住宅展示場のSNS投稿への備え|タマホーム炎上の経緯とアンケート

住宅展示場で撮られた1枚の写真がきっかけになり、X上でタマホームが大炎上しました。
愛知県に住むKさんが住宅展示場の階段でビスの斜め打ちを見つけてXに投稿し、削除を巡るやり取りの末に、タマホームが「訴訟の準備をしている」とプレスリリースを出したのが騒動の中身です。私はこれをタマホームだけの問題ではなく、住宅業界に関わる会社がみな気をつけるべき話だと考えています。
本記事では、タマホーム炎上の顛末(てんまつ)と、住宅会社が決めておきたい写真撮影・アンケート・SNS対応の備えを解説します。
タマホーム炎上のきっかけは住宅展示場の階段のビス
騒動の主人公は、愛知県に住むKさんです。Kさんは家を建てようと考えて、タマホームの住宅展示場に出かけました。
ただ、Kさんの動機は半分不純だったようで、例の「2万円差し上げます」キャンペーンに惹かれたものだと私は推測しています。とはいえ、タマホーム側もそれを承知のうえでキャンペーンを打っているので、来場の動機について双方に何の問題もありません。
住宅展示場を見学していたKさんは、階段の見えない部分の一部に雑な工事があるのを見つけてしまいます。ここに写真は掲載できませんが、ビスが斜め打ちしてあり、素人が見ても「これはさすがにどうだろう」という施工でした。
Kさんは、その日は奥さんが同伴していなかったので、家に帰って奥さんに見せるという理由で、担当者に写真を撮ってよいかの許可を求めたそうです。担当者からOKをもらったKさんはすかさずその箇所を撮影し、なんとXに投稿しました。
タマホーム炎上が訴訟騒動に広がった経緯と住宅展示場のアンケート
アンケートの住所をもとにした自宅への訪問
タマホームはXに投稿された写真をすぐに見つけ、Kさんに電話をかけたようです。その電話でひと悶着(もんちゃく)あり、Kさんは写真の削除を渋ったらしいのですが、私には渋る理由がよく分かりません。
慌てたタマホームは、住宅展示場のアンケートに書かれた住所をもとに、Kさんの自宅をアポなしで訪ねました。
Kさんは、タマホームのアンケートにある個人情報の取り扱いの注意書きをネットに載せました。
注意書きにはごく一般的な利用目的が書かれているだけで、当然ながら、記入された住所をもとに突然訪問するという内容はありません。
そのため、Kさんは「個人情報を悪用して我が家に突然押しかけてきた」とXで騒ぎ立てたわけです。
見学会の来場者に配るアンケートの書式は、個人情報の取扱いの文も含めてイベントアンケートテンプレートで解説しています。
写真の削除後に出た「訴訟の準備」のプレスリリース

ひと悶着はあったものの、Kさんは最終的に写真の削除に応じました。ところがタマホームは、その後に訴訟を起こすことを匂わせるプレスリリースを出したのです。
タマホームが行動を起こした原因は、Kさんの書き込みだと私は見ています。
KさんはX上で、タマホームがいかに怖いか、住所をもとに夜中に自宅へ押しかけて来るようなふざけた会社、常識知らずの会社、などと書き連ねていました。
タマホームのプレスリリースにも、これらの内容によって社会的信頼性が失われたと書いてありました。
2月5日の和解とタマホーム炎上への私の見方
注目を集めたこの騒動は、2月5日になって一気に解決へ向かいます。タマホームが再びプレスリリースを出し、「Kさんと和解が成立しました」と発表したのです。
Kさんも自分のXで事の経緯を投稿し、この話はこれで終わりにしたい、週刊誌などの取材も来ているが一切お断りしたい、と書いていました。これで一件落着となり、話がこれ以上蒸し返されることはないと私は思っています。
SNS上ではKさんに対する批判も多かったのですが、大企業であるタマホームがスラップ訴訟を仕掛けたとして、タマホームのほうが大きく非難されることになりました。
私の判断では、この騒動はどちらにもある程度の非があります。タマホームも大人げないものの、Kさんも自分の家の施工不良ならまだしも、見学しただけの住宅展示場の粗(あら)を探してSNSで公開するのはどうかしていると思います。
それでも、大企業が個人の投稿に訴訟を匂わせて反応するのは、悪手以外の何物でもないと私は考えています。タマホームはこの対応によってマイナスイメージを被ったと私は思います。
