工務店の年末カレンダー配りは効果ある?リフォーム受注5件の実例

工務店の年末カレンダー配りは効果ある?リフォーム受注5件の実例

12月の半ばになると、住宅会社の社内では「お客さんにカレンダー配りするの?」という話題が毎年のように出ます。

「そんなかったるいことやっていられるか」と言う会社もあれば、「この地道な活動が大事なんだよ」とカレンダー配りを推進する会社もあります。

東京都下にある設計事務所は、社長を含む3人で毎年1,000軒以上にカレンダーを配っています。

この事務所は昨年、全面リフォーム1300万円を含む5件の工事を受注しました。

年末のカレンダー配りは、今も受注につながる営業手法です。

本記事では、この設計事務所の事例をもとに、カレンダー配りで受注が生まれる理由、配るカレンダーの選び方、SNSと組み合わせた集客の方法を解説します。

工務店の年末カレンダー配りを十数年続ける設計事務所

「カレンダー?もちろん配りますよ!」は、東京都下にある設計事務所の社長の言葉です。

社長は弟さんと兄弟でこの設計事務所を営んでいて、十数年にわたって年末のカレンダー配りを重要な業務と位置付けています。

私が初めてこの事務所にお邪魔したのは十年ほど前です。11月の初めに、私は久々に用があってこの事務所を訪ねました。

私 「カレンダー配りは今もやってるんですか」

社長「もちろんですよ。今年も今から配るので大変です」

私 「社長と弟さんと事務の女性の方3人でしたよね」

社長「そうです、その体制は変わっていないので、今年もこの3人で手分けをして1000軒以上配るんです」

社長たち3人がカレンダーを配る期間は、11月初旬から12月下旬までに及びます。

大きな住宅会社なら、若手社員に指示してカレンダーを配らせることもできます。

しかし、小規模な設計事務所で社長が先頭に立って配るとなると、かなりの負担になります。

小規模な会社がカレンダー配りでOB施主を回ってリフォームを受注した東北の工務店の事例は、OB施主へのカレンダー配りの事例で解説しています。

カレンダー配りで受注したリフォーム5件と金額

社長がこれだけの負担を毎年引き受けるのは、カレンダー配りで受注が取れるからです。私は社長に、昨年の成果を聞きました。

私 「昨年も同じようにカレンダー配りしたんですか」

社長「もちろんですよ」

私 「昨年の成果はどうでした?」

社長「ちゃんと成果が出ましたよ。実績は・・・」

細かいところまでは書けませんが、社長から聞いた昨年の受注は、だいたいの金額で次の表の5件でした。

工事受注金額受注のきっかけ
全面リフォーム1300万円OB施主
トイレリフォーム30万円カレンダーを配る訪問
キッチン入れ替え240万円OB施主
壁の塗り替え190万円OB施主の隣家からの紹介
玄関の手すり設置5万円カレンダーを配る訪問

全面リフォームを依頼したのは、新築から22年がたったOB施主のお宅でした。

社長が例年どおりカレンダーを届けると、お客さんから「全面リフォームしたらいくらぐらいかかるか見積もり取ってもらえる?」と声がかかり、ほぼ即決だったそうです。

トイレリフォームの30万円は小さな工事ですが、利益率を考えれば、ありがたい仕事だと私は思います。

OB施主からリフォームを受注する考え方は、工務店がOB施主からリフォームを受注する方法で解説しています。

OB施主のお隣から入った壁の塗り替え190万円

5件の中でいちばん面白いのが壁の塗り替えです。社長がOB施主のお宅にカレンダーを持って訪問すると、OB施主からこう言われたそうです。

「あなたが来るの待ってたのよ。お隣さんが壁の塗り替えを考えてるんだけども話を聞いてあげてくれる?」

社長はこの話から、お隣の家の塗り替えを受注しました。

文字どおりの紹介受注です。

紹介を増やす頼み方は、紹介営業のコツで解説しています。

この塗り替え工事をしたことによって、将来的に水回りの大きなリフォーム工事が発生するかもしれません。このお宅には結婚したばかりの息子夫婦が近くに住んでいるとのことで、社長の事務所が新築を受注できる可能性もあります。

SNSの時代でも顔を合わせる営業が受注を生む

5件の受注は、金額の多寡に意味があるわけではありません。社長が1年ぶりに顔を出しただけで、お客さんが工事を発注してくれた点に意味があります。

SNSなどの飛び道具を使うことは、住宅会社にとって最重要事項です。それでも、人と人が顔を合わせることの重要性を忘れてはいけないと私は考えていて、社長の事務所の話はそれを形にしたものです。

