ハウスメーカーの失注理由4つ|施主取材で聞いた断った決め手

ハウスメーカーの失注理由4つ|施主取材で聞いた断った決め手

私が施主に直接取材した声では、大手ハウスメーカーとの折衝を打ち切った理由で最も多いのは、住宅営業との信頼関係の崩壊でした。ほかに、間取りの融通が利かないこと、価格と品質が合わないこと、ネット掲示板の悪評を挙げた施主もいました。

本記事では、施主への取材で聞いた4つの理由と、工務店がハウスメーカーと競合したときに生かせる商談の進め方を解説します。

ハウスメーカーはやめとけと言われる4つの理由(注文住宅の施主への取材)

私はライフワークとして、住宅を建てたお客さんへの取材を25年にわたって続けています。新型コロナの流行以降はリモートでの取材が一般的になり、以前よりも話を聞きやすくなったため、さまざまな案件が私のもとに集まるようになりました。

ここで紹介する声は、ネットから拾ったものではなく、すべて私が個人的に取材して直接聞いたものです。

取材では、お客さんに検討した大手ハウスメーカーの名前を複数挙げてもらい、その会社をやめた理由を聞いています。

具体的なハウスメーカー名は伏せます。

お客さんが挙げた理由は、次の4つに分かれました。

やめた理由取材で聞いた施主の声
住宅営業との信頼関係の崩壊希望を聞かず、会社の都合のスケジュールを押し付けられた/営業が書いた間取りに不信感を持った
間取りの融通が利かない最初は思い通りに設計できると言われたが、細部で壁を1cmも動かせなかった
価格が高い信頼性やアフターサービスを考えても、価格と品質が合わない
ネット掲示板の悪評否定的な書き込みを読んで、購入意欲が落ちた

お客さんを取材して聞いた話は、どれも「なるほどな……」と私が納得するものばかりでした。契約したお客さんへの取材から私が学んだ接客は、ハウスメーカーの営業トーク事例で解説しています。

ハウスメーカーをやめた理由で最も多い住宅営業との信頼関係の崩壊

大手ハウスメーカーをやめた理由として、お客さんがダントツで多く挙げたのは、住宅営業との関係が崩れたことです。この理由は昔から今まで変わりませんが、中には大手ハウスメーカーならではの理由も見られます。

施主の希望より会社の都合のスケジュールを押し付けた営業(Aハウス)

営業社員はつゆ知らずのはずですが、「客の話を聞かない」という不満を持ってハウスメーカーをやめるお客さんは結構います。私が取材したご主人とは、次のような会話になりました。

私「Aハウスさんを途中でやめたとのことですが、その理由は何でしょうか」

ご主人「やはり営業マンへの信頼がなくなったことですね。特に気になったのは、私たちの言うことや希望をあまり聞いてない感じがしたんですよ」

私「具体的に言うとどんな感じですか」

ご主人「具体的にと言うとなかなか思い出せないのですが……会社の事務的都合を優先させてるというか、何かそちらに誘導したがってる雰囲気を感じたんですよ」

このご主人が最も強く押し付けを感じたのは、建築スケジュールでした。

Aハウスの営業は、会社の都合で着工日や引き渡し日を「ここでないとだめだ」という形で押し付けてきたそうです。

お客さんは不満を口にしませんでしたが、気分のいいものではありません。

私はAハウスの内部事情を知っており、営業社員には上から実際にこのような命令が下りています。

「お客さんとの契約を決める時には、着工と引き渡しのスケジュールをなるべくこちらに合わせるようにうまく話を誘導しろ」

腕のいい営業であれば、お客さんに悟られずにうまく誘導するはずですが、下手な営業は誰が聞いても押し付けと感じる折衝をしてしまいます。取材したご主人もこの点を指摘しており、誠実そうな営業でいいところもたくさんあったものの、押し付けがましさが鼻についたので断ったと話していました。

営業の対応がもとでお客さんの信頼を失う原因と、住宅会社が取るべき対策は、住宅営業が信頼を失う原因で解説しています。

設計士ではなく営業が書いた間取りへの不信感

ハウスメーカーの中には、ファーストプランから設計士が間取りを書き、設計士が折衝にも立ち会う会社があります。一方で、営業が手書きした図面をファーストプランとして持っていく会社もあります。

