受注テクニック 私はこうして競合に勝った

私はこうして競合に勝った(負けた)⑦・・・実邸案内は慎重に

「私はこうして競合に勝った!」・・・①レスポンスの速さがいかに重要か

新築住宅の受注における商談過程で重要なポジションを占めるのが、 お客様が実際に住んでいる家の実邸案内です。

自社の工務店で実際に家を建てて住んでいる方の話をお客様に聞いていただけるわけですから、この効果は抜群です。

しかも、見ず知らずの他人に自分の家の中を見せてくれるのですから、当該工務店との関係も当然良好ですし、一定の満足ラインを越えているのです。

こんな家を見学したお客さんは、対応さえ間違わなければ好印象を持つ可能性は極めて高いでしょう。

印象が良ければ受注に一歩近づくのは当たり前の話ですし、自分の家づくりに対して、わざわざ人が住んでいる家まで見せてくれたという気持ちも働くので、工務店に対して親近感がわくのと同時に、ここまでしてもらって断るのは悪いなという気持ちが生じるものです。

私はこうして競合に勝った(負けた)⑦・・・実邸案内は慎重に

大手ハウスメーカーは展示場もたくさんありますし、ショールームもあれば現場見学会など商談中のお客様をお連れする場所が無数に存在します。

しかし、小規模工務店はどうでしょう。

年間に5~6棟の建築実績の工務店では、展示場はもちろんですがショールームも普通はありませんし、現場の数も少ないので建築途中の現場見学会や新築現場見学会を頻繁に開催するわけにはいきません。

このように考えると、これまで引き渡してきたお客さんのお宅をご案内することができれば、極めて高い効果を発揮する営業戦略になると思います。

へーベルハウスは積極的

展示場をたくさん保有するへーベルハウスは、築年数の浅い深いに関わらず、お客さんのお宅へお連れすることを現場営業が積極的に行っています。

目的は二つあります。

  1. 築20年であっても堅牢な状態を保っている
  2. お客さんの喜んでいる姿を見せることができる

端的に言えばこういうことでしょう。

ヘーベルハウスの構造が強固などはお墨付きですから、営業も自信を持って古い住宅を案内できます。

そして、それと並んで重要なのが②となります。

お客さんが喜んで案内しているということは、へーベルハウスに住んで満足している何よりもの証拠でしょう。

ですから、営業マンが「あーだ、こーだ」と説明するよりも、100倍の営業力を発揮してくれます。

ほかのハウスメーカーも最近では積極的に古いお宅を案内するようになりましたが、これを全面に最初に打ち出したのはへーベルハウスだと思います。

工務店が実邸案内をあまりしない理由

大手メーカーに対して地域の工務店は、この案内に消極的な気がしてなりません。

理由は明快だと思います。

  1. 実邸案内が営業戦略だと気づいていない
  2. 施主にとって迷惑だと考える

両方もしくは片方でもあなたの会社は該当しないでしょうか。

特に②については、人を招いて家を見せるのが大好きな方も結構いるのです。

実邸案内が墓穴を掘ることも

ビジネスマン,下矢印

ここまで実邸案内を散々勧めてきましたが、ご案内するお宅をしっかり吟味しないと大失敗することもあります。

良かれと思ってご案内したことが、かえってお客さんの建築意欲を削ぐという悲惨な結果になるケースがままあるからです。

筆者の失敗事例

ここ数年で平屋の需要が急増したのは皆さんも肌でお感じになっているはずですが、それ以前においては展示場にお客様が来場されても、平屋を希望するケースは極めて少なかったはずです。

