無印良品の家に工務店が学ぶこと|展示場で見たデメリットと設計思想

無印良品の家に工務店が学ぶこと|展示場で見たデメリットと設計思想

無印良品の家の住宅展示場で玄関を入って見上げると、2階の寝室に並んだベッドが2つ丸見えになっていました。2008年に私が世田谷の「木の家」の展示場を見学したときの光景です。

無印良品の家のデメリットは、寝室にドアも壁も付けないほど設計思想が強く、その暮らし方が合わない人には実用性に欠ける点です。案内してくれた無印良品の社員さんも、実用性を尋ねた私に言葉を濁していました。

本記事では、無印良品の家のデメリットと4つの商品、よく似たDULTON HOMEの特徴、中小工務店が2社から学べる点を解説します。

住宅展示場で見た無印良品の家のデメリット(2008年の木の家)

無印良品の家は、無印良品が手掛ける住宅部門です。私は2008年当時、1年ほど無印良品の家と取引があり、住宅営業に関する相談やマニュアル作成をお手伝いしていました。

寝室にドアも壁もなかった世田谷の木の家

2008年に、私は世田谷にあった木の家の住宅展示場を見学しました。私が受けた印象は衝撃の一言で、木の家は従来の住宅展示場の概念どころか、住宅の概念まで完全に外れた設計でした。

私が唖然とした設計を1つ挙げると、2階の奥にある寝室です。

寝室にはドアがないどころか壁もなく、完全なオープンスペースになっていました。

そのうえ、1階の玄関を開けて中に入り見上げると、ベッドが2つ並んでいるのが丸見えでした。

実用性を尋ねた私に「人それぞれですから」と答えた社員

私はその場で、案内してくれた無印良品の社員さんに「これに実用性があるのか」と尋ねました。社員さんの答えは、話をごまかすような一言でした。

「う~ん・・・まぁ、人それぞれですから(笑)」

木の家の設計思想は、一般の人に勧める間取りというより、新しい生活の提案に近いものでした。当然のことながら、木の家の売れ行きは芳しくありませんでした。

無印良品の家の4つの商品とハウスメーカーとの違い

今も木の家をブランドに残している

私が久しぶりに無印良品の家のホームページを調べたところ、大きく驚いたことが1つありました。

無印良品の家は、2008年当時のブランドをそのまま維持していたのです。

無印良品の家が主軸に展開している4つのブランドの中で、最も古いのが木の家です。

  • 木の家
  • 窓の家
  • 陽の家
  • 縦の家

一般的なハウスメーカーであれば、売れ行きの芳しくなかった商品は廃盤にして、過去の遺産として片隅に追いやります。

ところが、無印良品の家は木の家を今もホームページに堂々と掲載しています。

この点が一般的なハウスメーカーと違うところで、無印良品の家はかなり主張が強い住宅会社だと私は考えます。

私は無印良品の家を否定しているわけではありません。

新築需要が激減し、家に特徴がなくなってくる中で生き残るには、とんがった家づくりをした方がビジネスとしては正解だと私は考えています。

その意味で、私は木の家のブランドを今も残していることに感心しました。

新築が減る中で工務店が仕事を確保する方法は、工務店のリフォーム受注の進め方で解説しています。

無印良品の家を選ぶのは熱心な愛好家

無印良品は「今のところは」と注釈が付くものの高いブランド力を誇っており、無印良品が好きな人が家を建てるとき、無印良品の家は候補の1つに上がるかもしれません。もちろん、インテリア小物と住宅は全く違うので、いくら無印良品が好きでも家は別だと考える人が多いのが現実だと思います。

それでも、無印良品の家が大手ハウスメーカーのように大量販売を目指すのでなければ、熱心な愛好家というニッチ層を狙うのは戦略としてありだと私は考えます。

無印良品の家に似たDULTON HOMEの住宅

DULTON HOMEは、無印良品の家とテイストや方向性が極めて似通った住宅会社で、どちらもフランチャイズ制を敷いています。

2社ともハウスメーカーとは全く違うコンセプトで住宅を販売しており、購買層や販売手法は微妙に違います。

無印良品の家は歴史もあり、無印良品自体にも抜群の知名度がありますが、DULTON HOMEはまだ知名度が低く、未知数の部分が相当あります。

神戸の商業施設にあるDULTONの雑貨店

DULTONは、一般的には雑貨店として知られています。

神戸在住の私の家のすぐ近くの商業施設にも、DULTONのショップがあります。

DULTONのショップにはブリキ調のゴミ箱や、大昔の鉄道のホームで見かけたようなレトロな時計が並び、古き良きアメリカのテイストも少し合わせた商品構成になっています。