業者の立場から見て、私はどちらがいいとは決めきれません。

それでも、お客さんが設計士の書いた間取りに信頼性と安心感を持つのは当然です。

営業が書いた間取りに不信感を持ち、ハウスメーカーをやめて地元の工務店に決めたお客さんを、私は直近で2人取材しました。

注文住宅の間取りを1cmも動かせないハウスメーカー独自のルール

大手ハウスメーカーも、昔と比べれば間取りの融通はずいぶん利くようになりました。

それでも細かいところには会社独自のルールがあり、壁を1cmたりとも動かせないことがあります。

誰もが知っている有名ハウスメーカーでは、やめる人の多くが、この独自ルールに嫌気がさしたお客さんです。

商談の終盤で気づく設計の不自由さ

お客さんは、折衝を始めた当初に営業から「思い通りの設計ができます」と当然のように言われ、それを信じています。

ところが、話が佳境に入って細かいことを詰める段階になると、お客さんはかなりの不自由さに気づいてしまいます。

住宅設備機器を3つの中から選ぶといった縛りもあり、それに気づいたお客さんはどうしても検討から外してしまうのでしょう。

ハウスメーカーから地場工務店に乗り換えた施主が1cm単位の自由設計をどう受け止めたかは、地場工務店で家を建てた施主の本音で解説しています。

こうした傾向が強まったのは、SNSが発達したためでしょう。営業にうまく言いくるめられても、お客さんがSNSを見ると、営業の説明とはまったく違うことが書いてあったりします。

営業トークを画一化した会社から工務店に移った社員

ところが、この有名ハウスメーカーは業績を伸ばし続けており、私は不思議に感じながらも、独自ルールへの不満を上回る受注の仕組みを作っているのだろうと考えています。この会社は営業社員の営業トークなどを画一的に決めて、いわゆる金太郎飴の軍団を作っています。

私の知っている某工務店の社員は、このハウスメーカーの出身です。

その社員はつい最近このハウスメーカーを退社して、地元の小さな工務店に転職しました。

転職した理由を、その社員は私にこう話していました。

「しっかり提案をして住宅を売りたいのに、僕みたいなベテランも新卒社員も全く同じことをやらせる会社の方針に嫌気がさしたんですよね」

価格と品質が見合わないとハウスメーカーを断った施主

身も蓋もない話ですが、ハウスメーカーをやめる人の多くは、値段の高さが原因です。資金計画が合わずに断念するお客さんの理由はよく分かりますが、お金の問題がなさそうなお客さんでもハウスメーカーをやめることがあります。

お金の問題がなさそうな施主も高すぎると判断した

私はそうしたお客さんにも取材しましたが、そのお客さんは価格と品質が合わないとはっきり言っていました。値段の高さには、信頼性やアフターサービス、ネームバリューといった目に見えない満足感も含まれることはよく理解できるけれど、それにしても価格が高すぎるというのです。

実際に、大手ハウスメーカーには坪100万を楽に超える商品も多くあります。昨今の住宅価格の上昇を考えても、私はやはりこの価格は高すぎると思います。

坪100万を超えても受注が途絶えない長野県の工務店

もちろん、地場の在来木造でも、匠の世界に到達した工務店であれば坪100万を超える会社もあります。私はそうした工務店を1社知っており、その会社は長野県のアルプスの麓にあります。

私が会社にお邪魔して社長に話を伺ったところ、その工務店が手掛ける住宅は、80坪以上がほとんどを占めるとのことでした。

営業社員と名のつく人は一人もおらず、社内の大工がたくさんいて、大工がそのまま営業を担うスタイルです。

価格はそれなりにしますが、社員はみなプライドを持って家を建てており、お客さんもその価格に見合う工務店だと認めているので、受注が途絶えることはありません。

ネット掲示板の「やめとけ」を見て不安になる施主

取材をしていると、意外に多い理由が、ネットに書かれたさまざまなネガティブな内容を見て不安になったというケースです。お客さんが読んだ書き込みの内容は千差万別ですが、この理由は地場の中小工務店にとって有利なポイントと言えます。

