住宅のクレーム事例3つと新人営業への教え方|契約書を省いた体験談

新人の住宅営業がお客さんとトラブルを起こすと、上司や社長が尻拭いをさせられ、営業本人も嫌な思いをします。新人にトラブルを減らさせるには、実際にあった住宅クレームの事例を伝え、その原因と防ぎ方を上司が1時間ほどかけて面と向かって話し合う指導が一番伝わります。
私自身も、建築請負契約の際に契約書の読み合わせを省いたせいで、着工後に支店まで乗り込まれた経験があります。
本記事では、住宅営業でよくあるクレーム事例と、新人にトラブルを防がせる教え方を解説します。
住宅営業の新人にクレーム事例を教える理由
住宅業界はクレーム産業と言われて久しいのですが、業界に入ったばかりの新人営業はそのことを知りません。
住宅会社の経営者や幹部社員にとって一番困るのは、トラブルを起こす社員の尻拭いをさせられることです。
上司は自分のミスであれば自業自得と割り切れますし、対処の方法も身に付けていますが、部下のクレーム対応ほど非生産的な仕事はありません。
クレームが起きると、先輩社員は尻拭いをさせられ、営業本人は嫌な思いをし、住宅会社は数100万円の損失を受ける可能性すらあります。そして何よりも、お施主さんが被害をこうむります。
私の先輩や後輩を見ても、住宅営業から去っていく大きな要因の一つはお客さんとのトラブルでした。
歩合給があるとはいえ、営業社員が複数のトラブルを同時に抱え、携帯電話にひっきりなしに電話が入るようでは、精神的にとても持ちません。
新卒や異業種から入った営業社員を、営業成績を上げる指導と同じように、トラブルを起こさない営業に育て上げるのも、社長や幹部社員の重要な責務です。
契約後の対応の遅さと伝達ミスでトラブルを重ねて辞めた営業社員の例は、住宅営業を辞めたい理由と見直したい行動で解説しています。
契約書の読み合わせを省いた住宅クレーム事例(私の体験談)
私はいろいろなクレームを経験してきましたが、一番厄介だったのは、あちら系の人が絡んだクレームでした。ひと言でまとめると、私はまんまとハメられました(笑)。
「寿司でも取るから」と説明を遮られた建築請負契約
私が勤めていた住宅会社では、建築請負契約のときに契約書の読み合わせをすることが義務付けられていました。ところが、私が説明しようとすると、お客さんはこう言って遮ったのです。
「いいよ、いいよ、そんなの。俺はよく分かっているからさ、今から寿司でも取るから一緒に食おう!」
お客さんが何度も遮るので、私もつい「まぁ、いいか」と思い、契約書の説明をしませんでした。
着工後の難癖で支店に乗り込まれた
着工までは何の問題もありませんでしたが、工事が始まるとお客さんからの難癖の嵐になり、最終的には支店にまで乗り込まれて大声でガンガンやられました。難癖に近い内容もあったので、私が説明を始めると、お客さんはこう怒鳴りました。
私「それに関しては会社の標準的な仕上げでして……」
お客さん「ふざけんなこの野郎! てめぇは契約書を読まなかっただろうが!」
私は心の中で「読まなくていいと言ったのはあなたですよね」と思いましたが、あの状況ではなかなか言えません。隣で支店長が立ち会ってくれ、いろいろなやり取りを経て、最終的には解決に至りました。
工事が始まってからのクレームを現場監督の連絡で防ぐ方法は、現場監督の連絡ルールで防ぐ住宅のクレームで解説しています。
究極のトラブルは、やはりあちら系の人が絡んだものだと私は思っています。
よくある住宅クレーム事例3つと防ぎ方
私の体験談は極端な例でしたが、住宅営業の現場でごく一般的に起きるクレーム事例は、新人にきちんと伝えておく必要があります。

「言った言わない」はメモと質問の癖で防ぐ
クレーム原因の定番は、なんといっても「言った言わない」です。
営業社員とお客さんとのやり取りなので、上司としても対応しようがありません。
録音でもしていない限り、お客さんが絶対有利になります。
このクレームを防ぐには、営業社員にメモを取らせるしか方法がありません。
上司は同行折衝のとき、新人が隣でメモを取っていなければ、帰りの車の中でよいのでこんこんと諭してください。
普段の業務でも、新人にメモを取る癖をつけさせましょう。
新卒営業に身に付けさせたい日々の習慣は住宅営業の新人育成の事例で解説しています。
もう一つ、上司は新人に、疑問を感じたらすぐ先輩社員に質問する癖をつけさせてください。