DULTON HOMEは、この雑貨のブランドをそのまま住宅に持ち込み、フランチャイズで展開している住宅会社です。

北九州の第1号店はインテリアショップと住宅を連動させていた

DULTON HOMEのホームページを見ると、加盟する住宅会社は全国で10社を超えており、DULTON HOMEは今も積極的に加盟店を増やしています。第1号店は、今から4年前に北九州でお目見えしました。

第1号店として加盟したのは、新築・マンション・リフォームを手掛ける、市内では知名度のある有力な住宅会社です。この住宅会社はDULTON HOMEに加盟する前から、住宅とは別に大きなインテリアショップを運営し、インテリアショップと住宅を連動させる戦略を取っていたので、加盟は比較的スムーズに進みました。

私はこのインテリアショップに20回以上足を運んでいますが、平日でもお客さんが途切れることはなく、インテリアショップは市内でも有名なスポットの1つになっています。住宅会社の本社は別の場所にありますが、住宅部門の一部はインテリアショップの敷地内に事務所を構え、コーディネーターや設計担当が常駐しています。

中小工務店が無印良品の家から学べること

無印良品の家とDULTON HOMEの動きは面白く、私は2社が今後爆発的に大きくなることはないものの、一定の強い支持は得ると考えています。住宅の市場は、もうマスの時代ではありません。

小規模な工務店がこの時代に生き残るなら、1万人に受け入れられる住宅ではなく、100人に評価されるコンセプトを狙うべきだと私は思います。

極端な話をすれば、古風な和式住宅をつくるのも1つの手で、このテイストが大好きな人は確かに存在します。

工務店はマーケットを考えながら、同じ発想でニッチな分野を極めていくべきです。

地域の市場の調べ方は、住宅営業の探客方法で解説しています。

インテリアや小物まで含めて提案する

工務店の住宅営業は、お客さんの要望を聞いて間取りを提案するだけでなく、どんなインテリアが好きかもヒアリングしたうえで、トータルコーディネートを提案します。トータルコーディネートは、小規模な工務店でも人の力で十分にできる取り組みです。

収納など1つの分野に特化してこだわる

工務店が特化する分野として一番分かりやすいのは収納です。工務店はホームページで、たとえば収納へのこだわりをうたいます。

「うちは収納にはすごくこだわっていますし、ノウハウや知見をたくさん持っています」

もちろん、うたう内容を裏付ける中身がなければ話になりませんが、工務店はとにかく自社のとんがった部分を探してお客さんにアピールします。

自社のとんがった部分を競合他社との差別化として伝える方法は、ホワイトペーパーを使った工務店集客で解説しています。

厚さ5cmの打ち合わせファイルを見せる

打ち合わせが充実していることをアピールしている工務店を、私は実際に知っています。有限会社の小規模な工務店で、社長は営業のセンスが高く、お客さんの心をつかむ方法をよく知っています。

社長は以前、マル秘ツールを私に見せてくれました。

マル秘ツールといってもただのファイルで、中身はあるお客さんと実際に打ち合わせをした経緯をまとめたものでした。

ファイルの厚さは5cmにも及び、お客さんは中身を見なくても「この工務店は建築請負契約の前に徹底的な打ち合わせを行うんだな」と一目で分かります。

工務店が「納得するまで徹底的に打ち合わせをします」と口で言うのは簡単ですが、お客さんに視覚的に理解してもらう方が効果的なのは明らかです。

まとめ

無印良品の家のデメリットは、寝室まで仕切らない木の家に表れているように、設計思想が強く暮らし方を選ぶ点です。その一方で、無印良品の家は売れ行きの芳しくなかった木の家を今も残し、熱心な愛好家に向けたとんがった家づくりを続けています。

中小工務店が無印良品の家のすべてを真似ることはできませんが、インテリアまで含めた提案、1つの分野への特化、打ち合わせの見える化は小さな工務店でもできます。住宅営業で成功するコツの1つはうまくいっている住宅会社の真似をすることで、今は大きな規模を誇る住宅会社にも、昔は他社を徹底的に模倣した会社が何社もあります。

ぜひ本記事の木の家の体験談と3つの取り組みを参考に、自社がとんがれる分野を1つ決めてください。

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