「蛍族」と喫煙の間取り提案
ロープレ研修では、私が面白いな~と思ったこともありました。
家族全員がたばこを吸う家庭はまれだと思いますが、ご主人だけが喫煙者で、ほかの家族はたばこを毛嫌いしているケースはそれなりにあります。
そうした家庭のご主人は室内でたばこを吸うわけにいかないので、吸うときだけ玄関先やベランダに出て一服します。
このスタイルを蛍族と言いますが、新入社員はこの言葉を知りませんでした。
ウィキペディアの解説によると、蛍族という言葉は1989年頃から使われるようになりました。
語源は、マンションのベランダで出入りしながら喫煙するたばこの火種が、蛍の光のように見えることです。
蛍族は主に喫煙する父親を指す言葉で、登場した当時は父親の権威が失墜したことを象徴する社会現象と分析されました。
広い意味では、換気扇の下や自宅の庭、玄関前など、家族から離れて喫煙する行動も指します。
1989年頃に生まれた言葉なので、新入社員が生まれる前の話であり、新入社員が知らないのはうなずけます。しかし、若くても知っている人は知っていますし、50代以上のお客さんが来場したときは、営業担当はお客さんが知っているものと考えて話すべきです。
住宅にまったく関係ない言葉なら、死語として扱ってもかまいません。
ところが、室内でたばこを吸うか吸わないかは、住宅営業にとって提案ポイントの一つになります。
若者にとっては死語であっても、住宅に関わる用語は一つ一つ押さえておくべきだと私は考えます。
住宅の基本知識をカタログのテストやロープレで身につけさせる方法は、新卒住宅営業の基本知識の教え方で解説しています。
雑談ロープレを新入社員の営業研修に入れる理由
住宅営業では雑談の力が商談を左右する
住宅営業では、お客さんと交わす雑談の力が、その後の商談に大きな影響を与えます。
家の話をしているのだから家の話だけでもいい、という考え方もあるかもしれません。
しかし住宅は他の商品と違い、お客さんは契約に至るまで営業担当とかなり深い折衝を重ねますし、契約後もずっと関係が続きます。
そう考えると、お客さんにとっても、事務的にしか話せないつまらない営業担当より、気さくな会話がすぐにできる担当者のほうが気が楽です。
そのため私はロープレで、住宅展示場の各部屋で家とはまったく関係ないような雑談を咄嗟(とっさ)に振り、新入社員の反応を試しています。若手営業の時事知識の不足と雑談の練習方法は、住宅営業ロープレの進め方で解説しています。
リビングで振った子どものゲームの話に答えられなかった場面
リビングでは、私がお客さん役になって突然こう話しかけました。
私「このリビングいいね~!広さはどのくらいあるの?」
営業「25畳程度あります。この広さどう思われますか?」
私「これだけやったら十分じゃないかな。この大きなテレビもいいね!やっぱり壁掛け式がいいのかな」
営業「最近はそちらを選ばれる方も多いですね」
私「うちもそう考えてるんだけど・・・ただね、こんなところに大きなテレビつけたら子供がゲームを朝から晩までやるために張り付いてしまうと思うんだよね。今もしょっちゅう注意してるんだけど全然治らなくて困ってるんだよ」
営業「そうですか・・・ハハハ(笑)」
営業担当の言葉は、この後続きませんでした。このやり取りでは、お客さん役の私が今の生活の様子を自分から話しており、しかも子どものゲームはお客さんが困っていることです。
住宅営業の仕事は、お客さんが今の生活で困っていることをいかに聞き出すかが勝負です。
営業担当は困りごとを労せずに得られたのですから、そこから咄嗟に話をつなげられるかどうかが重要です。
ところが、この営業担当は何も答えられず、笑って話を終わらせてしまいました。
雑談への対応力が鍛えられれば、営業の力は間違いなく上がります。住宅会社の新入社員の営業研修でも、ぜひこうした雑談ロープレを実行してください。
まとめ
先日の住宅展示場でのロープレ研修では、新入社員は書院造も、展示場にあるエレベーターの価格やメンテナンスも、蛍族という言葉も知らず、リビングでの雑談も続けられませんでした。実際に会って研修をすると、こうした注視すべき問題点がいくつも出てきます。
和室の名称などの知識は上司の指示と確認テストで、雑談の対応力は部屋ごとの雑談ロープレで鍛えられます。今後もロープレであった実例を、このコラムで紹介していきます。
ぜひ本記事の展示場ロープレの実例を参考に、自社の新入社員の営業研修に知識の確認テストと雑談ロープレを加えてください。



