住宅営業の残業の昔と今|午前様だった積水ハウス時代の体験談

住宅営業の残業の昔と今|午前様だった積水ハウス時代の体験談

営業社員がやる気を見せていても、経営者は業務を切り上げさせなければならない場面があります。

勤怠管理にも、以前より細かく気を配らなければなりません。

住宅営業の残業をめぐる労務環境は、働き方改革で大きく変わりました。

私が積水ハウスで新卒から3年目ごろまで働いた1990年代は、午前様までの残業が当たり前でした。働き方改革が進んだ現在は、労働環境が面接時の説明と違うとして、新入社員が労働基準監督署に駆け込む時代です。

本記事では、住宅営業の残業の昔と今の実態と、工務店経営者が営業社員に接するときの注意点を解説します。

1990年代の住宅営業は午前様までの残業が当たり前だった(積水ハウス時代)

私は積水ハウスの出身で、営業活動の中心は1990年代でした。当時の住宅営業の働き方は、今から見ると無茶苦茶でした。

新卒3年目まで朝8時半出社・午前様の毎日

新卒から3年目ごろまでの私は、朝8時半に出社し、帰りはほぼ午前様という毎日を送っていました。契約案件をたくさん抱えていたなら分かりますが、営業職の新入社員がそれほど忙しいわけがありません。

手の空きやすい新入社員の時期に行う研修は、展示場ロープレによる新入社員の営業研修で解説しています。

長時間の残業になっていた主な原因は2つあり、「先輩より先に帰るのは論外」という空気と、「最初から長時間勤務が前提」という勤務体制でした。

1つ目の空気は、当時の建設業界ではある意味で常識でした。

働き方改革の時代になっても、日本人である限り、このDNAは刻み込まれていると私は思います。

帰る時間を午前様に決めてから仕事を割り振っていた展示場の先輩たち

私が特に強く感じたのは、2番目の原因である長時間勤務の前提です。

私が勤務した展示場だけかもしれませんが、新卒で配属された住宅展示場の先輩方の勤務体制は、異常極まりない状態でした。

1人を除いて全員が朝は時間どおりに出社し、帰る時間はほぼ午前様でした。

先輩方は新卒の私と違って様々な案件を抱えていましたが、猫の手も借りたいほど忙しくて遅くなっていたわけではありません。先輩方は帰る時間をあらかじめ午前様に設定し、その枠の中で仕事を割り振っていたとしか言いようがありませんでした。

もちろん私も逐一見ていたわけではないので、本当に忙しい日もあったはずです。

しかし先輩方は、コンビニに寄って漫画を立ち読みしたり、事務所内でゆったりと仕事をしたりしていました。

当時の風潮といえばそれまでですが、1分でも早く仕事を切り上げてプライベートの時間をとろうという発想は、先輩方にも展示場の空気にも微塵もありませんでした。

働き方改革で住宅営業の残業と新入社員の扱いはどう変わったか

10年前には見られなかった現象が、働き方改革と並行して住宅会社で起きています。

新卒社員を呼び捨てにせず「君」「さん」付けで呼ぶ

某ハウスメーカーの社内では、新卒で入ってきた社員に「〇〇君、今月は良さげなお客さんはいるの?」と君付けやさん付けで話しかけていました。

私は初めて見たときに衝撃を受けましたが、ほかの住宅会社でも似たような対応をするケースを見かけます。

新卒社員を迎える側の上司が前もって学んでおくことは、新卒住宅営業を迎える上司教育で解説しています。

あるウェブ記事では、某コンサルタントが「社員を呼び捨てにするようでは会社の利益は上がらない」と書いていました。時代の風潮をそれなりにとらえた記事でしたが、私はすっきりせず、腹に完全に落ちることはありませんでした。

証拠のデータを持って労働基準監督署に駆け込んだ新入社員

労働環境が入社面接時の内容と違うと不満を持った新入社員が、証拠のデータを持って労働基準監督署に駆け込んだという話を、私は複数の住宅会社で聞きました。全国では相当数の事例が起きていると私は思います。

