住宅営業の新人教育で教えたい見栄とプライドの読み方|体験談

住宅営業の新人教育で教えたい見栄とプライドの読み方|体験談

私が取材したご主人は、キッチンで奥さんにだけ話しかけた女性営業を見て、●●ハウスの住宅展示場を20分もしないうちに出ていました。住宅営業の新人教育で教えるべきなのは、知識よりも、こうした時代の感覚と、お客さんの見栄やプライドを見抜く力です。

本記事では、お客さんへの取材話と私の積水ハウス時代の体験談をもとに、住宅営業の新人教育で教えたい時代感覚と、見栄・プライドの読み方を解説します。

住宅営業の新人教育で難しいのは知識より「心を見抜く力」

住宅会社が新入社員にテクニックや法律などの知識を体系立てて勉強させるのは、ある意味難しくありません。

教育担当は研修の組み立てを簡単に作れますし、課題を与えれば新入社員もそれなりにこなします。

新卒研修の組み立て方は住宅営業の新卒研修の事例で解説しています。

新人に座学で覚えさせる法令用語・資金計画・家の知識は、住宅営業の新人に覚えさせる知識で解説しています。

しかし、住宅営業という仕事で難しいのは知識の部分ではありません。住宅営業には、心理学とも人間の見栄とも言える、人の心を見抜く能力が求められます。

お客さんが涼しい顔をしていても、内心は違うことがありますし、お客さんが「大きな家が欲しい」と言っていても、見栄を張っているだけかもしれません。住宅営業は、こうした本質を見抜いたうえで、お客さんの気持ちもプライドも傷つけずに話を進めなくてはなりません。

時代の変化を住宅営業の新人教育に入れる(キッチン接客の取材話)

●●ハウスの住宅展示場を20分で出たご主人の話

私がお客さんを取材して実際に聞いた話を紹介します。取材にはご夫婦ではなくご主人だけが協力してくださり、ご主人は1回目の住宅展示場見学で候補から外したハウスメーカーの担当者について話してくれました。

私「●●ハウスさんはアポイントを取って展示場を訪問されたんですか」

主人「違います。たまたま展示場の前を通りかかって素敵な外観だなと思ったので妻と二人で入りました」

私「ただ20分もしないうちに展示場を出たとおっしゃいましたよね」

主人「そうなんですよ。担当したのは女性だったんですが、あまりにも時代錯誤というか私たちのフィーリングに合わない人だったんですよね」

キッチンで奥さんにだけ話しかけた女性営業

担当した女性営業は年齢は30前後と若かったものの、キッチンを案内するときに奥さんにだけ話しかけ、ご主人には一瞥もくれなかったといいます。ご主人は接客の途中でこれに気づいて不快に思い、奥さんも心の中で「何で私だけに話しかけるんだろう」と疑問を感じていたそうです。

「担当した女性は、キッチンは女性の範疇だから男は関係ないという感覚だったんでしょうね」

「私は特に料理をするわけではありませんが、今時こういう発想しかできない人とは話ができないと思い、20分程度で展示場を出たのです」

これは本当の話です。私もこの話は初めて聞くもので非常に勉強になりましたし、時代背景が影響しているいい事例だと考えています。

私は、住宅会社が営業社員に固定概念を外すよう教えてほしいと考えています。

一般的にはキッチンを主に使うのが女性であることは、動かしがたい事実でしょう。

それでも営業社員には、決めつける前にご夫婦の両方に話を振ってから説明を始めてほしいのです。

今の時代に合った感覚を持たない営業社員は、次のステージに進めません。

キッチンで仕様の説明より収納の不満を聞き出す接客の進め方は、住宅展示場のキッチン接客で解説しています。

クレバリーホームが「シュフレ」の商品名を変えた理由

住宅フランチャイズ大手のクレバリーホームは、今から10年以上前に「シュフレ」という商品を販売していました。クレバリーホームは数年前にこの商品を廃止し、コンセプトを引き継いだ新しい商品を開発して市場に投入しています。

