営業同行は2回目の折衝から|住宅営業の新人育成と上司の失敗談

新卒の営業社員は初回のアポイントまでは取れても、2回目からの折衝で話を前に進められずにいます。先輩や上司も自分の案件で手一杯で、新卒の商談に付き合う時間を取れていません。
つい最近私が取材した施主は、新卒の担当者に不安を感じながらも、15年目の所長が2回目の折衝からすべて同席したことを契約の決め手の一つに挙げました。上司の営業同行は、最低でも2回目の折衝から、できれば初回面談の途中から入れるべきです。
本記事では、住宅営業の営業同行が受注率を左右する理由と、上司が同席するタイミング、同行で新人が学べること、商談を潰した上司の失敗例を解説します。
住宅営業で営業同行が必要になる新卒の折衝
新卒営業は2回目以降の折衝を自力で進められない
ある一定規模の住宅会社には、若手からベテランまでさまざまな年齢層の営業社員がいます。
大きな住宅会社には毎年一定数の新卒が入ってきますが、入社したばかりの新卒は戦力になりません。
そのため上司は、重要な折衝やお客さんを新卒に任せず、重要度の低そうなお客さんの接客や、先輩の手が全く空いていないときの接客に新卒を出します。
新入社員はなかなかいいお客さんを引けませんが、一生懸命動いていると、契約できる案件にそれなりに当たります。
その場合、新入社員は最初のアポイントを何とか取れても、2回目からの折衝を自力で進めることはできません。
先輩社員の同行訪問や同席折衝が欠かせなくなるのは、この段階です。
私がある営業幹部と打ち合わせをしたときにも、この話題になりました。
新卒が自力でアポイントを取れない理由と、店長と一緒にお客さんの自宅を訪問した事例は、店長同行の訪問でアポを取った新卒の事例で解説しています。
小規模な住宅会社では難しいのですが、一定規模以上の住宅会社では、若手社員に上司が同行するのが一般的です。
お客さんとしても、明らかに新卒かそれに準ずる営業社員が担当では心配になるのは当然です。
私がお客さんの声を探っていくと、上司の同行によって契約が取れた案件がものすごく多いことに気づかされます。
15年目の所長の同席を契約の決め手に挙げた施主
つい最近私が取材した事例です。取材に答えてくれたのは、新卒の営業社員Sさんが担当した施主のご主人です。
私 「今回の営業担当のSさんは今年入社したばかりの新卒ですよね。初対面の時に不安は感じませんでしたか?」
主人「それは私も妻も感じたので、帰りの車の中でその話題になりましたね。建物の構造なんか気に入ったのですが、担当者があまりにも若くて大丈夫かなということです(笑)」
私 「それでも最終的には契約したわけですが、契約を決断した大きな理由はなんでしょうか?」
主人「複数ありますが、間違いなく言えるポイントの一つは、上司であるGさんの存在です。最初にお会いしたときはいなかったのですが、2回目の折衝からは、確かすべて同席してもらった記憶があります。15年目の所長さんでしたが非常に安心できたのは事実ですよね」
瑕疵担保責任の「瑕疵」が読めなかった新卒営業
キャリアの浅い営業社員は、知識も経験もないので、どうしてもお客さんの前で失敗します。これもお客さんから聞いた話で、今年度入社の営業社員が、お客さんへの説明の途中で瑕疵担保責任の「瑕疵(かし)」を読めなかったそうです。
私がお客さん取材でこの話を知り、その営業社員に事情を聞いたところ、「なぜか急に読めなくなってしまって、あたふたしてしまいました」とのことでした。
この失敗で契約を逃すことはありませんでしたが、お客さんからすれば、瑕疵を読めない営業社員では不安を覚えて当然です。
新卒に用語や商品知識をどう教えるかは、住宅営業の新卒研修の事例で解説しています。
住宅会社の営業同行は2回目の折衝から上司が同席する
取材事例のご主人のように、お客さんは極端に若い営業社員が出てくると不安を感じます。ただし、お客さんはその不安をほとんど口に出しません。
よほどしっかりした若手なら任せても大丈夫ですが、そうでなければ、最低でも2回目の折衝から、できれば初回面談の途中から、上司が同席する機会を作ってください。そのうえで上司は、「私も常に話の内容の報告を受けていますのでご安心ください」といった趣旨の話を、お客さんにはっきり伝えてほしいのです。
上司が同席するかどうかで住宅会社の受注率は大きく変わり、会社の利益率にも直結します。人のやり繰りが大変なのは分かりますが、私が社長であれば、営業部隊にこの仕組みを徹底させます。
