平屋ブームに工務店はどう備える?中国新聞の記事と受注事例

平屋ブームは住宅関連の記事にとどまらず、一般紙の中国新聞にまで取り上げられるようになりました。一方で、平屋の施工件数が増えている住宅会社でも、営業社員への平屋の教育や対応策を一切行っていないところがあります。
中国新聞の記事によると、広島県の平屋率は8.5%で、2014年時点と比べてほぼ倍増しています。私が取材した60代のご夫婦は、ホームページの平屋専門ページや、担当営業が持つ平屋への考え方を理由に住宅会社を選んでいました。
本記事では、平屋ブームを示す数字と、工務店が「平屋が得意」と言い切るための営業資料・ホームページ・社員教育の進め方を解説します。
工務店が押さえたい平屋ブームの数字(中国新聞の記事より)
平屋の記事は、住宅関連や生活関連の記事ではもちろん、一見すると住宅と関係のない分野にまで広がっていると私は感じています。
中でも私が驚いたのは、一般紙の中国新聞が平屋を取り上げたことです。
住宅の専門紙ならともかく、一般紙で記事になるのは、それだけ平屋が幅を利かせてきた証拠です。
中国新聞の記事は、家選びで平屋を検討する人がじわりと増えており、従来の主な購入層だった高齢者世帯以外にも受け入れられていると報じています。記事が引用したリクルート(東京)の調べでは、3階建てまでの居住専用の新築住宅のうち1階建てが占める割合「平屋率」は、2022年の全国平均で13.7%でした。
| 地域 | 平屋率(2022年) |
|---|---|
| 全国平均 | 13.7% |
| 山口県 | 34.1% |
| 島根県 | 21.5% |
| 鳥取県 | 20.0% |
| 岡山県 | 14.9% |
| 広島県 | 8.5%(2014年時点からほぼ倍増) |
中国地方では山口・島根・鳥取・岡山の4県が全国平均を上回りました。一般紙がここまで書くようになったことを、私たち住宅業者は肝に銘じたほうがいいと私は考えます。
平屋の施工が1.6倍でも対策ゼロだった広島の住宅会社
広島市内に、私が昔から知っている住宅会社があります。
つい最近その会社の社長と話したとき、たまたま平屋の話題になりました。
社長によると、この住宅会社でも平屋の施工件数が10年前の1.6倍に増えているそうです。
ところが、会社として営業社員に平屋を意識させたり、営業手法を教育したりといった対応策は、一切行っていないという話でした。
「平屋もできますよ」と「徹底的に研究しています」の違い
お客さんの立場になって、住宅営業の2つの言い方を比べてください。
「平屋もできますよ」
「平屋は特に得意で、この数年間、我が社では徹底的に研究しています」
お客さんが興味を持つのは、言うまでもなく後者の会社です。
「平屋もできますよ」と聞いて心を動かされるお客さんはいません。
もちろん、根拠がないまま言うのはまずいので、営業社員が平屋についてしっかり勉強したうえで、「弊社は平屋について徹底的に研究しています」と言い切ってほしいのです。
新築専門の工務店がリフォームを受注できないのと同じ理屈
「平屋もできますよ」は、「リフォームもやりますよ」と同じ理屈です。
新築専門の工務店がリフォームに進出するときに注意すべき点がまさにこれで、私はいつも口を酸っぱくして言っています。
「リフォームもやりますよ」と聞いたお客さんは、その工務店にリフォームを依頼する気になりません。
そのため、リフォーム専業の業者がもうかり、新築専門の業者はリフォームを受注できないという現象が起こります。
OB施主からリフォームを受注する進め方は、新築専門の工務店がOB施主からリフォームを受注する方法で解説しています。
「平屋が得意」と伝える営業資料とホームページ
平屋に関する営業資料を作っていない工務店が、圧倒的多数だと私は推測しています。
そうした工務店の営業社員は、平屋の説明をするときも、通常の2階建ての資料をそのまま転用して話しているだけではないでしょうか。
これではダメで、工務店は平屋に特化した営業資料を作り、お客さんに平屋への取り組みを伝える必要があります。
工務店にとっては、ホームページも極めて重要です。
工務店はホームページの中に平屋専門のページを作ってください。
平屋専門のページを作るだけで、お客さんへのアピール力は2倍に増え、受注にも役立ちます。
平屋への取り組みをお客さんに直接見てもらう場として、現場見学会の会場の借り方とチラシ集客は平屋の現場見学会の開催のコツで解説しています。
60代夫婦が平屋で住宅会社を選んだ4つの理由(取材事例)
4ヶ月前に、従業員1000人クラスの住宅会社で契約したお客さんを取材しました。
お客さんは60代のご夫婦で、建てたのは平屋です。
私が知りたかったのは、ご夫婦がいろいろ検討した住宅会社の中から、どんな理由でこの会社に決めたかでした。
契約の決め手になった4つの理由
価格や間取りが良かったのは言うまでもありませんが、ご夫婦はそれに加えて、大まかに次の4つをプラスポイントに挙げました。
- ホームページに平屋専門のページがあり、内容が非常に充実していた
- 担当営業が平屋に対しての考え方をしっかりと持っていた
- 担当設計が平屋の経験が豊富だった
- 別部門に特建事業部があり、そこでマンションをたくさん手がけていた
特建事業部の話は少し分かりにくいと思います。マンションは基本的にワンフロア、つまり平屋と同じ形であり、そこに住宅部門にも通じるノウハウがあると説明されて、ご夫婦は納得したそうです。
社長のトップダウンで平屋を研究してきた住宅会社
4つの理由はどれも、この住宅会社が平屋に深く取り組んでいることがお客さんに伝わった点で共通しており、そこが勝因です。
この住宅会社の取り組みはポーズではなく、社長からのトップダウンで、平屋を徹底的に研究するよう指示が出ています。
しかも平屋ブームの走りの時期から方針を転換していたことが功を奏し、今では施工物件も相当数あり、営業社員の平屋の知識も他社と比べてかなり豊富です。
平屋の施工物件をお客さんに見せるときに、案内する家をどう選びどう進めるかは、平屋の実邸案内で競合に勝つ営業術で解説しています。
営業社員が平屋のメリット・デメリットに答えられるようにする
次の2つは極めて簡単な質問ですが、あなたの会社の営業社員はすぐに答えられるでしょうか。
「平屋のメリットは何ですか」
「平屋のデメリットは何ですか」
営業社員が答えるときの土台になるのは、中国新聞の記事が挙げている平屋の利点と条件です。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| メリット | 家事の動線がシンプル、段差がない、維持管理費を抑えられる |
| デメリット | 一定の床面積を確保するには広い敷地が必要(住宅メーカーは設計の工夫で対応) |
住宅会社は、平屋を想定した訓練としてロールプレイングやペーパーテストを頻繁に行い、営業社員の答え方をチェックする必要がある時代になりました。
まとめ
平屋ブームは一般紙の中国新聞が記事にするほど広がり、広島県の平屋率は2014年時点からほぼ倍増しています。平屋で選ばれた住宅会社は、平屋専門のホームページ、営業の考え方、設計の経験を通して、平屋への取り組みをお客さんに伝えていました。
平屋については機会があればまた取り上げますが、時代が大きく変わったことを認識して、あなたの会社も平屋を徹底的に調べ、得意分野の一つにしてください。
ぜひ本記事の中国新聞の数字と取材事例を参考に、自社の平屋の営業資料とホームページを見直してください。



