住宅営業が売れない2つの原因|元警察官の営業マンの敗因分析

私がリモートで面談した元警察官のAさんの場合、住宅営業が売れない原因は2つありました。1つは断定調で言い切れない話し方で、もう1つは、受注したGさんにも失注したHさんにも、間取り以外はほぼ同じ内容のプレゼン資料を出していたことです。
本記事では、年4棟で伸び悩む転職組Aさんの敗因分析をもとに、売れない住宅営業の原因と、工務店が転職組を採用するときの注意点を解説します。
住宅営業が売れない転職組・元警察官Aさんの事例
私は日々の仕事で、さまざまな住宅営業の担当者と話をします。
新卒者研修で出会う担当者はもちろんプロパーの社員ですが、住宅業界にも他業界と同様に、転職組の営業担当者がおびただしい数います。
同業の住宅営業から移ってきた人もいれば、リフォームや不動産賃貸など、広い意味での住宅不動産業界から来た人もたくさんいます。
Aさんは、前職が警察官というかなり珍しい経歴の住宅営業です。
営業成績が悪いとまでは言いませんが、Aさんはもう少しだけ頑張れば損益分岐点を突破できるところで日々悩んでいます。
内容や数字は若干ぼかしています。
警察官を辞めて住宅営業に転職した理由
Aさんは既婚で子どもがいる30代の男性営業で、5年前に警察官の職を捨てて住宅営業の世界に飛び込みました。私も転職組はたくさん見てきましたが、前職が警察官という人には初めて会いました。
Aさんの転職には、奥さんはもちろん、Aさんの両親と義理の両親からも予想どおり大反対があったそうです。
それでもAさんは、警察官という職業に疑問を持ったことと、自分の力で稼ぎを増やせる営業職に魅力を感じたことから、転職を決めました。
Aさん本人によると、住宅に興味があったわけではなく、とにかく営業職に転職したかったとのことです。
入社以来の平均受注は年4棟
Aさんの昨年の成績は4棟で、入社以来の平均受注棟数も4棟です。褒められた数字ではありませんが、切り捨てられるほどの成績でもありません。
「もう少しだけ頑張ってくれないかな~」
Aさんが勤める住宅会社の経営者の本音は、これでしょう。私はリモートでAさんと30分話をしましたが、成績が今ひとつである理由についての自己分析を聞きながら、心の中で「なるほどね」と思わずうなずいてしまいました。
断定調で話せない住宅営業が売れない理由
「断定調で話をするのが苦手」というAさんの自己分析
Aさんは画面越しにも優しい面持ちが伝わってくる人で、問題点としてAさんが口にした言葉に、私は思わず納得してしまいました。
「断定調で話をするのが苦手なんですよね」
私が研修やコンサル先で会う住宅営業にも、Aさんと同じように断定調で話せない人がかなり多いのが現状です。
根拠のない自信と良い意味のハッタリ
「根拠のない自信も時には重要」
「営業にハッタリも重要」
2つの言葉は、私が営業研修やコンサルティングのたびに口にしているものです。
一見するとデタラメな営業や嘘八百の営業を勧めているように見えますが、私の意図はまったく違います。
住宅営業がお客さんの話をよく聞き、それに見合う提案をしたという自信があるなら、あとはその提案をいかに堂々と主張するかで結果が変わります。
お客さんにとって、目の前に出されたプランと見積もりが正しいかどうかを判断するのは、ほぼ不可能です。
お客さんは最終的に「これでいいと思うけどな」と自分を納得させて調印します。
そのときに担当の営業が自信なさげな態度を取れば、お客さんは不安になるでしょう。
いいと思って提案しているなら、自信を持って言い切ってほしいと思うのが普通です。
人にものを勧めるときには、もちろん根拠となる内容が必要です。
私はそこに加えて、「うまく説明できないけれども、このプランはすごくいいと直感的に思う」という根拠のない自信もあってしかるべきだと考えています。
お客さんは、営業担当者が自信を持ってプランを勧める姿を見て安心するからです。
私の言うハッタリは、一般的に使われる悪い意味とは真逆の、良い意味のハッタリです。
商談の場で言い切るのが苦手な営業が、商談の後に礼状やショートメールで気持ちを伝える方法は、口下手な住宅営業のお礼状の書き方で解説しています。
売れない住宅営業のプレゼン資料に多いマンネリ
Aさんは自己分析で、プレゼンテーションのマンネリも挙げました。
