坪単価の上昇と工務店の打ち手|石川県は約10年で80万円に

坪単価の上昇と工務店の打ち手|石川県は約10年で80万円に

石川県内の住宅の平均坪単価は、2014年の50万円台半ばから2023年には80万円になりました。

一方で、平均建築面積は50坪前後から40坪を切るまで減っています。

この数字は、私が7月26日に金沢でセミナーに登壇した日の懇親会で、締めの挨拶をした会長さんから聞いたものです。

本記事では、石川県の坪単価と施工面積の変化が何を意味するのか、工務店が営業で何をすべきかを解説します。

石川県の住宅の坪単価は2014年の50万円台半ばから80万円へ

金沢のセミナー後の懇親会で会長さんが話した数字

私にとって久しぶりの金沢でした。新幹線が敦賀まで延伸してから初めて乗れることに加え、金沢の有名な料亭での懇親会もセットされていたので、私はワクワクしながら出向きました。

私は事前に「敦賀での乗り換えが煩雑で、しかも時間がかかる」と聞いていたので、利便性はあまり変わらないと思っていましたが、実際には全く違いました。

乗り換えにはさほど時間がかかりませんでした。

また、新幹線に乗る時間が60分程度あったので、従来の特急サンダーバードと比べて、私は体がすごく楽に感じました。

懇親会の会場は、金沢の人であれば誰もが知る「松魚邸」という料亭で、料理も豪華で美味しかったです。

懇親会は予定どおり終わり、最後の締めで会長さんが挨拶をされましたが、その中の一節が衝撃的な内容でした。

会長さんが話したのは、あくまで石川県内のデータです。

「先日の会合で衝撃を受けました。2023年と10年ほど前になる2014年のデータをある方から聞いたのです。それによりますと、2014年は石川県内の平均建築面積が50坪前後で、平均坪単価が50万台の半ばだったというのです。ところが2023年には建築面積が40坪を切るところまで落ちてきたのにも関わらず、坪単価が80万円になったというのです」

私はメモを取っていたわけではないので、細かい数字には誤差があるかもしれませんが、大きくは外れていません。

坪単価が上がって建築面積が減ったのは住宅性能が上がったから

会長さんは、続けて数字の意味を話しました。

「これが何を意味するかというと、新築着工棟数が少なくなり、その上、建築面積が減っているわけです。それにもかかわらず坪単価が大きく上昇したことは、住宅の性能が上がってることに他なりません」

私も、以前と比べて建物がある程度小さくなったことは知っていましたし、坪単価の上昇も分かっていました。

しかし、実際の数字は私が考えていたよりはるかに大きく、参加者全員からも声が上がりました。

工務店が生き残るうえで、この変化は見落とせない数字です。

石川県の坪単価から工務店が読むべきお客さんの変化

石川県内の坪単価が急激に上がったのは、お客さんが「家の坪数を小さくしても構わないので、性能を良くしたい」と考えている表れだと私は分析しています。住宅会社の側が考える以上に、お客さんは高性能住宅を求めています。

大手ハウスメーカーもこの方向に向けて走っていますし、国も同じ方向を目指しています。

さらに、住宅系YouTuberがこうした動きを煽るように追いかけているのが現状です。

お客さんの動きがこれだけ変わっている以上、工務店はお客さんの上を行かなくてはなりません。

国がZEHを推し進める背景は、国策としての工務店のZEH対応で解説しています。

ZEHを売り文句にする競争は大阪・名古屋のマンション広告で始まった

大阪・名古屋の地下鉄で見たZEHマンションの中吊り広告

私が金沢で登壇したセミナーのテーマはZEHで、会長さんの締めの挨拶もこの流れを汲んだものでした。

参加した工務店の社長たちも、かなり気が引き締まったと私は感じました。

工務店の社長たちは、ZEHがこれからの標準になることを頭では分かっています。

しかし、人間は危機が目の前に迫ってこないと、なかなか動けないものです。

私はセミナーの中で、次のような話をしました。

「大阪や名古屋の地下鉄でZEHを前面に打ち出したマンションの中吊り広告を見ました」

マンションの広告にZEHが出てきたことは、ZEHを売り文句にする競争が始まったことを意味します。

大阪や名古屋という大都市で始まった動きは、時間差で地方にも波及します。

私はセミナーでいろいろな話をしましたが、実はこの中吊り広告の情報こそ、参加者に一番伝えたかったことです。

戸建ての工務店が今から急いで動くべき理由

戸建て住宅ではZEHを謳い文句にすることがかなり当たり前になってきましたが、マンションではまだ珍しいはずです。そのマンションですらZEHを前面に打ち出す業者が現れたということは、水面下ではかなりZEHマグマが溜まっていると私は見ています。