タマホームの評判に関わる別の出来事については、経済産業省によるタマホームの実名公表で解説しています。
タマホーム炎上で住宅営業のアンケート依頼はさらに難しくなる
住宅営業が現場見学会などでお客さんの住所や氏名をもらうのは、以前と比べて難しくなっています。個人情報に対する考え方やコンプライアンスが昔とは比べものにならないほど厳しくなり、お客さん自身もアンケートの記入をためらうようになったからです。
アンケートの記名率を上げる声かけや入れておきたい項目は、住宅展示場の接客で使う来場アンケートで解説しています。
お客さんがためらう理由は、コンプライアンスだけではありません。住所や氏名を伝えることで営業マンの迷惑な突撃訪問にさらされるリスクも、お客さんは避けたいと考えています。
そこへこのような騒動が起きると、「住宅会社の営業というのは本当にしつこい」「住所を知らせたら夜中でもやって来るぞ」「タマホームは恐ろしい」などと騒ぎ立てられる羽目になります。来場後の連絡を訪問に頼らない方法は、住宅営業のお礼状とショートメールの活用法で解説しています。
住宅展示場の写真撮影とSNS投稿への備え
写真撮影の許可・不許可を会社として決めておく
Kさんは「許可をもらって撮った」と主張していますが、許可した担当者も、こんなことに使われるとは思ってもいなかったでしょう。SNS時代になってからは、お客さんが写真を簡単に公開するようになり、住宅会社の「これぐらいいいだろう」という安易な気持ちは通じにくくなっています。
特に地域で名の通った工務店や住宅会社には注意してほしいのですが、リスクは極めて低いものの、お客さんが悪意で住宅展示場の粗を探してネットに上げる可能性は、常に頭の中に入れておかなくてはなりません。
タマホームの2万円クオカード戦略は元が取れるのか
計算上は元が取れる仕組み
Kさんの話とは直接関係ありませんが、タマホームはアポを取ったうえで住宅展示場に来場した人に、2万円のクオカードを進呈するキャンペーンを行っています。
「あんなことで元が取れるのだろうか」という疑問に対する私の答えは、元が取れる、です。
この手のイベントでどの程度の人が来て、どれだけ経費がかかるかは、これまでの数字で計算できます。
キャンペーンをきっかけに契約した人からその経費を回収すれば、計算上は成り立つわけです。
しかし、実際の営業現場では、タマホームは相当数のお客さんを逃しているのが現状のようです。
やる気で行ったのに30分で終わった商談
つい最近、私が取材した話です。本当に家を建てる予定で、家族そろってタマホームの住宅展示場に出向いた方がいました。
その家族は建てる気があることをはっきり伝えたにもかかわらず、担当営業にやる気がなく、30分程度話しただけで商談は終わったそうです。家族は2万円のクオカードをもらって帰りましたが、「こんなのもらっちゃって本当にいいのかな」と心配になるほど拍子抜けしたといいます。
その家族は、タマホームの営業が真剣に商談を仕掛けてきたら、タマホームと契約する可能性も充分にあったと話していました。それだけに、タマホームにとってこの点の課題は大きいようです。
タマホームは営業のレベルにも相当な差があり、私がお客さんを取材すると、タマホームの営業について苦言を呈する人が相当数います。初回接客で何を話すかは、住宅営業の初回接客のコツで解説しています。
よくある質問
タマホーム炎上の経緯をもっと詳しく知るにはどうすればいいですか?
ネットで「こしあん」「タマホーム」の2語で検索すると、事の経緯を細かく書いたページが多数ヒットします。いったいどんなことがあったのか、一度チェックしてみると面白いと思います。
まとめ
タマホーム炎上は、住宅展示場の階段のビスを写したXへの投稿から始まり、アンケートの住所を使った自宅訪問、訴訟を匂わせるプレスリリースを経て、2月5日の和解で決着しました。私はKさんの行動にも疑問を持っていますが、大企業が個人に訴訟を匂わせたことは悪手だったと考えています。
SNS時代は、お客さんが写真を簡単に撮って、安易に公にしてしまう時代だと思っておいてください。
ぜひ本記事のタマホーム炎上の顛末を参考に、自社の住宅展示場の撮影ルールとアンケートの扱いを見直してください。