新入社員は分からないことだらけで当然ですが、そもそも何を聞けばいいのかが分かりません。
新人は次に、聞くことが多すぎていちいち聞いていられないと考え、質問を自分で取捨選択してしまいます。
先輩社員としては1から100まで聞かれたらたまったものではありませんが、当面は1から100まで聞かせてよいので、徹底的に質問させる癖をつけさせましょう。
対応の遅さは「その場で電話」で防ぐ
営業社員のちょっとした動きの遅さや対応の遅れは、お客さんの不信感とイライラを招き、クレームへと発展します。上司は新人に、早く対応することと早く連絡することの2点だけを徹底させてください。
私も対応の遅さで店長に怒られたことがあります。夜の8時ぐらいに、契約を済ませたお客さんのフォロー業務をしていたところ、横のデスクに座っていた店長から指示を受けました。
「〇〇さんに電話して、市役所へ行って所得証明を取ってくるようお願いをしろ」
私は返事をしたものの、そのまま他の業務に手を付け、15分ほど経ったところで店長が突然怒りだしました。
「連絡しろと言っただろうが!何もたもたしているんだ!」
店長は、私の間延びした動きに腹を立てたのだと思います。指示を受けたらその場で電話をしろ、という教えでした。
契約後に営業の動きが鈍いとお客さんが感じたときに起きるクレームは、契約後に起きる住宅営業のクレームで解説しています。
完成後の「イメージが違う」は打ち合わせで防ぐ
建物が完成した後の「イメージが違う」というクレームは、営業社員の問題というより住宅会社の問題ともいえます。ハウスメーカーなどでは、このトラブルを防ぐため、完成後のイメージが打ち合わせ時のイメージとずれないようにプレゼンテーションを徹底的に行います。
私は外壁の色を決めるとき、お客さんに「雨の日と晴れの日では外壁の見え方がかなり違うので、時間があれば現地で一緒に確認しましょう」と説明していました。すべてのお客さんにこの対応をしたわけではありませんが、商談の流れで押さえておいた方がよいと感じたお客さんには、細かい対応をしていきました。
住宅クレームの事例を新人と話し合う進め方
上司が新人に「トラブルにならないよう気をつけましょう」と言っても、新人には何に気をつければよいのか分かりません。住宅業界で何年も働いていれば、上司にも大なり小なりのクレーム経験があるはずなので、その実例を話すのが一番伝わります。
小さなクレームまで含めて事例を伝える
上司が伝える事例は、大きなクレームだけでは足りません。お客さんが気分を害したようなちょっとしたクレームまで含めて、回避の方法を新人に指導する必要があります。
原因と防ぎ方を1時間かけて話し合う
上司は事例を伝えたら、そのトラブルになった原因は何だったのか、何が悪かったのか、どうすれば問題が起きなかったのかを、時間を取って新人と話し合ってください。
適当に済ませてはダメです。
私が社長であれば1時間ぐらいは時間を取り、面と向かってこんこんと話をします。
この話し合いを手を抜いて済ませると、後で嫌な思いをするのは社長と幹部社員です。
新人研修全体の組み立て方は住宅営業の新卒研修の事例で解説しています。
クレームは小さいうちに上司へ報告させる
住宅営業のトラブル対処は、すぐに報告させることに尽きます。
トラブルは火が小さいうちに対処すれば簡単に消せますが、発見が遅れると手の施しようがなくなり、鎮火まで何日もかかります。
この関係は、おそらく世界共通の方程式ではないでしょうか。
若い社員にとって、問題を上司に報告するのはプレッシャーがかかり、気乗りするわけがありません。それでも、新人が早く報告すればトラブルは素早く沈静化し、本人はもちろん社長や上司も事なきを得て、安堵のため息をつけます。
まとめ
住宅のクレーム事例で多いのは、「言った言わない」、対応の遅さ、完成後のイメージ違いの3つです。メモと質問の癖、指示を受けたらその場で連絡すること、外壁の色などを現地で一緒に確認することで、営業社員は多くのクレームを防げます。
私自身、今思い出してもクレームは本当に嫌でした。上司が新人に実際のクレーム事例を伝え、原因と防ぎ方を話し合い、トラブルがあればすぐ報告させることで、新人を辞めさせずに、お施主さんにも迷惑をかけない営業に育てられます。
ぜひ本記事のクレーム事例を参考に、新人営業と1時間向き合って話し合う場を設けてください。



