住宅展示場の集客の実態|千葉の総合展示場に1日張り付いて見た接客

総合住宅展示場に出展していても、土曜日にモデルハウスへ入ってくるお客さんがまばらな日があります。SUUMOなどから来場予約が入っても、そのお客さんが商談だけ済ませて、展示場を見ずに帰ることもあります。
住宅展示場は、モデルハウスを建てておけば集客できる場所ではありません。
私が1月11日の土曜日に千葉県の総合住宅展示場へ1日張り付いたときも来場客はまばらでした。
延べ40棟前後が建つ幕張展示場では、フリーのお客さんが回れるのは7〜8社が限界です。
本記事では、千葉の総合住宅展示場で見た集客の実態と、来場予約・イベント・初回接客の事例を解説します。
千葉の総合住宅展示場で見た集客の実態
取材当日、私は千葉県の千葉展示場と幕張展示場の2か所を回りました。
目的は、ある住宅メーカーの展示場に張り付いて営業社員の接客を見ることです。
私は接客と同時に展示場もいろいろ観察し、問題点があれば指摘する役目も担っていました。
土曜日なのに来場客はまばらだった
取材日は土曜日で、本来ならそれなりにお客さんが展示場にいないとおかしい日でした。天気も良かったのですが、パッと見た感じでは来場客は本当にまばらで、かなり寂しい状況でした。
それでも、私がお邪魔したハウスメーカーは予定目標数を達成し、利益もしっかり取っています。
新築の件数はこれからもどんどん減っていきます。
総合住宅展示場に入っている以上、そのハウスメーカーは一定規模以上の知名度がある住宅会社ですが、やることさえやれば受注が取れることを証明しています。
私は、規模の大小に関わらず、どの住宅会社もやることをやれば同じように安定した受注が取れると考えています。
延べ40棟前後の幕張展示場で回れるのは7〜8社
展示場を持っていない住宅会社の方から、「展示場があればお客さんがやってくるわけだから羨ましいよね」という声をたまに耳にします。
もちろん出展には経費がかかるので、住宅会社はそのバランスを考えなくてはいけません。
そのうえで私は、展示場を持っていればお客さんが来るというのは、かなり幻想に近いと考えています。
出展にかかる経費と展示場を持つ意味の考え方は、総合住宅展示場の縮小と工務店の展示場戦略で解説しています。
幕張展示場は実に広大で、モデルハウスが延べで40棟前後建っています。
フリーで来たお客さんがすべてを回るのは無理で、足早に見学しても7〜8社が限界でしょう。
そのため、立地条件の良くないモデルハウスや、古くなって外観が少し見劣りするモデルハウスには、恐ろしいほどお客さんが来ません。
そうした住宅会社では、総合住宅展示場に入りながら、営業社員が自分たちで集客しようと努力しています。
住宅展示場の集客はフリー来場と来場予約が半々
来場客が少ない日でも、フリーで来場するお客さんはいます。住宅会社によって違いますが、私がお邪魔したハウスメーカーでは、フリーのお客さんとSUUMOなどから来る来場予約のお客さんが、だいたい半々だと営業所長が話していました。
フリーで来場するお客さんの中にいる冷やかし客への対応は、住宅展示場の冷やかし客の見分け方で解説しています。
来場予約のお客さんが展示場を見ずに帰る理由
SUUMOなどを経由して来場するお客さんの中には、来場してすぐに商談を始め、そのまま展示場を見学せずに帰る人がときどきいます。お客さんは一般的に、2社か3社を予約して総合住宅展示場にやってきます。
私が横で見ていたお客さんは、午後1時にこのハウスメーカーとの商談を始め、終了予定は午後3時でした。実際に商談が終わったのは3時15分ごろで、営業社員がせっかくですからと展示場の見学を促すと、お客さんはこう答えました。
「すいません、実は3時半から〇〇ハウスさんとの約束なんですよ」
来場時にお客さんから何を聞き取るかは、住宅展示場の接客で使う来場アンケートで解説しています。
新春の人力車イベントで住宅展示場を一周した体験
千葉展示場では、新春のイベントとして人力車が1台配置され、来場客への乗車サービスを行っていました。人力車を見つけた私は車夫の方に声をかけ、乗せてもらって展示場を一周しました。
私は来場客でも何でもありませんが、人力車は本来、住宅展示場に来場したお客さんへのサービスという位置付けです。
