住宅営業に向いている人は完璧主義?契約キャンセルの取材事例

住宅営業に向いている人は完璧主義?契約キャンセルの取材事例

有力地場工務店のT君は、お客さんに何か言われそうなことがあれば先回りして資料を徹底的に揃えていましたが、昨年の成績はいまいちでした。

住宅営業に向いている人は、完璧に答えられる人ではありません。私が取材した千葉県の契約キャンセル客の奥さんは、キャンセルの最大の理由を「彼があまりにも完璧すぎるので不信感を抱いたのよね」と話しました。

本記事では、完璧主義の営業と不真面目な営業の実話をもとに、住宅営業に向いている人・向いていない人の特徴と見極め方を解説します。

完璧主義者は住宅営業に向いている人か(地場工務店のT君)

住宅営業は、中途半端な知識でお客さんに接してはいけない仕事です。営業社員がうまくごまかそうとしても、たいていはお客さんに簡単に見破られてしまいます。

お客さんになめられたくないという思いから、仕事だけでなくプライベートでも気を抜かず、完璧な対応を取ろうとする営業社員がいます。

住宅の営業職である以上、お客さんから不審な目で見られてはいけないと考え、すべてをパーフェクトにこなそうとする営業担当者は意外なほど多いです。

一見すると問題がなさそうですが、お客さんから見ると不評だったり、話していて面白くない人だと思われたりすることがあります。

有力地場工務店のT君の自己分析

T君は有力地場工務店の営業社員で、入社4年目の20代です。

T君は見るからに清潔感があり、涼しげな顔をしています。

T君自身が「格好よくありたいのです!」と言うほどなので、身なりはきちんとしていて、なかなかのイケメンです。

身なりに気を配ること自体は、もちろん問題ありません。この前、私はT君とこんな会話を交わしました。

私「昨年の成績がいまいちだったけども、T君として問題だった点を自己分析するとどんなことになるんだろうね?」

T君「私結構完璧主義者なんですよ。ですからお客さんに対しては抜かりなく対応していますし、何か言われそうなことがあれば、先回りして資料を徹底的に揃えちゃうんですよね。でも、そこがお客さんにとってちょっと息苦しさを感じているような気がしないでもないんです」

T君の自己分析は、なかなか面白いものでした。ただ、このタイプの営業マンはたまに見かけるので、私はT君に「それってたまにある話なんだよね」と答えて、アドバイスを続けました。

人間の魅力はギャップにある

「人間の魅力はギャップにあり」という言葉があります。住宅という高額商品を扱う営業マンにとって、抜かりなく完璧に仕事をするのが百点満点であることは間違いありません。

しかし住宅営業は、お客さんと商談する時間が長いうえに、建築請負契約の後も長いお付き合いが続く、特異な業界です。そう考えると、営業マンが完璧主義すぎては、お客さんも息が詰まると私は考えます。

お客さんの性格にもよりますが、冗談一つ言えない営業には問題があります。

普段から完璧に仕事をしている営業マンがたまにポカをすれば、人間味が出て、いい潤滑油になることもあります。

私はミスを勧めているわけではありませんが、完璧に見える人に意外と抜けている部分があると、お客さんはなんだかほっこりするものです。

そうしたギャップが、人間の魅力になります。

ただ、T君の完璧主義は20数年かけて培われた性格なので、直すのは至難の業だと私は思います。困りましたね……(笑)

住宅営業に向いている人に見えた20代営業のキャンセル事例(千葉県)

T君との面談で、私は20年前に取材した住宅営業のケースを思い出しました。場所は千葉県で、やはり物事を完璧にこなす20代の営業マンがいました。

その営業マンは、ルックスも爽やかな好青年でした。

営業マンは細かいことも手を抜かずにやるうえに、住宅の勉強を徹底していたので、お客さんから何を聞かれても瞬時に答えることができました。

ところが、その営業マンと建築請負契約を交わしたお客さんが、契約をキャンセルする事例が起きました。

キャンセルしたお客さんの自宅で聞いた最大の理由

契約を破棄したお客さんから取材のアポがよく取れたものだと感心しながら、私はカメラを片手にお客さんの自宅へ伺いました。

お客さんは営業マンについて「基本的にはよくやってくれるし、頼もしい営業なので高評価だった」と話していました。

それでも営業マンへの不満や問題が積み重なり、お客さんは最終的に契約破棄に至ったそうです。

キャンセルの理由は複数ありましたが、奥さんが挙げた最大の理由に私は驚きました。

「彼があまりにも完璧すぎるので不信感を抱いたのよね」

奥さんは、キッチンについて質問したときのやり取りを再現してくれました。

奥様「このキッチンの天板の素材は……」

営業「それは〇〇でできていまして、メーカーもイチオシの推奨商品です。そしてさらにもう一つ情報をご提供しますと……」

営業マンは、奥さんが質問を言い終える前に中身を察して、かぶせ気味に答えていました。しかも営業マンは、聞かれたことにプラスアルファの情報を加えて、早口でどんどん浴びせかけてきたと奥さんは話していました。

