今日も皆さんに新鮮な情報をお届けしましょう。
今さっき耳にした興味深い話になります。
私は新築営業のコンサルタント業ですが、コロナの時代になってからは、リモートをフルに使ってこの活動をしています。
今日の午前中の話ですが、ある会社の新卒社員のA君とリモートで30分ほどやりとりをしました。
一年生ということもあり、接客の機会がまだまだ少ないA君ですが、そうした少ない接客の中でも興味深い内容をいくつかヒアリングしたので、皆さんにご紹介したいと思います。
今回の話は少数精鋭の工務店も、たくさんの住宅展示場を持つような住宅会社ともに参考になる話です。
特に経営者の方や組織化された住宅会社の幹部社員の方にとっては「そういうことが結構あるんだね」となる話です。
今日の午前中に新卒君から聞いた〇〇の話
「昨日の話ですがこんなお客さんを接客しました」
さまざまな会社の営業社員とリモートで話をするのですが、たくさんの人と話をしていると、思わず耳をたててしまうような 話も入り込みます。
私 「今現在抱えるお客さんで一番いい人ってどんなケースかな?」
A君「昨日の話なのですが“ふらっ”と展示場にみえた方が商談の土俵に乗りそうです」
ここからどんどん話を聞き込んでいきましたが、彼がたまたま接客したこのお客さんは、5か月前に同じ会社のほかの住宅展示場に足を運んでいたのです。
その時は具体的な予定はなかった
ありがちな話ですが、展示場に行くお客さんは全てがやる気満々ですぐやるというわけではありません。
このご夫婦も、展示場に入ったものの、アンケートには「今のところ具体的な予定はなし」
「いつかやりたい」
こんなニュアンスの話をしていたそうです。
しかも、この話は嘘でも何でもなく、この時点では本当にこのような気持ちでいたとのこと。
ところが、人間というのは瞬時に気持ちが変わりますし、 取り巻く環境も急変します。
さまざまな事情があり、急遽家を建てることになったので あらためて展示場をまわろうということになったらしいのです。
さまざまな教訓がこの一件にあった
ここまで話を進めると、このお客さんはなぜ5ヶ月前に足を運んだ同じ展示場に足を運ばなかったのか、担当の営業マンも連絡をしていたはずなのに、なぜそれを無視したのか、など疑問が複数湧いてきます。
① 営業はアプローチしていた
5か月前にほかの住宅展示場に一度足を運んだお客さんですが、その時接客をした営業はしっかりとアプローチをしていなかったのか、となるでしょう。
この問題すぐに解決しました。
A君に聞いたところ、その先輩はお客さんに対してしっかりと連絡をとっていたことが分かったのです。
ところが、お客さんがそれを無視していたというのが、事の真相でした。
これはA君がお客さんから直接聞いた話です。
「〇〇さんからはメールが2~3回きましたし、携帯電話に着信が一回知らない番号がからあったから、恐らく彼だと思うんですよね。ただ、特に予定もなかったんで、申し訳ないけどそのままにしてしまいました」
よくあるケースです。
今回はたまたまこうしてその経緯が明らかになったのですが、この事例からはこういう教訓が得られます。
展示場などでお客さんを初回接客した時「今のところ予定が無いんですよ」と言われても、それを鵜呑みにしないということでしょう。
これを裏付けるようなデータも実際に存在します。
大手ハウスメーカーやそれに準ずるような住宅会社では、 初回面談の時に入手したアンケート内容と、その後計画がどのように推移したかをデータ化し調査することがあります。
私もあるハウスメーカーの調査に携わったことがあります。
初回面談時に建築予定が3年以降や、もしくはほぼ予定なしに丸印を打った方が、1年後どうなっているかを調べたら、なんと30パーセントが契約済みだったのです。
私はこのことを現役営業マン時代から情報として知っていたし、こうしたデータを元に当時の上司からはこのように言われました。
「お客さんがまだまだ先で具体的な予定はありません、こう言われた時には、表面上は受け流しても、心の中ではそれは自己申告ということでとりあえず伺っていきます、と思え」
いかがでしょうか。