住宅営業の悩みとしては定番中の定番で、Aさんのようにプレゼンのマンネリを自分で指摘する人は多く、コンサル先でも同じケースが圧倒的に多いのが現状です。
そう考えると、プレゼンテーションの内容を真剣に見直せば、ハウスメーカーでも工務店でも受注の確率が飛躍的に上がると私は考えています。
受注したGさんと失注したHさんに出した6枚の資料
私は実際に、Aさんのプレゼンテーションを2件見せてもらいましたが、あまりに想像どおりで笑ってしまいました。1件は建築請負契約を取れたGさんへのプレゼン図面で、もう1件は惜しいところまでいったものの失注したHさんへ提出したプレゼン資料の控えです。
どちらも6枚セットで、建物の構造や仕様を説明するボードは99%同じ内容でした。内部仕様を説明する資料も、違うのは間取りだけで、それ以外の文言や書き込んだ位置まで同じでした。
GさんとHさんはまったくの別人で、性格も趣味も生活スタイルも大きく違うことは容易に想像できます。
それなのに間取り以外のプレゼン内容がすべて同じというのは、どう考えてもおかしいと思いませんか。
私はAさんとの面談で、この点をこんこんと伝えました。
お客さんごとに同じ資料を出すのをやめ、図面を1枚加えて他社と差を付ける方法は、住宅営業のプレゼンのコツで解説しています。
見せ方より先にヒアリングの中身で差別化する
プレゼンテーションソフトが急速に発達し、以前より見栄えのする資料をお客さんに出せるようになったのは素晴らしいことです。しかし、今のプレゼン資料は、見せ方に気を取られるあまり、提案の中身を他社といかに差別化するかがおろそかになっています。
お客さんが関心を持つ核心の部分は、営業担当者がヒアリングで聞き取り、それを具体的なプレゼンテーションとして絵に描いていくものです。
しっかりとしたヒアリングを前提に、最新のプレゼンテーションソフトで綺麗に見せる工夫を重ねれば最強になります。
最近私が最も気にかかっているのが、このプレゼンテーションです。
他社との差別化を提案資料より前の段階から始める方法は、住宅営業のアポ取りのコツで解説しています。
工務店が転職組の住宅営業を採用するときの注意点
大きなハウスメーカーならともかく、小規模な工務店が営業担当社員を採用する場合、新卒はまずありません。
工務店の採用は第二新卒か中途のどちらかになり、中途の社員はさらに、住宅営業の経験者とまったくの異業種からの転職者の2種類に分かれます。
私は営業担当者の採用面接にもたまに立ち会うので、転職組を見極めるポイントは熟知しています。
工務店の社長は、転職組の前職での営業成績に極端に振り回されないほうが賢明です。
「前の会社は昨年12棟やりました!」
社長はこう聞くと、頭の中ですぐにそろばんをはじいて利益額を計算してしまいます。同時に応募した別の営業マンが、次のように答えたとします。
「昨年の成績は6棟です」
2人を聞き比べると12棟の人を採りたくなりますが、私から見ると、12棟と6棟の差は誤差の可能性が十分にあります。
もちろん実際のところは分かりませんし、12棟の人が確かな営業力を持ち、フォローも完璧な優良営業マンかもしれません。
しかし、6棟を受注する力がある営業マンなら、指導の仕方や環境しだいで、9棟、10棟を売る優秀な営業に化けるのにさほど時間はかかりません。
採用した営業担当者を知識確認テストやロールプレイングで売れる営業に育てる方法は、住宅営業で売れる人と売れない人の差で解説しています。
実績だけを信じて採用すると、建築請負契約の内容が粗い営業マンをつかんでしまうリスクもあります。工務店の社長は、前職の数字の扱いを考えたうえで、さまざまな質問やテストを通して、しっかりとした人材を採用してください。
まとめ
元警察官のAさんの場合、住宅営業が売れない原因は、断定調で言い切れない話し方と、間取り以外はどのお客さんにも同じプレゼン資料の2つでした。
お客さんから見て、営業担当者が自信に満ちた雰囲気を出しているかは重要なポイントです。
実に人間的な部分ですが、核心を突いた話だと考えてください。
Aさんにはたまたま来月2件の勝負案件があり、私が指摘したことを意識して臨んでくれるはずです。7月には再びAさんと個人面談を行うので、2件の商談結果がどうなったか、今から楽しみにしています。
ぜひ本記事のAさんの敗因分析を参考に、直近のプレゼン資料と商談での話し方を見直してください。