新卒が忙しそうな上司に同行を頼めなくならないよう、新卒を迎える前に行う上司教育と研修の進め方は、新卒住宅営業の教育と上司教育で解説しています。
上司の同行で学んだ折衝(積水ハウス時代の新卒の体験談)
どのハウスメーカーでも同じで、今も昔も大きく変わりませんが、私の積水ハウス時代の話をします。私は新卒の最初の1年、住宅のことがよく分からず折衝自体も不安だったので、お客さんとの商談には毎回上司に同席してもらいました。
「ベテラン店長さんがついているから安心ね」と言われた商談
私は新卒時代、お世話になった店のトップによく同行してもらいました。同行は会社の決まりでもあり、私から頼んだこともありますが、同行してもらうと私も安心でしたし、契約もしっかり取れた記憶があります。
「ベテラン店長さんがついているから安心ね」
これは、ある奥様から私が実際に言われた言葉です。私の目標は途中経過がどうであれ契約を取ることでしたから、店長の同席は結果的に私の利になりました。
1時間かかる話を20分でまとめる上司の折衝
上司の同行には、契約が決まりやすいことに加えて、経験の浅い私が優秀な先輩の折衝方法を盗めるという利点がありました。私の上司はとにかく話が早い人で、当時の私がぐだぐだと1時間くらい話すところを、20分程度でまとめてしまった記憶があります。
上司のテクニックは言葉で説明しにくいものですが、私は横で聞いていて体感でき、感覚で覚えられました。この経験は本当に勉強になり、私がその後に契約をたくさん取れた大きな原動力になりました。
トップ営業の折衝録画をもとに、接客の流れを台本にして学ぶ方法は、住宅営業の初回接客の台本の作り方で解説しています。
商談を潰した営業課長の同行(積水ハウス時代)
積水ハウスでは会社の方針でさまざまな先輩に同行してもらうことになっていたので、私はいちばん信頼していた直属の上司以外の先輩にも同行を頼みました。先輩たちはそれぞれ特徴と技術を持っていて、私が住宅営業のノウハウを積む良い機会になりましたが、一人だけ困った大先輩がいました。
「後はこの森に聞いてもらえれば」と言った営業課長
当時の営業課長に同行してもらったときの話です。
営業課長はすでに現場を離れ、営業を管理する立場の人でしたが、あるとき課長から声をかけられ、同行してもらうことになりました。
課長と私がお客さんのお宅に出向いたときのやり取りです。
課長「間取りというのはいろいろ考えても結局同じですから、そんな真剣にやらなくてもいいですよ」
奥様「でも数千万円の買い物ですから、真剣に考えたいですよ」
課長「そうですか・・・でしたら色々考えてもらって、後はこの森に聞いてもらえればなんとかするでしょう、ハハハ(笑)」
横に座っていた私は目が点になり、同時にこの商談は潰れると確信しました。案の定その後のアポが取れずに商談は終わりましたが、原因はどう考えても課長にあったとしか私には思えません。
1か月後に本店で課長から叱られた
商談から1か月ぐらいたった後、私は本店で課長に呼び止められました。
課長「この前のお客さんどうなった?」
私 「アポがどうしても取れないのでちょっと厳しいですね」
課長「お前は何やってんだよ、もっとガンガンやれや!情けねぇ奴だな~」
私 「そうですか・・・もうちょっとアプローチしてみます」
私はこう答えるのが精一杯でしたが、課長が商談を潰したことは新卒の私ですら分かりました。
課長は私よりふた回りも上の人で、住宅営業の手法もかなり古く、間取りを具体的に提案するよりも、人間関係や人情で契約を取るやり方をしていました。
そのため課長は、お客さんから間取りのことを具体的に言われるとお手上げだったわけです。
それでもそれなりの実績を積んできた課長ですから、昔はこの手法が通じたのでしょう。
まとめ
お客さんは若い担当者に不安を感じても口に出さず、上司の同席を契約の決め手に挙げる施主もいます。私が紹介した営業課長はきわめてまれな例で、課長のような人でない限り、新卒社員には上司を付けて同行同席させてください。
上司が忙しいのは分かりますが、最初の1年間に同行同席をびっちりやると、その営業は高い確率で2年目以降に伸びていきます。
同行をやらないと、営業の幅が狭くなり、引き出しの少ない営業マンになる可能性があると私はアドバイスします。
新卒営業が伸びる日々の習慣は、住宅営業の新人育成の事例で解説しています。
ぜひ本記事の取材事例と積水ハウス時代の体験談を参考に、新卒営業の2回目の折衝から上司が同席する仕組みを営業部隊で作ってください。



