新築受注の減少は本当か?東北2割減と工務店のリフォーム転換

新築の問い合わせが減ったと感じている工務店がある一方で、「新築がそんなに落ち込んだ感じはしない」と話す工務店もあります。ただ、私が日々の活動で接する方々からは、新築が減ったという声が伝わってきます。
新築受注の減少は現場で確かに起きており、東北のある県では新築着工数が前年対比で2割減っています。中国地方の老舗工務店はリフォームに注力するようになり、関東の小規模工務店はホームページをリフォーム中心に作り変えました。
本記事では、私が日々の活動で見聞きした声をもとに、新築受注の減少の実態と、工務店が見直すべき営業を解説します。
工務店の新築受注は本当に減少しているのか
工務店の経営者に新築受注の落ち込みについて話を向けると、反応は2つに分かれます。
「本当にそのとおりだ、うちも困っている」
「新築がそんな落ち込んだ感じしないけどね」
しかし、私がさまざまな情報を精査した限り、新築受注が急激に落ち込んでいるのは間違いない事実です。
住宅市場の動きを精査するときには、客観的な統計データと、数値化できない現場の声の2つを使います。
街の景気動向はタクシーの運転手に聞けばだいたい正しく分かる、とよく言われます。
私も同じように、日々接している方々の声から、新築の動きをつかんでいます。
新築の減少はデータで説明されるケースが大半ですが、本記事ではあえて数字をほぼ出さずに、私が肌で感じたり耳で聞いたりした声を取り上げます。
東北の某県で新築が2割減(工務店の受注を支える建材会社の話)
新築・リフォームの受注セミナーを依頼された経緯
東北のある場所に本社を構える建材会社が、来年1月にリモートセミナーを主催します。
私はその打ち合わせを、つい先日、建材会社の担当者と行いました。
セミナーのタイトルは「新築・リフォームの新規受注のテクニック」で、私はあえて何のひねりもないストレートなものにしました。
打ち合わせの中で、建材会社の担当者はこう話しました。
「〇〇地域では新築が20%減になっているんですよ」
その言葉を聞いて、私は「東北も同じ現象が起きているのね……」と思いました。
2割減を建材会社が深刻に受け止める理由
公表されているデータを見ればすぐに分かりますが、この県の新築着工数は前年対比で2割減になっています。
まさに激減という言葉がぴったりの、かなり強烈な数字です。
工務店の経営者にとっても、体感として分かる減少幅だと私は思います。
新築が半減すれば工務店もパニックになりますが、20%減だと「新築が結構減っている感じがするね」くらいの受け止め方にとどまります。
一方で、材木などを扱う建材会社は、取引先の工務店の受注数がそのまま業績に跳ね返るため、この数字を深刻に受け止めています。
その危機感が、来年1月のセミナーの開催につながりました。
新築が減ってリフォームに注力した中国地方の老舗工務店
中国地方で親子代々営業を続けている、地元の歴史ある工務店の話です。私がリフォームについて尋ねると、社長はこう答えました。
私 「最近はリフォームも結構やっているとの話を聞いたんですけど」
社長「そうなんですよ。リフォームをやっているというよりは新築が本当になくなってしまったので、リフォームに注力せざるを得ない状況になったんです」
このパターンは、全国でとにかくよく聞くケースです。
工務店の経営者は新築が減ったと嘆きますが、その理由を答えられる人は誰もいません。
市場がそのように動いているとしか言いようがありません。
私はこの社長と10年来の知り合いですが、知り合った当時の社長が、リフォームを明らかに眼中に置いていなかったことを鮮明に覚えています。社長はお客さんから頼まれればリフォームや営繕の類も引き受けるものの、自社からリフォームの看板を掲げて営業するのは、はっきり言って恥ずかしいという認識を持っていたのです。
そのため、社長の激変ぶりに私は驚きました。それだけ世の中が変化したといってもよいでしょう。
新築中心の工務店がリフォーム事業に取り組む利点は、工務店のリフォーム事業のメリットで解説しています。
ホームページを新築中心からリフォーム中心に変えた関東の工務店
関東地方にある小規模工務店の話です。
この話は私が直接確認したものではなく、又聞きであることをお断りしておきます。
それでも私は、話を聞いたときに「同じような工務店はどんどん出てくるだろうな」という思いを強くしました。
昨年までのホームページはリフォームの案内が三行だけ