新入社員が決定的な証拠を持っている以上、住宅会社側はほぼ間違いなく負けます。

その後に行政指導になるのか、何らかの処分が下されるのかは私も知りません。

それでもこうしたことが起きる以上、住宅会社は勤怠管理に神経をとがらせざるを得ません。

労働基準監督署への駆け込みは、かなりのレアケースかもしれません。それでも駆け込みは労働者の権利であり、住宅・不動産業界にありがちな無茶苦茶な勤務実態を正すという意味では、間違った行動ではないと私は考えています。

親といっしょに事務所へ乗り込んでくる新入社員

規模の大きい住宅会社では、新入社員の親から次のような訴えが出ることも結構あるのではないかと私は推察しています。

「息子に対してパワハラ行為が行われた」

「夜遅くまで仕事をするよう強要された」

「上司が息子の言うことを聞いてくれない」

新入社員の親が肩を怒らせながら事務所に乗り込み、上司と直談判をしにきます。ある社長は、こうした出来事を私に笑いながら話してくれました。

「さすがにわけがわからないですよ(笑)」

親の影に隠れてこんなクレームを入れてくる営業社員は、さすがに使い物にならないと私は思います。

「24時間戦えますか?」の時代に私も残業に納得していなかった

ここまでの話をすると、私が次のように考えていると思われそうですが、それは全く違います。

「俺が積水ハウスで営業をやっていた頃は夜遅くまでやって寝る暇もなかったんだぞ!そんなの常識じゃないか、今のやつは情けないよ」

私は腹の中で、当時の勤務状態はどう考えても異常だと思っていました。

しかし当時の流行語は「24時間戦えますか?」で、このフレーズを入れた栄養ドリンクのCMが大ヒットした時代です。

私は明らかにおかしいと思いながらも、「しょうがないか」「会社とはこんなもんだろう」と割り切っていました。

同期社員と集まって飲んだときに交わした会話を、私は今でも思い出します。

「俺たちは人に夢を売る商売をしているけれども、売る人間が幸せでなかったら夢なんか売れるか?(笑)」

今思えば懐かしい思い出ですが、当時に今のような労務環境があったらどうなっていただろうと、私はしみじみ考えてしまいます。

今の労務環境につながる建築業界の働き方改革の課題と解決策は、建築業界の働き方改革の取り組みで解説しています。

工務店経営者が住宅営業の残業で守るべき2つのこと

私は新入社員の駆け込みや親の乗り込みの話を聞くと、意味不明としか言いようがありません。

それでも、時代がこのように変化したことはどうしようもない事実です。

私がもし工務店の経営者であれば、個人的には納得がいかなくても勤怠管理には目を光らせますし、常軌を逸したパワハラには断固とした対応を取ります。

特に40歳以上の経営者は、若い営業社員の考え方を理解するのに随分と時間がかかると私は思います。

採用面接で伝えた休日と代休の約束を守る

採用面接時の約束を守ることは大事です。

たとえば工務店の社長が、面接で「週休2日制だけども、たまに休みが潰れることもあるかもしれないよ。でも、代休制度があるから」と伝えたとします。

社長の世代になると、「面接ではそう言ったけど、実際に仕事が始まったらそんなうまくいかないよ。そのぐらいわかってくれ」と言いたくなります。

しかし、今の時代にそれは通用しません。

住宅営業経験者を採用するときの面接の進め方は、ハウスメーカー営業の面接で聞く質問で解説しています。

社内研修を休日に当てない

私の現役時代、社内研修はほとんど休日に行われていました。

支店長「自分のために勉強するのだから勤務時間に研修をするのはおかしいだろ?自己研鑽は休日に行うのが社会人としての常識だぞ」

私「そうですよね!支店長!(う~ん、なんかおかしくないか・・・)」

支店長の満面の笑みは、今でも私は忘れられません。新卒研修の組み立て方は、住宅営業の新卒研修の事例で解説しています。

まとめ

1990年代の積水ハウスでは、先輩より先に帰れない空気と、午前様を前提にした勤務体制のなかで、住宅営業の残業は当たり前でした。働き方改革を経た現在は、新入社員が労働基準監督署に駆け込んだり、親が事務所に乗り込んだりする時代になっています。

経営者が個人的に納得できるかどうかに関係なく、そういう時代になったのです。

ぜひ本記事の体験談と注意点を参考に、自社の住宅営業社員の勤務実態を見直してください。

あなたへのおすすめ