展示場来場者の追客|「まだ先」の客も1年後に約20%が契約

住宅展示場には、建築が「まだまだ先」の人や遊びに来ただけの人も来場します。
まだまだ先と答えた人のざっくり20%は、1年後に建築請負契約を結んでいます。
私自身も、アンケートで「全く予定がない」と答えた20代半ばの夫婦と、帰り際の資金計画をきっかけに契約したことがあります。
本記事では、住宅展示場に来た客がその後どうなるのかという仕組みと、住宅展示場を持たない工務店が同じ効果を狙う方法を解説します。
住宅展示場に来た「まだまだ先」の客は1年後どうなるのか
「大手のハウスメーカーや地元のビルダーは資金力があるから、展示場なんか作って集客できていいよな」と考える小規模工務店の経営者や住宅営業がいます。
たしかに大手は、あれだけの集客マシーンを堂々と建て、お金をかけてチラシを打ちまくっているので、お客さんも来ます。
工務店は資本力では勝てませんし、従業員5人の工務店が住宅展示場を建てるのはリスクが高すぎます。
それでも、住宅展示場の仕組みと営業手法を頭に入れておけば、工務店がまねをするのは難しくありません。
住宅展示場には家を建てる予定がない人も来場する
総合住宅展示場は、お客さんにとって入るハードルが低い場所です。すぐに建築したい人はもちろん、建築がまだまだ先の人や、それこそ遊びに来ただけの人もたくさん来場します。
住宅展示場の急所は、この「遊びに来た人」と「まだまだ先の人」にあります。
まだまだ先と答えた人を1年後に調べると、地域による違いはありますが、ざっくり20%程度がすでに建築請負契約を結んでいます。
見学した時点では建築時期が未定だった人でも、住宅営業と接点ができたことで話が具体化し、契約に至るケースが出てくるのです。
来場者に家づくりの時期や土地の有無を答えてもらう用紙は、住宅見学会のイベントアンケートテンプレートで解説しています。
地場工務店に「まだまだ先」の人が来ない理由
工務店の事務所のドアを突然ノックして、「家を建てることを検討しているのですが」と訪ねてくるお客さんは、普通はいません。
インターネットが発達し、工務店もホームページやSNSで情報を発信できるようになって、昔ほどの情報格差はなくなりました。
そのため、ホームページを見ての問い合わせは増えたはずです。
それでも、工務店に問い合わせてくるのはすぐに建てたい人か、せいぜい1年くらい先の人が圧倒的に多いです。
まだまだ先と言いながら工務店と接点を持つ人もいますが、その数は住宅展示場とは比べものになりません。ハードルが低い分だけ「まだまだ先の人」が集まることが、総合住宅展示場の大きな魅力です。
「全く予定なし」の夫婦と住宅展示場で契約した体験談
アンケートの「予定なし」に〇を付けてもらった
私が住宅展示場で接客した、20代半ばの若い夫婦の話です。私がアンケートをお願いしたときのやり取りは、次のようなものでした。
私「アンケートにご記入をお願いします」
客「アンケートですか……いや……全く予定がないのですが」
私「わかりました、では、予定なしに〇印を書いてください」
私はこのやり取りのまま、展示場の案内を始めました。
若い夫婦なので家のことが頭にないのも理解できましたし、私も楽しく気楽に接客した記憶があります。
夫婦もそんな私の様子を見て安心したようで、物見遊山の雰囲気で「いいですね~」「わぁー素敵なキッチン!」と話しながら見学を進めていました。
予定のない来場者とも気楽に話せる雑談力の鍛え方は、若手住宅営業の雑談ロープレで解説しています。
帰り際の資金計画で「毎月5万円でいけるのですか?」
1階と2階をすべて見学し終えて、夫婦がもう帰ろうかというとき、私は何の気なしにこう声をかけました。
「せっかくですので、将来のために資金計画をしてみませんか?」
夫婦は最初少し悩んでいましたが、すぐに建てる意思がないことを私が分かっていると知っていたので、心理的なハードルが下がったのでしょう。
私「簡単にできますので、将来の参考に」
客「そうですね。全く考えたこともないので」
当時の私は、電卓をたたきながら手書きで資金計画を書いていくスタイルでした。私が結果を出したところで、ご主人の反応が変わりました。
「毎月5万円でいけるのですか?」