この工務店のホームページは、昨年まではどこにでもあるような工務店のホームページでした。私も改定前のホームページを確認しましたが、それなりによくできていて、お金もある程度かけていたことが分かる内容でした。
この工務店はリフォームの依頼があれば受ける体制を取っていたので、ホームページにもそのことは載っていました。しかし、リフォームと銘打って大きくアピールするのではなく、たった三行でリフォームも受ける旨が書かれているだけでした。
年初からリフォーム専業会社のようなトップページへ
年初に新しくなったホームページを見て、私は驚きました。パッと見のイメージが新築よりもリフォームに重きを置いたもので、一見するとリフォーム専業会社だと思えるほどのトップページに変わっていたからです。
この工務店を直接知っている知人によると、社長には新築一本でやってきたプライドもありました。それでも社長は、新築が明らかに急減したことに加え、さまざまなデータを見て、今のうちにリフォームをやっておかないとまずいと判断したようです。
ホームページでリフォームも手がけていると伝える方法は、工務店のホームページでリフォーム受注を増やす対策で解説しています。
リフォーム団体への問い合わせ急増と専業リフォーム会社の警戒
リフォーム団体の本部に届く工務店からの問い合わせ
国内にはいろいろなリフォーム団体があります。TOTOリモデルクラブはその最たるもので、リクシルやパナソニックといった大手メーカーも軒並み同じような組織を作っていますし、一般社団法人のリフォーム団体も数多く存在します。
私は先日、懇意にしているリフォーム団体とリモートの会議を行いました。本部の方によると、加盟している全国各地の工務店から本部への問い合わせが急増しており、問い合わせの内容はさまざまだそうです。
- リフォーム限定の補助金の話
- リフォームの営業の仕方
- 加盟店のリフォーム営業の成功事例
こうした問い合わせが明らかに増えていることは、全国各地でリフォームに関する動きが起きている証拠だと私は考えています。
地域の工務店の参入を警戒する専業リフォーム会社
千葉で勢力を誇っていたリフォームのナカヤマがヤマダ電機に吸収されてから、すでに長い年月がたちます。私はヤマダリフォームの方とも面識がありますが、専業リフォーム会社にとっての脅威は、地域の工務店がリフォームに目を向けることです。
これまでは地域の工務店にそのような動きがなかったので、専業リフォーム会社はいくらでもリフォームの受注を取れました。しかし、地域の工務店が目を覚ませば、専業リフォーム会社は苦しくなると予想されます。
専業リフォーム会社が工務店の建てた家をどう見ているかは、OB施主のフォローを怠る工務店の弱みで解説しています。
新築受注の減少に工務店が取るべき営業の見直し
待ちの営業から追客する営業へ切り替える
私のようなハウスメーカー出身の住宅営業は、積極的に前に出て追客することに慣れ切っています。ところが、小規模な地場工務店にはこのスタイルを取らないところが多く、取りたい気持ちがあっても転換できない会社も多いと私は見ています。
しかし、昔のように話が来るのを待つスタイルでは、工務店の受注は先細りしていくだけで、何の展望もありません。
今の代で廃業するのであれば構いませんが、事業を続ける考えや子どもに代替わりさせたい考えを持っているのであれば、今すぐ積極的な営業手法を取り入れるよう私はご進言します。
地域で新しいお客さんを探す方法は、住宅営業の探客方法で解説しています。
新築専門を貫くか、リフォームの看板を出すか
私は新築をやめろと言っているのではありません。
理想論を言えば、工務店はリフォームをやらずにお客さんから圧倒的な支持を得る、新築専門の工務店を目指すべきです。
しかし、よほどの根拠や裏付けがなければ、新築専門の工務店はおそらくじり貧になると私は思います。
OB施主からリフォームを受注する進め方は、工務店のリフォーム受注の進め方で解説しています。
まとめ
新築受注の減少は、東北の某県での新築着工数2割減、中国地方の老舗工務店のリフォームへの注力、関東の小規模工務店のホームページの作り変えなど、現場のあちこちで表れています。リフォーム団体の本部への問い合わせも急増しており、肌で感じる新築減少の波は各地に広がっています。
新築専門で続けるにはよほどの根拠が必要で、待ちの営業スタイルのままでは工務店の受注は先細りします。
ぜひ本記事の各地の工務店や建材会社の声を参考に、年末年始の休暇を機に自社の営業戦略を見直してください。



