住宅展示場のキッチン接客|ホットプレートで収納の不満を聞く事例

キッチン接客で住宅営業が勝負するのは設備の説明ではありません。
奥さんが持っているキッチンへの不満、とくに収納不足をどれだけ吸い上げられるかです。
私のコンサルティング経験から、システムキッチンの一番下の引き出しにホットプレートを仕込み、収納の不満を聞き出すトークもご紹介します。
本記事では、メーカーカタログの読み込み方から、アンケートを使ったヒアリング、ホットプレートを使った収納トークまで、住宅展示場のキッチン接客の進め方を解説します。
住宅展示場のキッチン接客で住宅営業がめざすこと
住宅営業は、自社が持つ住宅展示場に来たお客さんを接客し、アポイントを取って商談へ持ち込むことを狙っています。住宅営業は接客の中でさまざまなプレゼンテーションを仕掛け、「弊社は素晴らしい」「弊社の設計力は最高だ」ということを嫌味なく伝えなくてはなりません。
住宅営業が接客の途中で必ず立ち寄るのがキッチンです。
住宅営業がキッチンの設備仕様を説明するだけでは、ただのキッチン販売員になってしまいます。
住宅営業がキッチンでめざすのは、奥さんに次のように感じてもらうことです。
「この人は私の悩みをわかってくれるし、引き出しをいっぱい持っているわね」
奥さんへの接し方は、ハウスメーカーの営業トーク事例で解説しています。
キッチン接客の前に住宅営業がメーカーのカタログを読み込む理由
キッチン接客は、まず正攻法で挑みます。正攻法とはキッチンメーカーがうたっている仕様の説明のことで、住宅営業が仕様を説明できなければ次のステップに進めません。
ところが、私が現場で接客チェックをすると、つまらない説明しかしない住宅営業の多さに驚かされます。
「ここにも引き出しがありまして収納が多く取れますね。天板は人造大理石ですので見た目も綺麗でお手入れも楽ですよ。またIHクッキングヒーターを使っていますのでお手入れが簡単です……」
住宅営業の言っていることに間違いはありませんが、そうしたことは奥さんが見れば分かります。
住宅営業はメーカーのカタログを読み込み、奥さんがぱっと見ただけでは気づかないことをアドバイスしてください。
それだけで、奥さんが受け取るキッチンのイメージは全然違ってきます。
TOTOザ・クラッソのカタログに載っている売りポイント
TOTOのシステムキッチン「ザ・クラッソ」のカタログには、たとえば次の売りポイントが書かれています。
- キレイ除菌水:薬品を使わずに水を電気分解して、クリーンな水を作る
- ゼロフィルターeco:汚れやすいレンジフードの大変な掃除が楽で、取り外すパーツは3つだけ
- タッチスイッチ水ほうき水栓:軽いワンタッチで水が出て、ほうきのように広がるので作業や掃除がしやすい
- すべり台シンク:傾斜がついたシンクで水が排水口へすべるように流れ、排水口が奥にあるのでふさがずにスペースを広く使える
ここで挙げたのは4点だけで、カタログには実際には30程度のポイントが書かれています。つまり住宅営業は、キッチンを説明するときに30もの切り口で奥さんにアプローチできるわけです。
30のポイントを覚えたうえで、接客の場で選んで話す
ただし、30ものポイントを順番に解説されたら、お客さんはたまったものではありません。住宅営業はその場の空気を読んで話す項目を選び、強弱をつけて伝えます。
その場の空気を読み、お客さんの心を見抜く力の育て方は、新人教育での見栄とプライドの読み方で解説しています。
ザ・クラッソに限らず、どのシステムキッチンにも売りポイントはたくさんあり、カタログを見ればすぐに分かります。
それなのに、売りポイントそのものを知らない住宅営業が多すぎるのが実態です。
私は現役時代に商品カタログを嫌というほど暗記させられたので、キッチン接客でトークに困ったことは全くありませんでした。
ネタをどう絞るかには悩みましたが、ネタの引き出しが空っぽになることはありませんでした。
キッチンで効果のある接客をしたい住宅営業は、製品カタログを読み込むことから始めてください。