大手ハウスメーカーほど悪い書き込みが集まる理由

インターネットでハウスメーカーの評判を調べる様子

たとえば、あなたが地元の従業員10人の工務店に在籍しているとします。

従業員10人の会社について、何十件もの書き込みがSNS上に載ることは普通は考えられません。

大きなハウスメーカーだからこそ、いいことも悪いことも含めて色々と書かれてしまいます。

しかし、人はいいことよりも悪い内容に興味を示してしまうものなので、お客さんは検索するときにも次のような語を入れてしまいます。

【 一条工務店・ 噂・ 欠点・ 一条ルール】

こうした語で検索すると、ありとあらゆる否定的な書き込みが画面に並びます。一条工務店の部分を小規模な工務店の名前に置き換えて検索しても、おそらく何も出てきません。

もちろん、ネット上には一条工務店のいい話もたくさんあります。

それでもお客さんは、見てはいけないもの、聞いてはいけないものを欲してしまいます。

頭では理解していても、悪口をたくさん目にしたお客さんは、なんとなく購入意欲が落ちて「一条工務店はやめとこう」という結論に至ることがあります。

ここではたまたま一条工務店を例に挙げましたが、どの有名ハウスメーカーでも同じことが起きています。大手ハウスメーカーを断った理由の一つとして、掲示板の書き込みを挙げるお客さんが案外多いことを覚えておいてください。

ネット上の評判が悪い書き込みに住宅会社がどう向き合うかは、悪い口コミへの住宅会社の対応で解説しています。

掲示板の傾向を工務店の商談に生かす会話例

小規模な工務店は、ハウスメーカーについての書き込みを調べて、営業活動に活かすべきです。たとえば、ある掲示板にこんな書き込みがあったとします。

Bハウスはデザインは無数にあって唯一無二の外観になりますと営業マンは言っていたんだが、実際に家が完成してみると、外観はありきたりどころか、一目でBハウスとわかるようなマンネリ感があり不満だらけだ。

このような書き込みが1つだけなら、工務店の営業は無視してもかまいません。しかし、同じような内容がたくさんある場合、Bハウスにはその傾向があると見てまず間違いないので、Bハウスと競合したときにこの情報を利用します。

あなた「弊社の考えのひとつですが、建物の外観はものすごく重要だと考えています。ですから建物を見た瞬間に、これって〇〇ハウスの家だよねってわかるようではちょっと寂しいですよね」

客「Bハウスも検討してるとお話しましたけど、ネットを見ると外観がみんな同じで面白くないってたくさん書いてあるんですよ(笑)」

あなた「その話は私もたまに耳にしますね……Bハウスさんのことはよくわからないですけども、これは本当に重要なことですので、Bハウスの営業さんにはしっかり確認された方がいいですよ」

この会話が成立すれば、お客さんはあなたを俄然(がぜん)信頼するようになります。

ただし、お客さんから不安を切り出される前に、あなたが先手を打って話すことが条件です。

お客さんの話を後追いすると、営業がライバルの悪口を言っていると受け取られかねません。

商談の早い段階で他社と差をつける方法は、住宅営業のアポ取りのコツで解説しています。

よくある質問

ハウスメーカーと工務店は、どんな施主がどちらを選んでいますか?

私が見てきた傾向では、資金に余裕がある施主は全国区のハウスメーカーを選び、資金がやや厳しい施主は地元の工務店やパワービルダーに流れると思います。大手のローコストメーカーを選ぶ施主や、新築をあきらめて中古の戸建てやマンションを購入する施主もいます。

まとめ

大手ハウスメーカーとの折衝を打ち切った施主は、住宅営業との信頼関係の崩壊、間取りの独自ルール、価格と品質の不一致、ネット掲示板の悪評を理由に挙げていました。

工務店がハウスメーカーに勝つには、基本的には価格の要素が大きく、これまでのデータから見てほぼ間違いありません。

それでも、価格以外の要因で工務店が勝つケースも多数あると、私は強く言いたいと思います。

デザイン性などでハウスメーカーより魅力的な工務店を私はたくさん知っており、競合するハウスメーカーをしっかり研究すれば、勝つチャンスはいくらでもあります。

ぜひ本記事の施主の声を参考に、競合するハウスメーカーがお客さんに断られる理由を調べて、自社の商談に生かしてください。

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