不動産営業のコツ|物件紹介は3件まで、レインズとマイソクの使い方

お客様から「〇〇地区で2500万円くらいの建売を探してほしい」と頼まれると、不動産営業はレインズで条件に近い物件を探します。不動産営業のコツは、紹介する物件を3件までに絞り、現地で確かめた周辺環境とデメリットまで伝えることです。
本記事では、レインズでの物件検索から販売図面(マイソク)の渡し方、お客様が納得して物件を選ぶための提案まで、不動産営業のコツを解説します。
不動産営業のコツは物件紹介の手順にある
不動産業界ではさまざまな業務をこなさなくてはなりません。
その中でもっとも重要で、主要な位置を占めるのがお客様への物件紹介です。
不動産営業は、レインズでの検索、現地での物件確認、立ち会っての紹介という順で物件紹介を進めます。
レインズで希望に近い物件を検索する
レインズとは「Real Estate Information Network System」の略称です。
不動産情報が蓄積され、会員が自由に検索できるシステムになっています。
レインズは、1988年の宅地建物取引業法の改正をきっかけにスタートしました。
運営したのは、国土交通大臣から指定を受けた東日本、中部圏、近畿圏、西日本の4つの「指定流通機構」です。
一般の人はレインズにアクセスできません。
そのため、不動産営業は勤務する不動産会社のパソコン端末から検索します。
お客様から聞いた希望条件を入力すると、条件に見合った物件情報が出てきます。
ただし、希望条件にすべて合う物件はなかなかありません。
不動産営業は、なるべく希望に近い物件をピックアップしてください。
土地を探しているお客様への進め方は、住宅営業の土地提案の進め方で解説しています。
現地で周辺環境を確認してから立ち会って紹介する
検索の次に重要なのが物件確認です。
データベース上ではお客様の要望に合う物件でも、私なら現地へ行ってみないと怖くてお勧めできません。
とくに周辺の状況は、現場で確認しないと把握するのはほぼ不可能だと私は思います。
私が経験した物件では、近くに養豚場があり、その匂いがそこはかとなく漂っていました。
私はこのことを事前にお客様に伝えています。
結果的にその土地は見送りになりましたが、私はお客様の信頼を得て、ほかの紹介物件でしっかり決めてもらえました。
立地の伝え方は、住宅営業の初回接客のコツで解説しています。
紹介する物件が決まったら、いよいよお客様へのご紹介です。
場所が遠方であるなど、どうにもならない場合は仕方がありません。
通常は、不動産営業が現場に立ち会ってください。
現場ではお客様からいろいろと質問が出ますが、事前に物件確認を済ませていれば、不動産営業は安心して答えられます。
建売分譲地での案内の受け方を注文住宅営業の視点から見た体験談は、注文住宅の営業と不動産営業の違いで解説しています。
紹介する物件は3件まで|数を絞る不動産営業のコツ
お客様には、なるべくたくさんの物件を紹介してもらい、その中から選びたいという気持ちが強く働きます。
不動産営業も、お客様に喜んでもらおうとして物件を7件も8件も紹介しがちで、その心意気は理解できます。
しかし、選択肢があまりに多いと、お客様は混乱して正常な判断ができなくなります。
その結果、誤った選択をする可能性が非常に大きくなります。
こう考えると、適正な紹介物件数は3件が上限だと私は考えます。
私は2件でも十分だと感じています。
3件でも、お客様が冷静に比較分析しようとすれば、随分と根を詰めなくてはなりません。
土地探しのお客様に断られた後も紹介を続ける回数の目安は、土地紹介の回数と資料の作り方で解説しています。
建売の物件紹介で使う優先順位・対立軸・デメリットの伝え方
3件に絞った建売物件をお客様に比べてもらうには、不動産営業の伝え方にも工夫が必要です。
希望条件の優先順位を先に確認する
「小学校まで徒歩3分だけど大型スーパーまでは徒歩15分」
「小学校まで徒歩15分だけど大型スーパーまでは徒歩3分」
このような2つの建売物件があった場合、どちらを優先するかを不動産営業は事前に確認してください。
お客様には、間取りについても、対面キッチン、リビングは25畳以上、5LDK、リビング内階段などさまざまな要望があります。
不動産営業が優先順位を聞かずに物件を探すと、物件を絞り込めなくなってしまいます。
案内の前に家族構成や趣味を聞き出し、物件の合う点を用意しておく進め方は、建売の集客を契約につなげる接客で解説しています。
