住宅営業の土地提案で打率70%|周辺環境を映像で見せた先輩の体験談

住宅展示場で接客し、次のアポイントにつながるお客さんのうち、最近は80%程度が土地無し客です。住宅営業は建物と同時に土地も探さなくてはならず、土地を紹介しては断られることが続くと、紹介そのものをやめてしまう営業マンもいます。
私が入社1年目のときに同じ店にいたF先輩は、土地無し客に土地を紹介して決まる打率が70%程度ありました。F先輩は、土地からスーパーまでを自転車で走った映像や、4時間粘って撮った近隣住民の写真を使い、周辺環境の良さを目に見える形でお客さんに示していました。
本記事では、F先輩の商談に同席した体験談と、私が実行した土地提案の方法を解説します。
住宅営業の土地提案で打率70%だった先輩の商談に同席した体験談
私は注文住宅営業の出身で、住宅展示場でお客さんを待ち受けて接客するスタイルでした。
土地無し客が来ると、営業マンは今ひとつ気乗りしない傾向があります。
ところが、「土地無し客だ!もらったぜ!」と考える、方向性のまったく違う営業マンが一部にいて、入社1年目の夏に同じ店で一級上だったF先輩がその一人でした。
F先輩は何とも奇妙な人でしたが、土地無し客に土地を紹介したときの打率は70%程度だったと記憶しています。
この打率は異常だと私は思い、F先輩のお客さんが展示場に来場すると聞いたとき、「同席させてもらっていいですか?」と頼み込みました。
F先輩は「いいよ」と快諾し、当日は「勉強のため新入社員を同席させます」と簡単に紹介しただけで商談が始まりました。
物件概要書の説明から奥さんの買い物の話に切り替えた
商談開始から5分程度は、見るべきものはありませんでした。
F先輩はB4サイズの物件概要書を見ながら、「一坪〇〇万円で小学校まで歩いて12分ですね」といった話をしていただけです。
ところが、そこからF先輩は話の展開を変えました。
先輩「そういえば奥様は車の運転が苦手なので、買い物は自転車で行ければな~と話されていましたよね?」
奥様「そうなんですよ。車の運転だけはなぜかダメなんですよ(笑)」
先輩「実は今回の土地なのですが、自転車ですぐのところに大型スーパーの○○があるんですよ! だからこの土地をいち早くご紹介しようとご連絡した次第です」
土地からスーパーまでを自転車で撮った映像を流した
少し煽り気味に話し始めたF先輩は、展示場のテレビのスイッチを入れて再生ボタンを押しました。画面に映ったのは、F先輩が土地からスーパーまでの道のりを自転車で走ったときの映像です。
先輩「ちょっとブレていますが、自転車のハンドルにビデオカメラ固定して私が撮りました!」
F先輩は流れる映像に弁士のように解説を加え、「結構近い」「街灯もたくさんついている」「ガードレールもしっかりある」「途中に昔ながらの商店街まである」と利点を挙げていきました。
映像が大型スーパーに着くと、F先輩はそのスーパーがいかに便利かを話し始めます。
本来はいけないことですが、F先輩はスーパーの店内の写真まで自分で撮っていて、楽しい買い物空間であることをアピールしました。
横にいた私は完全に空気と化していましたが、奥さんが食い入るようにテレビ画面を見つめていたのを今でも鮮明に覚えています。
4時間粘って撮った近隣住民の写真を見せた
買い物環境の話が終わると、F先輩は話題を近隣の住人に移しました。
先輩「この写真を見てほしいのですが、土地を下見に行ったときに写真を撮ったら、たまたま隣の方が玄関から出てきましてね……」
私も写真をのぞき込むと、30代と思われるお母さんが5歳くらいの子どもの手を引いて出かけるところが写っていました。F先輩は写真を指差しながら、こう続けました。
先輩「奥さんもお子さんもちょうど同じくらいの年代ではないですかね。同じくらいのお子さんがお隣さんと言うのは悪くないですよ」
F先輩の話はお隣さんで終わらず、お向かいさんの話まで始まり、F先輩はそこに住むおばあちゃんの写真まで持っていました。近隣住民の話はまだまだ続き、お客さんが帰った後で、私は感心してF先輩に聞きました。
私「F先輩すごい! あんな写真をタイミングよく撮れたものですね!」
先輩「あんな写真が偶然に撮れるわけないだろうが。あれはな、4時間も現場で粘って、それとなく人物を入れ込んで撮影したんだよ」
ここまでやるのかと、私はこのとき驚きました。
F先輩はほかにも、学習塾の評判や月謝を調べたり、バス停の時刻表を写真に撮って見せたりしていました。
小さなお子さんがいるお客さんだったので、F先輩は歯医者や内科に加えて小児科まで調べていました。
