建て替え案件のヒアリング術|現宅を徹底調査した住宅営業の会話例

私が建て替え案件で他社より多く受注できたのは、今の住まいの不満を玄関・寝室・キッチンと部屋ごとに聞き出し、お客さんと一緒に現宅を見て回って、今より住環境のレベルを上げる提案を出していたからです。
本記事では、建て替え案件で現宅を徹底調査するヒアリングの進め方を、私が営業時代に交わした実際の会話をもとに解説します。
建て替え案件を工務店の住宅営業が取りたい理由
建て替え案件は全体の数こそ少ないものの、工務店としても取りたい案件で、住宅営業個人にとってもやりがいがあります。
私は建て替え案件をいちばん得意にしていました。
建て替え案件でも一般の新築と同じように対応する住宅営業は多いですが、その考え方では受注はおぼつかないと私は断言します。
土地紹介が要らず建物の話で勝負できる
建て替えのお客さんは土地なしのお客さんと違い、住宅営業が土地を紹介する手間がかかりません。
不動産業者は土地の紹介がメインの仕事ですが、住宅会社は建物の建築請負契約をしてナンボの世界なので、建て替え案件では最初から建物で直球勝負の商談ができます。
土地から探すお客さんへの対応は、住宅営業の土地提案の進め方で解説しています。
今の家より住環境のレベルを上げれば満足度が上がる
建て替えの受注に必要なのは、今住んでいる住宅環境よりレベルを上げることで、考え方は至極簡単です。
たとえば、30坪の二階建てで部屋数が足りず、物があふれ返っているお客さんがいるとします。
そのお客さんの家が建て替えで40坪に生まれ変われば、広さについての満足度は激烈に上がります。
基本を忠実に守って商談を進めれば、良い結果が待っていると信じて前に進みましょう。
住宅営業の建て替えヒアリングは部屋を絞って聞く
「玄関で困っていることは何ですか?」と場所を限定する
どんな質問でも、ざっくり大きく聞かれると、お客さんは答えようがなくなります。次の2つの聞き方を比べてください。
A「今の住まいで困っていることは何ですか?」
B「今お住まいの玄関で困っていることは何ですか?」
AもBも聞いている中身は同じですが、Bのほうが的を絞っているので、お客さんは具体的に頭に思い浮かべやすく、答えもすぐに出ます。
営業「今お住まいの玄関で困っていることは何ですか?」
奥様「北側に面していることもあるんだけど、もう、とにかく暗いんですよ。昼でも電気をつけないと足元がよくわからないんです」
このピンポイントの聞き方は、私が建て替え案件で受注を重ねた理由の1つです。玄関と同じ形で寝室・子供部屋・キッチン・ダイニングと分けて聞いていくと、お客さんから今の住まいへの不満が次から次へと出てきます。
困っていそうなことを住宅営業から言い当てる
私は場所を絞るだけでなく、もう1つのヒアリングテクニックも使っていました。奥様が玄関の暗さを話してくれた会話には、次の続きがあります。
営業「暗い玄関は確かに気が滅入りますからね。よくあるのは、靴が多すぎて玄関に置きっぱなしになってしまうというケースです。これはいかがですか?」
奥様「確かに今は飽和状態ですよ。サンダルとかそういうものは横に置きっぱなしだし、あとは私のブーツなんかの置き場がなくて雑然とした状態になってるんです」
これは私が営業時代に実際に交わした会話です。奥様が私の読みどおりの反応をしてくれたので、私はさらに傘置き場の話でたたみかけました。
営業「それと、傘置き場に困っている方もすごく多いんですよ。玄関の片隅に買ってきた傘立てを置くのですが、周りがべちょべちょになったり、玄関に水があふれ出たりなんてことがあるんですよね」
奥様「それはうちの話ですよ(笑)梅雨時なんて言うのはもうぐちゃぐちゃよね」
ここまで来れば、話は盛り上がる一方です。
玄関だけでこれだけの話ができるので、同じ理屈で全部屋を聞いていくと、ヒアリングだけでとんでもない時間がかかります。
住宅営業がだらだら聞くのは良くありませんが、お客さんにとっては、自分の困っていることを担当営業がずばりと言い当て、うまく聞き出してくれるので、フラストレーションは解消される一方です。
奥様との会話の運び方は、ハウスメーカーの営業トーク事例で解説しています。
