受注テクニック

転職組30代男性営業マンの敗因分析

転職組30代男性営業マンの敗因分析

私は日々の仕事で様々な住宅営業職の人間と話をしますが、 新卒者研修で出会う営業担当者はもちろんプロパーの社員ということになります。

しかし、他業界同様に、この業界には転職組の営業担当もおびただしい数が存在するのです。

全くの同業である住宅営業からの転職組をいれば、リフォームや不動産賃貸などといった広義の意味で住宅不動産業界の人もたくさんいます。

今日取り上げたいのは、かなり珍しいケースですが、前職が警察官だった住宅営業の話をしましょう。

内容や数字は若干ぼかしますが、そのあたりはご理解ください。

営業成績が悪いとまでは言わないのですが、もう少しだけ頑張れば損益分岐点を突破できるところで日々悩んでいる男性営業のケースです。

転職組30代男性営業マンの敗因分析

昨年の営業成績は4棟

今年30代の営業マンAさん。

既婚子持ちの男性営業ですが、Aさんは5年前に警察官の職を捨て住宅営業の世界に飛び込みました。

転職組はたくさんいますが、前職警官というのは私も初めて会いましたね。

奥さんはもちろんですが、Aさんの両親と義理の両親からも予想どおり大反対があったそうです。

ただ、警官という職業に疑問を持ったこと、自分の力で稼ぎを増やすことができる営業職に魅力を持ったらしく、正直な話住宅に興味があったわけでなく、営業職にとにかく転職したかったとのこと。

入社以来の成績はいまひとつ

決してダメなわけではありません。

入社以来の平均受注棟数は4棟なので褒められた数字ではありませんが、切り捨てられるほどの成績でもないのです。

「もう少しだけ頑張ってくれないかな~」

これが経営者の本音でしょう。

Aさんと話をしてみた

リモートを使ってAさんと30分話をしたのですが、成績が今ひとつである理由の自己分析を聞きながら心の中で「なるほどね」と思わず頷いてしまいました。

① 断定調の自信を持った営業ができない

画面越しからも伝わってくる優しい面持ちのAさんですが、 問題点の自己分析で出たこの言葉に思わず納得してしまいました。

「断定調で話をするのが苦手なんですよね」

というのも、このパターンの営業がかなり多いのが現状なのです。

「根拠のない自信も時には重要」
「営業にハッタリも重要」

この2つは営業研修やコンサルティングで私が必ずと言っていいほどに口にすることです。

一見するとデタラメ営業というか嘘八百営業に見えますが、 私が意図しているところは全く違います。

自分がお客さんの話をよく聞いて、それに見合う提案をしたと自信があるならば、あとはそれをいかに堂々と主張するかが重要なポイントとなるからです。

お客さんとしては、目の前に提案されたプランと見積もりが正しいかどうか判断するのはほぼ不可能でしょう。

最終的には「これでいいと思うけどな」と自分を納得させて調印をするのです。

この時に目の前の営業担当者が自信なさげな態度を取ったらどうでしょうか。

いいと思って提案しているのであれば、自信を持って言い切って欲しいと思うのが普通です。

人にものを勧めるときには、もちろんその根拠となる内容が存在するのですが、そこに加えてプラスアルファの部分は「うまく説明できないけれどもこのプランはすごくいいと直感的に思う」という根拠のない自信もあってしかるべきでしょう。

そして、目の前の営業担当者が自信を持ってプランを勧める姿を見てお客様安心するのです。

ですから、ここで言うハッタリとは、良い意味のハッタリです。

一般的には悪い意味で使われることが多いハッタリですが、 ここでは真逆の意味となります。

マンネリのプレゼンテーション

資料,打ち合わせ

Aさんは自己分析でこの点もあげました。

定番中の定番ネタでしょう。

いつも思うのですが、彼のように自己分析でプレゼンテーションのマンネリを指摘する人は多いですし、コンサル先でもこのようなケースが圧倒的に多いのが現状です。

こう考えると、真剣にプレゼンテーション内容を精査する動きをすれば、ハウスメーカーであろうが工務店だろうが飛躍的に受注を取れる確率がアップすると考えるのは私だけでしょうか。

