一条工務店の戦略は「家は性能」|元内定者の体験談と工務店の学び

一条工務店の戦略は「家は性能」|元内定者の体験談と工務店の学び

一条工務店がすごいと言われるのは、「家は性能」の一点に絞り、暖かさも気密性も日本一の数字だとアピールし続けてきたからです。その分かりやすい訴求を、展示場の後に読み返す貸出タブレットと、お客様の声の動画が支えています。

本記事では、バブル期に一条工務店の内定をもらった私の体験談も交えて、一条工務店が大躍進した理由と、小さな工務店が取り入れられる部分を解説します。

一条工務店がすごいと言われる理由は「家は性能」に絞ったハウスメーカー戦略

一条工務店は、住宅・不動産業界の人だけでなく一般の新築希望者にとってもメジャーなハウスメーカーで、実際に凄まじい数の住宅を着工しています。一条工務店がここまで伸びたのには理由があり、特に「家は性能」を前面に打ち出してからの伸びしろは半端ではありません。

草創期の一条工務店は、がむしゃらに営業をしていたはずです。しかし、住宅会社はそのような時期を過ぎると、突撃精神だけでは前に進めなくなります。

暖かさも気密性も「日本一」と言い切る分かりやすさ

どの分野でも、一つのテーマを決めて突き通すことは成功への近道です。私は、一条工務店が「家は性能」に特化してから足元を完全に固めたと見ています。

一条工務店の訴求を簡単に言うと、家の暖かさは日本で一番、気密性も日本で一番と、性能に関するものはどれも日本ナンバーワンの数字を取っているとアピールするものです。この分かりやすい戦略が、ここ10年の快進撃を支えていると言ってもいいでしょう。

施主が「一条工務店の性能はすごい」と口をそろえる理由

私がエンドユーザーと接していると、一条工務店に惚れ込んだお客さんは「一条工務店の性能はすごいよね!」と例外なく話します。

住宅会社が適当にアピールしているだけでは、お客さんからこのような評価は得られません。

一条工務店は性能を徹底的に追求し、それがお客さんへの訴求力を高めて、快進撃を支える柱になりました。

性能にこだわるお客さんから一条工務店の気密性を聞かれたときの対応は、性能にこだわる客の接客で解説しています。

一条工務店の住宅展示場で使われる貸出タブレットとお客様の声

私は、最先端のIT技術を使ったタブレットを貸し出す戦略も、一条工務店の今後の成長を支える柱だと見ています。

展示場の説明を後から復習させる貸出タブレット

たとえば、ある新築希望者が一条工務店の住宅展示場へ出向き、営業マンと話をしたとします。営業マンは話の中で、お客さんにタブレットの貸し出しを持ちかけます。

「一条工務店のことがわかるタブレットがあるのですが、これを貸出しできます。二週間ほどでご返却いただきたいのですがいかがですか?」

一条工務店の貸出タブレットは実によくできていて、お客さんが展示場で営業の説明を聞いた後、復習のような形で読み込んでいくと「一条工務店は素晴らしい」となる仕掛けです。私は実物を見たことがありますが、内容のレベルが非常に高く、タブレットを見たお客さんが一条工務店のファンになるのもうなずけます。

動画で届けるお客様の声

一条工務店は、お客様の声を取材して新築希望者にアピールすることがいかに重要かを、深く理解している住宅会社だと私は思います。一条工務店のお客様の声にはたくさんの施主が登場し、施主の声を聞いた多くの人が一条工務店は素晴らしいと感じるでしょう。

大昔から、最終的にはお客様の声に行き着くと言われてきました。現在は昔と違い、住宅会社がお客様の声を動画で撮影してネットで配信できるため、動画の訴求力は抜群です。

バブル期に私が一条工務店の内定をもらったときの話

留年で入社しなかった一条工務店とほかの内定先

私は積水ハウスの出身ですが、生まれて初めて内定をもらった会社は一条工務店でした。私が一条工務店に入社しなかった理由は留年で、留年していなければ一条工務店に行った可能性が極めて大きかったと思います。

私の就職活動はバブルの真っ只中で、大卒でありさえすれば大企業から勧誘があるような時代でした。私の第一志望は一条工務店でしたが、並行してトーヨーサッシ(現LIXIL)、佐川急便、岡三証券からも内定をもらいました。

私は佐川急便に行くことはありませんでしたが、当時の大卒初任給60万円という破格のお金に目がくらんで就職試験を受けました。私にはいずれ独立したいという希望があり、当時は独立志向の人間が佐川急便でお金をためて起業する流れがあったのです。