ご主人の頭の中では、いまの家賃などが駆け巡ったのでしょう。
夫婦には親の土地がすでにあったことも大きかったと私は思います。
上物(うわもの)だけで済むので、毎月の支払いも大した金額にはなりませんでした。
この資金計画がきっかけで私はプランを提出し、あっけないほど簡単に建築請負契約が決まりました。
来場者をその気にさせる住宅展示場マジック
この夫婦に起きたことは、展示場マジックとしか言いようがありません。
来場したときの夫婦には、建築予定など微塵もありませんでした。
ところが、目の前で素晴らしい住宅を見せられれば、誰だって家が欲しくなります。
気分が盛り上がったところで資金計画をして、まさかの家賃以下の返済額が出てくれば、誰でも「ちょっと待てよ……」となります。
この事例のように、来場からそのまま建築請負契約まで進むのは稀だと私は思っています。来場時は全くやる気のなかった人が前向きになり、1年後に契約する事例のほうが多くなります。
来場時に予定がなかった客への追客を続ける理由と確認の一言は、「予定なし」の客への住宅営業の追客で解説しています。
イベントを開くと住宅展示場の来場者はどうなるのか
戦隊物やアニメキャラのショーを開く理由
住宅展示場が戦隊物やアニメキャラで人を集めるのは、効果があるからです。
もちろん外れることもあり、費用対効果が低い事例が多いのも事実です。
それでも、分母が増えれば分子も増えるという、ごく一般的な計算が成り立ちます。
イベントで来場者が増えれば、熱意を持ったお客さんの比率は下がります。
アンパンマンショーを見に来たついでに、涼みに来ただけの人も来場するからです。
しかし、分母が増えれば比率は関係ありません。
分子の絶対数が増えれば、建築請負契約に至る可能性もその分だけ高まります。
5月9日の総合住宅展示場イベントに来場した20組の中身
5月9日に開かれた総合住宅展示場のイベントには、私も立ち会いました。
この総合住宅展示場に出展しているA社には、土日祝日だけで1か月に平均60組が来場しており、単純に計算すると1日あたり7組程度です。
ところが5月9日は20組が来場し、A社の現場はてんてこ舞いになりました。
普段のA社では、7組来場しても、それなりに住宅を考えているお客さんは2〜4組くらいです。それに対し、5月9日の20組のうち6組は、それなりに住宅を考えているお客さんでした。
ただし、A社にはイベント費用も普段の展示場の出展料もかかっているので、それらを計算したうえで総合的に評価しなくてはいけません。それでも、この数字はひとまず魅力的だと私は思います。
セミナーや選手招待などのイベントで記名を集めた工務店の事例と来場者数の見方は、2023年正月の住宅展示場の来場者数で解説しています。
展示場を持たない工務店が同じ効果を狙う方法
工務店が住宅展示場をすぐに建てるわけにはいきません。そのため、工務店は住宅展示場と同じように「まだまだ先の人」と接点を持てる自社イベントで、同じ効果を狙うことになります。
自社イベントとYouTubeチャンネルで潜在顧客を集める
工務店の自社イベントでよくあるのは、餅つき大会や夏休みの夏祭りです。
本来はこうしたイベントを作り込んで開きますが、私が小規模工務店の社長であれば、自社のYouTubeチャンネルを開設して細かく動画を上げていきます。
工務店がじわじわと視聴者を増やしていけば、経費はほぼかからずに潜在顧客をつかめます。
この方法は小規模工務店に限らず、地域の有力工務店も実行すべきだと私は強く思っています。若手営業にイベントを任せる育て方は、イベント企画で進める新人営業の育成で解説しています。
まとめ
住宅展示場には、すぐに建てたい人だけでなく、建築がまだまだ先の人や遊びに来ただけの人も来場し、まだまだ先の人のざっくり20%は1年後に建築請負契約を結んでいます。全く予定のなかった夫婦が資金計画をきっかけに契約したように、住宅展示場では来場者の気持ちが変わり、イベントで分母を増やせば見込み客の数も増えます。
工務店は住宅展示場を建てなくても、自社イベントやYouTubeチャンネルで「まだまだ先の人」と接点を持てば、同じ効果を狙えます。
ぜひ本記事の体験談とイベントの数字を参考に、自社で「まだまだ先の人」と出会える場づくりを始めてください。