実際にAさんのプレゼンテーションを2件見せてもらったのですが、あまりに想像通りで笑ってしまいました。

受注を取ることができたGさんに対するプレゼンテーション図面と、惜しいところまでいったのですが失注したHさんへ提出したプレゼンテーションの控えです。

両方とも6枚セットだったのですが、建物の構造や仕様説明をしているボードは99%同一内容で、内部仕様を説明したプレゼン資料についても、間取りが違うだけでそれ以外の文言やそれらを書き込んだ位置まで被っていました。

私はことあるごとに主張していますが、GさんとHさんは全くの別人物であり、性格や趣味や生活スタイルも大きく違うことは容易に想像できます。

それなのに、間取り以外のプレゼンテーション内容がすべて一緒、というのはどう考えてもおかしいと思わないですか。

Aさんとの面談の際にも私はこれをこんこんと伝えました。

プレゼンテーションソフトの急速な発達により、以前と比べるとお客さんに対して見栄えがする資料を出せる時代になったのは素晴らしいことだと思います。

しかし、何か大きく欠如している部分があります。

見せ方だけに気を取られるあまり、その内容を他社といかにして差別化するかをおろそかにしているのです。

お客さんが関心を引くような核心的な部分をしっかり人間がヒアリングをして、それを具体的にプレゼンテーションとして絵に書いていくわけです。

しっかりとしたヒアリングを前提の上で、ここに最新のプレゼンテーションソフトなどを使って綺麗に見せる工夫をしていけば最強となるでしょう。

今回はプレゼンテーションの話ではないのでここで切り上げますが、私が最近最も気にかかっているのが、このプレゼンテーションなのです。

転職組の採用について

ここでちょっと話を変えたいのですが、大きな会社ならいざ知らず、小規模な工務店で営業担当社員を採用する場合、新卒というのはまずないと思います。

第二新卒かもしくは中途のどちらかになるでしょう。

また、中途社員の場合では、住宅営業経験者と全くの異業種転職者の2種類に分かれるでしょう。

営業担当者の採用面接にも私はたまに立ち合うので、その辺りのポイントについては熟知しています。

転職組について一つだけ言えるのは、前の会社での営業成績に極端に振り回されるのは避けた方が良いということです。

「前の会社は昨年12棟やりました!」

こう聞けば、社長としては頭の中ですぐにそろばんを弾いて利益額を計算してしまうでしょう。

同時に並行して応募した別の営業マンが

「昨年の成績は6棟です」

このように聞き比べると前者の12棟さんを取りたくなりますが、私から見るとこれは誤差の可能性が充分にあると言えます。

もちろん実際のところはわかりません。

前者の12棟さんがしっかりとした営業力を持ち、フォローも完璧な優良営業マンかもしれません。

しかし、 6棟を受注する力がある営業マンであれば、指導の仕方や環境によっては、9棟10棟を売る優秀営業に化けるにはさほど時間はかからないのです。

実績だけを信じると、契約内容が粗い営業マンを掴んでしまうリスクもあります。

これらを勘案した上で、さまざまな質問やテストでしっかりとした人材を採るようにしてください。

ここ最近採用についてのコラムを書いていないので、人材の探し方も含めて近いうちに題材にしたいと思っています。

まとめ

転職組30代Aさんの事例をお話ししました。

たまたま来月2件の勝負案件があるので、私が指摘したことを意識してやってくれることでしょう。

7月には再び個人面談を彼と行うので、この2件の商談結果がどうなったか今から楽しみにしています。

本文にも書きましたが、お客さんから見て営業担当者が自信に満ち溢れた雰囲気を醸し出しているかは、非常に重要なポイントです。

実に人間的な部分ですが、核心を突いたお話だとお考えください。

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森住宅コンサルタント株式会社 森 雅樹

森住宅コンサルタント株式会社 森 雅樹

積水ハウスと超零細工務店での営業経験を積み独立。現在は工務店のコンサルティングや、セミナー、執筆などをメイン業務に活動。現場見学会は企画から携わり、営業マンロープレも自らが設定を考え客役となり実施。国土交通省の認可組織である住活協リフォームにおいては全国加盟店向けに営業アドバイスなどを行う。 twitter・・https://twitter.com/iezukuri21 Instagram・・https://www.instagram.com/iezukuri21/ note・・https://note.com/91008082 youtube・・https://www.youtube.com/user/mo9100/videos

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