性能にこだわる客の接客|一条工務店の気密性を聞かれた住宅相談4件

性能にこだわる客の接客|一条工務店の気密性を聞かれた住宅相談4件

ハウスメーカー各社の気密性や断熱性の数値を比較したお客さんから、「一条工務店の性能がすごいんですけど、あそこまで必要でしょうか?」という住宅相談が私の元に届きます。

私の答えは「そこまでは必要ないと思いますよ」です。同じ質問をくれた4人のうち2人は、その後「一条工務店をやめた」と私に連絡をくれました。

本記事では、ハウスメーカーの気密性などの数値を比較するお客さんの事例と、数値にこだわるお客さんへの住宅営業の対応を解説します。

ハウスメーカーの気密性を比較するお客さんの「ハイスペック強迫観念」

私はYouTubeで「C値、Q値、Ua値に一切触れないチャンネル」を運営しています。

チャンネル名のとおり、私は住宅の性能の数値には一切触れない動画ばかりを上げています。

登録者はまだ2,500人程度ですが、2万回、3万回と再生された動画もあり、住宅関連のYouTubeもやり方によってはたくさん見てもらえることが分かりました。

チャンネルに載せたメールアドレスには毎月4〜5件の住宅相談が入り、私は基本的に無料で応じています。

数値に触れないと明言している私のところにも、「ハイスペック強迫観念」を持ったお客さんからの質問が結構届きます。

お客さんの質問を簡単にまとめると、2つの疑問になります。

最高級の等級を求めなくていいのか?

そこそこの数値の住宅を購入してもいいのか?

住宅会社の経営者や住宅営業の方にもお考えはいろいろあるかと思いますが、極端な数値を求めるのは、私には何か行き過ぎのように思えてなりません。

一条工務店の気密性はそこまで必要か(住宅相談で4件受けた質問)

一条工務店の性能についての質問を、私はこれまで4件受けました。4件もあるということは、同じ疑問を持っているお客さんがかなりいると私は考えています。

数値が高いほうが安心で、性能が出ることは動かしがたい事実ですが、私には一条工務店の性能がオーバースペックに思えてなりません。一条工務店をやめたと連絡をくれた2人のお客さんも、間違いなくオーバースペックを理由に他社を選んだはずです。

ただ、オーバースペックかどうかは意見が割れます。

私のYouTube動画へのコメントにも、「一条工務店がオーバースペックというのは認識不足」「言っていることがおかしい」という意見が複数ありました。

判断が難しいことは承知の上で、私は寄せられた相談に自分の意見を伝えています。

一条工務店と比べられて性能の数値を聞かれたときの答え方は、一条工務店との競合で使うトークで解説しています。

一条工務店の住宅営業が性能を訴求するロジック

「洗脳される」と表現したくなる説得力

一条工務店に行くと、お客さんはもれなく洗脳されます。

洗脳とは穏やかではありませんが、私は分かりやすくこう表現しました。

悪い意味で言っているのではなく、一条工務店の説得力がすごいという意味です。

一条工務店は性能にものすごい自信を持っており、お客さんに徹底的に説明します。

オーバースペックかどうかは別にして、一条工務店の住宅営業が話していること自体は筋が通っていますし、家の性能を上げること自体が悪いわけでもありません。

一条工務店は気密性が高いことで知られる会社なので、一条工務店の住宅営業もお客さんにそこを徹底的に押してきます。

一条工務店が性能に絞って気密性や暖かさを訴え続ける売り方は、一条工務店の「家は性能」という戦略で解説しています。

一条工務店を好きか嫌いかはどちらでもかまいませんが、一条工務店信者とも呼ばれる人を大量に生み出す営業力には、私も一目置かざるを得ません。他の住宅会社の住宅営業が一条工務店から学ぶべきなのは、自社が自信を持っていることをお客さんにどうアピールするかという術で、そこにはちゃんとしたコツがあります。

後悔する三要素で物差しを先に示すトーク

住宅営業が自社の自信のある点をお客さんに訴求するとき、やり方は2つあります。

①「弊社のデザイン性はすごく高くて、ものすごい自信を持ってやっているんですよ。他社にはない高いものがありますので、ここはぜひ着目していただきたいですね」

②「家を建てて後悔する三要素をご存じでしょうか。1つは間取り、もう1つは性能、そしてもう1つがデザインなんですよ。この3つが担保されれば大成功と考えられるのですが、弊社は間取りの提案力や性能はもちろんのこと、デザインはハウスメーカーにも負けない秀逸なノウハウと実績があるんです」