車夫の方が会場に張り付き、乗りたいお客さんを乗せて会場を1周します。
住宅展示場を人力車に乗って流すのは、なかなか面白い経験でした。
車夫の方は浅草が拠点とのことなので、関東圏の近場であれば呼ぶことができます。
招へいにかかる経費は、時代屋の人力車サービスのページに書いてあります。
住宅イベントがうまくいく場合と失敗する場合の違いは、工務店の集客イベントの成功例と失敗例で解説しています。
「私たちの趣味とは違う」と言われた展示場の初回接客
私はこの日、お客さんの視界から外れたところで何件もの商談を聞きましたが、その中に大変面白い案件がありました。
開口一番に「趣味とは違う」と言ったお客さん
フリーで展示場に来るお客さんは、そのモデルハウスの外観に一定の興味や関心を持ったから来ているはずです。
ところがこの日は、とても変わったお客さんが一組やってきました。
そのお客さんは展示場を一通り見学した後、リビングのテーブルに営業社員と着座すると、開口一番こう言いました。
「外観も正直ピンとこないのですが、実際展示場の中を見ても私たちの趣味とはちょっと違うなって感じがするんです」
お客さんがいきなり営業社員にカウンターパンチを繰り出したわけです。私は長年こうした活動をしていますが、このように口火を切るお客さんは初めてで面食らいました。
ただ、お客さんがはっきり言ってくれるのは、住宅営業としては極めてありがたいことです。お客さんが心の中で後ろ向きな気持ちを持ったまま上辺だけで話を聞くより、営業社員にも対処のしようがあるからです。
好みの違いを聞き出す営業社員の切り返し
営業社員は、次のように切り返しました。
営業「そうですか……少し残念ですが、逆にどこがお客さんのフィーリングに合わなかったのかが、私はとても関心があるので教えてもらえませんか?」
横で聞いていた私は、非常にいい切り返しだと思いました。
このトークを受けて、奥さんはデザイン性や色合い、間取りの動線などを一つ一つ挙げて説明していきました。
営業社員はそれに対し、展示場はたまたまこうなっているだけで、お客さんの好みに合う住宅を自由自在につくれますと必死に食い下がりました。
結局、お客さんは30分ほどでフェードアウトするように帰ってしまいました。
それでも私は、内心「いい研修題材ができたな」と満足していました。
実際の接客を研修に生かす方法の一つとして、展示場巡りで行う住宅営業の競合調査を別の記事で解説しています。
地域で変わる住宅展示場の接客トーク(福岡のPM2.5)
私は千葉の翌週に、福岡県の住宅展示場にも1日張り付く予定です。千葉とは全く別の住宅会社ですが、千葉と福岡では営業社員の接客内容も微妙に違い、なかなか面白いものがあります。
九州は朝鮮半島に近いこともあり、どうしてもPM2.5の影響を受けやすい地域です。
福岡県あたりでは、春先になるとNHKのニュースなどが翌日のPM2.5予報を放映します。
そのためこれからの時期の福岡の住宅展示場では、営業社員とお客さんの間でこんなやり取りがよく起こります。
営業「今日のPM2.5はかなり高い値ですが、弊社の住宅は空気を循環させてフィルターできっちりとそれをキャッチしてますから安心ですよ」
客「今日はかなりひどいと昨日のニュースでやってましたからね。家を建てるとき、それは大きな関心事です」
住宅営業が触れるトークの内容が地域によってこのように変わるのは、大変興味深いところです。
福岡の展示場で見た接客事例と地域別の話し方は、住宅営業のPM2.5対策トークで解説しています。
まとめ
住宅展示場は、出展しておけば集客できる場所ではありません。1月11日の千葉の総合住宅展示場は土曜日でも来場客がまばらで、私がお邪魔したハウスメーカーでは来場の半分ほどがSUUMOなどからの来場予約でした。
フリー来場のお客さんに「趣味に合わない」と言われても、営業社員は好みの違いを聞き出す切り返しができます。何も問題がないように見える商談でも、横で耳を澄ませて聞いていると「今のはなんかおかしいな」と気づくことがあり、ちょっとした対応が初回面談を台無しにする事例はいくらでもあります。
ぜひ本記事の千葉の総合住宅展示場での事例を参考に、自社の展示場の来場経路と初回接客を見直してください。