「シュフレ」というネーミングは「主婦」から取ったもので、クレバリーホームはこの名前が時代に合わないとして商品名を変えました。時代は刻々と変わっていますので、住宅会社は営業社員の教育でもこの変化を念頭に置き、細かく教えていく必要があります。

お客さんの見栄とプライドを読む接客(積水ハウス時代の体験談)

人間には誰しもプライドがあり、ある程度の見栄もあります。

人様に無様な姿は見られたくありませんし、等身大の自分より少しでも大きく見せたいという欲求は私にもあります。

住宅会社に来るお客さんも人間ですから、同じ傾向を示します。

飛び込みの来場客を接客していた頃の積水ハウス

私は積水ハウスに在籍していたので体験談はいくらでもありますが、プライドをくすぐる営業は意図的に行っていました。積水ハウスは今でこそ高価格帯のメーカーになっていますが、私が営業をしていた当時は、安価なものから超高級商品まで商品の幅がめちゃくちゃ広い会社でした。

しかも当時は、今のようにSUUMOなどからの予約来場はありませんでした。

お客さんは住宅展示場に飛び込みでやってきて、営業との「はじめまして」からすべてが始まります。

営業は会った瞬間にはお客さんの素性も分かりませんし、懐具合など分かるわけもありません。

黒いSクラスのベンツを指さした社長との会話

私が入社3年目のときだったと記憶していますが、一見してサラリーマンではない風貌のご夫婦が住宅展示場に来場されました。私は一通り室内を案内した後、お二人に着座してもらい、次の会話をしました。

私「駐車場は2台は必要ですかね」

主人「そうだね、うちは2台あるんだけども、そのうち1台は・・・ほら、あの黒いやつ」

ご主人は駐車場を指さしながら、ご自分が乗ってきた車を私に教えてくれました。

そこに停まっていたのは黒色のベンツで、しかもSクラスの600でした。

Sクラスの600は、普通の方が乗れるような車ではありません。

私はこのときのお客さんの心理を考え、ご主人の心の中には「うちはその辺のサラリーマンとは違うし、資金もかなりある」とアピールしたい気持ちが間違いなくあると踏みました。

そう見立てた私は、そこから戦略を変えています。

私は露骨な言い方はせず、「あなたのことをお金持ちだと認識させていただきました」というニュアンスを少しずつ出していきました。

身なりや車だけで決めつけず、雑談で客層を見極める質問は、アッパー層の接客で客層を見抜く方法で解説しています。

「気づいてくれないかな」と思う側の心理

逆の立場で考えてみてください。

私が人よりも大きな資産を持ち、自家用車もSクラスのベンツだとします。

私は人にちょっと自慢してみたいものの、これ見よがしに見せつけるのは成金趣味でかっこう悪いと思うでしょう。

私はアピールするつもりがなくても、心の中では「気づいてくれないかな~」と考えるはずです。

これは自然な発想で、自分が他人より少しアッパーの存在だと気づいてもらえれば、お客さんはきっと嬉しいと感じます。

お客さんがどうせ商談するのなら、そう分かってくれた営業と話したいと思うのは当然の成り行きです。

人間には誰にでもプライドと見栄があることを、新人営業に教えてあげてください。

まとめ

住宅営業の新人教育では、知識よりも、時代の感覚とお客さんの見栄・プライドを見抜く力を教えるほうが難しいものです。キッチンで奥さんにだけ話しかけた女性営業の話も、ベンツを指さした社長の話も、言葉や教科書では教えようがないノウハウを示しています。

この部分は経験を積まないといかんともしがたいところが多分にありますが、住宅会社は入社した段階でさまざまなことを教えることだけは怠らないでください。ぜひ本記事の取材話と体験談を参考に、新人営業に固定概念を外す接客と、お客さんのプライドを傷つけない話し方を教えてください。

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