戸建ての施工に携わる工務店は、今から大急ぎで動かないと、この波が一気に来たときに手遅れになります。私はセミナーでもこの話をしましたが、このコラムを読んでいる工務店の経営者や住宅営業にも、強くアドバイスをさせていただきます。

周りの工務店が動き出す前に始めておく備えは、小規模工務店のZEH対応の進め方で解説しています。

坪単価80万円時代に工務店の住宅営業が先手で打ち出すこと

高性能住宅が当たり前という姿勢をお客さんより先に見せる

工務店の住宅営業は、「お客さんが希望すれば高性能にしますよ」という姿勢ではいけません。営業担当者は、お客さんが口を開く前に、次のように伝えて先手を打ちます。

「これからの住宅は高性能が当たり前ですから、弊社もそれに沿った考えで住宅を捉えています」

先手を打つのと後手に回るのとでは大違いです。営業担当者が先に言い切ると、お客さんは「この工務店は高性能住宅の時代が来ると考えているんだな」と受け止め、工務店への印象が大きく変わります。

お客さんが見ているYouTube動画で知識と情報を身につける

工務店の社長や営業担当者は、お客さんに負けない知識を蓄える必要があります。

ただ、日々の業務に追われていると、勉強は簡単そうでなかなかできません。

私は、最も効率的かつ効果的な情報の入手先はYouTubeだと考えています。

私は顧客取材をしているので分かりますが、取材したお客さんの8割方がYouTubeを参考にしています。

意識が高く高性能住宅を考えているお客さんほど、YouTubeで「高性能住宅」などの言葉を入れて検索する傾向が強いです。

そのため、工務店もYouTubeで同じ言葉を検索し、上がってきた動画をピックアップしてチェックしてください。

動画の作成者が話している内容は、工務店が重点的に勉強すべきことであり、お客さんのウケもいい内容だと考えれば、ほぼ間違いありません。

契約したお客さんへの取材から分かる接客の考え方は、ハウスメーカーの営業トーク事例で解説しています。

たとえば、ZEHを大きく推奨する動画が複数あり、再生数もそれなりに伸びているとします。その場合、工務店が新規で折衝するお客さんもZEHに関心を持っている可能性が、それだけ高いと考えてください。

坪単価の話の前に住宅系YouTuberの話題でお客さんの関心を聞く

住宅営業がお客さんと雑談しながら新規接客をする様子

私が今、住宅営業として新規接客をするなら、次のような雑談を必ずします。

私「最近は家を検討するお客さんの多くが、いわゆる住宅系YouTuberの動画を見ているんですよね。〇〇さんも同じようにご覧になりますか?」

客「確かに私も妻も結構見てますね」

私「ちなみにお名前がパッと出るようなYouTuberの方っています?」

営業担当者の聞き方は、この程度で十分です。

実際にこの形でYouTuberの名前を聞いていくと、お客さんがしっかり名前を覚えているケースの方が多いのが現状です。

会話を続けるなら、お客さんがどんな動画に興味を示したか、その動画への感想や関心度まで探っていきます。

この流れの中で、お客さんがZEHを説明した動画に興味を示したと判断したら、営業担当者もそれに強く賛同して商談を進めるべきです。

ただし、ZEHはあくまで一つの事例にすぎません。

お客さんの関心はデザインかもしれませんし、子育て住宅という観点かもしれません。

お客さんが家づくりのどこに重心を置いているかを早い段階で探ることは、新規接客に欠かせない折衝術です。

初回接客の進め方は、住宅営業の初回接客のコツで解説しています。

まとめ

石川県内の住宅の平均坪単価は2023年に80万円となり、平均建築面積は40坪を切るまで減りました。会長さんが話したとおり、この変化は住宅の性能が上がったことを示しており、お客さんは坪数より性能を優先し始めています。

ZEHを売り文句にする競争は大阪や名古屋のマンションで始まり、時間差で地方にも広がります。工務店は、高性能住宅が当たり前という姿勢を先に見せ、お客さんと同じYouTube動画で勉強し、新規接客の雑談でお客さんの関心を早めに探る必要があります。

ぜひ本記事の石川県の坪単価の数字と新規接客の雑談例を参考に、次の商談から高性能住宅の話を先手で切り出してください。

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