親戚に内定先の話をしたとき、親戚から言われた言葉を私は今でも思い出します。

「一条工務店?そんな聞いたこともない建築屋に行くなんてやめろ。証券会社も今はいいけど止めておけ。トーヨーサッシはいい会社だぞ、めちゃくちゃきつくて有名だけど(笑)」

面接担当者の「うちは伸びるよ」という言葉

それでも、私の心は一条工務店に傾いていました。私を面接してくれた一条工務店の担当者の言葉に、強い魅力を感じたからです。

「うちは伸びるよ。これだけは言っておく。それと、ほかの仕事と違って責任がすごく重いし、個人の力でいくらでも売り上げを立てることができるんだ。その分会社は給与で報いるから稼げるぞ」

私は「稼げる」という言葉に惹かれたのはもちろんですが、チームを組むのではなく個人の力で切り開いていけるという言葉に強く心を動かされました。当時学生の私には会社が伸びる理由などよく分かりませんでしたが、「うちは伸びるよ」という言葉にも直感で惹かれ、実際に担当者の言葉は当たっていました。

面接担当者は、もう一つ気になることを私に話していました。

「君は証券会社も志望しているようだね。証券会社を希望するぐらいだから、住宅営業でも耐えられるだろう(笑)うちにこないか、どうだ?」

私は若干引きました(笑)。証券会社が厳しいことは当時の私にも分かっていましたが、住宅営業がどんな仕事か全く分かっていなかったので、「これはやばいんじゃないか……」と思ったわけです。

それでも私は一条工務店に就職するつもりでいましたが、前述のとおり留年して全てはご破算になり、翌年に一条工務店を受けることなく積水ハウスに入社しました。どんどん伸びていく会社に在籍する体験ができなかったことは少し残念で、あのとき入社して独立せずに在籍していたら今頃どんなポジションにいるのかと、私はたまに考えます。

同級生が見た1990年前後の一条工務店の営業現場

1990年前後、私の大学の同級生が一条工務店の内定をもらい、そのまま就職しました。同級生は結局2年弱で退社しましたが、私は同級生から当時の営業現場の話を散々聞かされました。

「契約取れなかったら死んでも帰ってくるな!」と檄を飛ばす上司

同級生は嫌気がさして辞めているので、同級生の話はどうしても後ろ向きな内容になります。一条工務店の営業現場は直属の上司によってかなり変わると思いますが、同級生がついた上司は超体育会系のノリで、毎日凄まじい檄を飛ばしていたそうです。

「とにかく売れ!契約取れなかったら死んでも帰ってくるな!」

急激に伸びる住宅会社はどこでもそうですが、1990年前後の一条工務店もかなり激しかったようです。

小さな工務店のオーナーが「住宅メーカーは許せん!」と感じる理由

住宅メーカーのこうした姿勢は、小規模な工務店のオーナーが「住宅メーカーは許せん!」となる一因でしょう。

私も、工務店のオーナーのお気持ちはよく分かります。

工務店でもハウスメーカーでも、住宅営業が受注を取ろうとお客さんにアプローチするのは同じです。ところが、住宅メーカーは営業を優先するあまり、少数精鋭の工務店から見ると理解しがたいことを多々してしまうのでしょう。

小さな工務店が一条工務店から取り入れられる「お客様の声」の動画

工務店が一条工務店のシステムをそのまま真似することはできませんが、核心部分は案外容易に取り入れられます。

お客さんの声や現場の声をまとめた動画を無数に作り、興味があるところだけお客さんに見てもらう方式であれば、工務店でもYouTubeやQRコードを使って比較的簡単に形にできます。

契約したお客さんへの取材から分かることは、ハウスメーカーの営業トーク事例で解説しています。

「大手の真似なんかできるわけない」というのは、20年前であれば私もそのとおりだと思ったでしょう。しかし私は、ウェブ社会は大きな会社よりも小さな会社にもたらした恩恵のほうが多大だと考えています。

小さな工務店が一条工務店と競合したときに、性能の数値ではなく数値以外の強みを数値化して伝える方法は、一条工務店との競合で使うトークで解説しています。

まとめ

一条工務店の躍進は、1990年前後のがむしゃらな営業の時期と、「家は性能」に絞ってからの時期に分けると理由がよく分かります。ここ10年の快進撃は、日本一の性能という分かりやすい訴求を、貸出タブレットとお客様の声の動画が支えたことによるものです。

一条工務店のシステムをそのまま真似できなくても、お客様の声を動画にしてYouTubeとQRコードで届けることは、小さな工務店でも始められます。ウェブという素晴らしいツールがあるのですから、大手を食う勢いで数字を伸ばしてください。

ぜひ本記事の一条工務店の事例を参考に、自社のお客様の声を動画にまとめるところから始めてください。

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