2つは全く違うトークで、正解は②です。②のトークでは、住宅営業が住宅で後悔する3つのポイントという住宅会社選びの物差しを、最初にお客さんへ示しています。

「この3つは大事なことなんだ。確かに言われてみればどれも納得できるような……」

お客さんはおそらく、頭の中でそう考えるはずです。

②のトークで住宅営業は、最初にこの物差しをお客さんの頭に植え込み、それから自社は3つとも押さえていると話を続けます。

しかも住宅営業は3つを並列に並べず、デザインは特に抜きん出ているとダメ押しでアピールしています。

アピールする中身はデザインでなくてもかまいません。

3つを揃えているだけでなく、その中でさらに抜きん出たものがあると伝えることが、このトークの中心です。

一条工務店は、このロジックと同じものを使っているハウスメーカーと言えます。

お客さんの納得を引き出す話し方は、ハウスメーカーの営業トーク事例でも解説しています。

数値の比較にとらわれた2組の夫婦の住宅相談

一条工務店以外でも、私はハウスメーカーの数値の比較にとらわれたお客さんから相談を受けたことがあります。2組とも、私がリモートで話をした夫婦です。

デザインが気に入った会社の断熱性を気にした20代後半の夫婦

3年ほど前、コロナの真っただ中に、私は20代後半のご夫婦から相談を受けました。相談の内容は多岐にわたりましたが、このご夫婦もハイスペック強迫観念を持っていました。

ご夫婦はハウスメーカー3社を検討しており、デザインが一番気に入っている会社の断熱性が弱いのではないかと気をもんでいました。

その会社の数値は確かに平均より若干落ちますが、私から見れば何も問題がなく、気にするほどではありません。

しかもご夫婦が住んでいるのは日本でも有名な温暖な地域で、冬の寒さは全く気になりません。

夏は確かに暑いものの、その会社はエアコンが冷えにくくなるような気密性の悪さではもちろんありませんでした。

ところが、奥さんはこう主張しました。

「確かにそんなに心配することはないかもしれませんが、数値が少しでも高ければ断熱性が増すので、あったかいと言えますし、熱効率もいいというのは事実だから光熱費は安くつきますよね」

奥さんの言っていることはおかしくありません。

一方で奥さんは、デザインや間取りはその会社が抜きんでて素晴らしいとも言っていました。

デザインと間取りが素晴らしく、数値も大きく劣るわけではないのですから、普通に考えればその会社で決めればいいと私は思います。

ハウスメーカーと比較されても工務店がデザインで選ばれる方法は、工務店のハウスメーカー競合対策で解説しています。

それでも奥さんは、他のメーカーがより高い数値を出していることが頭から離れない様子でした。ご夫婦が最終的にどのメーカーにしたかは分からずじまいですが、ご夫婦が強い強迫観念を持っていたことは間違いありません。

自宅と住宅展示場の気密測定値を持ってきた夫婦

もう1組のご夫婦は、築35年の某大手メーカーの住宅に住んでいました。

35年前の家ですから数値は今の家とは比較になりませんが、ご夫婦は自宅で気密測定をして、その数値を手元に持っていたのです。

さらにご夫婦は、見学した某中堅ハウスメーカーの住宅展示場の数値まで持っていました。

あまりに特殊な事例で、細かく書くと特定されてしまうので詳細は控えます。ただ、ここまで来ると数値至上主義で、ご夫婦は数字に全てを支配されているのではないかと思うほどでした。

私はそこまで考える必要はないと伝えましたが、ご夫婦は明らかに納得しておらず、最終的には検討している会社の中で最も数値の高い会社に決めました。

その会社は希望すれば普通に耐震等級3を取れるのですが、ご夫婦はそれでは飽き足らず、特殊なダンパーを必要以上に取り付けて契約をしました。

地震が心配な気持ちは分かりますが、あそこまでダンパーで補強する必要があったのか、私は今でも疑問に思っています。

まとめ

お客さんの中には、性能の数値を住宅会社選びの第1基準にしている方がいます。

自社が日本一の数値を誇っているなら、住宅会社はこうしたお客さんを歓迎できるかもしれません。

しかし住宅性能では一条工務店が日本一の座にあり、他の住宅会社が抜くのは至難の業です。

そのため住宅営業は当面、折衝を始めた初期段階で、お客さんが数値至上主義なのか、そこまでこだわらないのかを見極める必要があります。

初回接客の進め方は住宅営業の初回接客のコツで解説しています。

ぜひ本記事の住宅相談の事例を参考に、初回の折衝でお客さんが気密性などの数値をどこまで重視しているかを確かめてください。

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