営業マンとしては、奥さんの言いたいことをすぐに察してスピーディーに答えれば、信頼を得られると考えたのでしょう。

実際には、その対応が奥さんの不信感を生んでいました。

奥さんははっきりとは言いませんでしたが、「なんだか騙されているのではないか」と感じたようです。

こういうケースもあるのかと、取材していた私も驚きました。

奥さんへの接客で気をつける点は、ハウスメーカーの営業トーク事例で解説しています。

不真面目な営業は住宅営業に向いていない(奥様への取材で聞いた実話)

完璧主義の住宅営業の話をしましたが、現実の営業現場を見ると、真逆のふざけた営業の方が圧倒的に多いです。次の2つの話も、私がお客さんに取材して聞いた本当の話です。

客の前で私用の電話を5分も続けた営業

ある奥様は、呆れ顔でこの話を私にしてくれました。奥様の家を担当したのは友人から紹介を受けた営業マンで、最初の顔合わせから妙に軽く、軽口をたたくことが夫婦ともに気になっていたそうです。

私は奥様だけに取材しましたが、奥様によると、営業マンは初対面にもかかわらず軽い口調でご主人を誘ってきたそうです。

「今度飲みに行きましょうよ!」

ところがご主人はまったくの下戸で、性格的にも営業マンとはまったく合わず、次回の商談はもちろんありませんでした。さらに営業マンは、商談の途中で関係者の設計士に問い合わせの電話をかけ、用件もそこそこにプライベートな飲み会の話を5分間も延々と続けたそうです。

にわかには信じられない話ですが、奥様が事の顛末を語ってくれた場面は、私の手元に映像として残っています。

紹介者の資金計画を話してしまった営業

別のお客さんから聞いた話です。

ある営業マンが、建築請負契約をしたお客さんから職場の友人を紹介してもらい、折衝に入りました。

紹介してもらったくらいですから、営業マンと紹介者のお客さんとの関係はうまくいっていたはずです。

ところが資金計画の話になったとき、営業マンは紹介者の資金計画を、紹介された友人にべらべらと話し出しました。

「〇〇さんは自己資金600万ぐらい何とか出したんですよね。そして銀行ローンは3,000万近く組んだのですがそんなに問題ないと思うんです。ですから心配しなくて大丈夫ですよ」

紹介された友人は、この瞬間に営業マンと縁を切りました。

この証言も、私の手元に映像として残っている貴重なものです。

当の営業マンは、なぜ急に商談を打ち切られたのか、いまだに分かっていないでしょう。

紹介をもらうときの進め方は、紹介営業のコツで解説しています。

住宅営業に向いている人の特徴と見極め方

本記事の事例を並べると、次のようになります。

見るところ向いている人向いていない人本記事の事例
質問への答え方質問を最後まで聞いてから答える質問を言い終える前にかぶせ気味に答える千葉県の20代営業
情報の量聞かれたことに答える聞かれていない情報まで早口で浴びせる千葉県の20代営業
商談の雰囲気冗談やちょっとした抜けを見せられる完璧すぎてお客さんに息苦しさを与える地場工務店のT君
初対面の距離感お客さんに合わせた口調で話す初対面で飲みに誘い、商談中に私用電話をする友人の紹介で担当した営業
他のお客さんの情報口外しない紹介者の資金計画を話す紹介で折衝に入った営業

工務店の社長が真面目な営業社員にアドバイスするとき

真面目な営業社員を採用している工務店の社長さんは、営業社員の性格を直させるよりも、商談での振る舞いをうまくアドバイスしてみてください。

まとめ

住宅営業に向いている人は、完璧な対応ができる人ではなく、お客さんが息苦しく感じない距離で付き合える人です。

千葉県の事例のように、知識が豊富で即答できる営業マンでも、質問にかぶせて答え続けたことで、お客さんに不信感を持たれることがあります。

一方で、客の前で私用電話をしたり、紹介者の資金計画を話したりする不真面目な営業は、それ以前の問題です。

第一線で活躍している営業マンで完璧主義に心当たりがあるなら、「ちょっとは雰囲気を崩した方がいいかな」と考えてみてはどうでしょうか。真面目に一生懸命やるのはいいことですが、お客さんが息苦しく感じては元も子もありません。

ぜひ本記事の取材事例を参考に、自分や営業社員の商談での振る舞いを見直してください。

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