それは私の営業時代も同じことで、平屋を希望される方がほとんどいなかったことはもちろんのこと、それに付随して積水ハウスの平屋現場も少なかったのです。

このような状況下、土曜日の展示場当番で、私は事務所に詰めておりました。

そこへ来場を知らせるチャイム音が鳴りモニターに目をやると、熟年のご夫婦が目に入ったのです。

「よっしゃ!」と意気込んだ私は、いそいそと接客に出て、小一時間ほど着座も含めてしっかりと話し込みました。

オールキャッシュで資金計画は問題なし。

積水ハウスに対しても極めて好印象を持っていただき、建物構造も木造住宅以外でやりたいとの明快な要望お持ちでした。

この時点では積水ハウスで取れる確率は7割から8割はあったと当時の私は算段しました。

実邸案内が商談を破綻させた

その当時は珍しい平屋をご希望の方だったのですが、お客様の方から「積水ハウスで実際に建てた平屋の現場を見たい」とのご要望が出ました。

その当時、私が直接担当したお客様の中で、一軒だけ平屋の家が市外の分譲地に建っていたので、私は迷うことなくその現場をご紹介したのです。

紹介したといっても外観だけを見たいというご希望だったので、住所と案内地図をお渡ししてご自分で足を運んでいただくことにしました。

お客さんからの電話に言葉を失った

「積水ハウスの平屋って格好悪いね」

あの時は何も言い返せなかったです。

お客さんから電話があったので、平家の現場を見た報告を明るい声でしてくれるのだろうなと思って電話に出たところ、訝しげな声のトーンでこう言われてしまったのです。

商談はもちろんこれで終了してしまったのですが、電話を切ってものの1分で、私は自分の失態に気付いたのです。

私がご案内した平屋のお宅ですが、その当時積水ハウスが出していた平屋プラン集の最も安いパターンで、何のオプションもつけない長方形の25坪の家でした。

当時は基礎にも吹きつけをして見栄えを良くする仕様が標準だったのですが、少しでも安くしたいというお客さんの要望があり、これをマイナスオプションにしたのです。

ですから、その他の外観に関しても全く飾り気のない企画プラン集そのままの平屋住宅でした。

このお客さんは資金に余裕のある方だったのですが、仕事場兼物置としてこの平屋を建てた経緯があり、外観にお金をかけるつもりは微塵もなく、ただ単純に堅牢な家で信頼のある住宅メーカーに任せたいとの経緯があったのです。

しかし、見学をして頂いたお客様は、夫婦二人で老後をゆっくり過ごすためのマイホームとして考えていたので、おしゃれな平屋住宅を希望していました。

私はそこを汲み取れずに「平屋か・・・あっ、〇〇さんの家でいいじゃん!ちょうどよかった、グッドタイミングだ!」と短絡的に考えてしまったのです。

競合に勝つためには安易な実邸案内をしないこと

話が大きく逸れました。

今回のコラムの趣旨は、どうやって競合に勝つかという話をしているのですが、競合負けの事例を延々とご紹介してしまいました。

あらためて私が主張したいことをまとめますと、競合勝ちをするためには、実邸をご案内してほしいことに加えて、お客さんが見学することによって意欲を減退させてしまうような現場を見せてはだめということです。

私の事例は意欲を減退させてしまった典型事例になりますが、わかりやすい例えでお話をすると、3階建てを希望しているお客様に平屋の現場を見せたらダメということです。

つまり、お客さんが何を見たいか、どんな建物を見れば「この工務店にしよう!」と前向きな気持ちを持ってもらえるかを考えて下さい。

まとめ

最後にポイントを整理します。

  1. 商談途中で実邸現場のご案内をする
  2. お客様の要望からずれた建物は見せない
  3. 可能であれば家の中も見学していただく

これは簡単な営業戦略であり、経費もほぼ0で済むのです。

具体的な経費といえば、家の中を見学させていただいたお客さんに対して、商品券もしくはちょっとしたお菓子をお持ちすればいいだけのことです。

費用対効果の観点では抜群な営業手法だと思いますが、皆さんのお考えはいかがでしょうか。

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森住宅コンサルタント株式会社 森 雅樹

森住宅コンサルタント株式会社 森 雅樹

積水ハウスと超零細工務店での営業経験を積み独立。現在は工務店のコンサルティングや、セミナー、執筆などをメイン業務に活動。現場見学会は企画から携わり、営業マンロープレも自らが設定を考え客役となり実施。国土交通省の認可組織である住活協リフォームにおいては全国加盟店向けに営業アドバイスなどを行う。 twitter・・https://twitter.com/iezukuri21 Instagram・・https://www.instagram.com/iezukuri21/ note・・https://note.com/91008082 youtube・・https://www.youtube.com/user/mo9100/videos

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