社長が熱く語ってくれたところでは、小さな事務所の3人で1,000枚以上のカレンダーを配っていると話すと、誰からも「そんなことよくやるね」と言われるそうです。しかし、社長はカレンダー配りが受注に結びつくことを経験から分かっているので、最重要業務と位置付けています。

カレンダー配りから大型リフォームを受注した都内の会社の事例と、新築中心の工務店が最初にやることは、工務店のリフォーム受注の始め方で解説しています。

受注につながるカレンダーは名入れを小さくしたもの

私は社長がお客さんに配るカレンダーの実物も見せてもらいましたが、特に変わったところのない、何の変哲もない代物でした。工夫といえるのは、次の3点ぐらいです。

  • 日付の欄が四角で、予定を書き込める
  • 事務所の名前が、片隅に小さく目立たないように入っている
  • デザインがおしゃれで、部屋の片隅に掛けても抵抗がない

私が幼いころ、自宅に掛けてあったカレンダーは近くの電気屋さんのもので、「木俣電気店」と入っていました。私は50年近くたってもその名前を忘れませんが、今どき会社の名前が大きく入ったカレンダーは、お客さんに敬遠されると思います。

SNSと手書きチラシを併用するハイブリッド集客

社長のすごいところは、カレンダー配りという昭和コテコテの営業手法を続けながら、SNSにも手を伸ばしていることです。

インスタグラムは毎日更新、ピンタレストとXも運用

社長の事務所はインスタグラムに加え、ピンタレストやXのアカウントも持って動かしていて、その積極性には私も驚きました。さすがにすべてのSNSを毎日更新するところまでは手が回らないようですが、事務所はインスタグラムだけは毎日欠かさず更新しており、反応も実際にあるとのことでした。

社長から受けたYouTubeの相談

社長「YouTubeは効果あるんですかね」

私「YouTubeは絶対にやったほうがいいと思いますよ。私は個人的にアカウントを3つもって運営していますが、そのうちエンドユーザー向けのものは新規に更新をしなくても毎日1,000回程度は必ず視聴されてますから」

社長「森さんYouTubeやってんだ!ちょっと教えてくださいよ。実は私もやろうと思ってたんです」

とにかくすごい積極性です。

私はこのとき、YouTubeの簡単な基礎知識だけを社長に話しました。

社長はおそらく年が明けたらYouTubeのチャンネルを開設して、動画配信も始めるはずです。

2023年に4回開いた現場見学会の手書きチラシ

社長の事務所の新築現場見学会は、コロナの時期にはさすがに落ち込んだそうですが、2023年だけで4回開かれました。社長に集客方法を聞くと、事務所はSNSを駆使すると同時に、手書きのチラシを作って社員総出で現場周辺に配ったそうです。

事務所には若い女性の事務社員が一人いて、デザイン系の専門学校を出ていることもあり、この事務社員が作った手書きチラシは秀逸な仕上がりでした。社長の話では、SNSは確かに重要なものの、手書きチラシにも必ず一定の反応があるそうです。

現場見学会でSNSと手書きチラシを併用した別の事例とキャッチコピーの書き方は、工務店のチラシ集客と手書きチラシの作り方で解説しています。

私も自分のウェブ記事やセミナーで、社長とまったく同じことを話しています。

住宅会社の中には、アナログを一切捨ててSNSだけに走る会社も相当数あります。

その戦略で成功している会社はどんどん続ければ構いませんが、SNSだけではなかなか集客できない工務店には、こうしたハイブリッド集客を強くお勧めします。

まとめ

東京都下の設計事務所は、社長を含む3人でカレンダーを配り続け、1年ぶりに顔を出したOB施主やそのお隣から、リフォームの工事を受注しています。配っているのは名入れを小さくした何の変哲もないカレンダーで、事務所はその一方でSNSや手書きチラシも使うハイブリッド集客を続けています。

人と人が顔を合わせることで仕事が生まれるのは、大昔からの原理原則です。事務所にこもってあれこれ考えているのであれば、思い切って昭和の戦略を取るのもよいと私は考えます。

ぜひ本記事の設計事務所の事例を参考に、来年12月のカレンダー配りに向けて、OB施主のリストづくりから始めてください。

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