デザイン重視の客が契約を決めた理由|工務店の差別化取材事例

デザイン重視の客が契約を決めた理由|工務店の差別化取材事例

住宅業界は一条工務店を筆頭に性能を重視する方向に動いていますが、小規模な工務店が性能の分野で大手ハウスメーカーに勝つのは厳しいと私は考えています。

私が取材したご夫婦は、性能はそこそこで構わないと考え、デザインを決め手に〇〇ハウスと契約しました。契約を後押ししたのは、〇〇ハウスが契約前の折衝にインテリアコーディネーターを同席させ、外壁の色を選んだ根拠まで説明していたことでした。

本記事では、デザイン重視の客への取材内容と、工務店が性能競争を避けてデザインで差別化する方法を解説します。

デザイン重視で注文住宅を選んだ夫婦への取材

3ヶ月ほど前、私はリモートで一組のご夫婦を取材しました。〇〇ハウスと契約したご夫婦で、私は最初に契約の決め手を尋ねました。

私「今回契約をした〇〇ハウスさんを選んだ決め手は何ですか?」

客「デザインですね。私たち夫婦は家づくりの初期から明快な基準がありまして、とにかくダサい家だけは嫌だったんですよ」

私「では性能面などはあまり気にしなかったということですか?」

客「気にしなかった……と言うとちょっとずれてしまうのですが、今時の家はよほどひどい会社じゃない限りは一定の条件をクリアしてると思うんですよ。特に私たちは温暖な地域にいますので、極端に暖かい家も必要ありませんので」

取材の冒頭からこの調子でしたので、私はご夫婦が家づくりの基準をはっきり持っていることがよく分かりました。このご夫婦のように考えるお客さんも一定数います。

工務店が性能競争よりデザインで勝負する理由

性能を追う競争には際限がなく、住宅会社は体力を削られたうえに、意味のない競合へと引き込まれます。大手ハウスメーカーには体力があるので構いませんが、それ以外の住宅会社は、性能を重点的に追う方針でいいのかをよく考えた方がいいと私は考えています。

性能の数値は基準をクリアしたうえで強みを作る

もちろん工務店も、C値、Q値、UA値などはきちんと追わなくてはなりません。お客さんはYouTubeなどで勉強しているので、ある程度の基準をクリアしていない工務店は、営業社員がいくら口で説明しても、その前に候補から外される可能性があるからです。

私が小規模工務店を経営するなら、性能を担保したうえで、他社にない自社の強みを作ります。今回取材したご夫婦のようなお客さんを狙うなら、私は他社にない独自のデザインを追求します。

フランク・ロイド・ライトのテイストで外観をまとめるフランチャイズ

中堅どころの住宅フランチャイズに、デザインを前面に押し出しているところがあります。

このフランチャイズは、帝国ホテルを設計したフランク・ロイド・ライトの財団と契約して外観をそのテイストでまとめていて、確かにかっこいいのです。

好みはありますが、おそらく多くのお客さんが「高級感があっていいね」と感じる外観に仕上がっています。

特許も絡むため、他の住宅会社が真似をしようとしても簡単には真似できません。

そのため、このフランチャイズの営業社員は、住宅の性能はもちろんアピールしたうえで、外観のすばらしさを徹底して主張します。

何人かのお客さんと商談をすれば、このアピールに心を動かされるお客さんが出てきます。

デザインを売りにする住宅フランチャイズが存在するのですから、独立独歩の小規模工務店もデザインで勝負すれば勝機を見いだせると私は考えています。

デザインで付加価値をつけて売るために工務店が取れる戦略は、デザイナーズ住宅を売る工務店の戦略で解説しています。

「おしゃれな家」の要望に応える外観デザインの作り方

設計コンセプトを決めて外観を統一する

「おしゃれな家が欲しい」は、お客さんからよく出る要望ですが、住宅会社にとってこれほど対応に苦慮する要望もありません。住宅会社は徹底した調査をしたうえで、世の中でおしゃれと言われているものを集め、それを形にすればいいと私は考えています。