アンケートで奥さんがキッチンで困っていることを調べる
住宅営業が奥さんの共感を得るには、世の中の奥さんがキッチンでどんなことに困っているかを先に知っておく必要があり、こうした情報はネットで集められます。参考になるのが、オールアバウト、三菱レイヨン、クリンスイが2012年に行った調査で、少し古いデータですが、キッチン接客の材料にするには大きな問題はありません。



3つのアンケートのうち最初のアンケートでは、奥さんがキッチンで最も不満に感じているのは収納の少なさでした。
収納の不満を聞き出す会話例
収納の少なさが1位なのは想定どおりですが、住宅営業の頭にこのデータが入っていれば、調査結果を話のきっかけにして奥さんに問いかけられます。
営業「ある調査によると、キッチンで奥さんが最も困っていることが収納の不足らしいですね。いかがですか?」
奥様「たしかに収納に困るのよね。今の家もそうなの。あとは作業スペースも狭くてどうしようもないわ」
住宅営業の問いかけに対して、奥さんから収納に困っているという答えが力強く返ってくれば、目の前の奥さんが強い不満を持っている証拠です。住宅営業が強い不満を察知して共感する気持ちを示すことが、奥さんからの大きな信頼につながります。
奥さんの不安を受け止めずに否定してしまう場面などの接客の失敗は、住宅展示場の接客失敗事例で解説しています。
3位の「においがこもる」を展示場のキッチンの説明につなげる
最初のアンケートの3位には「においがこもる」が入っており、接客中の奥さんも、いま住んでいる家のキッチンでにおいの問題を抱えている可能性があります。住宅営業はそのうえで、自社の展示場に入れているキッチンがこの不満をどう解消できるのかを説明していきます。
ホットプレートを仕込むキッチン収納のヒアリングトーク
ここからは、私のコンサルティング経験から得たトークです。奥さんが収納に困っているという話を、住宅営業はもっと具体的な道具の話に落としていきます。
一番下の引き出しにホットプレートを入れておく
ホットプレートは、お好み焼きや焼きそばを家族みんなでわいわい作る調理器具ですが、横に平べったく場所をとるのが最大の欠点です。住宅営業はキッチンで、奥さんにこう聞いてみてください。
「ホットプレートをお持ちですか?あれは収納場所に困るのですよね」
奥さんがホットプレートを持っていなければ話は進みませんが、持っていれば強い同意を得られるはずです。
同意を得たら、住宅営業はシステムキッチンの一番下の引き出しを開けます。
住宅営業は一番下の引き出しに最初からホットプレートを仕込んでおき、開けた瞬間に奥さんの目の前に現れるよう、話をそこに寄せていくわけです。
引き出しを開けたら、住宅営業は次のように続けます。
「こちらをご覧ください。皆さんもお困りであるホットプレートは、ここにしっかりと収納できるのです」
住宅営業はアンケートなどのデータで奥さんがキッチンで困っていることを調べ、その話を振って同意を得てから、展示場のキッチンで解決策を見せます。
今の暮らしの不満を聞く質問から契約につなげた会話の実例は、家にこだわりがない客の接客で解説しています。
食料の備蓄の話からキッチン裏の食品収納庫を提案する
3つ目のアンケートでは、「キッチンをすっきり見せる工夫」という問いに対して、上から4番目に「食料、飲料の備蓄を減らす」が入っています。
住宅営業はこのデータを引き合いに出し、キッチン裏に食品専用の収納庫を作る提案をしてみてください。
住宅会社が展示場そのものをキッチン裏に食品の収納庫がある設計にしておけば、奥さんとの話が弾むはずです。
まとめ
住宅展示場のキッチン接客は、住宅営業がメーカーのカタログを読み込んで売りポイントの引き出しを増やし、アンケートで奥さんの不満を先に知っておくことが土台になります。そのうえで住宅営業は、ホットプレートを仕込んだ引き出しやキッチン裏の食品収納庫のように、奥さんの不満を解消する答えを展示場の中に用意しておきます。
ぜひ本記事のホットプレートのトークを参考に、自社の住宅展示場のキッチンに何を仕込んでおくかを見直してください。