不満を話しきった満足感が住宅営業への評価になる
お客さんが感じるのは、今抱えている不満を腹の底から洗いざらい目の前の営業にぶちまけた爽快感で、これが満足につながります。
営業は聞き上手になれと大昔から言われますが、この格言は今でも通用します。
部屋を絞って不満を聞き出す営業と、更地から建てる場合と同じく、いきなり「どんな間取りがご要望でしょうか?」と聞く営業とでは、お客さんの満足に雲泥の差が生じます。
今の暮らしの不満を聞く質問で折衝の糸口をつかんだ実例は、家にこだわりがない客の接客で解説しています。
今の家で気に入っている点も聞く建て替えの質問

建て替えを考えるお客さんの家は、基本的には不満だらけです。
それでも、築50年の家であっても、お客さんが何かしら気に入っているところは少なからずあると、住宅営業はあたりをつけておきます。
私はヒアリングのとどめに、この気に入っている点を聞いていました。
築50年の家の玄関で明るさを言い当てた会話
これも玄関での、私の営業時代の実際の会話です。
営業「建て替えをご計画なわけですが、先ほどのお話ですと玄関は暗いのが難点で、靴をしまう下駄箱も小さく、傘を収納する傘立ても不満な点だとおっしゃっていましたよね」
奥様「そうです。とにかくもう困ったところばかりですよ」
営業「50年前ですからどうしてもそういうことになりますが、その逆に玄関で気に入っているところなどもあるのではないですか?」
奥様「気に入っているところねえ・・・」
営業「先ほどお邪魔した時にふと思ったのですが、玄関の正面だけでなく左右にも窓がある作りなので、日中はかなり明るいのではと思ったんです」
奥様「あっ、そうそう、それは言えるわ。確かにこの家の玄関はものすごく明るくて、お友達が来た時にも同じようなことを言われたことがあります。自分はこの家に住んでるから気が付かないんですが、言われてみれば明るいかもしれませんね」
営業「それならば新居でもこの明るさはなんとか確保した玄関に設計できるといいですよね。そのことはちょっとメモしておきますよ・・・」
良いところは住宅営業が具体的に挙げて聞く
「何かいいところありませんか?」と聞かれても、お客さんは答えようがありません。
玄関の窓をネタに話を振った私の読みは、ドンピシャでした。
住宅営業は具体的に良いところを挙げて質問するのがコツです。
初回接客で押さえる項目やお客さんが話したくなる話題の集め方は、住宅営業のヒアリングのコツで解説しています。
お客さんと一緒に建て替え前の現宅を見学する
一階から二階の隅々まで一緒に見て回る
建て替え案件で私は、可能な限りお客さんのお宅を、一階はもちろん二階の隅々まで見せてもらいました。チェックと言うと少しニュアンスが違い、実際にはお客さんにこう声をかけていました。
「できればお客さんと一緒に部屋を色々見て回りたいんですけどもいかがです?ご自身でも改めて見ると問題点がいろいろ発見されるでしょうし、私もプロの第三者として問題点や改善すべき点をご提案できると思います」
住宅営業がお客さんと一緒に部屋を見学するかしないかで、結果は大きく変わります。
一緒に自宅を見て回ると、お客さんからちょっとした細かい不満がどんどん出てきます。
現地に伺う段取りは、住宅営業のアポ取りのコツで解説しています。
出てきた不満を部屋ごとに提案へ置き換える
不満がたくさん出れば、提案ポイントもまったく同じ数だけ生まれるので、住宅営業のプレゼンテーションは他社とはまったく違う異次元のレベルに達します。
現宅を訪問できない場合にお客さんの困りごとを引き出す方法は、生活感のある写真を使うヒアリングで解説しています。
まとめ
私は建て替え案件で、場所を絞った質問、困っていそうなことの言い当て、気に入っている点の聞き出し、お客さんとの現宅見学によって、今の住まいより住環境のレベルを上げる提案を作っていました。
私は展示場で接客したお客さんが建て替え案件だと分かった瞬間、心の中でわくわくしていました。
住宅営業が現宅を徹底調査すれば、今までとは違う手応えの商談になります。
ぜひ本記事の会話例を参考に、次の建て替え案件では、お客さんと一緒に現宅を見て回るところから商談を始めてください。