お客さんが工務店のデザインに不信感を持って別の会社を選んだ経緯は、工務店が選ばれない3つの理由で解説しています。

先ほどの住宅フランチャイズは帝国ホテルをモチーフにしていて、設計コンセプトの一つは家全体が角張っていることです。

同じコンセプトを追求するなら、工務店は家の外観すべてを同じように角張ったデザインにそろえていけばいいわけです。

設計図の上では簡単にデザインを変えられますが、実際に建てるとなると、工務店には技術の問題に加えてコストの問題も出てきます。

工務店はそれらをクリアする必要がありますが、理論上は可能です。

外観の配色はインテリアコーディネーターに選ばせる

街中を歩いていると、複数の色を使っているのに色選びがよく考えられていて、外観が実におしゃれな家を見かけます。

その逆に、新築でも外観の配色がなんとも不均衡で、妙な印象の建物もかなりあります。

同じような色味でも、組み合わせ次第で外観を台無しにすることがあるのです。

インテリアコーディネーターはカラーリングの知識が豊富です。私は工務店に、インテリアコーディネーターが熟慮を重ねて外観の色を選ぶ体制を作ってほしいと考えています。

デザイン重視の客が契約した住宅会社の営業戦略

取材したご夫婦の話に戻ります。

ご夫婦が契約した〇〇ハウスはデザイン性が高いうえに、担当したインテリアコーディネーターのレベルの高さと〇〇ハウスの戦略が契約をもたらしたと言えます。

取材の中で印象的だったことがあります。

契約前の折衝にインテリアコーディネーターを同席させる

一般的な住宅会社では、インテリアコーディネーターは契約の後に出てきます。

しかし、〇〇ハウスでは、営業社員がタイミングを見計らってインテリアコーディネーターに声をかけ、契約前の折衝に同席させています。

たとえば2回目の打ち合わせが終わり、3回目に練り直したプランを出す場面では、営業社員がお客さんに次のように話します。

「次は再度練り直したプランをお出ししたいのですが、もし時間が合えば弊社のインテリアコーディネーターの女性の話もお聞きください。どのような意図の下で住宅をおしゃれにするのかという我々の考え方が伝わるかと思います」

インテリアコーディネーターの名前を出すことで、営業社員は次回のアポイントを取りやすくなります。

お客さんも、インテリアコーディネーターと実際に顔を合わせて話を聞けば、「素敵な家ができそうね」と期待を膨らませます。

アポイントの取り方そのものは住宅営業のアポ取りのコツで解説しています。

お客さんがふだん話す相手は営業社員ですが、営業はどこまでいっても営業で、インテリアコーディネーターとは知識のレベルが違います。営業社員との折衝の後に、おしゃれの話を具体論でできるインテリアコーディネーターが同席すると、お客さんの期待値は俄然(がぜん)上がります。

外壁の色を選んだ根拠を理詰めで説明する

〇〇ハウスは、インテリアコーディネーターに次のトークを使うよう指導しています。

「このプランにおいて外壁の色を2色設定していますが、これにはちゃんとした理由があるのです」

インテリアコーディネーターは、なんとなくおしゃれだからという理由で外壁の色を選ぶのではなく、選んだ根拠を理詰めでお客さんに説明します。

設計士にも同じことが言えます。

〇〇ハウスは、根拠を示す説明でお客さんの信頼感と期待感を上げることを、大きな戦略の一つにしています。

簡単なことに思えますが、こうした説明が〇〇ハウスの契約率を高めるキーポイントになっています。

インテリアコーディネーターがお客さんを誘導して打ち合わせを短くまとめる方法は、仕様打ち合わせの回数を減らす進め方で解説しています。

まとめ

工務店が性能を追求する方向に走るのも一つの手ですが、性能の分野で大手に勝つのは厳しいと私は考えています。取材したご夫婦はデザインを決め手に契約し、〇〇ハウスは契約前からインテリアコーディネーターを同席させ、外壁の色の根拠まで説明していました。

今回はデザインを例に挙げましたが、工務店がデザイン以外で誇れる部分を探し、それを前面に押し出すのも手です。その部分に関心を示すお客さんは必ず現れると信じて活動してほしいと私は考えています。

ぜひ本記事の取材事例を参考に、自社が性能以外で誇れる強みを洗い出し、商談での伝え方を決めてください。

あなたへのおすすめ