この原理原則を会社内で徹底させるだけで、会社の受注量が上がるのです。
② 最初に見た展示場の外観は気にくわなかった
展示場を保有している住宅会社はよくお聞きいただきたい大事なポイントです。
皆さんの会社の多くは、外観も内観もお客さんの要望に応じて様々なテイストに対応できるでしょう。
クラシック調の落ち着いた感じにもできるでしょうし、近現代的なキュービックスタイルの住宅を建てることも可能かもしれません。
しかし、残念ながら展示場はこの中の一つのパターンしかつくれないので、お客さんはその展示場の【テイスト= 会社のデザイン】だと思うのです。
今回のケースでも、最初に見た住宅展示場は重厚長大な外観でした。
ところがこのお客さんは、そういうのが全く好みではなかったらしく、なんの印象も残らないどころか営業から連絡が来てもスルーしたのです。
ところが、この後建築計画が早まったので展示場をちらちらと見始めたところ、会社は同じなのですが違う展示場をたまたま見つけたのです。
その展示場がライトな感じで、お客さんの好みにドンピシャだったとのこと。
ですから、迷うことなく展示場に入り、そこA君と出会ったわけです。
「こんな外観もできるんですね。以前見た展示場は重々しい感じで私たちの趣味に全く会わなかったんですよ」
このパターンは大手住宅メーカーでも頻発するケースだと言えるのですが、ほとんどの会社がこの重大性に気づいていないのです。
簡単に解決できる
前項で2つ問題点を出しましたが2番目に話をした展示場のイメージがお客さんにインプットされる件ですは、簡単に解決できます。
「この展示場はお客さんの趣味合いますか?」
私は積水ハウス時代から部下によく言っていましたが、たったこれだけの確認事項で問題を回避することができるのです。
展示場でお客さんを接客します。
歩きながらでも良いし着座してからでもかまわないのですが、その時にこう聞いてください。
「こちらの展示場は、室内のクロスやフローリングをかなり落ち着いた感じでコーディネートしているのですが、お客様の趣味にあいますか?」
これでいいのです。
これに対してイエスと答えればそのまま話を弾ませればよいでしょう。
その逆に芳しくない返事が返ってきた場合には、このように言えばいいのです。
「こちらはあまりご趣味ではないとのことなんですけども、 私たちはお客さんのテイストに合わせる力がありますので 全く違った外観の建物もたくさん建てています。こちらのパネルをご覧ください・・・・」
パネルでも構いませんしipadか何かを出してその中に収蔵されている自社で建築した全く違うテイストの外観を見せてもいいでしょう。
これだけのことで、お客さんの誤解は氷解し、折衝を円滑に進めることができるでしょう。
中途半端な追客がいかに問題か
今回のケースでは、最初に接客をした先輩が結果としてはミスをしたことになるわけですが、途中で追客を放棄したことが最もよくなかったことでしょう。
私がたくさん契約を現役時代に取れたのは、その当時の上司の至極単純な指導のおかげでした。
「初回面談の印象では絶対に決めるな。人間というのは簡単に心変わりするし、家を建てる条件や環境も一日経ったら全く変わってしまうんだよ。先入観なしに追客しろ。そして一番大事なのは、展示場に足を運んだということは、やる気があるから来たということだ。これだけ覚えとけ」
“覚えておけ”と言われたので、私はしっかり覚えました。
この教えは今でも脳裏に焼きついていますし、現在の営業マン指導でも私は頻繁に口にする内容です。
自分自身の経験もありますが、コンサルティング活動における指導において実地でやってもらうと、その効果が必ず出るからにほかなりません。
まとめ
今回のコラムはたまたま本日の午前中に聞いた話を、迷うことなく記事にさせていただきました。
やはり現場で起こっている生きた話は面白いですよね。
私はコンサルタント歴24年になりますが、現場には必ず足を運びますし、お客さんの取材も今まで100件以上おこなっています。
そして、今回のように営業社員から接客や折衝などの様子を直接聞くことも欠かしません。
ここに全ての答えがあるからです。