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住宅営業の土地提案は周辺環境の説明で決まる
F先輩の土地提案の答えは、周辺環境の説明でした。
周辺環境の説明そのものは、住宅営業の方なら言われなくてもしているかと思います。
しかし、F先輩のようにビデオ撮影をしたり、近隣の開業医の情報まで調べたりする営業マンがどれだけいるでしょうか。
土地の坪単価や前面道路の幅員も大事ですが、住宅営業がそれだけを説明していても土地は決まりません。
それどころか、営業マンが周辺環境の魅力を伝えられないと、お客さんは土地のマイナス点を探し始めます。
私のコンサル先でも、お客さんから実際にこんな質問が出ました。
「ゴミステーションが南側にあるけど、夏場とか南風に乗って悪臭が漂ってくるんじゃないかな?」
「分譲地の入り口が少し上り坂になっているけど、冬場に雪が降ったら徒歩でも車でも滑って危ないよね?」
そのコンサル先の地域は雪などまず降らない地域で、お客さんが雪の心配をする必要はありませんでした。
それでも、担当の営業マンが質問に答えきれなかったために、その土地はボツになりました。
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「マイナス30点でもプラス120点なら90点」という土地提案の考え方
商談の後、F先輩は私に「俺の打率が高いわけを教えてやろうか?」と言って、その理由を教えてくれました。
F先輩の考え方は、問題点の総合点がマイナス30点でも、優れた点の総合点が120点なら合計点は90点になるというものです。
ゴミステーションがあっても、小学校まで遠くても、住宅営業がそれを上回るプラス点を積み上げていけば、土地の合計点は上がります。
F先輩は紹介する土地の良い点を必死で探し回るだけでなく、良い点を目に見える資料にして、お客さんの前でプレゼンテーションしていました。
ここまでやったからこそ、F先輩は圧倒的な打率を残せたのだと私は考えています。
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私が実行した土地提案の方法(動画撮影と説明の練習)
F先輩の商談に同席できたのは、私にとって大きな収穫でした。
先輩のノウハウをすべて真似するのはさすがにあきらめましたが、先輩の猿真似に自分なりの工夫を重ねた結果、私は土地紹介が大得意になりました。
私が大原則にしていたのは、学校までの道と近隣の動画撮影の2つです。
土地から学校までの道を車載ビデオで撮影する
学校までの撮影はF先輩のパクリですが、私は毎回やっていました。
当時はスマホで撮影というわけにいかなかったので、私は自前のVHSビデオカメラを社用車のフロントに設置して撮影していました。
夜間や雨天の撮影もできる限り行い、下校時の様子も撮りました。
私は撮った映像を編集し、展示場ではリビングに置いてあるテレビで、お客さんのお宅での折衝ではテレビを借りて流していました。効果は抜群で、昔も今も変わらないのは、口頭より写真、写真より映像だということです。
スーパーや公園など近隣をくまなく撮影する
撮影範囲はその都度違いましたが、私は土地の周辺をいろいろと撮影しました。写真もたくさん撮りましたが、中心は動画で、スーパー、商店街、公園、学校など思いついたものはすべて撮りまくりました。
私は動画を見せながら説明するシミュレーションも徹底的に行いました。
事務所のデスクでブツブツしゃべっていると周りの邪魔になるので、展示場の寝室に移動して一人芝居をしていました。
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よくある質問
不動産会社の営業でも、同じ土地提案のやり方は使えますか?
土地紹介の打率を上げたいのは、住宅営業マンも不動産営業マンも同じなので、不動産営業に従事している方にも思いのほか参考になる話だと私は考えています。F先輩は積水ハウスの関連会社である積和建設不動産部や、なじみの不動産業者からも一目置かれていて、不動産の営業マンもF先輩のノウハウを参考にしていました。
まとめ
住宅営業の土地提案は、坪単価や前面道路の説明だけでは決まりません。F先輩は、マイナス30点の問題点があっても120点のプラス点を積み上げれば合計90点になると考え、スーパーまでの映像や近隣住民の写真で周辺環境の良さを見せて、70%程度の打率を残していました。
私も学校までの道と近隣を動画で撮り、展示場の寝室で説明を練習して、土地紹介が大得意になりました。
ぜひ本記事のF先輩の商談を参考に、次に紹介する土地の周辺環境を映像で見せる準備をしてください。