対立軸で物件の違いを示す
「物件Aは車を3台置けるが前面道路が4mです。しかし、物件Bは前面道路が6mあって広いです。ただし、車は2台しか置けませんが」
複数の物件を提示する場合、不動産営業はこの例のように、それぞれの特徴を対立する軸で分かりやすく示してください。
デメリットも臆せず説明する
予算が青天井であっても、要望をすべて満たす物件はほぼありません。
予算に上限があれば、要望をすべて満たす物件を探し出すのは不可能と考えるべきです。
お客様の予算が決まっている以上、デメリットを我慢してもらう部分が出てくるのは当然です。
そのため、不動産営業は物件のメリットに加えて、デメリットも臆することなく説明してください。
販売図面(マイソク)の見方と不動産営業の渡し方
マイソクは、販売図面を指す完全な業界用語です。
もともとは物件検索システムを作った会社の名前に由来するようです。
今では、物件情報そのものがマイソクと呼ばれるようになりました。
販売図面に載っている情報
| 記載項目 | 主な内容 | 不動産営業が注意すること |
|---|---|---|
| 敷地図・間取り図 | 建売住宅の間取り、敷地の形状、ゼンリンなどの地図を貼った場所の表示 | 間取りはイラスト的に簡略化されたものもあり、図面だけで広さを判断しない |
| 物件概要 | 販売価格、土地の広さ、住所、権利関係、交通、都市計画法や建築基準法などによる利用制限 | 分譲地内の物件では「1m以上の塀を作ってはならない」といった覚書がある場合がある |
| 宅建業者の表示(帯) | 物件を提供した宅建業者の社名、住所、電話番号、免許番号、取引形態(売主・代理・媒介) | 記載内容をしっかり確認する |
物件の場所も、とても重要な情報です。
帯をマスキングしてからお客様に渡す
販売図面の一番下で、社名などが書かれている部分を帯といいます。
不動産営業が販売図面をお客様に渡すときは、帯の部分をマスキングしてからコピーしてください。
物件情報がフルオープンなものであれば、社名を出しても問題はありません。
しかし、販売図面はあくまでも宅建業者の間で情報を共有するために作成されたものです。
そのため、不動産の表示に関する宅建規約等で使用が禁止されている文言が入っているケースもあります。
お客様が自分を納得させる理由を不動産営業が支える
物件の最終的な選択権はお客様にあります。ただし、プロである不動産営業は、お客様の要望を念頭に置きながら、第三者として客観的なアドバイスをするべきです。
専門用語を言い換えて説明する
「この建物は木軸(もくじく)ですね」
このように言われても、お客様には意味が分かりません。
建物を紹介するとき、不動産営業はその建物の工法をお客様に説明する必要があります。
しかし、この例のように「木軸」と略しては、お客様に伝わるはずがありません。
「この建物は木造軸組み工法と言って、いわゆる一般的な木造住宅とお考えください。日本において木造住宅を建てるときの基本的な工法になります」
このように説明すれば、お客様は理解できます。
不動産業界に身を置くと、営業社員はつい専門用語を口にしてしまいます。
専門用語は社内だけにしておいてください。
「都合のいい理由」を一緒に探してフォローする
お客様は物件を選ぶとき、その選択が正しいと自分自身を納得させる理由を探します。言い換えると、お客様は次のように自分自身を説得する材料を探しています。
「この物件は私と家族にとって〇〇という点で理想にピッタリだよな!」
これは、購入にあたって都合のいい理由を探しているともいえます。
不動産営業は、この都合のいい理由を一緒に探してフォローする役目を負っています。
お客様が都合のいい理由を持たずに物件を決めると、内心では少し納得できません。
契約したとしても、お客様の満足度は下がります。
まとめ
不動産営業のコツは、レインズで希望に近い物件を探し、現地で周辺環境まで確かめたうえで、3件までに絞って紹介することです。紹介の前に優先順位を確認し、対立軸とデメリットを分かりやすく伝えれば、お客様は落ち着いて物件を比べられます。
販売図面を渡すときは帯をマスキングし、専門用語は言い換えて説明してください。お客様が自分を納得させる理由を一緒に探すことも、不動産営業の役目です。
ぜひ本記事の物件紹介の手順を参考に、次にお客様へ紹介する物件を3件に絞り込んでください。



